| 圧縮された開発期間の中で各技術要素の統合を推進
以上のコンセプトに基づくサービスの概念が固まった2005年7月からは、情報システム部が合流し、具体的な開発フェーズがスタートした。そもそもドコモは、モバイルFeliCaの各種技術の開発を担うフェリカネットワークスに資本参加し、キャリアの立場からサービスプラットフォームの形成に貢献してきた存在だ。またHPもFeliCa対応サーバの開発プロジェクトの一翼を担い、HP IC-Chip Access Server for FeliCaを提供してきたのである。今回の開発最前線を担った情報システム部顧客システム担当 竹川徳重氏は、今回の開発の苦労を以下のように語る。
「新FeliCaチップの商用利用は、FOMA 903iシリーズが初めて。さらに、FeliCaチップ上のデータを一括で別のFeliCaチップに“引っ越す”サービスも、これまでにない先駆的なものでした。当然、そのプラットフォームもFeliCaチップの新機能に対応していなければなりません。それはHP IC-Chip Access Server for FeliCaしかありませんでした。スタ−ト時には、試験機となる携帯電話もHP IC-Chip Access Server for FeliCaも、まだ開発プロセスのまっただ中でした。一方でFeliCaチップ、携帯電話、FeliCa対応サーバ、サービスの開発状況の歩調を合わせながら、他方では2006年10月のFOMA 903i発売と同時にサービスを開始する必要があったのです」
そこで、ドコモとフェリカネットワークス、携帯電話メーカー、HP、SI/アプリケーション開発を行ったNEC間で緊密な協調体制を推進。情報システム部は、シミュレータなどによる単体試験を繰り返しながらシステム構築を進め、携帯電話の実機が出そろった2006年7月後半に全体的な結合試験を実施することができた。
「結合試験当初は、全く試験を消化できず1カ月近い遅れが生じました。最後は、数少ない携帯電話のテスト機をかき集め、情報システム部にふんばってもらいました」(大井氏)
何らかの理由でデータ移行が中断した場合の再試行に伴う判断ロジックなど、結合試験後に顕在化したポイントなどを丁寧に拾いながら、システムが磨きあげられていった。
こうして完成したiCお引っこしサービスでは、故障等の際のデータ移行の場合にはショップのスタッフが操作を行う。また機種変更の場合には、ユーザ自身がドコモショップの店頭に設置された機器を操作して、移し替えが実行できる。
「まず、どんな場合にも移行元のデータが保護されることに気を配りました。またユーザご自身が操作することから、処理手順の簡素化やわかりやすい画面設計を追求しています」(大井氏)
「さらにイレギュラーな扱い等、あらゆる場面を想定した試験を繰り返して、安定稼働に向けて万全を期しました」(竹川氏)
「次の段階としてデータ移行時間の圧縮などを目指したいと思います。おサイフケータイを使った決済は、コンビニ、大手スーパーにも導入され2007年度はおサイフケータイ普及の年になると考えています。今後、決済サービスやポイントサービスの連携がますます進み、さらに私たちが考えつかないようなおサイフケータイを使ったサービスが生まれることを期待しています」(大井氏)
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