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既存サービスの移行は完了。今後は新サービスを開発し実装
NTT ドコモが既存のメディア系付加価値サービスで既存システムの更改を検討し始めたのが2006 年の9 月。将来にわたる拡張性・可用性を実現するシステムを計画したわけだが、2007 年7 月から開発に着手した。「当初は全てのメディア系サービスを一度にサービスインする予定だった」(松永氏)が、システムの本番稼動状況を検証するためもあって、まず9 月にメロディーコールから本番環境に移行。2009 年には残る全てのメディア系付加価値サービスをHP OCMP で構築し本番稼動を始めた。「既存の全てのメディア系付加価値サービスを乗せたので、これからは新規サービスを開発しHP OCMP に乗せていく段階」(齊藤氏)という。
音声ガイダンスや応答メッセージ変更もリモートで完結
HP OCMP を導入することで新サービスの拡張性とそれにともなうコストを大幅に抑えられるだけでなく、小さな改善も随時行えるメリットがあるという。「例えば留守電の応答メッセージやガイダンスの声を女性から男性に変えようとする場合や音声で案内するガイダンスシナリオを書き換える場合、従来のシステムでは専用のプログラムを作り直すところから始めて、本番検証しなければならず、提供しているサービスに影響を与えないようにするためには改良に時間と工数がかかっていた。HP OCMP ではVXML ファイルを遠隔操作で書き換えれば変更が即時完了する」(溝口氏)と、保守やメンテナンスの面でも効果をあげている。さらにハードウェアの集約も行い設置拠点もユニット数も大幅に集約したことで、「ハードウェアの調達コストは激減し、メンテナンスの工数も減少しているので時間が短縮され、時間の配分や要員の配置も今後、変わってくるだろう」(松永氏)と見ており、「実際に拠点数が減ったことでファイル更新などの手間は大きく軽減されている」(溝口氏)。
以前のシステムでは、サービスごとに専用システムとして連携していたため運用監視と保守の面ではシステムとサービスに関してどうしても高度なスキルが必要となるという「属人的」な要素が高まっていた。標準的なプラットフォームに移行することで、専門の知識を持った人材が不要になるわけではないが、少なくとも一般的な運用監視と保守では他システムに精通した人材でもメディア付加価値サービスシステムの仕組みを理解できるようにはなる。今、システムユーザで問題となっているのは、個別最適化されてしまった専用システムに対して属人的な要素が障害解決の際の問題となっていること。トラブルが発生した場合に、特定の人材でなければ対応できないというケースは意外と増加していると言われる。松永氏が「要員の配置も変わって来るだろう」と予想するのも、HP OCMP を基盤とすることで属人的な要素を切り離すことができるということによるものだ。
予想もしなかった障害も日本HP が迅速に解決
ただ、新しい仕組みに移行したことで予想もしなかったトラブルが出現することもある。留守番電話サービスでは一部で端末からの操作が受け付けられなくなるトラブルが発生した。「端末が発信する信号の問題だったのだが。特定の条件が重なった場合に端末によっては操作できない現象が起きた。我々としては想定もしていなかったトラブル」(溝口氏)だったが、日本HP のスタッフが信号を調査・分析しシステムチューニングを施したことで早急に問題を解決できたという。「開発はスケジュール通りに進めることができたが、問題がまったく起きなかったわけではない。しかしその場合でも日本HP 側の対応が迅速だっただけではなく、解決までのプロセスやスケジュールを明確にしてくれたため、スケジュールを組み直すなど対策が打てた」(松永氏)と日本HP の支援に対しても十分に評価しているという。
HP OCMP でサービスを開発する局面でも、基本的にはJavaによる開発環境を採用していることやVXML、CCXML、SIP といった標準機能をサポートしていることで容易に機能を深く作り込むとこができ、「ベンダー製品だからと言って機能を制限されることもなく、必要な機能の開発に支障が生じるような場面はなかった」(松永氏)としている。
「HP のソリューションはコンセプトを明確に打ち出して開発されているので非常に理解しやすい。他社のソリューションと比べて明らかに先を見た戦略を構築しているという印象だ。NTT ドコモが将来を見据えたサービスインフラ基盤を構築しようとするニーズが、HP の戦略とマッチしている」(溝口氏)と、将来的な展開を考えた上で日本HP を選択したことは必然だったと語っている。
標準的な技術の採用は今後の海外展開や最新のサービス開発でも優位
NTT ドコモは、将来的に事業を拡大していく上で海外展開も視野に入れているという。「海外に日本で成功したサービスを展開するという構想もある」と齊藤氏は語る。すでにインドの有力企業グループであるタタグループの通信会社であるタタ・テレサービシズ(TTSL)に資本参加し、2009 年6 月には新ブランド「TATA DOCOMO」をスタートした。携帯電話市場が急成長しているインドでGSM 方式による携帯電話事業を展開するが、ネットワークの品質向上や利用者向け付加価値サービスの拡充などでNTT ドコモのノウハウが提供されることになるだろう。
こうした海外展開を考える場合に、HP OCMP のような世界の多くの通信事業者が活用している汎用製品をプラットフォームに活用しているメリットは大きいと齊藤氏は見ている。HP はワールドワイドで同じソリューションを提供しており、海外でも同じノウハウを共有できる。「これまではNTT ドコモの社内で開発したシステムで付加価値サービスを展開していたが、HP OCMP を用いたMPN を構築し汎用技術を活用するようになった。これによりNTT ドコモとしてコスト削減や新サービス開発が加速できるというメリットだけでなく、世界の最新の技術を取り入れて提携関係にも役立てることができる」(齊藤氏)ことも収益拡大の要素として注目できるというわけだ。
携帯電話のテクノロジーは、第4 世代携帯電話への橋渡しとなる3・9G、LTE(ロングタームエボリューション)についても2010年のサービス開始を表明している。そうしたイノベーションに対して積極的な姿勢を示しているのも、それだけ携帯電話事業の市場競争が激しいからだ。
今回、NTT ドコモはMPN を構築し、そのメディア系付加価値サービス処理にHP OCMP を採用した。現段階では既存のサービスの移行を完了しており、今後は新たなサービスの追加が注目される。「そもそもMPN を構築することで機能の拡張や新たなメディアの取り込みを可能にし、サービスを充実させるのが目的」(溝口氏)であり、音声、テキスト、動画といった独立しているメディアを同時に活用することも可能になる。こうした高度なメディア処理機能により、業界団体であるRCS で議論されているようなリッチコミュニケーションサービスが実現できるようになる。
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