| 個人情報保護法の施行をきっかけに内部統制への取り組みを開始
金融商品取引法、いわゆる日本版SOX 法が施行され、上場企業およびその連結子会社を対象として、2008年4月1日以降の事業年度から適用されることとなった。
企業会計審議会内部統制部会によって示された同法の実施基準の中には、「組織目標を達成するために予め適切な方針及び手続きを定め、それを踏まえて、業務の実施において組織の内外のITに対し、適切に対応すること」というIT対応も、基本項目のひとつとして掲げられている。フジネットワーク(FNS:Fuji
Network System)を通じて、系列27局に対してテレビ番組を提供している在京のキー放送局フジテレビジョンもまた、そうした内部統制への対応を急ピッチで進めてきた企業のひとつだ。
もっとも、同社の場合は日本版SOX 法の施行を契機に取り組みを開始したわけではない。「それ以前の2005年頃から内部統制に取り組まなければならないという明確な意識を持っていた」と、同社の執行役員であり情報システム局の局長を務める沢野正邦氏は言う。
さらに、情報システム局システム企画室室長である和賀井隆氏が次のように補足する。
「当社では、人と人との信頼関係をベースに、ITシステムに素早くアクセスできる利便性を重視していました。しかし、個人情報保護法の施行やその後の会社法の改正、日本版SOX法など、より強くITへの統制活動が求められるようになりました。そこで情報システム局の総意として、これまでシステム運用プロセスの中で対応してきたことを、さらに明文化されたルールやポリシーとして反映し、以前にも増してガバナンスを強化すべきと考えました」
その時点の最新アーキテクチャを導入してきた結果社内には
管理体系の異なるシステムが存在
報道機関としての使命を持つ同社には、常に臨機応変かつスピーディな対応が求められる。例えば、何か事件が起こったときに、担当ディレクターが申請書を提出し、責任者の承認を得てから取材クルーを編成して現場に派遣するといったことをやっていたのでは、とても間に合わない。
「ある意味において、我々は内部統制には適さない企業文化の中で育ってきたのです」と沢野氏は言う。
そうした事情は、これまでのITシステムへの取り組みにも見ることができる。情報システム局システム企画室システム開発部の部長を務める伊藤春男氏は、同社のITシステムについて次のように説明する。
「昨今のテレビ放送のデジタル化への対応をはじめ、私たちは歴史的にみてもITシステムに対して、先駆的かつ積極的な投資を行ってきたという自負があります。その時点における最新の技術を導入し、最新のアーキテクチャに基づいて、必要なITシステムを構築するというのが基本的な考えです。しかし、その結果として、社内にはアーキテクチャの異なる多様なITシステムが存在しています。もちろん、それらのITシステムは個々としては厳重に運用管理されているのですが、一方で、すべてのITシステムを貫いた標準化ができているかとなると、『できている』とは必ずしも言い切れない状況にありました」
それぞれのITシステムは、個々の目的やアーキテクチャによって最適化された運用管理が行われているものの、全社レベルでの運用管理の業務プロセスには、改善の余地が存在していたのである。
個人情報保護を推進している過程で新会社法が制定される。情報システム局は、これまでの一連の取り組みが内部統制という枠組みであることを認識し、内部統制の具体的な情報が少ない中でIT部門として担うべき役割の模索を続けた。そうした中で、さらに日本版SOX法への対応という新たな課題も浮上してきたのである。そこで同局は、具体的な施策を見定めるため、2006年10月にHPにコンサルティングを依頼。IT全般統制に向けた第一歩として、ITシステムの運用管理にどのような問題が内在しているのかを明らかにするため、アセスメント(現状把握)を受けることにした。
「HPのコンサルタントは、我々が持っていた問題意識をとてもよく理解してくれるとともに、HP自身が米国のSOX 法対応などで経験してきたこともベースにしながら、IT全般統制に対する考え方を非常にわかりやすく説明してくれました。世の中で一般的に行われている運用管理のあり方と、我々がこれまで行ってきた運用管理をつき合わせ、あるべきIT全般統制の形を模索していく上で、HPは最適なパートナーになってくれると判断しました」と、和賀井氏は語る。
|