| 移行に伴う生産性や効率性、将来の運用性や成長性などを総合評価
そして各社の提案を吟味した結果、VMware+HP BladeSystem c-Class、HP StorageWorks EVAなどを核としたHPの提案に軍配が上がった。同社は導入に先立って、HP BladeSystem c-Class、HP StorageWorks EVAの実機をデモ評価。さらに導入規模や業務、既存の物理サーバからの移行の推移など、さまざまな事例を調査し、比較の指標を設け、自社への適応を吟味したのである。
「HPはVMwareの認定技術者数が国内でトップだったこと。またその下で、国内外における多くの導入実例を築いていたことも大きな安心材料になった」と語る柴田氏は、ハードウェア面からの選定要因についてはこう説明する。
「ハードウェアとしての機能性に対しても、さまざまな角度から検討を加えました。まず、サーバの集約率の高さ、そしてVMwareのインストールが自動化できる点などが魅力でした。またHP BladeSystem c-Class に実装されるHP Virtual Connectは、サーバと外部ネットワークとの間に抽象化層を設けることで、LANやSAN環境を事前に設定しておくことができますので、サーバの追加や移動、交換などに際しても管理者の手間を省くことができます。さらにHP StorageWorks EVAも、例えばオンラインでディスクの動的な拡張が図れるなど、旧来のRAID装置とは全く異なる設計思想で、管理性や運用性の向上が実現できそうだと感じました。さらに細かい点をいえば、ブレードサーバを搭載するエンクロージャも電源や結線、基盤などの細部にまで可用性設計が貫かれていることに感心しましたね」
ノウハウの蓄積を目指して、あえてさまざまなケースに挑戦
導入に際して2008年1月〜6月の期間を、今後の段階的な移行を進めるための基盤構築フェーズに設定。既存12台のサーバを選定して、仮想環境への移行を進めた。
「私たちは、基本的にすべての基幹業務を仮想化環境に統合することを視野に入れ、次フェーズからは自社で移行を進めたいと考えました。そこで、事前のコンサルティングを含めた基盤構築フェーズでは、HPとのスクラム体勢のもとで推進。経験豊かなHPの構築メンバと一緒に作業をしながら、ノウハウや手順を自社内に吸収・蓄積することを目指しました。したがって、最初に移行する12台のサーバは、極力、構成要素やソフトウェアの性格の違うものを選んだのです。実は、その中で想定外の事態に遭遇し、『うまくいかないケース』を築くことで実戦的な対応力を培っていきたい、という期待もありました」
またこの段階で、2007年11月にリリースがアナウンスされたばかりの45nmプロセス技術に基づく第2世代インテル® Xeon®
プロセッサー 5400番台の採用を決定し、早速、同プロセッサを搭載したHP BladeSystem c-Classの導入を要請した。
同社は、自社対応の基盤構築を目指したこのフェーズを通じて週次で計画を立てて、都度進捗チェックを進めた。ここでは「事前確認の徹底を図りながら、さまざまなタイプで実際の移行を進め――そこで出会った問題や“気づき”を精査し――再度次の移行にフィードバックする」という、ポジティブなスパイラル構造の創出を目指したのである。
「経営戦力強化への貢献や費用対効果を考えれば、短期間で多くのサーバを新しい仮想環境に移行する必要があります。したがって、自動化ツールなどを活用して早期に確かな手順の確立を図り、段階的な移行を加速度的に進めるベースを築きたかったのです」
グループ総体で仮想化環境への統合を推進
「基盤構築フェーズを終え、自信やノウハウの確立とともに、明確な全体像が描けた」と柴田氏は語る。
富士フイルムコンピューターシステムでは、次の段階として2009年3月までに約70台の既存サーバの移行を計画。同時に、48台の新規導入サーバもこの環境に統合することを目標に、目下プロジェクトが進行中だ。
「幸い、弊社では、グループ全体に対してスリム&ストロングを狙った強力なガバナンスが効いており、既存サーバはもちろん今後新規導入されるサーバも、すべて新たな仮想環境に統合する姿勢が貫かれています。もちろん、I/O頻度が高く仮想化環境に載せにくいデータベース系のシステムやVMwareの動作保証対象になっていない一部のものだけは、今後も物理サーバに実装することになります。しかし、サポート対象外のパッケージソフトウェアなども、動作検証確認がとれれば積極的に新環境に載せていきたいと考えています」
さらに、2009年4月から、つまり次年度からは移行ピッチを加速させ、向こう約2年間で既存120台のサーバと新規の50台を統合したいということだ。
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