| グループのSE業務を支援する共通技術部門
日本を代表するコンピュータメーカーである富士通は、システムインテグレータとしても突出した存在である。富士通とそのグループ会社が手がけるシステムは、金融、製造、流通、情報通信といった産業分野から、公共分野までを網羅し、日本のビジネスと社会を支えている。この富士通グループのシステム開発を支援するグループ共通の技術部門が、富士通本社のシステム生産技術本部である。その中にあってインテグレーション技術統括部は、プラットフォームやミドルウェアといったシステム基盤における技術支援を担当している。
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富士通株式会社 システム生産技術本部 インテグレーション技術統括部 性能技術部 部長 アーキテクト(情報システム) 植中淳一氏 |
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属人化の排除と標準化が、至上命題だと植中部長は語る。一部の超一流のプロが経験と勘でシステムを構築していては、グループ全体の品質確保にはつながらない。めざすべきは、富士通グループのSEなら誰でも一定レベルの品質を確保できること。この実現のため、インテグレーション技術統括部は、システム構築の上流から下流までの各ステップの作業内容とそれに必要なノウハウの標準化を進めてきた。
「しかしながら、オープンシステムの普及発展に伴って、さらなる対策が求められるようになりました」
システム生産技術本部が、オープン系の性能品質向上に本格的に取り組み始めたのは、1995年。以後、オープンシステムの適用範囲はかつての情報系、部門系システムから基幹業務を支えるシステムへと拡大していった。それに伴い情報システムのリスクがビジネスのリスクに直結していくようになる。2000年代に入ってからは、大企業のシステム障害が頻繁に報道され、システム品質が社会的にも注目を浴びるようになっていた。インテグレーション技術統括部としても、今までのように標準的なSE作業のあり方を提示するだけでなく、システム品質の向上に直結するもっと積極的な技術支援を行なう必要に迫られていたのである。
「その第一歩が、負荷テストの推進でした」
負荷テストのグループ展開に向けた“攻めの姿勢”
負荷テストは、システムの性能確保の“最後の砦”だ。上流工程に起因した問題も的確な性能モデルによる負荷テストを行なうことで、基本的には本番稼働前に確実に洗い出せる。まずは、この負荷テストの実施をグループ内で徹底しようというのが、植中部長らインテグレーション技術統括部の方針だった。しかし、そのためには、現場プロジェクトが直面していたいくつかの問題を解決しなければならなかった。
一つはコストの問題である。負荷テストツールは一般的に高価なため、小規模なプロジェクトでは予算化しにくい。その結果、性能的に限界のあるフリーツールに頼ったり、場合によっては負荷テストそのものを断念するプロジェクトも少なくなかったという。また、ツールのライセンス体系も問題だった。市販ツールを購入しても別のプロジェクトで使用できないため、プロジェクトごとに別々のツールを購入せざるを得なかった。コストとライセンスに阻まれて負荷テストの標準化は進まず、プロジェクトによってその内容はバラバラのままだった。標準化が進まなければ、当然のことながらグループ全体での性能確保はおぼつかない。
さらに、テスト時の性能トラブルへの対応、負荷テストのためのテスト環境の構築など技術的な問題も、開発現場の大きな負担となっていた。テストツールやテスト計画に精通した技術者も不足していたという。
「この状況を打破するためには、今までよりさらに踏み込んだ現場支援が必要だったのです」(植中部長)
ツールのコスト、ライセンスの問題に対しては、グループ共通のツールを用意し、グループ内の各プロジェクトに貸与するという抜本的な解決策が提示された。さらにテスト計画策定やテスト結果の評価・分析、性能トラブルへの対応、テスト環境の提供といった技術支援や技術者の育成などの支援策も打ち出された。
「今までにない積極的な施策です。富士通のシステム品質の砦を守るために、私たちは“攻めの姿勢”に転じたのです」
2006年の秋だった。
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