| DASの課題を解決する手段としてiSCSI接続のSANに着目
キーストーンD&Sから課題解決の要請を受け、2007年からシステム・インテグレーションを担当しているリコー販売が提案したのが、HP StorageWorks All-in-One Storage Systemである。同システムは、小規模環境向けサーバの共有ストレージ、ファイルサーバ、さらにはスナップショットによる無停止バックアップなどのデータ保護の機能まで統合した、その名のとおりのオール・イン・ワンのソリューションである。
ビジネスの成長にともなってサーバのストレージ容量が足りなくなったとき、これまではサーバの内蔵ハードディスクの増設や外付けストレージの導入といった、DAS(Direct Attached Storage)と呼ばれる接続形態での拡張によって対処するのが一般的だった。
しかし、そこでのサーバとストレージの関係は1対1であり、サーバ台数に比例してストレージの容量管理やバックアップ作業などの管理負荷が増加するというキーストーンD&Sと同様の問題に直面することになる。また、稼働中のデータベースの特定時点におけるデータを瞬時に写し取るスナップショットの機能を利用することも困難だ。
こうしたDASの課題を解決する手法として導入が進んでいるのが、SAN(Storage Area Network)構成のストレージである。SANは、サーバとストレージの接続をネットワーク化し、複数サーバでの同じストレージ群の共有化を実現する。これにより、ストレージ管理を効率化するとともに拡張性や可用性を高めるのである。
ただし、SAN環境を構築するためには、ファイバチャネルに対応した高価なネットワーク機器の導入が必要であり、その後の運用管理にも高度な専門知識と経験が求められる。こうした背景から特に中小規模の企業にとって、SANの導入はハードルが高かったといわざるを得ない。
そうした中でHP StorageWorks All-in-One Storage Systemは、iSCSIと呼ばれる新しいテクノロジーを採用。すでに広く普及しているギガビット・イーサネットをそのまま利用し、高価なネットワーク機器などを用いることなく、低コストかつ容易にSAN 環境を構築することを可能としたのである。iSCSIはイーサネットを介して「ブロックI/O」の形態でストレージにアクセスする。これによりiSCSIで接続されたストレージは、OS以上のレイヤーからはDAS接続されたハードディスクドライブとまったく同じに認識されるのである。
既存のサーバ環境に手を加えずに共有ストレージやバックアップの機能を付加する
ソリューション提案にあたったリコー販売のSSC 統括本部ソリューションコーディネートセンター コンサルティング推進室 リカバリマネジメントグループの村田匡史氏は、HP StorageWorks All-in-One Storage System を選択した理由を次のように語る。
「HP StorageWorks All-in-One Storage Systemで最初に注目したのはコスト面です。通常のSANすなわちファイバチャネル接続のSAN(FC-SAN)を構築する場合に比べ、iSCSIを利用したSAN(IP-SAN)であればコストを数分の1に抑えられることに大きなメリットを感じました」
さらに村田氏は、SIベンダーとしてのこんな本音も漏らす。
「新ストレージの導入にあたってはキーストーンD&S様の業務を止めることなく、SAN環境への移行を実現することが大前提となります。ましてや、その過程でデータを遺失することなど一切あってはなりません。したがって、既存のサーバ環境に手を加えることは非常にリスクが大きく、絶対に避けたいことでした。この課題をどう乗り越えるかと考えていたまさにそのとき、HP StorageWorks All-in-One Storage Systemが登場したのです。このストレージを用いれば、SANはもちろんファイルサーバやスナップショットなどの機能を、新たなサービスとして既存のサーバ環境にトータルに提供することが可能です。ユーザーのニーズに100%応えるとともに、システム・インテグレーションの作業を簡素化して確実性を高めるという意味でも、ベストなソリューションでした」
こうしてキーストーンD&Sは、2台のHP StorageWorks All-in-One Storage SystemならびにiSCSIに対応した仮想テープアプライアンス装置(ディスクバックアップ装置)HP StorageWorks D2D120 Backup Systemを導入した。
キーストーンD&Sでは2台のHP StorageWorks All-in-One Storage Systemを、1台をNAS(Network Attached Storage)専門、もう1台をSAN専門として使い分けている。これにより、バックアップをはじめとするデータの管理をよりシンプルに行うことができているという。 |