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さらなる戦略的IT投資のためにグローバルに散在するアプリケーション情報を集約し管理・可視化

日産自動車株式会社

導入事例

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共通指標でアプリケーションを客観的に評価し、投資・開発・運用の最適化を推進

日産自動車は、グローバルに散在する約2000にのぼるアプリケーションの可視化と、各アプリケーションをビジネス価値や貢献度、コストやリスク、標準プラットフォームへの準拠などの客観的な共通指標に基づいて評価することを目指し、HP Project and Portfolio Management Center(以下、PPMC)を導入。次の飛躍に向けてITの価値を最大化させていく基盤形成に取り組んでいる。
お客様背景
ソリューション
効果と今後の展望
会社概要
PDF(471KB)
日産自動車株式会社

目的

アプローチ

日産「BEST」目標である、アプリケーション削減と投資効率向上のための基盤構築
アプリケーション資産のコストやポジショニング、ビジネスへの重要度、貢献度を客観的に把握、可視化
ビジネス視点での最適な投資の実現
アプリケーション、ハードウェア、ソフトウェア、ネットワーク等の全社情報資産を棚卸し
明確なクライテリアを確立し、共通指標を設定後、各アプリケーションを客観的に評価
PPMC Portfolio ManagementでIT資産をポートフォリオとして管理
IT資産をダッシュボード化することで、部門間で資産価値を共有

システムの効果

ビジネスへの効果

情報システムの資産を階層ごとにビジュアライズして提示
各アプリケーションのコストやビジネス価値、リスク等を同一の規準で分析可能
システムの標準化や統合を促進
次期開発計画や予算策定の判断材料を経営層に提供
開発生産性の向上
SOAに向けた素地整備

お客様背景

情報資産の把握を経営環境の変化対応力へ

日産自動車株式会社 グローバル情報システム本部 エンタープライズアーキテクチャー部 部長 佐野 義仁 氏
日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
エンタープライズ
アーキテクチャー部
部長
佐野 義仁 氏
急速なグローバル化、顧客ニーズの多様化へのスピーディな対応など、経営環境の激変期を迎える自動車業界において、常に進化し続けている日産自動車。

「情報システム部門に求められるものは大きく変化している」とグローバル情報システム本部エンタープライズアーキテクチャー部 部長 佐野義仁氏は語る。

「旧来、情報システム部門は各事業部門の要件に対応するかたちで、特定ニーズに応えるアプリケーションの構築やその運用を担ってきました。しかし、ビジネスの情報システム依存度が高まるにつれて、ハードウェアやアプリケーションが増えていき、それらが散在して、それぞれの役割や資産状況の把握が困難になっていたのも事実です。それは、アプリケーション相互のデータ重複や整合性、鮮度管理などの面でも問題を招きがちです。事業部門ごとの視点の総和ではなく、全体最適の視点でシステムを鳥瞰し、ダッシュボードとして可視化することによって、経営層がシステムの現状を容易に把握できるようにサポートし、迅速な意思決定を支援すること。さらに、ビジネスの重要度や優先度に則した情報システムのあるべき姿を描き、最適なシステムの活用・流用や投資の最適化を実現することが重要になっています」

そこで2005年、以上の戦略的スタンスを実践する部隊として、グローバル情報システム本部にエンタープライズアーキテクチャー部が設立されたのである。以来、同部はITコストの最適化や同社の中期情報化計画「BEST」に立脚した活動を進めている。

なお、BESTとは、全社的情報システムの標準化、システム構築のイニシアチブ確立などを目指したグローバル情報本部が取り組むべき次の4つの課題の頭文字をつなげたものだ。

  • Business Alignment(ユーザ部門との関係強化)
  • Enterprise Architecture(情報システムをグローバルに最適化)
  • Selective Sourcing(ITベンダーとの関係の見直し)
  • Technology Simplification(採用する技術、ハードウェア / ソフトウェア製品の標準化、簡素化)

BESTの実現に向けて、世界規模でのポートフォリオ評価の素地を形成

日産自動車株式会社 グローバル情報システム本部 エンタープライズアーキテクチャー部 主担 大関 洋 氏
日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
エンタープライズ
アーキテクチャー部
主担
大関 洋 氏

逐次的に拡大してきたハードウェアやアプリケーションを統合整理し、BESTに則った最適化を進めていくには、まずアプリケーション資産を正しく把握するためのポートフォリオを形成する必要があった。同部主担 大関洋氏は、その経緯を以下のように説明する。

「まず、国内外に広がるアプリケーションなどの資産状況を正確に把握しなければ、今後の継続的評価や統合戦略の策定や実行ができません。そこで2005年いっぱいをかけて、グローバルなシステム資産状況の把握を進めました。ここでは、各アプリケーションがビジネスプロセスをどれだけ支えているのかを知るための基礎情報収集を行いました。すなわち、継続コストやシステムプラットフォーム、ビジネスに貢献するサービスレベルなどをキーとして、それぞれに対する情報収集に努めました」

これに続く2006年には、ポートフォリオの具体的な評価材料を洗い出すために、アプリケーションの棚卸しが進められた。業務アプリケーション一本ごとに、その機能やインターフェース、標準プラットフォームへの準拠状況、コストなどを吟味していったのである。

「詳細な棚卸しを国内外の各現場に依頼しましたが、文化やビジネス習慣の違う海外の人達にはその意図や狙い、期待効果などをロジカルに説明し、納得した上で動いてもらうなど相応の苦労もありました。しかしこの段階でも、情報システム戦略のアクションプランであるBESTの存在が大きな推進力となりました。全社を貫く明確な目標設定のおかげで関連部門との意思疎通や同意・協力が仰ぎやすく、予想以上にスムーズに事を進めることができました。また、何かしらの問題や障壁があったときも、BESTが非常に明確な目標値を掲げていたので、常にBESTに立ち戻ることで問題解決ができました」(佐野氏)

開発技術やシステム基盤の標準化を図り、アプリケーションの部品化と再利用性を高めることで、開発生産性の向上とスピードアップやコストリダクションを推進。さらに、将来にわたる運用負荷とコストの低減を図り、状況の変化に即したスムーズな対応や更改、廃棄のための意思決定手法を確立しよう、という全社的なモチベーションの共有が新たな改革の機運を後押ししたのである。

「アプリケーションの80%は共通化が図れるという議論もあるほど、システム形成における共通部分が占める割合は大きいものです。また私たちは、ビジネスプロセスに関しても、クルマづくりのための業務機能を定義したベースマップをルノーと共有しています。これはムダや重複を排しながら、最適なモジュール化を図るための指針ともなっています」(大関氏)


ソリューション

ポートフォリオ管理のツールとしてHP PPMCを導入

日産自動車株式会社 グローバル情報システム本部 エンタープライズアーキテクチャー部 梅澤 和生 氏
日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
エンタープライズ
アーキテクチャー部
梅澤 和生 氏
当初ポートフォリオ分析に際しては、Excelのマクロを駆使して技術品質やビジネス貢献度、運用コストやTCOなどについて詳細な評価項目を設置。各々の項目の点数化を図り、その積み上げで総合的な評価を下すためのテンプレートを作成した。それを基盤に、各システムの担当者に情報入力の協力を仰いだのである。その狙いについて、同部の梅澤和生氏は、こう語る。

「業務プロセスとアプリケーションの関連をプロジェクト横断的に明確にし、そのデータやインフラに至るまで把握と可視化を目指しました。さらにそれをベースに、情報システム部門主導で全社的視野によるto beを築きたいと思いました」(梅澤氏)

「情報システムのガバナンスを徹底するとともに、確かな指標の下にBESTの目標でもあるRTB(Run The Business)コストの削減とアプリケーション数の削減に関わる数値目標の実現を目指したのです」(大関氏)

しかし、技術品質に関するだけでも50項目にわたるきめ細かな評価を、Excel上で記入することは余りにも煩雑で、データを入力する各現場や集計を行う情報システム部門に負荷がかかった。そこで、より容易に情報を収集でき、柔軟に把握・管理を図るためのツールの導入が求められたのである。

「共通ルールの下で公正な評価を加えるためにExcelで形成されたテンプレートは、非常に高度な作り込みがされていましたが、それだけに年2回グローバルに更新するだけでも手一杯になってしまいます。しかも私たちが狙いとしたポートフォリオ管理を遂行するためには、プロジェクトの終了時やアプリケーションやインフラの改修・変更時など、管理すべき情報の発生・変更時点でその都度実行できるものでなければなりません」(佐野氏)

そこで、Excel上で行ってきた管理をよりスムーズに実行し、さらに自在な切り口による分析が図れるツールの必要性が浮上したのである。当時日産では、アプリケーションのポートフォリオ管理をめぐって、評価項目として大きく4 つの指標を設定しようとしていた。それは<1>Cost、<2>BusinessCriticalness、<3>Technical Quality、<4>Functional Qualityである。

「改善ポイントの最適化を見出すために、4つの指標に基づくアプリケーション状況の可視化を図り、自在な分析によってさまざまなグラフ表示ができるツールを探しました。その結果、HPのPPMCによるPortfolio Managementに行き着いたのです」(梅澤氏)

「工期やコスト、さらに将来にわたるバージョンアップへの対応などを考慮して、基本的にカスタマイズを避けることを大原則としました。大きなカスタマイズをしなくても、我々がやりたかったことを満たせた点がPPMCを選択した要因のひとつでした」(佐野氏)

デマンド・ポートフォリオ管理ソリューションHP PPMCのモジュールのひとつであるPortfolio Managementは、多数のプロジェクトやITサービスなどで構成されるポートフォリオをリアルタイムで監視。ビジネスの優先順位に基づいた最適なリソースの配分を行うツールである。

PPMC画面:組織レベルのバブルチャート
PPMC画面:組織レベルのバブルチャート

PPMC画面:Business Criticalness Scoreのパイチャートおよびラインチャート
PPMC画面:Business Criticalness Scoreのパイチャートおよびラインチャート

効果と今後の展望

アプリケーション資産の可視化と評価を推進

こうして、2007年4月からPPMCの実装を開始。当初の予定通り同年7月には無事カットオーバーを迎えた。

日産では、PPMCの導入によって先に掲げたCost、BusinessCriticalness、Technical Quality、Functional Qualityを基軸として、それぞれのアプリケーションのマッピングを実行。アプリケーションごとの位置づけを、視覚的に把握することも容易になった。それにより、アプリケーション相互の整合性を確認し、類似アプリケーションの重複排除や統合も加速された。また、例えばコスト面では単純な価格比較だけでなく、ユーザ数や活用頻度、保守費用などを加味した切り口による分析など、さらに多面的な深掘りを進めている。

「PPMCは、そもそもアプリケーション資産の全体状況の確認ツールとして導入したわけです。そこで、マネジメント層には全体の動向や推移が大局的に把握できるような資料を、そして各業務担当者にはアプリケーション単位の分析という具合に、部門や階層ごとにレポートの出し方を工夫しています」(梅澤氏)

「当社では毎年2回、各業務部門の代表者とアプリケーションの評価を基に来期の構築や改修計画、予算組み、プライオリティの妥当性などの摺り合わせを実行しています。その際、個々のアプリケーションについて、縦軸・横軸によってポジションの分布状況が、そして円の面積によって占有レベルが目で分かるバブルチャートなど、科学的な分析による各種のグラフィック資料が、改修や機能追加などこれまでの推移の底に流れるトレンドや現状を素早く把握し、客観的な判断を支援する材料として役立っています」(佐野氏)

エンタープライズアーキテクチャー部が提出するさまざまな資料は、情報システムのあり方をグローバルに展望し、戦略を組み立てる立場から、経営層や事業部門、システム構築担当者などが、BESTの方向性に基づきながら議論する場を設定するための共通基盤としても、機能しているのである。

常に進化し続ける永続運動としてのマネジメント強化を

日産では、今回確立されたアプリケーション資産の把握、管理基盤を、今後さらに拡大していきたいと構想を広げている。

「私たちは、まずは現状のアプリケーションという静的な資産の管理をスタートしました。今後はプロジェクト管理や人材管理への拡大を進め、相互連携を含めたライフサイクルとしての管理を実現したいと考えています。さらに、インフラ部分とのつなぎを強化し、アプリケーションの分析・評価をインフラ最適化にも反映していきたいですね」(大関氏)

同社のアプリケーション・ポートフォリオ管理施策は、さらに上流のビジネス要件からその実現に向けたプロジェクトや各種リソース、予算などへのリンケージを図り、その評価をさらに次のアクションのためにフィードバックするポジティブなスパイラル構造に向かっているのである。

以上のように、日産ではグローバルな情報資産をポートフォリオとして管理。それらがどのようなコスト構造の下で、いかにビジネスに貢献しているのかを把握することで、今後の戦略的取り組みへの確固たるベースと視点を築いたのである。さらに将来をにらんだ同社のロードマップについて、佐野氏は以下のように語った。

「目下私たちは、『アプリケーションの整理・資産化―ポートフォリオの最適化』という基礎を固めた段階です。さらにアプリケーション形成のための部品化を進めたSOA(ServiceOriented Architecture)へ、そして標準部品を組み合わせてアプリケーションを築いていく段階に進んでいきたいと思います。これは、一般にいわれる『ソフトウェア・ファクトリー』とは若干意味合いが違っているかも知れませんが、標準手順の確立と共通部品の拡大・活用によって、開発期間やTimeto Marketの圧縮、コスト削減など競争力向上を進めるためにクルマづくりで行われているのと同様の流れを、開発生産性向上やデリバリの迅速化にも適用していきたい、ということです。例えば、日本で概念設計をすれば、インドでも中国でも、同品質のアプリケーションがタイムリーに構築できる、といった構造も実現するはずです。まさにビジネスと情報技術の整合が私たちの大きなテーマなのです」


会社概要(2007年3月末現在)

日産自動車株式会社
所在地: 東京都中央区銀座六丁目17番1号
取締役共同会長兼社長: Carlos Ghosn (カルロス ゴーン)
資本金: 6,058億13百万円
売上高: 10兆4,686億円 (2006年度の連結業績)
従業員数: 32,746名(単独ベース)、186,336名(連結ベース)
設立: 1933年(昭和8年)12月26日
URL: http://www.nissan-global.com/JP/ このリンクをクリックすると、HP社外へリンクします。

事例キーワード

業種: 製造
  HP Project and Portfolio Management Center - Portfolio Management
  SOA(Service Oriented Architecture)

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