| 情報資産の把握を経営環境の変化対応力へ
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日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
エンタープライズ
アーキテクチャー部
部長
佐野 義仁 氏 |
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急速なグローバル化、顧客ニーズの多様化へのスピーディな対応など、経営環境の激変期を迎える自動車業界において、常に進化し続けている日産自動車。
「情報システム部門に求められるものは大きく変化している」とグローバル情報システム本部エンタープライズアーキテクチャー部 部長 佐野義仁氏は語る。
「旧来、情報システム部門は各事業部門の要件に対応するかたちで、特定ニーズに応えるアプリケーションの構築やその運用を担ってきました。しかし、ビジネスの情報システム依存度が高まるにつれて、ハードウェアやアプリケーションが増えていき、それらが散在して、それぞれの役割や資産状況の把握が困難になっていたのも事実です。それは、アプリケーション相互のデータ重複や整合性、鮮度管理などの面でも問題を招きがちです。事業部門ごとの視点の総和ではなく、全体最適の視点でシステムを鳥瞰し、ダッシュボードとして可視化することによって、経営層がシステムの現状を容易に把握できるようにサポートし、迅速な意思決定を支援すること。さらに、ビジネスの重要度や優先度に則した情報システムのあるべき姿を描き、最適なシステムの活用・流用や投資の最適化を実現することが重要になっています」
そこで2005年、以上の戦略的スタンスを実践する部隊として、グローバル情報システム本部にエンタープライズアーキテクチャー部が設立されたのである。以来、同部はITコストの最適化や同社の中期情報化計画「BEST」に立脚した活動を進めている。
なお、BESTとは、全社的情報システムの標準化、システム構築のイニシアチブ確立などを目指したグローバル情報本部が取り組むべき次の4つの課題の頭文字をつなげたものだ。
- Business Alignment(ユーザ部門との関係強化)
- Enterprise Architecture(情報システムをグローバルに最適化)
- Selective Sourcing(ITベンダーとの関係の見直し)
- Technology Simplification(採用する技術、ハードウェア / ソフトウェア製品の標準化、簡素化)
BESTの実現に向けて、世界規模でのポートフォリオ評価の素地を形成
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日産自動車株式会社
グローバル情報システム本部
エンタープライズ
アーキテクチャー部
主担
大関 洋 氏 |
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逐次的に拡大してきたハードウェアやアプリケーションを統合整理し、BESTに則った最適化を進めていくには、まずアプリケーション資産を正しく把握するためのポートフォリオを形成する必要があった。同部主担 大関洋氏は、その経緯を以下のように説明する。
「まず、国内外に広がるアプリケーションなどの資産状況を正確に把握しなければ、今後の継続的評価や統合戦略の策定や実行ができません。そこで2005年いっぱいをかけて、グローバルなシステム資産状況の把握を進めました。ここでは、各アプリケーションがビジネスプロセスをどれだけ支えているのかを知るための基礎情報収集を行いました。すなわち、継続コストやシステムプラットフォーム、ビジネスに貢献するサービスレベルなどをキーとして、それぞれに対する情報収集に努めました」
これに続く2006年には、ポートフォリオの具体的な評価材料を洗い出すために、アプリケーションの棚卸しが進められた。業務アプリケーション一本ごとに、その機能やインターフェース、標準プラットフォームへの準拠状況、コストなどを吟味していったのである。
「詳細な棚卸しを国内外の各現場に依頼しましたが、文化やビジネス習慣の違う海外の人達にはその意図や狙い、期待効果などをロジカルに説明し、納得した上で動いてもらうなど相応の苦労もありました。しかしこの段階でも、情報システム戦略のアクションプランであるBESTの存在が大きな推進力となりました。全社を貫く明確な目標設定のおかげで関連部門との意思疎通や同意・協力が仰ぎやすく、予想以上にスムーズに事を進めることができました。また、何かしらの問題や障壁があったときも、BESTが非常に明確な目標値を掲げていたので、常にBESTに立ち戻ることで問題解決ができました」(佐野氏)
開発技術やシステム基盤の標準化を図り、アプリケーションの部品化と再利用性を高めることで、開発生産性の向上とスピードアップやコストリダクションを推進。さらに、将来にわたる運用負荷とコストの低減を図り、状況の変化に即したスムーズな対応や更改、廃棄のための意思決定手法を確立しよう、という全社的なモチベーションの共有が新たな改革の機運を後押ししたのである。
「アプリケーションの80%は共通化が図れるという議論もあるほど、システム形成における共通部分が占める割合は大きいものです。また私たちは、ビジネスプロセスに関しても、クルマづくりのための業務機能を定義したベースマップをルノーと共有しています。これはムダや重複を排しながら、最適なモジュール化を図るための指針ともなっています」(大関氏) |