ITマスタープランのもとで全社システムの革新に取り組む
日本を代表する金融商品取引所として経済の成長に貢献してきた東京証券取引所は、世界的に見てもニューヨーク証券取引所やロンドン証券取引所と並ぶ「世界三大市場」に挙げられ、世界経済の中枢の一角を担っている。
もっとも、その業務形態は時代とともに大きく変遷している。かつて証券取引所の象徴でもあった株券売買立会場は、1999年に閉場されシステム上の売買に移行。さらに、2009年1月5日からは上場会社の株券が一斉に電子化(ペーパーレス化)された。株式取引は、紙を人手でやりとりするビジネスから、システムとネットワークを基盤とした情報交換のテクノロジービジネスへと完全に移行したのである。
そうした中で、同取引所のビジネスも大きく様変わりし、激しいグローバル競争の時代を迎えつつある。同取引所ITサービス部のマネージャーを務める坂本忍氏は、今日の証券取引所が置かれている状況を、次のように語る。 「すでに欧米では証券取引所間の競争が熾烈化し、合従連衡が繰り広げられています。この淘汰の流れの中で、私たちが今後もアジアのハブマーケットとして発展し続けていくために何が必要かというと、ITの技術革新に他なりません。例えば、株式売買システムの処理スピードをみても、今までは数秒のレスポンスで十分に満足していただけたのが、グローバルな証券取引市場ではミリ秒といった単位が主流になりつつあります。金融工学をベースとしたアルゴリズム取引による大量のトランザクションを、より高いサービスレベルで処理できるファシリティを持たないことには、世界の機関投資家やヘッジファンドなどから相手にされなくなってしまう、そういう時代を迎えています」
こうした市場環境の変化を見据え、同取引所が2010年に向けて推進しているのが、ITマスタープランである。そこでの重点課題の一つが、「最新の技術を活用したシステム構築およびシステム拡張」(坂本氏)であり、世界最高水準のシステム・アーキテクチャを備えた次世代の売買システムの構築ならびに、多様化する投資家ニーズに対応した情報提供の基盤となるITサービスの高度化を目指している。
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