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| グリッド・コンピューティングは、現在エンタープライズ向けのITにおいて最も注目されているアイデアの1つであり、その前途には大きな期待が寄せられています。 |
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| 長年、グリッド・コンピューティングは、個々のコンピュータを接続して作業負荷の高い処理を行うことが必要な大学や政府関係研究機関などの領域で利用されてきました。このような仮想的なスーパーコンピュータは大量の情報を短時間で処理できるため、気象学や物理学、医学などの分野でのブレークスルー創出に大きな役割を果たしてきました。地球外知的生命体の探査を行っているSETI@homeサーチでもグリッド・コンピューティングのパワーが活用されています。
HPでも、グリッド・コンピューティングが企業にもたらす利益についての研究が進められています。 |
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グリッド・コンピューティングを利用することにより、企業はITリソースの効率活用ができるようになります。また、あらゆる計算作業の量
や所要時間に関係なく企業内のコラボレーションが可能になります。地理的に遠く離れたビジネスユニット間で、組織の垣根を越えて特定の目的のためのITプロジェクトを安全に立ち上げることもできます。
「企業は保有しているテクノロジーを有効に活用したいと思っています。」と語るのは、HPの主任研究員であり、社内でグリッド・コンピューティングを積極的に提唱している人物の1人であるGreg
Astfalkです。「企業はパートナーとの関係において、効率的で安全性の高い連携、協力を行うことを望んでいます。グリッドはそうしたニーズに応じてくれます。」
今日のエンタープライズ向けITの中でも、最も注目されるアイデアの1つであるグリッド・コンピューティングには大きな期待が寄せられていますが、エンタープライズ・グリッドの構築は決して簡単なものではありません。
まず、エンタープライズにおけるグリッドは企業のファイアウォールやネットワークといった境界を認識できるものでなければなりません。 同時に、給与計算やクレジットカード取引といったミッションクリティカルなアプリケーションの処理向けには高い信頼性が必要です。
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エンタープライズ・グリッドというアイデアに触発され、研究機関やHPなどの主要企業が標準作成機関Global
Grid Forum(GGF)を設立しました。2001年の創設以降、GGFはOpen Grid Services Infrastructure構築において中心的な役割を果
たしました。
「グリッドは企業のコンピューティングサービスへのグローバルアクセスを簡素化することによって、実際のビジネス上の問題を解決するポテンシャルを備えています」HP
executive vice president兼chief strategy and technology officerであるShane
Robisonはこう述べています。
HPではUtility Data Center(UDC)を通じて、多くの法人顧客にグリッド機能を提供してきました。部分的にHP研究所の成果
を利用しているUDCは、自己適応型/自己修復型/ポリシー主導型のシステムであり、コンピューティング資産を連結して、仮想的に自動プロビジョニングを行っています。UDCを利用することにより、各組織は必要に応じて、リソースの配分や再配分を行うことができます。 |
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エンタープライズ環境でグリッドの機能をさらに活用するには、まだ解決しなくてはならない高度な技術的問題があります。現在、HP研究所で取り組んでいるのが、複数のデータセンターをグリッドに接続する方法です。
そこで、研究者たちはUDCやデータセンター用のグリッド設計のためのシンプルなGUIであるGrid Resource Topology
Designerを開発しました。このTopology Designerは、リソースニーズを簡単かつ確実に「検出」し、要件をグリッドに送ってその要件が満たされるようにするものです。データセンターと連動して、サービスレベルの要求に対応するために適切なリソースの配分を自動的に決定します。
「たとえば、2つのデータセンターに1つのアプリケーションを配備したい場合、グリッド・プロトコルを使ってそのディスクリプションをグリッドへ、さらにデータセンター、またはデータセンター間のブローカに送ります。それに対して、ジョブが受け入れられたかどうかが返信されてきます。」と、Topology
Designer開発者の1人であるHP研究所のSven Graupner研究員は説明します。 まだプロトタイプ段階ではありますが、Topology
Designerは、複数のデータセンターにわたって機能するアプリケーション環境の構築が可能であることを示唆しています。「これこそが、バーチャル・オーガニゼーションやバーチャル・コラボレーションという概念によってグリッドが示そうとしているビジョンなのです。」(Graupner研究員)
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エンタープライズ・グリッドにとってもう1つ障壁となるのが、ソフトウェアやハードウェアを利用できるようにするための配備および構成に関して広く認められた方法が存在しないことです。英国ブリストルにあるHP研究所のチームは、Smart
Framework for Object Groups(略称:SmartFrog)と呼ばれるフレームワークを構築しました。これにより、グリッド上でのリソースの構成やライフサイクル全体を通
じての操作および管理方法に関するルールが定められます。
「構成と配備の管理が可能であることは、今日のテクノロジーのきわめて重要な特性です。アダプティブ・インフラストラクチャ、特にユーティリティ・コンピューティングは複雑なコンセプトですが、SmartFrogのような自動配備ツールによって大幅な簡素化を図ることが可能です。」SmartFrogの設計者の1人Patrick
Goldsackはこのように述べています。
研究員のDejan MilojicicはGlobal Grid Forumと協力して、SmartFrogのコンセプトを業界標準に組み込むことに取り組んでいます。「グリッド・コンピューティング関係者からは、われわれの研究に多くの関心が寄せられています。他の企業も実験的インプリメンテーション(reference
implementations)に関心を示しており、とてもうれしく思っています。」とMilojicic研究員は述べています。
今年、HP研究所は複雑なコンピュータ・グラフィック・イメージのレンダリングにSmartFrogを導入します。ブリストルのHP研究所では、あるチームが地元のアニメーション製作会社のためにHP
Utility Data Center用のインタフェースを開発し、高品質の短編アニメーション映画「The Painter」で試験的に使用しましたが、通常よりも短時間でレンダリングを行うことができました。
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もう1つ、エンタープライズ環境でグリッド・コンピューティングを実現するために必要なのは、複数のOSやプラットフォーム、データフォーマット、アプリケーションなどが混在する組織内の多様なコンピューティング・リソースを管理するための統一された手段です。
このニーズに応えるものがHP Web
Services Management Framework(WSMF)で、あらゆるタイプのITリソースに対して管理フレームワークを提供します。グリッド・コンピューティングに組み込むことで、WSMFは一般的なアプローチで、リソースやサービスなどグリッド上に配備されているすべてのコンポーネントを管理します。WSMFのアーキテクトの1人Homayoun
Pourheidariによると、このフレームワーク自体がWebサービス上に構築されているため、連合(フェデレーション)や分散(ディストリビューション)、管理性、標準といった問題に対応できるということです。
「グリッドにはITに関するすべてを取り込もうという考えがあります。ITに関するものとは、コンピュータやストレージアレイ、ファイル、データベースだけでなく、データベース内のレコードの1つという場合もあります。アプリケーション・プログラムでも、あるいは科学機器でもよいのです」とAstfalk主任研究員は説明します。
オープン・プロトコルやインタフェースを利用することで、「そうしたサービスのすべてを記述し、登録し、プロビジョニングし、実用化し、そして分解するという、1つのサービスに期待されるすべての操作を可能にするような」新たな方法が生まれます。
HP Software Global Business UnitのOpenViewチームに属するエンジニアたちとHP研究所の研究員たちがWSMFをグリッド・コンピューティング対応に改良し、Global
Grid ForumのOpen Grid Services Infrastructure標準と統合することに成功しました。
「今われわれは、プリンタから、ファイアウォール、アプリケーションにいたるあらゆるリソースの管理、制御を行うための標準インタフェースの構築に取り組んでいます。」このプロジェクトに参加しているHP研究所のAkhil
Sahai研究員はこう述べています。
先ごろ、このWSMFについては、OASIS Web Service Distributed Management Technical
Committee(OASIS Webサービス分散管理技術委員会)に対して、業界向けの標準管理ソリューションとしての認定申請が行われました。
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研究所の内外で、HPはグリッド・コンピューティングに注力しています。HPの会長兼CEOであるCarly
Fiorinaは先日、HP全製品のグリッド・コンピューティング対応化のために業界標準を採用することを表明しました。
ハンドヘルドデバイスから、プリンタやPC、トップレンジのストレージアレイやスーパーコンピュータにいたるまで、グリッドとの接続が可能となり、グリッド上でリソースとしての役割を果たせるようになります。
HPのグリッド戦略の背景には3つの大きな原動力があります。中でも最も重要なのが、グリッド・コンピューティングによってHPのアダプティブ・エンタープライズというビジョンが実現できる点です。
アダプティブ・エンタープライズが実現すると、ITはビジネスやビジネス環境に応じてすばやく変化することができる非常に効率的で柔軟性の高いサービスとなります。
「アダプティブ・エンタープライズをレンガが積み重なったものとたとえるなら、レンガの1個1個がソリューションで、そのレンガを重ねて固めるモルタルの役目を果たすのがグリッドなのです。」(Astfalk主任研究員)
グリッド対応のHPシステムのもう1つのメリットが、特に科学的用途や技術的用途で既にグリッドを採用している顧客やパートナーとの共同作業です。
長期的に見た場合、グリッドはホームネットワーキングとエンターテイメント・メディアが融合する第3の分野で大きな貢献をするとAstfalk主任研究員は考えています。その場合、加入者だけにアクセスを認めるコンテンツプロバイダが関与してくることになるでしょう。またプロバイダが、コンテンツの表示に、たとえば高度なセキュリティ機能など一定の特性を備えたデバイスを使用することを要求してくる可能性もあります。
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