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IT抜きの企業活動は考えられない21世紀。「ITをサービスと捉え、それをいかに管理していくか」、すなわち「ITサービス管理=ITSM/特集ページ参照」という課題が、スムーズなIT運営のための重要な視点となっています。この記事では特集からもう一歩話を進め、ITSM に有効とされる指針「ITIL」を現場に取り入れた企業が、実際にどんなメリットを享受できたか、日本での具体例をご紹介します。ご登場いただいたのは「第一生命情報システム」のアナリスト、坂井直樹氏、中野光孝氏のお二人。ITIL実践の有効性と、導入についてのアドバイスとは‥‥?! |
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第一生命情報システム(DLS)
SAP R/3アウトソーシング事業を展開する社員約1700名の企業。府中市にサービス拠点を持ち、大企業を顧客に、サーバ・ハウジングやSAP R/3システムの運用管理、ヘルプデスクなどのサービスを提供している。ITILの導入を試みたのは11名のスタッフがITサービス管理に取り組む「ERPビジネスソリューショングループ」。
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第一生命情報システム株式会社
ソリューション企画本部ERPビジネスソリューション
上席アナリスト
坂井直樹氏 |
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第一生命情報システム株式会社
ソリューション企画本部ERPビジネスソリューション
アナリスト
中野光孝氏 |
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大企業5社のアウトソーシングサービスを手がける第一生命情報システムの「ERPビジネスソリューショングループ」。スタッフは常に、より質の高いサービスを提供するための効果的な方法を模索していましたが、数年前に、ITサービス管理のベスト・プラクティス集とされる「ITIL」を導入。「ITサービスを管理する」という新たな視点で、IT運用に取り組んできました。
「もちろんそれまでも改善できることはすべて実行し、たとえば“情報の共有化”を図るために、Accessでツールを自社製作し対処していましたが、それだけではスムーズに回りきらないと感じていました。一方で技術者は仕事に没頭したがる性格ですので、彼らのスキルとがんばりにある意味依存してしまう部分もあり、業務の効率化が重要な課題となっていました。そこでまず、それまで運用していたデータをスムーズに移行させるためのツールとして、HPの統合運用管理ソリューションOpenViewの採用を決定。さらにサービス向上のための管理業務を、スタッフ個人ではなく組織全体で運営できるようにするために何か新しい管理基盤が必要と考え、サービスデスク、インシデント管理、問題管理などすぐに取り組めそうな部分に、ITILを活用することになったのです」。導入の経緯を坂井氏はそう語ります。
このグループでは具体的に、3つの課題について取り組みが行われました。まずは「現状のギャップ分析」。ITILの要求項目と現状の運用のズレがあればそれを分析し、改善すべき項目を明確にすることで問題の事前解決を図ったのです。2つ目は「プロセスの整備」。これはインシデント管理、問題管理など、ITILが定める管理項目に従ってプロセスを標準化することで、的確な問題解決を目的としたもの。3つ目は「ヘルプデスクの体制整備」で、情報の流れ、インシデント管理の方法、管理者は誰かなどを明確にし、全体を徹底的にルール化する作業が行われました。 |
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では、ITILを導入することによって、この会社では何が変わっていったのでしょうか。「プロセスを標準化することで、業務の効率化が実現し、コスト削減にも効果がありました。またスタッフが知識を共有できるようになり、業務を互いにフォローしたり、サービスレベルをより高い一定レベルに保つことができるようにもなりました。さらにコール解決の時間短縮や、アカウントマネージャー(個々のお客様の担当者)の負荷をぐっと軽減することにも成功。つまり、いろいろなムダをぐっと減らしながら、高いサービスを提供できる環境になったのです」と中野氏。
「今まではスタッフ一人一人が、自分の作業をどこまですべきか、それでどんな成果があるのかが全体的な観点から見えにくい部分があったのですが、ITILではプレーヤーとマネージャーは役割的に峻別され、それぞれの役割分担や目的が明確化されるので、一人一人の責任と成果がきちんと見えるようになったのも大きなメリットです。自分の作業が何のためのものかわからない、何を出力しようとしているかもわからないという不明瞭さがなくなり、具体的な成果のための努力を行えるようになりました」。
「またITILに従うと、すべての業務は手順書を作り、承認されることではじめて実行に移すというプロセスを踏みますので、どんな小さな作業も“可視化”され、その内容や意義を確認することができます。手順書では、マネージャーがプレーヤーに対してNGを出すこともできますから、プレーヤーも“きちんと考えた”手順書を作るようになりますし、それぞれの目的や責任を明確化しながら全体が見えることで、スタッフの責任感や仕事への意欲がぐっと向上したように思います」。
ITサービス管理を構成するのは「人」「プロセス」「テクノロジー」の3つの要素と言われます。そのいずれかに問題点があったり、過剰な負荷がかかると、マネジメント全体に影響が生じ、運営にほころびが出てしまうことになります。この点から見てもITILを実践するITSMは、個人のスキルへの過剰な依存(人)、運用、作業ルールの不徹底(プロセス)、ハンコや口頭での承認、記録した情報の非活用(テクノロジー)といったそれぞれの要素の中でありがちな問題を解決し、全体のバランスを保ちながらサービス品質を向上させるのに最適なノウハウだと言えるのです(左図参照)。多くのムダを減らすことができる上、一人一人の仕事へのモチベーションが高められ、よりクオリティの高いサービスの提供が可能となる‥‥ITILの実践は、IT時代の会社の根幹を形成する不可欠な基盤と言えるのかもしれません。 |
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最後に実際に導入した立場から、これから導入を検討する方々に向け、中野氏からこうアドバイスします。「まずは“自社の現状を知ること”ですね。今、自分たちが何をやっているのか、何が足りなくて、何が必要なのかを見極めることが第一歩。日々の運用や中長期的な運用を見直すことで、自分たちの問題点が見えてきますし、何を取り入れるべきかもわかるようになります」。
「また始めるのなら、自分たちの身近なところから導入してみるのがいいのではないでしょうか。IT部門の方ならITILの本(赤本・青本)を見れば、“これは自分たちが今までやってきたことがルール化されたものだな”ということがわかるのですが、経営層の場合、ITSMの中身があまり理解されないまま、ITILの流行で言葉だけが先行していることもあり、[IW3]導入について身構えてしまうような姿勢も見受けられます。ITSMはそんなに肩いからせて取り組むのではなく、ひとまずITILの指針が使えそうなところ、取り組めそうなことから始めればいいのではないでしょうか。気軽に始めて、その後は試行錯誤しながら、自社に必要な機能やツールを少しずつ見直し、徐々に人、プロセス、テクノロジーのバランスを最適化していけばいいのではないかと思います」。
よりクオリティの高いITサービス管理を目指して、今後も第一生命情報システムの、ITILを機軸とした改善は続きます‥‥。 |
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