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HP Technology at Work > バックナンバー > 9月号

特集 - 「ILM」が、情報管理を変える?!

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情報活用とコスト削減に役に立つ
「効率的データ管理」のすすめ 〜スムーズな情報活用とITコスト削減を実現する〜
年々増え続けるデータをどう保管するかは、ITユーザーや管理者にとって悩みのタネ。企業の業務データの長期保管が法的に義務づけられる動きもあり、「コストを抑えながら、いかに最適な保管をするか」がIT管理の大きな課題となっています。そこで注目されているのが、情報を賢く保管&活用するための仕組みを作る「ILM」という考え方。HPでILMのコンサルティングに取り組む 藤巻敬久、若山光太郎が、これからの情報管理のキー・コンセプトを解き明かします。

あなたの会社の「ILM必要度」をチェック!
藤巻敬久 日本HP
エンタープライズストレージ・サーバ統括本部
ネットワークストレージ製品本部
プロダクトマーケティング部担当マネージャ
藤巻 敬久
若山光太郎 日本HP
マーケティング統括本部アライアンスマーケティング本部
マイクロソフトアライアンス
シニアマーケティンングスペシャリスト
若山光太郎

ストレージにあらゆるデータを入れ
「ゴミもいっしょに保存」している?

Q :「データ保管」が、企業の業務に係わる大きな課題と言われていますが、そこには今、どんな問題点があるのですか?

藤巻: まず前提として、昨今さまざまなデータがITを介してやりとりされるようになり、今では数キロバイトの電子文書から、何十メガやギガに近いようなデータも行き交うのが日常的になっているという事実があります、その中には、消えてしまうと業務に支障をきたしたり、場合によっては事業自体が危ぶまれるような重要度の高いものも含まれ、とにかく「データがなくならないように」ということで、データを「ストレージに保管する」ことが一般化しています。

ストレージそのものは比較的低コストで、どんどんデータを入れていけるのですが、ここで問題なのが、おびただしい容量のデータを保管する必要性から、ハイエンドなストレージに、重要な情報からそうでない情報まで、“あらゆるデータを未整理のまま”放り込み、それを管理しているという状況があるということ。これは大きな貯蔵庫に、必要なものを必要な時に取り出す便宜を考えず、片っ端からモノを放り入れているようなもので、重要なデータも不要なデータもいっしょに保管することで、大切な情報が取り出しにくくなり、コストをかけて「ゴミも保存している」状態を生み出していることになります。 ITコストで一番ウエイトを占めるのは実は「データ管理」なので、ここで大きなロスが生じていることは明らか。それに気づき始めた企業が、「情報のプロファイリング(情報の特質を見極めカテゴリー別に分けること)」や「重要な情報の保管」「タイムリーな情報の取り出し」をスムーズに行うための方策として、「ILM」という情報管理コンセプトに注目しているのです。
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ILMの3つのポイントが
企業活動に大きなメリットを

Q : ILMとはどんな考え方なのですか?
端的に教えてください。

藤巻: ILMは、Information Lifecycle Managementの略。情報は生まれてから廃棄されるまで、時間の経過によってビジネスとの関連性や活用頻度に変化が見られます(図01)。そこで「データの時系列」、つまり、作成から、処理、複製・配布、活用、保管、廃棄に至るライフサイクルを踏まえながら、いかに効率よく、人手やコストをかけずに情報管理していくか‥‥その方策の基幹となるのが、ILMという考え方です。

Q : ILMは、どのような情報管理法を指すのですか?
そこではどんなメリットが生まれるのですか?

若山: ILMには、大きく分けて、クリアすべき3つのポイントがあります。 一つは「増加するデータを効率的に管理する」ということ。企業が管理するデータ量は、一般的に毎年40%ほどのペースで増えていると言われます。これに対して何ら対策を施さずに、ストレージを無限に増設していると、管理の手間が増えるばかりか、パフォーマンスの低下や、バックアップ・復旧に要する時間、コストの増大を招いてしまいます。昨今は、サーバを一カ所に統合(=コンソリデーション)する傾向があるので、ゴミを捨てないままの引っ越しで巨大なゴミが一カ所に集まりやすく、ムダな輸送コストや保守管理コストをかけてしまっているケースが少なくありません。ゴミは年々増大し、「膨大なゴミも含めて長期保存している」という状況に、多くの企業が陥ってしまっているのです。

そこで、「情報をその重要度に応じて最適な機能を持つストレージに分けて保管していこう」というのが、ILMの一つの考え方。たとえばシステムは「基幹系」と「業務系」に分かれていますが、重要なデータがある基幹系システムはハイエンドのストレージに保管するようにし、重要なものも含めたあらゆる情報が蓄積される業務系システムは、一つ一つの情報の重要性に応じて、最適なパフォーマンスのストレージやディスクなど、プロファイリングによってそれぞれの保管場所に自動的に振り分けられるような仕組みを作るのです(図02)。ILMが発想される以前は、情報をプロファイリングするには、人手やコストを使い、大変な思いをして行ってもなお増え続けるデータに追いつかないという状況でしたが、ILMを軸にして既存のストレージやソフトウェアを上手くシステムに組み込んでいくことで、自動的にデータ保管を行うことができ、情報の調査が円滑化したり、業務が効率化するのと同時に、IT管理のコスト削減にも大いに役立つのです。

二つめのポイントは、「電子文書保管の法規制に準拠した保管管理を行う」ということ。アメリカでは、エンロンの経営破綻の際、不正隠しに電子メールが削除されたことが契機となり、各団体で電子文書保管に対する保管義務が規定されました。その後各業界ごとにも法が定められ、「特定のデータは一定期間保管すること」「必要なデータが一定時間に取り出せること」「保持されたデータを改ざんしないこと」などが、共通項目として掲げられ、日本でも外資系や米国に拠点を持つ会社は、それに従うことが不可避となっています。

こうした法令化の波は当然日本にも波及しており、昨年の「サイバーテロ法」の施行で、プロバイダの電子メール保存が義務づけられたり、来年は「個人情報保護法」の施行で企業の情報漏洩対策が義務づけられるなど、法令に従う形での情報の保管管理は企業の急務となっているのです(図03)。こうしたコンプライアンスや規制に対応する手段としても、ILMをベースにした仕組み作りは大きな利点をもたらします。

たとえば、大切なメールのデータをエンドユーザーのPCの個人フォルダに保存し、個人が管理するような場合がありますが、これだと情報が持ち出されても誰にもわかりません。そこでメールアーカイブソフトのような製品を使い、個人フォルダをアーカイブサーバ上に保存し、個人フォルダの使用を禁止することでセキュリティを確保することができます。ユーザが必要な時にファイルにアクセスできる仕組みを作ることによって、情報漏洩を防止することが可能となりますし、一方では、ユーザーが誤って消してしまったデータの復元なども可能となるのです。(検証 KVS

三つめのポイントは、データの中から業務に有益な情報を抽出するなど、情報を積極的に活かせるように「リファレンス情報管理の仕組みづくりをする」ということ。有用な情報は企業の重要な「資産」だと言えますが、膨大なデータの中に必要なデータが埋もれてしまえば、有用な情報を必要な時にタイムリーに取り出すことができません。「整理整頓されず、何がどこにあるのかわからない環境」では仕事がはかどらないように、情報をすぐに取り出せる環境がなければ、それを活かすことは難しくなります。

そこで情報をプロファイルするための「データ管理ポリシー」、つまり「どんな情報がどれくらいの間、どんな状態で保存されるべきか」を設定することが重要になります。具体的には、プロファイリングのソフトなどを使い、活用頻度や参照された日時を検索すれば、重要度を決定していくための一つの基準になります。そうしてデータの重要度や鮮度を可視化し、加えてどんな情報がどのストレージに保存されるかの選択が自動化されれば、必要なときに必要な情報を取り出すための環境が容易に形成され、ユーザーの使い勝手を変えずに、シームレスに情報を活用することができるようになるのです。今、CRMなど、ターゲットを絞った販促活動が注目されていますが、ILMを採り入れることで、そのために必要な情報を取り出したり、市場分析に役立つ情報を拾いあげることが容易になり、CRMをはじめ効果的な販促活動をよりスムーズに、戦略的に行えるメリットもあると言えます。

Q : ILMを採り入れた企業の反応はどうですか?

藤巻: もともとは法規制の対応が導入の目的だったりする企業もありますが、結果的にはIT管理者やエンドユーザーにもさまざまなメリットがあるようです。たとえばエンドユーザーは、メールの添付ファイルの中身のチェック等、標準のExchangeサーバにはない高速検索機能まで使うことができたり、面倒なメールの管理を個人で行う必要がなくなります。またIT管理者も、システムのバージョンアップ、拡張などの移行時間や手間も大幅に削減することができ、長期保存が自動的にできるようになることで運用管理における手間がぐんと緩和されています。実際ITの現場からは「ILMは万能ですね」という声も聞こえてきていますね。
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図01
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図02
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ILMの3つのポイントが 企業活動に大きなメリットを
図04
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ILMで、企業の状況や必要に応じた 「システム全体の最適化」が可能に

ILMで、企業の状況や必要に応じた
「システム全体の最適化」が可能に

Q : ILMの考え方は、日本の企業に浸透してきていますか?

藤巻: 前に述べたような問題を認識し、導入している企業は着実に増えています。が、日本の企業の場合、自社のデータがどんな状態にあるのかまったく把握していないケースがまだまだ多いのも事実で、その部分の“気づき”は今後進んでいくものと思われます。一方で、ILMというコンセプトがいろいろな意味に解釈されているような部分があります。たとえばILMという名の製品や、ソリューションを上手くカバーする一個のハードウェアのようなものがあると思っている方がいたり、ストレージを統合してアーカイビングすることをILMと捉えている方がいたり、専業メーカーでは「情報の重要度に応じてストレージハードウェアを変えていく」部分のみがILMと語られていたり‥‥という具合に。

しかしILMの本質を考えれば、ILMという言葉が一つの製品やソリューションを指すのではなく、目的に従って必要なストレージを用いたり、ソフトウェアで情報のプロファイルやアーカイビングを自動化したりすることで、システム全体を最適化できるよう「全体を組み立てていくもの」だということが理解できます。つまりILMは、個々の企業の状況や必要に応じた最良の情報管理のシステムを作りあげることを目的としながら、実は「システム全体の最適化を可能にするコンセプト」でもあるという認識が、今後は急速に高まると考えられます。(図04)

Q: ILMを導入するには、製品やソリューションを一新する必要があるのですか?

藤巻: いえ。ILMは新しいソリューションや製品を入れればできあがる、というものではありませんし、HPの場合、基本的に使えるソリューションやソフトウェアなどはどんどん採り入れ、自社以外のプラットフォームも提供していくという「オープン」なスタンスをとっていますので、ILMも企業のそれぞれの現状にあわせて構築しています。今までの製品やソリューションも含めてILMのメリットを発揮できるようインテグレードすることもできますし、「このソリューションにはILMに対応するこういうメリットもありますね」ということで、それを引き出すような仕組みを作ることもできます。

Q : ILM導入のために、踏まえておきたいポイントは何ですか?

若山: まず第一歩として、自社にどんな問題が潜んでいるのかを浮き彫りにすることが有効でしょう。自分たちのデータがどんな状態なのか、今後どういった状況になると考えられるかを検証し、そのための対策を検討する必要があります。データ保管は日々ユーザーや管理者が直面している案件なので、その部分は理解しやすいでしょうが、会社の中でどういう種類の情報が、どう活用されているかというのはなかなか把握できないと思うので、そこの問題点への“気づき”がまずは必要です。
また今後はさまざまな法規制が行われる流れにありますから、企業としてリスクを回避するには何をやらなければならないかを検証し、その事実を経営層にも認識してもらう必要があるでしょう。

いずれにしても、ILMは一部のソリューションなどを指すのではなく、システム運用全体を見ながら、最適な答えを出していける力を持った考え方であり、そこでは、個々のビジネスの必要に応じ「システム全体を構築する」という視点に立ったコンサルティングを行うことが非常に重要となります。データを重要度に応じて保管するための「データ管理ポリシー」をどう定めていくべきか、データ移行をスムーズに行い、最適な状態で情報を保管するには、どんなストレージを配し、どんなソフトウェアやハードウェアを配するべきか、また、サーバやネットワーク、セキュリティソリューションをそこにどう組み合わせていくのか‥‥それらすべてに最適な答えを出し、サポートなども含めトータルにサービスを提供できるパートナーと手を組むことが、導入のための賢明な選択だと言えます。
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図05
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ストレージにあらゆるデータを入れることは 「ゴミいっしょに保存」しているに等しい
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