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(eNewsletter編集部)RFID技術が、一昨年頃から日本の企業の関心を集め、技術の進歩やこれからの展望に大きな期待が寄せられています。この技術が今、実際どんな状況にあるかを検証したいのですが、まず、先鞭をつけた米国ではどうですか?
三宅 前回のRFIDの特集では、RFID導入をいち早く表明した企業として、米国の小売業最大手「ウォルマート」の例をご紹介しましたが、そのウォルマートの現状ということでお話すると、当初宣言していた目標が、ほぼ計画通りに遂行されているようです。
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現在は、拠点となるディストリビューション・センターが5カ所、RFIDタグ導入店舗は約500に上り、アーカンソー大学のレポートによれば、一週間に約300万個のケースにRFIDのタグがつけられている……つまり、ウォルマート1社だけで年間1億5000万個ものタグが、サプライヤー(商品供給を行うジレット、P&G、HPなど各社)から供給され、それがいろいろな拠点で読み書きされているという状況になっています。 |
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(編集部)RFIDが本格稼働することで、ウォルマートやそのサプライヤーには、どんなビジネスメリットが生まれていますか?
三宅 小売業は「お客様の望む商品をスムーズに供給し、いかに一定期間に多く売り切るか」が成功のカギとなるのですが、そのためには「どの商品がどこにどれだけあって、どう動かせば最も効率的か」ということを常に把握しなければなりません。RFIDは、従来のバーコードと違い、トランザクションやイベント(どの製品が何時何分何秒にどこからどこへ移ったという「動き」)の情報を容易にとることができ、「A拠点からB拠点にどの製品がどれだけ動いて、在庫としてどれだけ滞留していたか」「今、サプライチェーン上のどこに、どういう製品が、どういう状態であるのか」という重要な在庫情報を可視化することができます。このことはウォルマートにも、サプライヤーにも大きなメリットとなっているのではないでしょうか。
例えば、HPのプロモーション用のプリンタをウォルマートが販売するとします。プロモーション製品ですから、一定期間に売り切ることが求められるわけですが、ウォルマートの店舗はもちろん、サプライチェーン上のすべての製品の流れや在庫情報が即座にわかれば、「品薄のところに急遽補充する」ような対応ができ、効率的な販売戦略を立てることが可能になります。ウォルマートの現場では、こうしたタグの持つデータを「情報」に変えて、ウォルマートとサプライヤー双方がシェアし、「販売促進」に活かすという、企業間のコラボレーション的な取り組みが実際に始められており、単にサプライチェーンの効率化にとどまらないメリットが、すでにRFID導入の現場では生まれつつあることが伺われます。加えて、こういう実例が出てきたことで、今後は他の商品や分野にもどんどん適用範囲が広がり、さまざまな次の動きにつながっていくのではないかとも期待されています。
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(編集部)日本ではどういう状況ですか?
片山 日本でも導入への下地が着々と固められており、昨年の4月に電波法令の改正によって、UHF帯の952〜954MHzでRFIDを使うことが法令で認められ、RFID実用化への道が開かれることになりました。ただ、これは非常に狭い帯域での認可のため、リーダー&ライター同士の電波干渉が発生することも多く、実際に「使える」状況になったのは、相互干渉を大幅に軽減することが可能な「Listen
Before Talk」という共用化技術が採択された、今年の1月からです。
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これは他のリーダー&ライターが電波を出していないかどうかを確認してから電波を出すという方式で、特に日本のように帯域が狭い国では効果的な方法だと考えられています。
ちなみにこのリーダー&ライターには、取り扱う際に構内無線局の申請を必要とする「高出力タイプ」と、申請が不要な「低出力タイプ(特定小電力無線局)」という、2つのタイプがあるのですが、今はまだ高出力タイプが主流で、低出力タイプは、この秋以降から市場に多く出回るようになると思います。低出力の方は、電波を読み取る距離はあまり長くはないのですが、ハンディタイプのように小型化できるので、バーコードもあわせて使えるのが特徴です。実際、日本の物流現場はそれほど広くない場合が多いので、今後は企業のニーズに合致したものとして低出力タイプが普及し、RFID導入にもはずみがつくのではないかと予測されています。
及川 要は、日本も実用化の道が敷かれ、ようやく1年前の米国の状況に追いつきつつあるということですね。昨年はまだ、「電波をとばしてタグの読み書きができるか」という基本的な技術の確認の時期だったわけですが、今年は、1月に共用化技術も選定され、ベンダーのRFID製品の供給体制も構築されて、「RFIDをどうビジネスに活用するか」「どんなアプリケーション開発につなげるか」という、ROIを意識した具体的な導入へと、企業の方々の関心もシフトしつつある。RFIDは実際、販促のためにどんな使い方ができるのか? コスト削減に役立つのか? 生産管理の品質向上につながるのか?……そうした模索が、すでに日本の現場でも始まっているということです。
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(編集部)日本でも今年、大手小売の「ヨドバシカメラ」が、初めてRFIDを本格導入して大きな注目を集めています。
三宅 ヨドバシカメラ様は、世界標準の技術を、日本の小売りとしていち早く使い、世の中に広めたいという高い志を持って導入に踏み切られたのですが、実はHPはこのプロジェクトのテクニカルアドバイザーとして、システム立ち上げにご協力させていただきました。
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また、HPはサプライヤーという立場からも、プリンタ事業部から日本で初めてRFIDのタグがついた第一号製品を納入し、ディストリビューション・センターのRFID化も推進しています。今後はサプライヤーの数をどんどん増やして、ウォルマートのように、単に物流効率化ということだけでなく、戦略的な販売促進を実行するためにRFIDを活用する、という方向に向かっていくことになると思います。
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(編集部)経済誌に「ヨドバシ・ショック」という見出しで紹介されていましたが、この導入はやはり、他の企業にも影響を及ぼしていますか?
三宅 日本でも大手製造業や家電メーカーなどは、「ウォルマート」「ベストバイ」など欧米の小売業の要請によって、一昨年頃から輸出品にRFIDのタグをつけるようになったのですが、それは海外仕様に限ったことで、「日本ではまだ先だろう」と思っていた企業も多かったのではないでしょうか。そんな中、ヨドバシカメラ様でRFIDが導入され、日本の大手小売業でもいよいよ本格的にRFID時代がスタートすることになりました。
そうなると、単にタグを付けるだけでなく、商品を素早く回転させるために、いち早く商品補充できる体制を整える……そのための「ビジネスプロセス改革(BPR:Business
Process Redesign)」までが必要になってくるわけですね。 RFID導入によって、サプライヤーの対応はそこまで要求されることになり、今まで硬直していたようなところに門戸が開かれる。そうなるとどんなことが起こるのか、その影響は未知数なのですが、RFID化が世の中全体の流れなら、自分の会社だけそれをやらないというわけにはいかないし、製造業や小売業が動き出したら、当然、物流業や卸業なども動き出すことになります。結果的には、すべてのプレイヤーが、そのことを認知してよりよいビジネスプロセスを模索するという方向になってくるわけですが、そうした「革命」がサプライチェーンに起こりつつあるということを気づかせたという意味で、ヨドバシカメラ様のRFID導入は、日本の多くの企業に少なからぬショックを与えることになったのだと思います。 ≫ 【Chapter
2】 RFIDをビジネスにどう活用するのか? |
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