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| 近々到来が予測される「ユビキタス時代」の技術として、注目を集めているRFID(無線ICタグ)。HP研究所ではこの夏、RFIDの一形態であるMemory Spot(超小型ワイヤレスデータチップ)の開発に成功し、そのプロトタイプを発表しました。微小ながら自ら電力を発し、デジタルコンテンツなどの読み書きも可能。新しいコミュニケーション法や利便性を生み出す、デバイスの一つとなることが期待されています。このチップが備えた数々の特性と、活用の可能性に迫ります。 |
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「リゾートから出すハガキに、ビーチで遊ぶ家族の写真を添える」「結婚式の写真に、披露宴の様子を撮ったショートビデオや音声を添える」……そんな新しいコミュニケーションを可能にする技術開発に、HP研究所(カリフォルニア州パロアルト)の研究チームが成功しました。プロトタイプとして発表されたのは、わずか2mm×4mmという超小型ワイヤレスデータチップのMemory Spot。
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Memory SpotはCMOS(低価格の集積回路)技術で設計された「記録/再生用メモリデバイス」で、米粒半分ほどのチップ内にアンテナを内蔵。256k〜4MBの大容量メモリ(実用プロトタイプのストレージ容量)と、10 MB /秒の高速伝送速度(Bluetoothの約10倍で、Wi-Fiスピードに匹敵)を誇り、写真、映像、音声、文字、プログラムなど様々なデジタルデータを格納することができます。しかも、ほぼあらゆる物体への張り付け・埋め込みが可能。この技術を使えば、最初に述べたような試みも容易にできるようになり、PCやインターネットを介することなく、デジタルコンテンツにアクセスすることができます。
では、読み書きを行うための電源はチップ内でどのように確保されるのでしょうか? Memory Spotは、バッテリーや外部の電子装置が不要な「自己充足タイプ」のデバイスで、電気はチップメモリからコンテンツを抽出する機能を備えた特殊な記録/再生装置から電磁結合によって送られます。つまり、電磁結合と共通の電磁場を介したエネルギー転送で、一つの回路のコンポーネントから別のコンポーネントへと電気が送られ、一方の装置の電流に変化が生じると、もう一方の装置に電流が流れるという仕組みになっているのです。
一方、情報へのアクセスは、携帯電話やPDA、カメラ、プリンタなどへの組み込みが可能な記録/再生デバイスを使って行われます。このデバイスをチップに近づけ、電源を入れると、保存されたデータがただちに携帯電話等の各種ディスプレイに送られる……という仕組みで、プリンタからの印刷はもちろん、ユーザーが各種デバイスを使って、チップに情報を追加入力することも可能。これならデータの格納や取り出しのために、データベースを用意したり ネットワークへの接続を行ったりする必要がなく、企業のシステム構築をシンプルにすることにも貢献するのではないかと予測されています。
ちなみにMemory Spotは、今、注目を集めているRFID(無線ICタグ)の一種ですが、現状の無線ICタグより格段にメモリが大きく、伝送速度も高速。ただしタグとは異なり、リーダー&ライターを至近距離まで近づける必要があり、タグの帯域とは別の2.45GHzの無線周波数が適用されるなど、それぞれの特性を有しているため、Memory Spotとタグは当面、用途によって「使い分け」が行われることになりそうです。
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「Memory Spotの使命は、これまでPCやインターネットなどの電子的世界でしか再生できなかったデジタルコンテンツを、身の回りのさまざまな現実世界で利用できるようにすること」……と語るのは、開発プロジェクトでマネージャーを務めるエド・マクドネル。それはまさに「ユビキタス」の世界に大きく近づくことであり、Memory Spotが私たちのこれからの暮らしにもたらし得る利便性は、無限大であると言えるかもしれません。
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「HP研究所では、Memory Spotを活用した新たなアプリケーション開発が、印刷や画像処理の向上にとどまらず、多くの市場における新たなソリューションの提供など、幅広いコンシューマー事業に大きな影響を及ぼすものと捉えています。私たちは今後も、Memory Spotの研究を積極的に進めていくつもりです」と語る、HP研究所の副主任兼、アソシエイトディレクターを務めるハワード・タウブ。Memory Spotの技術は、今後多くの分野での応用が期待され、前述の「印刷物の情報格納」の他にも、「医療現場での活用」「製品の偽造防止」「ID機能の強化」「セキュリティ機能の強化」……等々、非常に幅広い活用例が想定されています(【活用例】参照)。今後ますます進化するであろうMemory Spotの技術と活用の可能性に、大いに注目したいところです。
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【医療記録】
患者のリストバンドにMemory Spotを埋め込み、診療記録や投薬記録などを保存。安全で効率的な医療システムのために活用する。
【オーディオ付きフォト】
写真などにその風景の実際の音、音楽、メッセージなどを添付。メディアの楽しみ方を広げる。
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【デジタルはがき】
クリスマスカードなどにビデオクリップや写真、音声、メッセージなどを添付する。
【文書メモ】
書類にMemory Spotを添付することで、テキストの修正や追加などの履歴を記録する。あるいは、音声ノート、グラフィック画像などを添付して、表現力を高めたり、よりわかりやすいものにする。
【完璧な複製】
Memory Spotに書類のデータを入れ込むことで、オリジナルをもとにコピーする必要がなくなる。デジタルバージョンをコピー機で読み込めば、シャープな出力を得ることができ、オリジナル原稿がシートフィーダーに詰まって破損するような事故も防げる。
【セキュリティパス】
IDカードやセキュリティパスにMemory Spotを埋め込み、必要なデジタルデータを書き込めば、安全で携帯に便利なカードを作ることができ、電子情報と現実世界での安全確保に役立てられる。
【偽造防止タグ】
世界的に大きな問題になっているこの問題の解決のために、Memory Spotを埋め込んだタグを医薬品の容器などに取り付け、ここに製造や品質に関する情報を安全に保存し、本物であることを証明できるようにする。この方法は、高価値の工学コンポーネントや航空機用コンポーネントなどにも応用できる。
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