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前章では、空調効果を高める空間の設計・レイアウトについて述べたが、もちろん「データセンタのパワー&クーリングの最適化」を促す要素は、それだけではない。ここではどんな手順とアプローチでデータセンタの改善を進めていけばいいのか説明しながら、改善でより大きな効果を引き出す「包括的な視点」について述べていきたい。
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まず改善の進め方だが、HPではいくつかのステップを踏み、それぞれにおける課題をクリアしていく「段階的アプローチ」を推奨している。「自社の条件や目標にあわせ、できるところから一つ一つ課題解決を進めていく」という方法だ。
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最初のステップは「IT機器の省電力」を図る「Power Management Technology」というアプローチ。省電力機能を実装したIT機器や電源供給部分を管理する製品を積極的に導入することで、データセンタの使用電力量の3分の1を占めるIT機器の消費電力削減を目指す策だ。対象となる製品は、HPの例で言えば、サーマルロジックテクノロジーに基づき、複数のブレードで電源ユニットやファンを共有し、排熱のエアフローが完全管理できる「HPブレードシステム」、CPUの持っている省電力機能をリモートでコントロールできる「Power
Regulator」、電源ユニットの総電流使用量の監視・管理が可能なMonitored Smart PDU(Power Distribution
Unit)、水冷方式を採用して排熱処理を自己完結するModular Cooling Systemなどである。こうした製品を積極的かつ継続的に採用することで、削減効果は即、数字となって現れてくるのだ(図版:Power
Management Technology)。
2つ目のステップは「空調、ラックレイアウトの改善」で、データセンタの省力化に取り組む業界団体(ASHRAE、The Uptime Institute、GreenGridなど)が公開している「ガイドライン」や「ベストプラクティス」を参照し、その方法を取り入れていくというアプローチである。
3つ目のステップは、上述の改善効果を「CFDなどの流体解析のソフトを駆使して可視化」し、最適なレイアウトの微調整に活かすというアプローチ。ちなみにHPでは、課題解決のソリューションとして、2つ目、3つ目のステップを代行し、最適なラックや空調レイアウトの提案を行う「サーマル・アセスメント・サービス」や、新規のデータセンタを対象とした「サーマル・プランニング・サービス」を提供しており、自社の状況や必要に応じてこうしたサービスを利用するという手もある。
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4つめのステップは、「ソリューション統合」でデータセンタの空調を含めた管理システムや仕組みを統合し、ITインフラ全体を支える機能として、データセンタのパワー&クーリングの最適化を行なうというアプローチ。最新技術を積極的に取り入れて組み合わせることで、IT最適化と連動する理想のデータセンタを完成させることが、この最終ステップの目的となる。なお、これを実現するためのソリューション例として、HPからこの夏以降に米国でリリース予定なのが「ダイナミック・スマート・クーリング」。これは、データセンタ内のすべてのラックに温度センサーを付けてラック単位での温度センシングを実施し、温度管理の一元化および自動化でプロアクティブな仕組みを構築する、というもの。IT機器ベンダはもちろん、空調メーカーやファシリティベンダも取り組むことが難しかった業界の壁を越えるソリューションで、「データセンタ自動化、無人化」という次世代データセンタ実現を加速させる画期的ソリューションとして、昨今大きな注目集めている(図版:ダイナミック・スマート・クーリング)。
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ところで、これらの4つのステップを踏む上で、一つ重要なポイントがある。それは、データセンタの最適化を「データセンタの省電力・コスト削減」という側面からのみではなく、「包括的アプローチ」、つまり「ITコンソリデーション」や「仮想化」「SOA(Service Oriented Architecture)」など、さまざまな「IT最適化」の手段と結びつけることで、より大きなメリットを享受できるということだ。
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例えば、コンソリデーションは、これまで「サーバ費用の削減」「管理効率化」という観点から語られてきた技術だが、実は「省電力」「エコロジー施策」としても有効な手段になり得るもの。HP自身も、米国のあるデータセンタの368台のIAサーバを5台のSuperDomeに集約した結果、データセンタの年間の電気代を約5分の1に削減することに成功している。こうした経験に基づき、HPでは「Power & Cooling(電力&冷却対策)」を、ビジネスの変化に適合するための「アダプティブ・インフラストラクチャ」構築を支える、6つの要素の1つであると位置づけており、「データセンタ最適化」は「IT最適化」と深く関連し、ビジネスとITの整合性を図るために不可避な課題となっている理由もそこにあると言えるのだ(図版:アダプティブ・インフラストラクチャ)。
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こうしたステップを踏むことによって、どれくらいの改善効果が期待できるのだろうか。ちなみにHPでは、旧コンパック社との合併を契機にIT環境のシンプル化とITコスト削減に取り組み、その中の案件の一つとして、「データセンタの経済性改善」を推進してきた。 HP研究所の調査によると、ステップ1から3のアセスメントと環境整備でデータセンタの電力コストの約30%が、さらに、ステップ3から4へと進めることで約50%の削減ができるという結果がはじき出されており、新ソリューションで改善が進めば、さらに劇的効果が得られると期待されている。 ≫ 【Chapter 4】 データセンタのこれから
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