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DSpaceが可能にする、壮大な「ヴァーチャル博物館」

 

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2008オリンピック開催に向けて中国が取り組むデジタルアーカイビング

掲載記事についてさらに詳しくは(英語サイト)

  Capturing China's knowledge


電子アーカイブやウェブ技術の発達で、膨大な情報がオンライン上にあるのが日常となった現代ですが、世界にはまだまだ“そこに行かないと見られないもの”など、隠れた情報が山のようにあります。そうした情報により多くの人が触れることを可能にするのが、HPと世界各地の大学によって開発されたアーカイビングシステム「DSpace」。その開発の流れと、「ヴァーチャル博物館」の創設など、画期的なチャレンジが進む中国での取り組み、システムが目指すところについてレポートします。


DSpaceで、2テラバイト(2兆バイト)の情報保存が可能に

DSpaceで、2テラバイト(2兆バイト)の情報保存が可能に
世界各地にある歴史的文書や学術文書などの膨大な情報……それを、多くの人の目に触れられるようにし、活かせるものにするには、情報をデジタル保存し、共有化できるようにすることが有効ですが、そこでは、膨大で複雑な情報もスムーズに取得、保存でき、インデックス付けやデータへのアクセスなども容易にできるシステムづくりが不可避となってきます。こうした「壮大なアーカイビング」を実現するための先進的な試みが、今、中国で進められていることをご存知ですか?

中国は、長い歴史に培われた文化遺産や学術情報が広大な国土にちらばり、当然、デジタルアーカイブの対象となるコンテンツも極めて多い国ですが、そこでのスムーズなアーカイビングを可能にしたのは、HPとMIT(マサチューセッツ工科大学)の図書館が共同で開発を進めた、オープンソースのアーカイブシステム「DSpace(ディースペース)」。これは、テキスト、イメージ、オーディオなど、膨大な各種デジタルデータの一定場所への保管と、オンライン化による容易な情報取得を可能にするシステムで、180万ドルの費用をかけ7年前から開発を推進。今では世界43カ国の265の大学、図書館、博物館およびリサーチセンターで、DSpaceをプラットフォームとした、1千万以上のドキュメント保管と、無料の情報アクセスを実現し、2007年には「DSpace Foundation」と呼ばれるアーカイブ全体を監督するための非営利団体もマサチューセッツ州で設立されました。

中国で進められているアーカイビングは、こうしたDSpaceの進化を背景にしたもので、この国の場合、他の国々と異なり、大学が重要な博物館の所蔵物や学術情報を管理しているため、アーカイビングには中国トップクラスの18の大学が協力。すでに生物学、人類学、科学などに関する多くのデータが保管され、近い将来には、9000万点に及ぶ品々のアーカイブ化が実現されることになる予定です。

また中国と言えば、次期オリンピックの開催地として注目を集めていますが、2008年の開催に際しては、その情報保存のために、DSpace をベースにした2テラバイト(2兆バイト)の情報を保存する仕組みも開発される予定になっています。これは、HPと北京大学の技術者が共同で取り組みを進めており、およそ1000本の長編映画(写真なら30万枚、音楽なら50万曲)が保存できるアーカイブを実現し、誰でも無料でインターネット接続により情報の取得ができるようにするのが目標。これによって、世界中のビジターに、オリンピックや中国の伝統スポーツに関する幅広い情報提供が可能になると言われ、当初は中国語、英語、フランス語、ロシア語の4カ国語で作られますが、ゆくゆくは多言語にも対応していく予定なのだとか。


いつでも、どこからでも、コンテンツの詳細が見られる「ヴァーチャル博物館」

いつでも、どこからでも、コンテンツの詳細が見られる「ヴァーチャル博物館」
ところで、実際に私たちは、DSpaceによるデジタルアーカイブ化によって、どのように情報に触れられるようになるのでしょうか。中国の場合、研究者たちが積極的に情報の3Dデータ化を進めており、学術文書、博物館の工芸品などを3Dソフトでデジタル化することも少なくありません。3D化は「ラップアラウンド」と呼ばれるスキャン技術で容易に行うことができ、この方法によってアーカイビングされた情報は、ユーザがアクセスするだけで、対象となる物をさまざま角度で見ることができます。

例えば、有名な兵馬俑のデータならば、ディテールを含め、あらゆる角度からその形状を眺めることが可能。他にも、鉱物の標本、技術的なダイヤグラム、手書きの磁器の文様などを細かな部分まで拡大して見たり、スキャニングされた本を1ページずつ読んだり……など、実物を見るのとはまた違うかたちで対象の詳細に触れることができる、というわけです。

これは、貴重な文化遺産のアーカイビングとその共有の仕組みを作りあげることによって、世界中の人が自由に見られる「ヴァーチャル博物館」の創設が可能になるということ。こうした取り組みはDSpaceの登場によって、すでに6年ほど前から始められているのですが、今回の中国のプロジェクトでも強力に推進され、ここ3〜5年以内に30ほどのヴァーチャル博物館が完成する予定になっています。

このように、着々と進化してきたDSpaceですが、今、研究者たちは2008年に予定されているDSpace、2.0のリリースに向け、いくつかの難題をクリアしようとさらに研究を進めています。英国ブリストルのHPデジタルメディアシステム・グループのリーダーであり、DSpace開発プロジェクトのディレクターを務めるニック・ウェインライトは、「私たちは、DSpaceでのコンテンツ提供がもっとパワフルにできるようにするとともに、より簡単なリサーチや、情報の取り出しがインターネットで容易にできるような仕組みを作りあげていきたいと思っています」と豊富を語り、今後の課題について次のように説明しています。


格納サイズをいかに増加できるか

DSpaceのユーザは3Dモデルや複雑なオーディオ、ビデオファイルなど、多くの容量を必要とするデータをアーカイブに保存する傾向があるため、こうした需要に、DSpaceのプラットフォームが対応できるよう、データ容量の増減が可能な柔軟性のあるシステムにしていく必要がある。

“短命”コンテンツをどう取得するか

ブログ、ウィキペディア、ビデオ、電子メール……など、Web上のコンテンツは今までにない頻度で変化し続けている。こうしたコンテンツの各段階での記録を保持し、ユーザがいつでも必要な“時点”の情報を取得できるような方法を探っていかなければならない。

複雑なコンテンツの保守をどうするか

ユーザがアーカイブ保存したコンテンツに新たな情報が付加されたり、修正が生じた場合、その更新を容易に反映できる仕組みが求められる。そのためには「複雑なコンテンツの情報構成を可視化させる」仕組みが必要だが、これを、HPのTrusted Systems研究所が開発した技術を活用し実現させる。

この他にも、まだまだ課題は残されていますが、着々と進む研究によって、壮大なスケールのアーカイビングの実現が、すぐそこまで近づいているのは確か。「デジタル博物館」と「ヴァーチャルオリンピック」という、中国の2つの大きなチャレンジに注目し、今より格段に幅広い情報を、いつでもどこでもキャッチできる日が到来することを、大いに期待したいものです。


「DSpace」の詳細は
 
 「DSpace」日本語版スタートパッケージ
 



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