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HP and Microsoft

総括:ITで切り拓く、中小・中堅企業の未来! 〜新しい価値創造のために、今、ITで何をすべきか?〜

経営コンサルタントが語る"経営とITのツボ"

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【Chapter 1】SMB現状と意識改革について

自社の付加価値は顧客視点で見つけ出す!

(eNewsletter編集部:以下、編集部)数年前までは、IT化導入理由の上位に挙げられていたのが“社内業務の効率化、プロセスの簡略化”でしたが、本連載を通じて、中小・中堅企業のIT化の環境の変化を森戸さんの目から見てどのように捉えていらっしゃいますか?

森戸 裕一 氏
森戸 一言で言えば、「お客さまの価値観が大きく変わってきた」ということです。この場合の“お客さま”というのは、取引先企業の場合もありますし、一般の消費者である場合もあります。企業におけるインターネットの導入率は9割近くになり、一般家庭のインターネット接続形態も6割がブロードバンド化されています。市場と企業、市場でのお客さま同士もネットワークで常時繋がっている時代がやってきました。今までは企業サイドだけが持っていた情報が一斉に市場に流れはじめました。逆に企業が市場のニーズをタイムリーにつかむのもインターネットを活用することで容易になってきました。企業は、市場から選ばれるために、一般消費者がサービスや商品を購入する際、何を基準に選択するのかを知りたがっています。適確かつタイムリーにこれらの情報をつかんだ企業は、そこで得られた情報をお客様への付加価値として、自社の提供するサービスや商品に反映させる事ができるのです。 これらの情報は、インターネットを含めたITを使って誰でも得ることができるのです。このようなIT環境における大きなパラダイムの変化は、中小・中堅企業には実は大きなビジネスチャンスとも言えます。インターネットの基盤整備で日本全体の市場の価値観が変わってきたということを先に認識すべきだと思います。

(編集部)それらの“情報”とは具体的には何を指すのでしょうか。

森戸 それは一重に“顧客の価値観”ということになります。インターネットの爆発的な普及により、情報が一斉に市場に流れ、お客さまのサービスや商品の選択基準も大きく変化してきました。市場のニーズの多様化を後押ししているのはインターネットの普及と言えます。今後、大手企業だけではなく、中小・中堅企業でも、自社がターゲットとしている市場のお客さまが欲している価値は何かを探り出し、自社の付加価値として提供していくことが求められています。
 
図:自社の付加価値は顧客視点で見つけ出す!
自社の付加価値は顧客視点で見つけ出す! グラフ1
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  自社の付加価値は顧客視点で見つけ出す! グラフ2
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※HP開催の中小企業向けセミナの来場者アンケート結果より抜粋

(編集部)経営者はその大きな時代の変化の中で、生き残るために、どのように行動すれば良いのでしょうか?

森戸 中小・中堅企業の多くが、大手企業の下請け形態で成り立っていた時代には、経営戦略の立案や組織改革への取り組みなどにしても元請企業の動向を気にしながらやっていました。また、「お客さまの視点」といったスローガンは掲げていても、本当にその必要性を感じている企業は少なかったとも言えます。しかし、この数年の市場の変化で、中小・中堅企業も確実にお客さま視点で「経営改革」を考えなければならなくなってきました。「お客さまに選ばれる理由」を作らなければ生き残れないということは以前もお話しましたが、「選ばれる理由」という情報が企業が提供するサービスや商品の付加価値となり、それをどう創造していくかに尽きるのです。

お客さまが価値と感じているものを自分たちがいかに知っているか、その価値基準を社内でどのように共有して、誰がどのように活用すれば有効な情報になるのかということを突き詰めていくことが、企業の勝ち残りのための情報化戦略となるはずです。


(編集部)どのように“お客さまの欲している情報”を探りあてていけばよいのですか。

森戸 クライアントの方からご相談を受けた場合には、「なぜ、このお客さまは皆さんの企業の製品やサービスを選択したのか」ということを受注伝票の一枚一枚を洗い出して考えてみてはどうでしょうとお伝えしています。単に、昔からの付き合いだから、地理的に近いからというのは選択の理由にならない時代になってきています。市場が選択をする基準を情報として保有している今、“近所だから頼んだ“という理由がどのように変化してきているのかを「顧客の視点」で見極めることが重要です。単に”安いから選んだ“というだけでもないはずです。


(編集部)それでは、「顧客の視点」を軸に据えたばあいの企業のビジネスプロセスの立て直しとIT導入についてお話願えますか。

森戸 たぶん多くの中小・中堅企業は、すでに何らかの理由でPCや様々なツールを導入されていると思います。ただ、目的が省力化や効率化ではなく、売上の拡大を目指すのであれば、「お客さまのサービスや商品を選択する価値基準を見極め、それをどのように創造していくのか」ということに集中してもらいたいと思っています。お客さまに価値を提供するのは社員になりますので、必要以上の基盤整備の必要性はないと思っています。ただ、お客さまの選択基準という情報をもとに活動しますので、その部分での業務プロセスの変更は必要になります。

読者アンケートの中で、「営業の情報をどうやって共有していくのか?」といったご質問がありました。ナレッジマネジメントなどの分野で言われるようにトップの営業担当者の営業ノウハウを他の営業担当者と共有すればよいかと言えばそうではありません。「その情報を誰が保有すればどのような成果につながるか?」というイメージを明確にしないと必要ない情報だらけになってしまいます。営業担当者が保有している情報は市場の情報なので、営業担当部署のみではなく、他の部署にも必要性を理解させた上で共有させる必要があります。私は、営業担当者をセールスパーソンではなく、マーケッターとして位置づけています。また、お客さまの価値基準を聞き出してくると同時にお客さま自身にも自社の価値を気付いてもらうという役割も営業担当者にはあると思っています。そういった従来の役割との変化を明確にしないとITが単なる情報氾濫のツールとなってしまいます。


(編集部)ではITはどのように使用されるべきなのでしょうか。

森戸 いかに自社の強みを伸ばしていけるかの戦略を打ち出す中でITは大きな役割を担います。例えば、市場調査や、マーケティング分析は代理店を活用すると資金も必要なので大手企業と比較して、コスト面で中小・中堅企業には難しかったかもしれません。しかし、冒頭にお話しした理由で企業と市場がネットワークで繋がったことから市場調査や、マーケット分析は中小・中堅企業にも可能になってきたわけです。読者の方からの感想などを拝見すると、ITの基盤整備はすでに終わっていて、これからは情報をもとに戦略的に行動できる人材の育成の必要性を感じてきている企業が少なくありません。情報を戦略的に使っていくためには、何が必要で何が不要なのかという全体的な情報の整理を行った方が良いと思います。ただITを導入して戦略も無くやたらに共有すればいいというものではなく、“誰に対してどの情報を渡してどのように行動してもらうか”という戦略が無いと情報共有が意味を成しません。繰り返しになりますが、IT活用の前提となる“どのような情報があれば社員の仕事の質が向上するのか”ということを考えていかなければならないと思います。

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