HP Networking新製品発表と事業戦略

HP Networking新製品発表と事業戦略

日本HPは、2011年10月20日、7月に発表したネットワークアーキテクチャー「HP FlexNetwork アーキテクチャー」に基づく新しいネットワーク製品群を発表した。
新製品発表会の席上、HPネットワーク事業本部 事業本部長 大木聡氏は、「我々の開発ピッチはネットワーク専業ベンダーに負けていないと自負できる状況になってきている」と述べた。

HPはネットワーク業界の"リーダー"



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HPのネットワーク事業は、ネットワークスイッチ(L2/L3) エンタープライズ市場で、トップベンダーがマイナス成長しているにもかかわらず、年率2.5%の成長を達成し、現在市場で2位のポジションを占めている(Dell' Oro グループ 2011年第1四半期イーサネットスイッチ調査)。
また、世界的な調査会社であるガートナー社は、HPをエンタープライズLAN市場において明確なビジョンを持ち、ビジョンを実行することができるリーダーポジションに位置づけている( Gartner MAGIC Quadrant:Enterprise LAN (Global), 2010 )。
このように、ネットワーク業界の"リーダー"として地位を固めるHPであるが、どのような認識を持って、事業に取り組んでいるのであろうか?


シングルベンダーがもたらす弊害



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HPによれば、現在、ITユーザーの予算の約70%は、運用とメンテナンスが占め、攻めのIT投資(ビジネスイノベーション)への支出は30%であるという。そのため、企業が新しいビジネスへの取り組みを実施するためのIT基盤をタイムリーに提供できない状態であると指摘する。
HPは、「この状況が続くと、スマートフォンの爆発的な成長、クラウドコンピューティングの拡大など、さまざまなビジネスの新しい要望に対応できなくなる」と考え、ビジネスイノベーションへの支出と運用・メンテナンスコストの比率を逆転させることが重要だと考えている。

この問題を解決するためにHPは、「シングルベンダー」以外の2つ目のネットワークベンダーが選択肢を提供し、また、「シングルベンダー」がもたらした「従来型ネットワークの弊害」を解決する必要があるという。
2つ目のネットワークベンダーを顧客が考慮するメリットは、どういうものであろうか。ガートナー社は、調査レポート『Debunking the Myth of the Single-Vendor Network(シングルベンダーネットワークの神話を覆す) 』の中で、以下のように述べている。
「2つ目のネットワークベンダーを取り入れることにより、ほとんどの組織で少なくとも5年間で15-25%のTCOを削減することが可能です。
ネットワーク設計者及びCIOは適正なコストで実用的なネットワークソリューションを提供できるよう代替のネットワークベンダーを考慮する必要があります。 」
これは、HPパートナーにとっては、顧客に対して新たに2つ目のネットワークベンダーを提案することにより、顧客にとってより最適な製品を柔軟に提供することが可能であることを意味する。

次に、従来型ネットワークの弊害とは、どういうものであろうか?


従来型ネットワークは限界に達している

東日本大震災以降、在宅勤務などの働き方の変化が話題に上ることも多くなった。プロジェクトや仕事の内容に合わせてフリーアドレス席を割り当てたり、急激なスマートフォンの普及は、どこでもITを使いたいという要望が増加していることを示している。また、自身の端末を企業に持ち込み使用する(BYOD)といった要望も出てきている。そして、動画配信などのマルチメディアを活用した、多くの帯域が必要となるコンテンツやアプリケーションも急激に成長し、クラウド化が急速に進んでいくとしている。ガートナーの予測では、2014年までに80%以上のトラフィックが仮想サーバー間で伝送され、50%以上のワークロードは2012年までに仮想化されるとしている。



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従来型のネットワーク、つまりアクセスレイヤー、それを束ねるディトリビューションレイヤー、それを束ねるコアレイヤーで構成される3階層レイヤーでは、これらのニーズを満たすには限界に近づいているとHPは考えている。その課題解決には帯域幅のみならず、物理・仮想ともサーバー間でのデータのやりとりが増えても、ホップ数を減らす必要があることをHPは指摘する。

現在アナリストも口を揃えてサーバーの仮想化が急増し、サーバー間通信のパフォーマンスを向上させることの重要性を訴えており、ネットワークのシンプル化を行うことが課題になってきている。



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この点においてHPは、ネットワークの仮想化技術IRF(Intelligent Regillient Framework)を使いネットワークの仮想化を採用することにより、サーバー間通信を同一層内でより高速に、効率的に処理することを可能にしている。

このIRFを使用することにより以下のメリットがある。



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業界唯一のネットワークアーキテクチャー「HP FlexNetwork」



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少し話を戻すと、一昨年HPは3Com社を買収し、製品数も500製品を超える状況にある。そこで製品およびソリューションを整理し分かりやすく顧客に提供することができるよう「HP FlexNetwork アーキテクチャー」を打ち出した。
「HP FlexNetwork」は、4つのビルディングブロックで構成され、《FlexFabric》、《FlexCampus》、《FlexBranch》が、管理用の《FlexManagement》により一元管理できる。「HP FlexNetwork」は、これらの構成要素上に、スイッチ、ルーター、ワイヤレス、セキュリティの4つの製品と監視ソフトウェアをそれぞれプロットされることになる。
「HP FlexNetwork」は、まさにエンタープライズビジネス全体をカバーするネットワークアーキテクチャーである。

では、各要素と今回発表された新製品を見ていこう。

  • FlexFabric(データセンター向け)


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    プライベート、パブリック、ハイブリッドなクラウド環境に対応し、物理・仮想の両方のネットワーク、つまりコンピュータおよびストレージリソースが集まるデータセンターのネットワークの簡素化を実現する。

    今回、発表された製品には、2012年前期に販売開始予定のトップオブラック(ToR) スイッチ10 GbE 「HP A5900」が含まれる。この機能拡張によって、サーバー間のトラフィック処理性能を最大80%向上するだけでなく、VEPAやTRILLと言った最新の仮想レイヤー2スイッチ機能およびFCoEも統合できる製品を販売予定である。

     

    またHPは同日、予測不能なバーストトラフィックに対して1GBという非常に大きなバッファを持ったトップオブラックスイッチ「HP A5830-48G」を発表し、さらなるポートフォリオの拡充を図っている。

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  • FlexCampus(エンタープライズネットワーク向け)


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    有線および無線両環境における、マルチメディアコンテンツのID管理アクセスの処理性能、遅延の低減およびセキュリティの向上を実現する。
    今回、新たに「HP A10500」を発表。エンタープライズ向けのシャーシ型コアスイッチで、スイッチング容量2.6Tbpsを実現するとともに、モジュールあたり160Gbps (Half Duplex) という他社を圧倒する広帯域をサポートする。また、データセンター向けスイッチにも搭載されている先進のアーキテクチャーを活用し、40GbEおよび100GbEにも対応する。

    また、新しい「HP E3800」 ボックス型スイッチは、高帯幅のマルチメディアやモバイル・アプリケーションをサポートする有線および無線ネットワークを統合するメッシュ型のスタック(Flex Chassis Mesh)機能により高可用性も実現する。 メッシュ型スタックネットワークの最大の特長は、スタックしているスイッチを全てアクティブで仮想的に一台のネットワークとして扱うだけでなく、ネットワークのホップ数を少なくし、遅延を最小限にすることが可能であることに加え、スイッチに障害が起きても、それ以外のスイッチには影響が全くない点にある。また各スタックポートは84Gbpsの十分な広帯域を提供する。

  • FlexBranch(支社・支店・拠点向け)

    ブランチネットワーク環境に対して、最適な技術を統合して、ネットワーク、セキュリティの拡張、簡素化を実現する。
    今回の新製品発表では、VMware vShere とCitrix XenServerを搭載した新しい仮想化サービスモジュールを発表し、今後日本でも販売を検討している。

  • FlexManagement

    ネットワークの管理とオーケストレーション(ネットワークの設定/管理の自動化を実施) を統合するもの。現在、管理者は、無数のネットワーク管理ツールを使い分ける必要がある。しかし、FlexManagementの中核をなすHP Intelligent Management Center(IMC)を使用すれば、Ciscoなどメーカー35社による2,600台のネットワークデバイスの管理できるように、異機種が混在するネットワーク環境を物理ネットワークだけでなく仮想ネットワークを含めて一元管理できるようになる。



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日本HPは今回、統合型モバイルネットワークアクセスコントロール(NAC)を搭載したIMC 5.1を発表した(2012年上半期発売)。これにより、幅広いモバイル機器およびOSのサポートが可能となり、153のベンダー、5786のデバイスを管理できるようになるという。


今後、目が離せないHPネットワーク事業

今回の発表をまとめると下記3点になる。

  1. 1つの選択肢のみでなく、2つ目のベンダーとしてHPを選択することによりパフォーマンスが高いネットワークでTCO削減可能な提案が可能になる。
  2. 従来型の3階層のネットワークデザインからフラット化させることより、より効率的な管理・運用ができるようになる。
  3. サーバー仮想化環境に適切なネットワークを構築し、クラウド時代に対応できる容易で使い勝手の良い一貫性のある管理環境を、一つのプラットフォームで提供。

今回発表された製品群を使用し、ネットワークのイノベーションに投資し、運用・保守コストを大幅削減し、IT支出の割合を適正化したいとHPは提唱。 今後もさらに、新製品の発表、機能拡張が予定されている。ネットワーク業界をリードする企業となったHPの今後のネットワーク事業から、目が離せなくなってきた。

HP Partner News 2011年11月8日号 特集記事]
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