事例:先進の医療現場を支えるHPネットワーク製品 金沢循環器病院様

今ヒューレット・パッカード株式会社(以下、HP)で、もっとも勢いのある製品がネットワーク製品だ。そのためパートナーから多くの注目を浴びている。今回の特集では、その注目度の高いHPネットワーク製品の石川県金沢市にある心臓血管センター 金沢循環器病院様の導入事例を紹介したい。


  心臓血管センター
金沢循環器病院 
石川県の県庁所在地である金沢市は、県のほぼ中央に位置する地域の中核市だ。江戸時代には加賀百万石の城下町として栄え、日本三名園の一つとして知られる兼六園などにより、観光都市としても知られる。
その金沢市に、医療法人社団浅ノ川 心臓血管センター金沢循環器病院がある。日本でも有数の各種最先端の設備(X線CT、MRI、PETなど)を揃え、最高レベルの診断・治療を提供している、石川県唯一、北陸でも数少ない心臓病、血管疾患、高血圧などを専門とする病院だ。年間2000例以上の心臓カテーテル検査・治療が行われていることや、最新CTにより、より簡便に検査が行える設備を持つなど、積極的な治療への姿勢がうかがえる。高齢者のための療養型病床群も完備。患者のニーズにあわせたきめ細かい医療を行っている。患者は他県、他エリアからも外来・入院を受け入れる、評判の病院だ。
その心臓血管センター 金沢循環器病院の最高経営責任者である名村正伸医師と、ITシステム導入の責任者である梶 都志雄 氏に話を伺った。

心臓血管センター 金沢循環器病院
名村 正伸医師
 

- 心臓血管センター 金沢循環器病院の理念と特色について、ご紹介ください。

名村氏 「当院は石川県唯一の心臓病・血管疾患・高血圧などを専門とする循環器専門病院です。高度先進医療から老人医療にいたるまで「患者様第一」のきめ細かい医療を行うことを基本理念とし、そのための新しい取り組み、先進技術を取り入れるチャレンジを続けています。また、業界・地域への啓発、地域の医療レベル向上に貢献することを心がけています。」

- その中でITシステム導入の取り組みについてお教えください。

名村氏 「当院では、患者様が安心と満足の得られる、十分な説明と同意に基づいた治療を行うことを基本方針の1つとしています。患者様に対して、明瞭な病状の説明をできることが大切だと考えており、そのために必要な情報を見ながら患者様と話せることが重要と考えています。循環器科は、診療科の中では唯一動画を扱う診療科になります。その動画を病状説明に使うことによっていかにわかりやすく、病状を納得いただけるかはご理解いただけると思います。
そのような重要な位置づけのデータを扱うITシステム導入にあたっては、日頃から常に医師にとっても、患者様にとっても快適であるように考えています。また、それは高額でなくても実現できるはずだとも思考も凝らします。思いついたものは梶さんにアイデアを伝え、ディスカッションして方針を決めています。」

梶氏 「私はその方針に基づいて、製品の価格や使い勝手を検討し、多くの場合、ベンダーに対してデモ環境の作成までを依頼し、評価を行います。」

安心を与え、不安をとるためのIT

 
どのフロアの端末でも、
快適にデータにアクセスできる




もちろんタブレットでも

- 当病院のITシステムの特徴と活用方法について、お教えください。

名村氏 「循環器科ですので、臓器の動きを見ることができることが重要です。アンギオグラフィー(各血管造影検査法)やエコー(IVUS・血管内エコー)も、すべて動きを見る必要があります。以前はこれらをフィルムに記録し、映写機のある一部の部屋でしか見ることができませんでした。そのため、症例を検討するにあたっての負担もありましたし、病状の説明もそれは大変でした。ITシステム導入にあたり、検査した臓器の動画のデジタル化を実施し、病棟でも、診療室でも、病院内であればどこでも、ネットワークを経由してこれらの動画を見ることができるようにしました。これにより、病状の説明はスムーズになりましたし、場所も選びません。回診時、ベッドに寝ている患者様に説明する際にも、手元の端末で動画をお見せすることができるようになりました。移動の負担も減らせますし、時間も選ばずに安心して説明を受けることができるようになったと思っています。

また、以前のフィルムに保存されていたデータも、全てデジタル化を行いました。これによって、過去の検査データを含めてすべて見ることができるようになりました。つまり、医師が過去の症例も含めて検討できるようになり、未来の治療へと役立てることができるようになったのです。」

ディスカッションするためのIT

 
心臓カテーテルライブの模様

さらに、ITの活用事例を紹介したい。それは、心臓カテーテルライブと呼ばれる、地域の医師や医療関係者を招待した公開心臓カテーテル治療だ(注:1)。時には、日本で著名な医師を招待し、実施する。そのライブでは、心臓カテーテル治療を行う部屋と病院内の講義室をネットワークでつなぎ、リアルタイムで、医師の手元、患者様のエコー(IVUS、血管内エコー)などを同時に見せながら、医師と講義室で参加している医師が、ディスカッションを行いながら検査・治療を進めていく。このことにより、ライブ参加者の知識や知見の向上を図っていくのだ。

名村氏はこの院内ライブを行うことで、「地域の医療レベルをあげたいということと、医療技術の向上により、ひとりでも多くの患者様に高いレベルの医療を受けていただきたいと考えています」と語る。
(注1)患者様には、趣旨に十分ご理解を賜り、事前に承諾を頂いております。

もちろん、この院内ライブの動画も、すべてストレージの中に保存されている。そのため、医師は見たい時にはいつでもデータにアクセスし、確認することができるのだ。
当然このデータは電子カルテとも紐づいている。

本導入プロジェクトの背景


心臓血管センター 金沢循環器病院
梶 都志雄氏
 

心臓血管センター 金沢循環器病院は、一年365日24時間受け入れ体制を敷いている。特に狭心症、心筋梗塞などに対しては緊急カテーテル検査・治療から救命冠動脈バイパス手術まで、それぞれの患者様の状態に応じた適切な治療を速やかに行う必要がある。そのため、治療に必要となるデータを、常時素早く確認できなくてはならない。その基盤となるものが、病院内のネットワークである。なぜなら、ネットワークが止まってしまうと、必要となる電子カルテの情報や検査結果のエコー動画などを見ることができなくなってしまうからだ。特に、一刻を争う患者様の治療を施す場合、致命的となる。


このように重要なネットワークだが、当時導入していたネットワーク製品保守期間の終了が近づき、6年間で複数回の幹線ネットワークがダウンするなど、業務に影響を与えることもあった。そのため、ループ対策、スイッチの集約、メディアコンバーターの撤廃のほか、より安全で早いネットワークの構築が必要となり、再構築プロジェクトの検討が、2012年1月から開始することとなった。

- 本プロジェクトにおける検討した要件についてお聞かせください。

梶氏 「ネットワークは、血管のようなものです。狭窄すれば、その分スピードが遅くなります。つまり、ネットワークと循環器は同じように重要なのです。ネットワークに求める要件は、既存より早くなることと、障害頻度が少ないことです。そして、ランニングコストを含めた全体で、低価格で実現できることを希望しました。」

この要件を満たすために提案活動を行ったのが、三谷商事株式会社 営業 柴田利明氏とエンジニア 南部和毅氏である。本案件の提案のポイントについて、話を聞いた。

 
三谷商事株式会社
営業 柴田利明氏



 
三谷商事株式会社
エンジニア 南部和毅氏

- 提案にあたっての提案のポイントは、どのようなものだったのでしょうか?

柴田氏 「信頼性やコスト面から検討し、当社では、HPネットワーク製品を提案することにしました。心臓血管センター 金沢循環器病院様には、HPネットワーク製品の事例紹介と、近隣の病院への弊社からの導入実績などから、安心感をもっていだけるよう努めました。また、ライフタイム保証によるランニングコスト低減を訴求し、評価いただけるように提案しました。」

南部氏 「要件にあった、既存のネットワーク配線をそのまま利用すること、高速で障害に強いネットワーク環境を実現するために、1階と3階に分かれている既存のコアスイッチの環境への導入検討を行いました。既存のアクティブ・スタンバイのコアスイッチ構成から、HP独自のネットワーク仮想技術HP IRF(Intelligent Resilient Framework)を利用し、余計なプロトコル等を使わないシンプルな冗長構成を行いました。さらにアクティブ・アクティブ構成にすることで、ネットワークの処理を高めることにしました。また、統合監視ツールIMC(Intelligent Management Center)を使って、機器監視と通知設定をすることで、迅速な障害対応を行えるようにネットワーク状況を把握できるように設計しました。そして、将来的にも長期にわたって使い続けられることを考慮して機器選定を実施、提案しました。」

これらの設計と提案を、既存ベンダーよりも先に提案していたこと、そしてその裏付けとなる技術スキル、サポートへの評価、さらに製品価格、ライフタイム保証によるランニングコストの低減が決め手となって、心臓血管センター 金沢循環器病院は、既存ベンダー1社と比較検討の結果、7月に三谷商事を導入ベンダーに選定した。


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  HP IRFの特長
 
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  HP IMC統合管理ツール

梶氏 「今回私たちは、既存ベンダーと三谷商事に、『10年間使用する場合のシミュレーションおよび体制』について提案を依頼したときの内容を重視しました。既存ベンダーでは、通常の保守期間で5年間、特別保守期間を含めて6年間ですが、HPネットワーク製品では、使用している限り、無償でサポートされるライフタイム保証によって、保守切れをおこしたり、リプレイスを行うことなく利用できたりするため、トータルのコストの差が、数千万円となったことが、HPネット-ワーク製品の採用を決定する大きな決め手になりました。試算の結果、HP提案に比べ、既存ベンダーのコストは2倍以上となっていたのです。」

導入時の考慮点

導入スケジュールは、7月の受注後、8月に本稼働という、約2ヶ月の短期間であった。この短期間での導入にあたって考慮したことは、ネットワークの切り替えであったという。

- 導入時に、特に注意した点について、詳しくお願いします。

梶氏 「当院は、24時間365日の体制で患者様を受け入れています。そのため、患者様にもっとも影響を与えずに、ネットワークの切り替え作業を行う必要がありました。三谷商事さんとの検討の結果切り替えの日時を、患者様が一番少なく影響が最小限に抑えられる、土曜日午前4時から5時に行うことに決定しました。」

 
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南部氏 「導入にあたり、まず既存のネットワーク構成図などの資料を確認し、どのように設計していくかの検討を進めました。ネットワークの切り替えには既存の配線を利用する必要があったため、一発切り替えでの移行の必要性がありました。そのため、事前に光ケーブルによる既存のネットワーク幹線の予備線を活用することで、コアスイッチおよびサーバースイッチを設置し、動作確認を十分に行いました。それらを行うことで、ほとんどの設置個所でサーバー、端末等のメタル線の差し替えだけで済むように準備をしました。
これらの入念な準備の結果、当日許されていた最小の停止時間で、スムーズにネットワークの切り替えを実現することができました。」

柴田氏 「実際の切替えを1時間という短い時間で行わなければいけないため、梶様と何度も打合せをさせていただき、プランの変更を重ね、最重要で稼働しなければいけない場所などを十分に把握しました。そして、当日必要となるネットワークに精通した人員の確保を行い、事前にできる準備を充分に実施した上で、当日の作業に臨みました。」

- 提案、導入にあたり、三谷商事様に対する日本HPの支援について、教えてください。

柴田氏 「ネットワーク構成や機種選定段階から、ネットワーク専門部隊と緊密な営業体制を作れたと思っています。ベンダーに劣らぬ覚悟を持って熱く支援してもらいました。また、受注からの納期が短く、構築、検証等のスケジュールがタイトになったため、日本HPには製品の早期出荷に協力いただき、導入に対応しました。」

南部氏 「設定等に関する問い合わせに関しても協力いただけため、スムーズに設定検証が行うことができました。ありがとうございました。」

導入後の効果

 
 
 

- 約半年が経過しました。 新しいネットワークの稼働状況は、いかがでしょうか?

梶氏 「今までのネットワーク環境では、動画を表示しようと思っても時間がかかり、1分くらい画面がフリーズしたような状態になることがありました。今は表示も速くなり、スムーズな画面表示ができるようになっています。今までは、端末に接続するネットワークスピードが100メガ程度だったものが、ギガクラスまでの通信が可能となっています。患者様への症状説明時にもそれは実感することができます。ネットワークを使用している医師やスタッフからのクレームもありません。現在のところ、ネットワークが原因となったトラブルは発生していません。期待以上の成果が現れています。」

- 今後のHPへのご要望をお願いします。

梶氏 「今後院内には、病室や廊下にも、さらに多くの端末が配置されるようになるでしょう。そのとき、それらの端末とネットワークとを、もっと融合するようなソリューションを期待しています。例えば、声で使用者を認識できたり、承認ができたりといったものです。」

柴田氏 「日本HPと当社のエンジニア同士のパイプをこれからも、もっと太くしていって欲しいと思います。そして、導入後も『ここぞ!』というときに頼れる窓口を提供していただけるといいと思います。」

南部氏 「貴社のPresalesの方々のご支援を強化いただきたいと思います。当社などのパートナーのエンジニアに同行して、IMC等の現状確認や増強などに対してのアドバイスや提案などをいただければと思います。また、製品に関しては、日本語ドキュメントの拡充、十分な技術資料の公開をお願いしたいです。よりFace to Faceのエンジニアトレーニングの場を増やしていただけると提案の幅も広がると考えています。」

- 本日は、お忙しいところ、お時間いただきまして、ありがとうございました。

日本の高度医療を支える現場で、HPのネットワーク製品が使用されている。
それは高額なシステムではなく、リーズナブルなものでユーザーがメリットを感じることができることを実証した。
これは医療現場だけではなく、ありとあらゆる環境で同様の効果を得られることを意味している。
HPパートナーには是非、ユーザーに提案をし、その効果を提供していただきたい。

HP Partner News 2013年4月23日号 特集記事]
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