『東京生産(MADE IN TOKYO)』昭島工場見学プログラムに潜入

~PC製品累計生産台数1000万台突破~

新宿から電車でおよそ45分。東京郊外に位置する昭島工場は、HPとCompaqが合併し、2003年1月に「MADE IN TOKYO」のPC生産を開始した、日本HPの生産および物流の拠点である。これまで数多くのデスクトップPC製品、ワークステーション製品、サーバー製品を日本市場に送り出し、2014年春にはPC製品の累計生産台数が1000万台を超えた。今回、複数パートナー参加型で開催された、HPパートナー向け昭島工場見学プログラムに同行した。

日本のお客様をサポートする生産・物流拠点: 昭島工場

見学プログラムの参加者が集合したミーティングルームに入ると、すでに部屋の中は満席だ。日本全国から集まったHPパートナーが、興味津々の面持ちで、始まりを待っている。

 

まず、工場内見学に先立ち、日本HP昭島事業所長 清水直行氏により、「Welcome to HP AKISHIMA」と題した昭島工場の紹介が行われた。

「昭島工場は、パソコンからHP ProLiantサーバーなどのコンピューター製品を、一台一台仕様の異なる完全注文仕様生産方式(Configure to Order, CTO)による生産を基本とし、日本のお客様をサポートする生産・物流の拠点として位置付けられています。お客様のさまざまなご要望にお応えし、短納期・高品質を心がけ、満足度の向上を常に図っています」と、清水所長は語る。

昭島工場で生産される製品は、法人向けデスクトップPC,パーソナルワークステーション、個人向けデスクトップPC,液晶一体型モデル AiO PC、法人向け/個人向けノートPC、HP ProLiantサーバー、およびブレードサーバーである。さらに、キッティング、ラッキング、ケーブリング、OSインストレーションなどのシステムインテグレーション作業も提供される。

いよいよ工場内部を見学

工場紹介を聞いた後は、工場内部の見学だ。

参加者一人一人に、工場の中でも説明スタッフの声が聞こえるようにワイヤレスレシーバーが配布され、安全を確認しつつ内部へと入っていった。
整然と並ぶライン、そして、整頓された部品の数々。見学者からも、感心の声が聞こえる。
まず紹介されたのは、PCおよびワークステーションの生産ラインだ。その生産ラインの工程は、次のようになる。

アッセンブリー(組立)> プリテスト(初期動作試験)> ラン イン(連続動作試験)> ソフトウェアインストール> 梱包> 抜き取り検査

 
 
 

アッセンブリーをする組立ラインは、稼働状況に合わせて作業者を増減させるフレキシブルワークフォースと、短いライン構成でスピーディーな生産を実現するショートライン方式を採用している。このラインの短さに驚く見学者はたくさんいるという。わずか6mのラインで1分以内に1台のPCが組み立てられます。

見学当日は、ワークステーションが通路手前のラインで組み立てられていた。説明スタッフによれば、「普段は奥のラインで組み立てされているため、近くで見ることができるのは非常に貴重な機会です」とのことだった。筐体に傷がないかを確認し、一台一台ラインに丁寧に投入され、スムーズに組み立てあげられていく。この傷を確認する作業一つ一つがほんとうに丁寧で、プロ意識を感じる。

ここ昭島工場では、一台一台の仕様が異なる製品を大量に生産するために、生産指示書は紙ではなく、シールに印字されたバーコードで管理されている。

「誤った部品を選択、あるいは、必要な部品がないとエラーとなり、ラインを先に進めることができません」(日本HP)

次は、プリテスト(初期動作テスト)工程になる。この工程は、CPUクロック周波数、メモリ容量、ハードディスク容量などのハードウェア構成を自動検査し、診断プログラムでテストする。この作業でオペレーターは、オーダーID、本体シリアルナンバーをバーコードによって読み込むと、自動的に必要な情報をダウンロードし、チェックを行うため、目の前にあるPCのハードウェア構成を意識することなく、モニターやスピーカーから出される指示に従って、テストを進める。

続いて、高負荷テストなど人手を介さないロングランテストのランイン(連続動作試験)が実施され、終了後自動的にOSとアプリケーションのソフトウェアインストールが実施される。

テストを終了した製品は、本体のクリーニング、外観検査をし、付属品と合わせて梱包される。その後、製品ラベルと保証書を添付し、完成する。

   

抜き取り検査にも手を抜かない

 

これで、すぐに製品が出荷されるわけではない。抜き取り検査を行って、品質管理をするのだ。

生産された全てのPC製品は、BTO製品(Build To Order:注文生産方式)は製品番号ごと、CTO製品(Configure To Order:注文仕様生産方式)は筐体、部品構成が同じものを1グループとし、それぞれ4%以上の抜き取り検査が行われています。平均すると7%近い製品が抜き取り検査を実施しています。」とスタッフが説明する。

参加者である株式会社エスエーティ マーケティング部 宮本礼子氏が「抜き取り検査の量と質について、想定以上で非常に印象に残りました」と述べるように、抜き取りテスト対象となる割合が意外に多いことに驚かれる見学者も多いようだ。

なお、昭島工場では他国の工場では実施していない日本オリジナルの試験となる、振動テストを実施している。昭島工場から注文したPCが、自宅または会社まで、トラックで輸送する際に起こる振動で問題が起きないか、時速100kmで1000km走行と同じ状態を作り、20分間でテストする。

「1000kmというのは、東京から北海道あるいは九州へ輸送した際の距離と想定しています」と説明スタッフが補足する。
抜き取り検査終了後は、1~2日で顧客に納品されることになる。

プロフェッショナルが一人でサーバーを組み立てる

続いて見学したのはPCと違う生産方式を採用している、HP ProLiantサーバーおよびブレードサーバーの製造だ。タワー型・ラックマウント型・ブレード型の、異なるタイプのサーバーに最適化された、独自のセル方式で製造する。このセル方式では、フルカスタマイズCTO(注文仕様生産)でサーバーマシン一台の組み立てから完了までを、1人の担当者が行う。
この作業が、この上なくきれいなのだ。

 

「サーバーの組立を行うのは、組立試験に合格したオペレーターだけです。これにより、組立の品質を向上させています」と説明された。

組み立てられたサーバーは、PCと同様に、プリテスト(初期動作試験)、ラン イン(連続動作試験)、ソフトウェアインストールが実施される。

さらに、顧客の要望に応じて、キッティング・ラッキング・ケーブリングを行い、出荷される。ケーブリング配線の美しさは、実際に近くで見ると感心するに違いない。マシン好きの人なら、グっとくるハズだ。

企業向けのシステムの場合は、この工程の後に、エンジニアがデータベースのインストールや、ストレージとの接続を行うサービスも提供されることも多いそうだ。この日も、エンジニアがシステム構築作業を実施していた。

   

製造現場を見学した経験が、自信のある提案につながる

当日、この見学プログラムに参加されていた、株式会社エスエーティの社員の方々に意見・感想を伺った。

まず、今回の見学プログラムに参加を決めた齊藤和彦氏に、その理由を聞いた。
「今回参加した4人のメンバーは、当社の新人です。取り扱っているHP製品を理解するのに良い機会だということで参加させていただきました。4人とも別々の組織から参加しているため、この工場見学はそれぞれの視点から見ることができ、非常にいい体験になると考えました。」
と、パートナープログラムを上手に活用し、日ごろのビジネスに役立てようとしているさまが伺えた。また、
「納期については、常に改善を図っていただきたいと思います。納期に対して常に早い対応ができるということが、HPの強みだと思います。今後ともよろしくお願いします。」
というHPへの期待を込めたメッセージが寄せられた。

続いて、メンバーの方に、見学後の感想を聞いた。

技術部 高橋寛生氏
「HPの完成品はよく見ていましたが、生産現場を見たのは初めてで、とても新鮮に感じました。お客様と製品の仕様について話をすることはよくありますが、その背後にあることをお話しすることはほぼありませんし、ブラックボックス的になってしまうこともあります。しかし、今回製造現場を見たことで、『実はこのように製造されていました』『このように管理されていました』といったように、HP社の製品のアピールポイントを話すきっかけになると思います。」

営業部 高木彰氏
「すごく統制のとれた、規律のある現場でした。それぞれのオペレーターのみなさんの作業も早くて、効率的で、信頼性の高い現場だと感じました。」

フィールド・サポート部 高嶋隆一郎氏
「不良品がでないような仕組みや、不良品が出てしまったときの対応の仕組みがしっかりしていて、作業効率を落とさないようになっていて感心しました。」

マーケティング部 宮本礼子氏
「マーケティング部に所属しているため、実際の製品を触って構築するということはありません。そのため、今回実際のラインを見たことで、どのように組み立てられ、テストされているかを見ることができたことは、大変勉強になりました。特に、抜き取り検査の量と質について、想定以上で非常に印象に残りました。」

 

全体の感想としては、「今回見学プログラムに参加したことにより、製品に対する信頼感が更に増したと思います。カタログだけでは知ることができない、どうやって作っているかという工程を見ることで、提案製品への自信が違ってきます」とのことだった。

参加者から、「参加して楽しかった」「製造現場、品質検査の様子を見たことで、自信をもって提案することができる」「普段、製品を直接触らない部署にいる人にこそ、参加してもらいたい」という感想が非常に印象に残った。

グローバルと日本のメリットでお客様、パートナー様を支援

HPの生産拠点の特長は、例えば、PCだけでも年間6000万台出荷するという、HPグローバルのサプライチェーンの調達力を活用しつつ、同時に常に顧客の近くにあることで、市場の要求に密接に、決め細かく対応できる体制であるという。

そして日本国内市場向けには、昭島工場がきめ細かく、国内の顧客やパートナーに対応しているのだ。

 

定期的に、この昭島工場見学プログラムは実施されている。まだ参加してないHPパートナー、また、以前参加したこともあるHPパートナーにとっても、経験すれば、新しい発見や気づきは、間違いなくあるはずだ。中には、昭島工場を見学することで、エンドユーザーが納得して購入を決めてくれる、ということもあると聞いている。
そしてこの経験は、間違いなくHPパートナーにとってのビジネス拡大への一助になると感じる。百聞は一見にしかず。ぜひ、機会をもうけてMADE IN TOKYOを体感してほしい。

HP Partner News 2014年7月8日号 特集記事]
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