ビジネスチャンス拡大に向けたHPのクラウド戦略 「HP Helion」とは?

 

日本HPは10月28日、ハイブリッドクラウド環境の構築できる商用OpenStackディストリビューション『HP Helion OpenStack』の提供開始を発表した。同時に、クラウドへの移行を支援する、HPの経験豊富なアーキテクトや、クラウド技術者から構成される新組織も発足した。本特集では、HPが打ち出した新しいクラウド戦略『HP Helion』を紹介するとともに、パートナーにとっての新しいビジネスチャンスを日本HPのキーパーソンに聞いた。


「まず、HPパートナー様にお伝えしたいことは、今回発表した製品をはじめとして、HPのクラウド戦略では、皆様とこの新しいビジネスチャンスをぜひご一緒したい、ということなのです」と冒頭から熱く語るのは、日本HPでクラウドビジネスをリードする春木菊則(クラウドビジネス統括本部 統括本部長) 氏だ。

HPの新しいクラウド戦略『HP Helion』とは?

「“クラウド”というと、とかく<パブリッククラウド>が話題になりがちです。しかし、大手調査会社よれば、2020年においても、パブリッククラウドのITシステムに占める割合は、グローバルでも15%程度で、大部分は、<プライベートクラウド>です。プライベートクラウドでは、これまでパートナー様と一緒に作り上げてきたモデルをさらに展開することで、新しいビジネスチャンスを作り上げていくことが可能です」と続ける。

つまり、クラウドという新しい波は、「パブリッククラウド上にユーザーのシステムを移行や構築する」ということだけでなく、大部分は、「ユーザーのシステムを仮想化や自動化のテクノロジーを利用して、柔軟なIT基盤をオンプレミスで構築していく」ことが主流だということなのだ。これは、HPパートナーにとってもビジネスチャンスになるということでもある。

このような考えのもと、HPでは今年5月、OpenStackを中心に据えた包括的なクラウドサービス/製品群『HP Helion』を発表、今後2年間でHPはクラウドに10億ドル以上の開発投資を行うとことに決めた。

春木氏は、「HPがクラウドを提供するというと、パブリッククラウドだけを提供すると誤解される場合が多いのですが、我々はそれだけではなく、お客様やパートナー様がクラウドを構築できるソリューションも同時に提供していきます。それらを統合するブランド名が、『HP Helion』となります」と説明する。

 


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HP Helionでは、すでに多くのユーザー、パートナーが導入しているプライベートクラウド基盤 『HP CloudSystem』、『マネージドクラウド』、そして、米国を中心としたパブリッククラウドサービスである『HP Helion Public Cloudサービス』を提供している。その中に、今回発表した『HP Helion OpenStack』が新しいポートフォリオとして加わったことになる。

HPは、クラウドを作りたいお客様のためにも、使いたいお客様のためにも、パブリックあるいはプライベートクラウドを構築・導入するためのプラットフォームと、マネージド/パブリッククラウドサービスを提供するハイブリッドデリバリの戦略を遂行するということなのだ。

HPがOpenStackに貢献する理由は?

では、具体的に、今回の発表について見ていこう。今回発表した製品は、オープンソースOpenStackをベースにしたディストリビューション『HP Helion OpenStack』だ。

 


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HP Helion OpenStackは、その名称にあるようにOpenStackベースに開発された製品である。そのため、OpenStackに対するHPの取り組みから紹介することにしよう。

「たとえば、自家用車を購入するのと、レンタカーを借りるのでは、どちらが得か?と考えた際、家族構成や用途などによって、どちらにも利点があります。クラウドを利用する立場も同様で、<パブリッククラウド>にも<プライベートクラウド>にも利点があります。しかし、ここで必要なことは、クラウドのプラットフォームが「使えるもの」になっていなければならないという点です。それには安全であり、俊敏な基盤を構築でき、そして、そのプラットフォームがクローズではなく、オープンであることが重要だと考えています。HPでは、このような考え方に基づいて、クラウド基盤として、オープンソースであるOpenStackの採用を決めたのです。」

OpenStackは、オープンソースによるIaaS (注: サーバー、CPU、ストレージなどのインフラをサービスとして提供する) 基盤の開発プロジェクトで、2010年に米ラックスペースホスティングと米航空宇宙局(NASA)が公開したオープンソースから始まった。このプロジェクトに興味を持った多くのプログラマー、エンジニア、企業、団体が参画し、2012年には、非営利団体OpenStack Foundationが発足。現在、OpenStackの開発とさまざまな権限がこの財団に移管されている。

「HPは、現在8社しかいないOpenStack Foundationのプラチナ・メンバーです。ボードメンバーとしてプラチナ・メンバーとしては最も多い2名が参加し、また、多数のHPエンジニアがOpenStackの開発プロジェクトに主要プロジェクトのリーダーとして、あるいは重要なメンバーとして加わり、開発および普及に貢献しています。例えば、最新版であるJunoに対する開発貢献度では、企業ではHPが一位となっています」と春木氏は、HPによるOpenStackプロジェクトに対する取り組みを説明する。

これらのメジャーリリースをベースにして、HP独自の価値を加えて提供されるのが、HP Helion OpenStackだ。

HP Helion OpenStack、3つのポイント

 


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今回発表されたHP Helion OpenStackは、今年4月にリリースされたIcehouseをベースとし、11月25日から受注・出荷開始される。

HP Helion OpenStackの特長と価値は、3つのポイントにまとめられるという。

「1つめのポイントは、当社が、パブリッククラウドおよび5月から提供中の無償版で得た、OpenStackの運用経験とノウハウを製品に活かした成果を基にし、”楽で安心” して導入いただけることです」と春木氏。

具体的には、TripleOインストーラーが環境全体を自動セットアップし、さらに、OpenStackの可用性、拡張性、運用容易性を高める付加機能を搭載する。

「2つめのポイントは、” 先進機能” の提供です。現在のベースとなるOpenStackメジャーリリースに搭載されていなくても、最新のリリースで含まれている最新機能や、プロジェクトで開発されている機能をいち早く製品版に取り込みます。」

今回発表したHP Helion OpenStackにおいては、OpenStack最新リリースであるJuno で提供されているNeutronの分散仮想ルーター、現在開発中である、素の物理サーバー(ベアメタル)へのOpenStackのインストールを自動化するIronicがいち早く組み込まれている。

 


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「3つめのポイントは、CPUやメモリ量によらない、物理サーバー単位の使用権と、テクニカルサポートを含めたサブスクリプション製品として、リーズナブルな価格で提供していることです。他のOpenStackディストリビューションではサーバーのCPUコア当たりの価格体系がよくありますが、HPではシンプルに物理サーバー単位の契約です。さらに、パッケージには、多くのパートナー様にもすでに導入いただいております、仮想ストレージアプライアンスHP StoreVirtual VSA(Lefthand)や、ハイパーバイザーにKVMを採用したHP独自LinuxであるhLinuxなどの魅力的なソフトウェアもバンドルしています。」

HP Helion OpenStackは、1年単位のサブスクリプションモデルとなっている。価格は、9 x 5テクニカルサポート付きサブスクリプションが1物理サーバーあたり12万9000円、24×7テクニカルサポート付きサブスクリプションが1物理サーバー当たり23万6000円である。

HP Helion OpenStackでは、今後OpenStackプロジェクトによる6カ月ごとのメジャーリリース後6週間程度を目途に、これに対応したリリースを提供する。そして、約3カ月ごとに、バグフィックスなどのためのアップデートを提供する。サブスクリプション契約期間内ならば、無償でアップデート可能だ。

これらの3つの特長と価値を持ったOpenStackディストリビューションが、HP Helion OpenStackだ。

HP Helion OpenStack Professional Servicesの発足

 


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今回、HP Helion OpenStack サブスクリプションに加えて、OpenStackの開発、運用に関わる数百人のエンジニアを中核とするHP Helion OpenStack Professional Services部門をアジアパシフィック地域に発足した。日本にも多数のエンジニアが在籍し、テクノロジーアセスメントから、設計と検証・構築、OpenStack環境への移行までをトータルにサポートする。従来も定評のあるコンサルティングサービスと連携し、OpenStack対応ストレージやバックアップ、ファイル共有といった周辺部分までを含めて、さまざまなメニューを提供していく。HP パートナーも、彼らの提供するプロフェッショナルサービスを利用することも可能である。

HPパートナーへのメッセージ

最後に、春木氏にHPパートナーへのメッセージを聞いた。

 


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「プライベートクラウド基盤 HP CloudSystemをはじめとして、HPのクラウドプラットフォームのご拡販ありがとうございます。今回、新しく発表したHP Helion OpenStackは、パートナー様がお客様に対してクラウド環境を提供できるコンポーネントであるだけでなく、パートナー様自身がクラウドサービスを社内あるいは社外に向けて提供できる先進機能を持ちながらも、安心して活用していただける製品となっております。
検討してみたい、触ってみたいというパートナー様は、無償版であるHP Helion OpenStack Community の利用や、日本HP担当営業まで、ぜひご相談ください。」

クラウドというと、著名なパブリッククラウドサービスがニュースとして取り上げられる機会が多いが、プライベートクラウドの事業機会の拡大にもぜひ注目してほしい。大手調査会社の調査では、国内におけるプライベートクラウドの成長は、40%を超えているという。その中でも、最大の注目は、OpenStackであることには間違いない。いち早くHP Helion OpenStackを利用して、来年のビジネスを計画してみてはいかがだろうか?

HP Partner News 2014年11月18日号 特集記事]
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