自社IT環境がショールーム!
JBSがHPネットワーク製品で自社ITネットワーク基盤を刷新

 

ITソリューションプロバイダーにとって、他社と差別化し、新しいテクノロジーに対応した投資効果の高い提案を実施できることは、大きなポイントの1つだ。

本特集では、ソリューションプロバイダー 日本ビジネスシステムズ株式会社が、新オフィス開設に合わせて、取り組んだ自社基幹ネットワークを刷新した事例を紹介することで、HPパートナーのビジネスに役に立つ情報を提供したい。


1990年に設立された日本ビジネスシステムズ株式会社 (以下、JBS)  は、設立以来『カスタマー・ファースト』というポリシーを掲げ、「お客さまにとって最良のシステム・最善のサービスを」と発想し、事業展開するITソリューションプロバイダーである。

 
   
 

JBSは、2014年8月に虎ノ門ヒルズに新たにオフィスを構えることになった。新オフィスのオープンに合わせて、旧オフィスではシスコ製品だけで構築されていた基幹ネットワークを、HPネットワーク製品で構築した。

HPネットワーク機器導入の背景

日本ビジネスシステムズ株式会社 インフラストラクチャーソリューション本部 本部長 友枝 達也氏
日本ビジネスシステムズ株式会社
インフラストラクチャーソリューション本部
本部長 友枝 達也氏

 
 

JBSは、2014年8月の新オフィス開設に備え、その1年前から社内ITインフラストラクチャーの最適化の検討を開始した。

「新しい基幹ネットワークを1つの視点に固まらず、幅広い選択肢から採用することを考えることにしました」と、当時、新オフィスのITインフラストラクチャー構築の責任者であったインフラストラクチャーソリューション本部 本部長 友枝達也氏は語る。

旧オフィスでは、すべてのネットワークがシスコ製品で構築されていたという。
「旧オフィスのネットワークも、私たち自身が設計・構築したものです。安定して稼働していましたので、すぐさま対応しなければならない大きな問題を抱えているという訳ではありませんでした」と友枝氏は話す。

しかし、新オフィスの基幹ネットワークを検討するにあたり、当時の基幹ネットワークから、2つの課題が見えていたという。

1つ目の課題は、社内基盤としてネットワークの重要性が増大していたが、まだ、既存の基幹ネットワークでは、冗長化が不十分があったことだ。さらに、旧オフィスは、グループ会社の一部が入居していなかったが、新オフィスでは、当時のJBSグループ4社が初めて同じオフィスに入居することになったため、利用者の規模が増加することになり、さらにネットワークの安定稼働が求められるようになった。
「新しい基幹ネットワークは、グループ全体に対するサービス提供という意味がありますから、安定稼働は最重要でした。しかし、以前のネットワークは、老朽化しており機能追加等もしていませんでしたので、新しい基幹ネットワークには冗長化を図ることを必須と考えました」と友枝氏。

もう1つの課題は、JBSが社内のエンジニア向けに提供してきた開発・検証環境の性能が徐々に低下してきたことだという。

「当社では、開発・検証環境として仮想サーバーを利用しますが、1物理サーバー上に50?60個も仮想サーバーをたてることもあり、社内からアクセス速度が遅いという指摘が増えてきていました。旧オフィスのネットワークは、帯域が細く、性能が十分ではなかったからです。今後の事業展開を考えると、新オフィスのネットワーク環境は、サーバー周りのネットワーク帯域はすべてを10Gbpsにしないと、当社のビジネスに悪い影響が出ると認識していました。」(友枝氏)

システムの検討から、HPネットワーク製品採用について

 

友枝氏によれば、これらの2つの課題を解決するために、従来通りシスコ製品だけで新ネットワーク基盤を構築できるとも考えたが、HPネットワーク製品を含めた他社ネットワーク製品の検討を開始したという。

「当社は、システムインテグレーターという立場ですので、お客様に最新のソリューションを紹介し、そして、お客様にメリットのある提案をしていく必要があります。そのため、まず1社のネットワーク製品だけで統一することをやめようと判断をしました。
以前からHPネットワーク製品についての情報収集や、知識の習得はしていたのですが、視野を広げて他社製品を検討する中で、HP製品の機能や価格に十分な優位性があると考えました。当社にはシスコ製品をよく知るエンジニアが多くいますが、シスコ製品を知っていれば、HP製品も容易に検討することができたのです。HPネットワーク製品はオープンなテクノロジーを謳っているだけあり、ネットワークエンジニアにとっても理解がしやすかったようです」と、友枝氏は検討の背景を紹介する。

そこで、JBSでは、2014年3月に日本HPにコンタクトを開始。
「日本HPの担当者には、机上だけではわからないHP製品の技術上の質問に対して、素早く情報提供をいただけました。実機を使った検証も、日本HP大島本社で実施し、もちろんコストについても、相談に乗ってもらいました」と友枝氏。
当初、2014年4月に機器選定を終了する予定であったが、HPとシスコの提案をじっくりと検討する必要があり、最終的にHPの採用を決めたのは、2014年6月だった。決定にあたっては、さまざまな比較項目があったと友枝氏は解説する。


今回採用された5900シリーズ

 

「複数のベンダー製品を採用し、インテグレーションして安定稼働させるには、HP製品とシスコ製品との相互接続性が重要ポイントでした。
また、当社はHP ProLiantを提案することが多いため、サーバー周りのネットワークを構成する上で、HP ProLiantとの接続性が良好であることも大切です。
そして、もちろん価格比較もポイントでした。特に今回は、サーバー周りのネットワークをすべて10Gbpsにすることを決めていましたから、10Gbps 対応のスイッチ価格が重要です。以前に比べて価格が下がったといっても、全面採用となるとトータルコストは膨らみます。しかしHP製品であれば、10Gbps対応のスイッチで構成しても安価に抑えられます。結果として、HP製品の方がコストメリットがあるとわかりました。
さらに、HPネットワーク製品を採用することで、シスコだけではないネットワークの構築もできることを市場へアピールできる点も考慮に入れました。これらの点を総合的に判断し、HPネットワーク製品の採用を社長に提案し、承認されました。」

HP IRFテクノロジーの活用で、ネットワーク構成が柔軟に

本番導入にあたり、友枝氏は、「HP IRF(Intelligent Resilient Framework)テクノロジー」を活用したいという思いがあったという。

 
HPのネットワーク技術 IRF
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HP IRFとは、複数のネットワークスイッチを論理的に1台のスイッチとして仮想化するテクノロジーである。従来型ネットワークに比べ、シンプルかつ高性能で耐障害性に優れた次世代ネットワークを提供することができる。これにより、ネットワークの複雑性を解消しながら、パフォーマンス不足を解決できることになるのだ。

HP IRFの活用にあたり重要視していたのは、シスコ製品との相互接続性、互換性だったという。

「2014年7月に、当社のキッティングセンターにおいて、HP IRF を使ったL2、L3の環境を用意し、シスコ製品ではVSSという機能を利用して、2つのネットワークをチャネル接続・対向接続を実施し、接続性や安定性を検証し確認しました。互換性や接続性のような技術的な問題はありませんでした」と、友枝氏は相互接続性に自信を持った。

当初、予定では、構築期間として2014年8月から2週間を予定していたが、他の工事の影響から、実作業期間が短縮され、1週間となってしまったという。

「このような短期間で構築しなければいけないということで、当初は不安もありましたが、問題なく構築が成功したことで、メンバーも満足しました。私たちも、ここまですんなりと動作するとは考えていませんでしたので驚きでした。日本HPへの問い合わせもほとんどしていません。物理的な互換性、論理的な互換性ともに高かったことが、この結果につながったと考えています」と友枝氏。

構築中に論理構成の再検討が必要になったが、構成の自由度が高く、非常にスムーズに対応できたことで、HP IRFテクノロジーのメリットを実感したという。運用についても、従来シスコ製品を運用していたエンジニアが、今回導入したHPネットワーク製品の運用にすんなりと対応できており、問題も発生していないという。

新ネットワーク稼働後の効果とナレッジの展開

新基幹ネットワークシステム稼働後の社内での評価をついては、どうであろうか?

「私は、新オフィスの基幹ネットワークシステム構築後異動となり、社内ユーザーという立場でネットワークを利用しています。トラブルが発生していないことだけでなく、サーバー周辺のネットワークを10Gbpsに変更したことにより、以前のオフィスよりも快適なサーバーネットワーク環境に満足しています。社内の知り合いからも、グループ会社の社員からも、前のオフィスよりもネットワーク環境が良くなったよねという声を聞いています」と友枝氏。

JBSでは、サーバーやネットワークだけに限らず、ソフトウェアを含めたソリューションを販売する際、まず自社できちんと検証し、使えるものを提案するというモットーがあるという。特に社内システムに導入する場合は、ある意味ではお客様に提案するための実験場であるとも考えているという。新しいチャレンジを積極的に進めるというためにも、エンジニアに経験を積んでもらうという位置づけでもあるそうだ。これにより、自社できちんと動いているから大丈夫だという自信を持って提案できることにつながるのだという。JBSでは、すでに今回のネットワーク構築のナレッジを自社の提案活動につなげている。

 
 

「正直に申し上げて、今回導入するまでは、HPのネットワーク製品の性能や構築時の設定に疑問や不安を持っていたメンバーもいたのは事実です。しかし、実際に導入してみて、動作している状態を見て、エンジニアの意識も変わったと感じていますし、会社としてのメリットも多くあったと思います。
特に当社は、新オフィスをショールームとして活用していて、サーバールームのネットワークをほぼHP製品で構築していることを、お客様にご紹介させていただいています。ネットワークソリューションを提案させていただいているお客様に対して、今回のHPネットワーク製品とシスコ製品を使ったネットワーク環境を紹介すると、とても興味を持っていだけているのです。」と友枝氏は、HPネットワーク製品導入の効果を説明する。

一方で、既存のネットワークをシスコ製品で構築しているお客様では、HPネットワーク製品を導入することで、そのナレッジをすべて捨ててしまうことになると考え、抵抗を感じる人もいるという。

「そのようなお客様には、日々変更が入ることが多い領域には運用者が慣れているシスコ製品を、そして、サーバーを中心としたデータセンターやラック内ネットワークにはHPネットワーク製品を提案するといったように、適材適所での採用をご紹介しています。両社の特徴を活かして相互接続ができていますから、今後ネットワーク機器の入れ替えがあった場合、当社の環境を紹介することで提案につなげていけるようにしています。」

今後のHPネットワーク製品の事業展開

今後の事業展開にあたり重要となる、HPネットワーク製品を理解するエンジニアの育成について、友枝氏は次のように説明する。

「元々シスコ製品を知っているエンジニアが多かったので、HP製品との差分を理解すれば、容易にキャッチアップできました。また、トレーニングや資格取得は積極的に進めています。HPは、ベンダー独自の技術ではなく、標準技術を重要視していて、業界標準のテクノロジーをしっかりと実装するという意図が強いと感じています。そのためエンジニアの育成には、王道的な技術にしっかりと触れるという意味で、HP製品を触ることには大きなメリットがあると理解しています。」

 

そして、HPネットワーク製品の提案活動について、次のように続ける。

「私は、パブリッククラウド化がそこまで進むとは思っていません。だからこそ、オンプレミスのサーバー周辺は、より重要視していく必要があると考えています。特に、HPネットワーク製品は、当社が力を入れているProLiantサーバーや3PARストレージなどのHP製品との親和性においては、シスコ製品よりも当然ながら安心感があります。そのため、データセンターやラック内のネットワークについては、今回得ることができたナレッジを使って、HPネットワーク製品を積極的に販売・提案していきたいと思っています。」

今後の日本ヒューレット・パッカード株式会社への期待または要望

最後に、日本HPへの期待と要望を聞いた。

「ユーザーのネットワークへのアクセスが、以前のような、オフィスの自席に座って、有線LANで接続されたネットワークでサーバーにアクセスするといった環境から、ワイヤレス、リモートアクセスなど、ネットワーク環境へのアクセスの自由度が必要となり、結果として従来は日中の稼働を考慮すれば十分であったのが、24時間どこからでもアクセスが可能な、安定したネットワークが求められるようになってきています。それには、サーバー周辺のネットワークの安定性がますます重要になります。そういう意味で、サーバー事業を長らく展開されているHPには、サーバー目線でネットワークの高機能化とシンプル化を同時に実現していただけると、よりHPネットワーク製品の優位性が高まってくると思います。また、サーバーとネットワーク、ストレージとネットワーク、あるいは3つの製品を同時に販売するときに、サポートサービスまで含めたコストメリットを提案できるような仕組みがあるとうれしいですね」と友枝氏は締めくくった。

自社環境をショールームとして、新しいテクノロジーにチャレンジし、そこで得たナレッジをお客様に提案するJBSの手法は、参考になるパートナーも多かったのではないだろうか。


シスコ製品でなくてもよい領域があると理解しているユーザーが増えている今、HPパートナーには、脱シスコ製品を検討しているユーザーに、コストメリットだけでなく、今回紹介したように標準技術を積極的に採用したHPネットワーク製品を提案することで、今まで入り込めなかった領域にビジネス機会を広げることができるに違いない。
日本HPでは、そのような取り組みを行うパートナーを積極的に支援している。
その一環として、今号本編Hot Topicsでもとりあげたように、HP Partner Portalに、CiscoとHPネットワーク製品の相互接続に関しての レポートを2種類提供中だ。
こちらも是非併せて活用してほしい。


概要レポート、クックブックはこちら  <HP-シスコ社デバイス間相互運用性試験結果>

HP Partner News 2015年4月21日号 特集記事]
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