ネットワークシェア1位へ準備完了! HP+アルバネットワークス

 

 

INTEROP TOKYO 2015最終日に登壇した HP Networking Vice President Advance Technology Group & CTO であるマーク・キャロル氏の基調講演は、開始前から会場前に長蛇の列ができ、500席が埋まり、立ち見が出る状態で、開始予定時間をオーバーするほどの熱気を帯びて始まった。

キャロル氏は、『有線/無線ネットワーク統合とSDNがもたらすネットワーク簡素化の価値』と題した基調講演の中で、アルバネットワークス買収の背景を語るとともに、両社が生み出す新しいHPネットワーク事業のイノベーションと価値を語った。

高まるネットワークの重要性


HP Networking Vice President
Advance Technology Group&CTO
マーク・キャロル氏

 

まず、キャロル氏は、2020年には、500億のデバイスがインターネットに接続し、1兆のアプリケーションが稼働するという調査会社による予測を紹介した。

そして、「このような環境では、ユーザーの期待は、いつでもどこでもネットワーク、アプリケーションが利用可能であることです。そのためには、ネットワークの可用性が重要になってきています」と高まるネットワークの重要性を語った。

このように重要となるネットワークにおいて、従来、投資効果といった視点ばかりから語られがちであったが、今、「ユーザーエクスペリエンス」(体験)を優先的に配慮しながら、事業を検討するように変化してきているという。それには、従来のキャンパスネットワークからのモバイルワークプレイスという大きな変化が背景にある。では、モバイルワークプレイスとはどのような環境であろうか?

マーク氏は説明する。

「今までは、働く人はオフィスに行って仕事をしていましたが、これからはオフィスでも、家でも、出張先でも、どこでも働ける環境が提供される必要があります。職場も、区画の決められた席より、チームが重視されるようになり、オープンスペースを中心にしたワーキングスペースになっています。セキュリティについても大きく変わりました。今までは、オフィスあるいはデータセンターのファイヤーウォール内か外かといったように、ある種の境界をベースに決められていましたが、これからは、ポリシーベースで分散型のセキュリティが必要になります。そしてID管理は、デバイスをベースにしたものから人をベースにしたものへと変わります。」

つまり、これからは人の移動に合わせて、負荷分散、セッション、帯域やアクセスポイントなどの再割り当てを実施しながら、ユーザーエクスペリエンスを損ねずに、ネットワークを構成していくことが重要となるのだ。

“モビリティ”がすべての産業において変革をもたらす

このとき、重要となる考え方が、“モビリティ”であり、“モビリティ”がすべての産業において変革をもたらしているという。“モビリティ”とは、単にモバイルに対応した製品を揃えることではなく、会社の在り方や方向性、仕事のスタイル、従業員の意識までをトータルで考えることを指す。

 

「教育の領域では、完全なデジタル化を進めている学校が増えています。タブレットやPCを活用し、教材の電子化が図られています。生徒や学生は、授業を受けるために、教室や講堂などの場所を移動します。そして、家でも勉強します。つまり、必要となるネットワークが変化していくのです。医療やホテルなどでも無線技術の活用が進んでいます。自宅にいる患者に対して、遠隔からモニタリング診療なども始まっています。ホテルや観光施設においても、来場者の実に94%がWi-Fi (無線を活用したネットワークアクセス環境)がもっとも重要なアメニティであると考えています。私も今回の基調講演のため来日し、日中はお客様にお目に掛かっていますが、夕方以降はネットワークに接続して、米国と電話会議をし、いつもの環境で働いているように、どこからでもアクセスできることが重要です」(キャロル氏)


"モビリティ"がすべての産業で
変革をもたらす
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HPネットワークとARUBAの組み合わせが
成功へと導く
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このようなモビリティが変革を起こす環境において、大きく事業展開したいということが、HPがアルバネットワークスを買収した背景にあり、アルバネットワークスのポートフォリオが加わることで、HPネットワークのビジネスが加速すると考えているという。

キャロル氏は、その理由を説明する。

「まず1つめの理由は、アルバネットワークスの“Customer First, Customer Last”という企業文化が、HPの企業文化に合致しているからです。“Customer First, Customer Last”とは、製品開発の際には、まずお客様と対話をし、お客様にご利用いただく上で問題が発生した際にも、最後までお客様のネットワーク環境最適化の支援を怠らないという文化です。

2つめが、アルバネットワークスのポートフォリオがHPネットワーク事業にぴったり一致し、強化につながることです。特に、無線LAN、モビリティ、クラウドへの取り組みがそれにあたります。

3つめが、モバイルキャンパスネットワークや、クラウドが主導するデータセンターでの優位性です。両社のシェアを合わせることによって、モバイルキャンパスネットワークにて世界シェア2位となり、最終的にCisco社に勝利できると考えています。データセンターにおいても、HPのサーバー、ストレージをレバレッジし、優位に事業展開を図ることができます。」

モビリティに対するHP+アルバネットワークスの製品戦略

では、モビリティに対するHP+アルバネットワークスの製品戦略はどうなっていくのだろうか?

まず、キャロル氏は、モビリティがもたらす変革を推進するテクノロジーが、「IEEE 802.11ac Wave 2」であるいうことから、話を進めた。

2014年1月に承認されたIEEE 802.11ac Wave2は、最大8ch(160MHz幅)を束ねた広いチャネル幅や、MU-MIMOの実装などによって、最大6.9Gbpsの広帯域を実現する。MU-MIMOとは、電波を細く絞り特定の方向に向けて集中的に発射するビームフォーミング技術によって、同時に同じチャネルで、複数の機器に対して複数の通信を実現することで、転送速度・安定性を向上するものだ。

「IEEE 802.11ac Wave 2によって、1Gビット以上の高速無線ネットワークを実現することができます。高速無線ネットワークに対応するために、アクセスポイントやスイッチも刷新されることになります」とキャロル氏は述べる。

そこでHPが提案するのが、INTEROP TOKYO 2015パフォーマンスオプティマイゼーション部門で、グランプリを受賞したマルチギガビット・ツイストペア・ネットワーク・インターフェイス・モジュール「HP Smart Rate」である。

INTEROP TOKYO 2015 パフォーマンスオプティマイゼーション部門 グランプリ受賞 「HP Smart Rate」

INTEROP TOKYO 2015 パフォーマンスオプティマイゼーション部門
グランプリ受賞 「HP Smart Rate」

 

世界中で使われている多くの有線ネットワークは、1Gbpsに制限されている。またアクセスポイントの接続先となるスイッチポート速度にもボトルネックがあった。一方で、配線を新たに10Gや40G、100Gbpsといった速度へ対応させるためには再配線が必要で、高額な投資となるため、ネットワーク移行への障害になっていた。

そのような背景から登場したのが、「HP Smart Rate」だ。HP Smart Rateは、既存のネットワークを張り替えることなく、既存配線を再利用しながら帯域幅を大幅に拡大し、転送速度2.5?5Gbpsを実現する。つまり、「スイッチやアクセスポイントは、配線工事に比較して安価」(キャロル氏)であるため、HP Smart Rateは、 IEEE 802.11ac Wave2の最大限のパフォーマンスを実現しつつ、新たなネットワーク基盤への投資を抑えることができるソリューションということだ。

 
モビリティを重視した設計
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続いて紹介したのが、ClearPassだ。アルバネットワークスのソフトウェア製品であったClearPassは、モバイル環境でセキュアなネットワークアクセスを提供する。モビリティを想定したポリシー管理が1つに統合され、SDNやその他のネットワークを終端まで設定が可能である。RADIUSとTACACS+による拡張性の極めて高いAAA(注)、およびユーザーの役割、デバイスの種類、アプリケーションの使用状況、場所などのコンテキストデータを活用するポリシーエンジンが特長だ。
注: AAAは、Authentication(認証)、Authorization(認可)、Accounting(アカウンティング)の略称

「ClearPassは、このINTEROP TOKYOにも出展しているFORTINET社、paloalto NETWORKS社などのマルチベンダー環境にも対応し、一括したポリシーの適用や、混在したセキュリティ環境を構築できます」とキャロル氏は、オープン性に関してもアピールをした。

そして、モビリティといえば、位置情報を活用したソリューションが欠かせない。キャロル氏が紹介したのが、Meridian と Context Engine の位置情報サービスである。こちらは、HPブースで紹介していた事例を紹介することが分かりやすいだろう。

アメリカンフットボールの人気チームである49ersが新しい本拠地スタジアム(約7万人収容) で導入した事例だ。スタジアム建築段階からネットワーク構築に参加し、環境を構築したという。スタジアムにいる3万人以上の観客は、高密度で着席し、スマートフォンでWi-Fiネットワークを利用する。1試合あたり3.3TB のデータがSNSなどにアップロードされ、広帯域のネットワークが消費される。GPSが届かないエリアでは、座席の下にはビーコンが設置され、位置情報取得できるようにし、ネットワークサービスを総合的に提供されているという。

もちろん、これらのモビリティに対応したネットワークでは、セキュリティを保護しなければならない。キャロル氏は、HP SDN Network Protectorを紹介する。HP SDN Network Protectorは、マルウエア、データ盗難、不正侵入を判別、検疫し、制御する最新のSDNソリューションだ。

このような、モビリティを意識したネットワークソリューションが、新生HPネットワーク事業のセールスポイントとなる。

そして、HPネットワークの導入事例としてHP自社への事例、秋田県湯沢市の基幹ネットワーク刷新事例、ミネソタ州南ワシントン郡教育学区のSDNを利用したネットワーク刷新事例を紹介した。

パートナーの新しいビジネスチャンスに

キャロル氏は、最後に、HPとアルバネットワークスの顧客は、全世界で3万社以上であり、増加を続け、Global 100に入る82%の企業が製品を利用し、グローバルで第2位のネットワークベンダーであることを紹介し、お客様に対して情熱を持って今後も事業を展開するという抱負を語って、基調講演を終了した。

 
顧客への情熱に築き上げられる
HPとARUBAの取り組み
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展示会場のHPブースでは、今までのHPネットワークの無線LAN製品に加えて、グランプリを獲得したHP Smart Rate、アルバネットワークスの無線LAN製品、ClearPassが一挙展示され、多くの来場者が熱心に担当者に話を聞いていた。

特に、連日の立ち見となったのが、HPとアルバネットワークスによる共同ミニセミナーだ。

スピーカーが強調していたことは、アルバネットワークスが、市場では無線ベンダーという認識があるかもしれないが、創業当初からモビリティの世界がどうなるかということをいつも考えている企業であるということだ。モビリティの世界で、どのような環境を構築していけば、ユーザーや企業、組織にメリットがあるかということを考えているという。その中で、無線LANだけでなく、キャロル氏の基調講演でも述べられていたように、ソフトウェアソリューションを多彩に保持するのがアルバネットワークスである。そして、調査会社からは、技術評価の高い企業であることも紹介した。特に、エンタープライズのワイヤレス環境や高密度環境では、トップに評価されているベンダーであるという。最後は、キャロル氏と同様に、これでネットワークベンダーとして1位になる準備が整ったことを力強く述べていたことが印象的であった。

 

展示コーナーで、特に人だかりとなっていたのが、キャロル氏の基調講演でも触れられていたHP Smart Rateだ。HP Smart Rateモジュールを組み込んだHPスイッチや、今秋発売予定というHP Smart Rate 対応アクセスポイントなど、すぐに導入検討しやすい展示を行っていた。

このほかにも、興味深い展示となっていたのが、Wi-Fiに少し改良を加えて、位置情報を検出する「HP CUPID」だ。HP CUIPIDは、HP研究所で開発中の技術で、誤差2mと高精度に位置を検出できる点が特徴だという。当日は、位置情報を検出するために、柱の上などにアクセスポイントを配置し、実際の検出結果をデモンストレーションしていた。

その他にも、SDN、NFV、データセンターからキャンパス、ブランチネットワークに至る有線ネットワークソリューション、インフラを支えるサーバー、ストレージ製品群を一挙に紹介し、3日間ブースは大盛況だった。

モビリティが変革をもたらす今、モビリティの世界がどのように進むのかを考えて、開発を行ってきたアルバネットワークスの製品は、HPネットワーク事業に大きな価値をもたらすだろう。そして、パートナーにとってもビジネス拡大の新しい機会になることは間違いない。ぜひ、今後のHPネットワークに注目してほしい。

HP Partner News 2015年7月7日号 特集記事]
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