社長 岡隆史が語る、新生HPの企業戦略

 

HPは、2015年11月1日にPCとプリンティング事業を展開する「HP Inc.」社とエンタープライズ事業を中心とする「Hewlett Packard Enterprise」社の2社に分社予定だ。日本においては、グローバルに先立ち、2015年8月1日をもってPC・プリンティング事業を分割し、新会社として株式会社日本HPがスタートした。本特集では、代表取締役社長に就任した岡 隆史氏に、分社化の背景、新会社 日本HPの企業戦略、パートナーへの期待を聞いた。

- いよいよ、新会社 株式会社 日本HPがスタートしましたね。まず、今回の分社化の背景、どのような効果を狙って分社化への決断へ至ったのか、簡単にご紹介ください。

株式会社 日本HP 代表取締役 社長執行役員 岡 隆史
株式会社 日本HP
代表取締役 社長執行役員  岡 隆史

 

総合ITベンダーであるHPは、PC、プリンターからサーバー、ネットワークまで、さまざまなハードウェア製品と、それらを最大限に活用するためのソフトウェアとサービスなど広範な事業を展開し、各分野のグローバルリーダーとして高いシェアを維持してきました。

しかし、近年、お客様のITニーズは、ますます高度化し、その活用領域は急激に拡がっています。今、ITベンダーにはクラウドやビッグデータ、セキュリティ、モビリティ等のキーワードに沿った新たなテクノロジーへの対応と共に、個々のお客様に合わせて細分化された最適なソリューションをスピーディーに提供する能力が求められています。また、ITがビジネスそのものを創る時代において、業界の競争環境や協調関係も激しく複雑に変化し続けています。

 
分社 = 成長への変化
クリックで拡大

HPは、これらの変化に今まで以上に柔軟、迅速に対応する事で、今後も業界リーダーシップを保ち、さらに新たな強みと事業を創造するため、企業基盤の再整備に向けた「分社化」という選択をしました。これは、お客様ニーズや製品サイクル、競合環境がそれぞれ異なる、PC/プリンティング事業とエンタープライズ事業が、自身のビジネス領域へのフォーカスを強め、組織や製品/販売戦略の最適化に向けたビジネス判断や投資活動など、事業運営のスピードアップを図るものです。

- 米国の分社は11月1日ですが、日本法人は今回8月1日に分社されました。日本が米国に先駆けて実施した理由をご紹介ください。

HPは、数多くの事業会社を持ち、世界170カ国以上でビジネスを展開しています。これだけ大きな企業規模での分社は世界でも過去に例がありません。HPはSEC(米国証券取引委員会)とも連携し、経理、ITシステム、プロセス等、全ての角度から分社が確実、円滑に実行できるよう、その準備を段階的に進めていく手法を採用しました。世界の主要国の一つである日本は、米国本社の分割(11月1日)に3ケ月先行してのスタートとなりました。

- 分社後、「HP Inc.」社と「Hewlett Packard Enterprise」社との関係はどのようになりますか?

 
HP 成長への変化
クリックで拡大

分社後、それぞれ両社は、お互いにとって世界最大クラスのユーザーであり、また販売パートナーとなります。そして、何よりも同じDNAと文化を持つ兄弟会社です。また、Hewlett Packard Enterprise社のCEOであるメグ・ホイットマンは、HP Inc.社の会長を兼務します。同様に、日本法人もお互いの社長が相互の取締役を兼務する形態を取っています。両社は、今後も密に連携しながら、お客様とパートナー様に今まで以上のメリットを提供できるよう協調してビジネスに取り組んでいきます。

株式会社日本HP の経営責任者としての企業戦略について

- PC・プリンティング事業を承継した株式会社 日本HPの社長となられました。HP Inc.の日本法人である株式会社日本HPの企業戦略について、ご紹介ください。

日本HPの使命は、グローバルで最先進の製品・サービスを、日本市場に最適な形で提供し、お客様の能力や創造性、企業では生産性や競争力を高める事に貢献することです。そのために、お客様やパートナー様の声を聞きながら、製品仕様やサービス、サポート、そしてソリューション開発を日本の独自性や要求水準に合わせて工夫を重ね、さらに強化したいと考えています。

特に、ソリューション提供にはパートナー様との協調が最も重要です。パートナー様にとって、日本HPが「良い提案とサービスを提供しやすい」、「安心して販売できるベンダー」と信頼頂けるよう、あらゆる面から継続的なビジネス強化を図っていきます。

今までも、製品品質の強化と短納期を狙いとした「東京生産」や、サポート強化と顧客満足度の向上に向けた「国内サポート」体制の拡充、薄型・軽量ノートPCなど日本向け製品の開発など、日本HPとして独自のアプローチを展開してきました。さらに今後、販売プログラムや各種インフラ、コミュニケーション等についても一層の最適化を進めます。

- 今回、社長に就任されました。株式会社 日本HPの社長として、どのような会社にしていきたいとお考えですか?

 
(株)日本HPの動き方
クリックで拡大

まず、分社の大きな狙いの1つである「スピード」を重視した事業オペレーションを追及します。また、グローバルリーダー企業として、ハードウェアだけではなくソリューションを含めた世界の最先端トレンドをいち早くお伝えしながら、市場をリードする会社の姿を日本HPは目指します。

そのために、日本HPの社員一人ひとりが、世界と国内それぞれの市場動向、テクノロジートレンド、競合、そして自社製品への深い理解を持ち、お客様、パートナー様のビジネスにとって価値あるコミュニケーションや提案ができる、そして、それを実績と信頼へと繋げていける「プロフェッショナルの集団」を志向していきます。

日本HPは、日本国内で50年以上にわたりビジネスを展開してきました。日本市場の独自性やニーズを深く理解した上で、世界の最先端テクノロジー(製品、サービス)を、日本のお客様が安心して利用できるよう様々な角度から最適化を図りながら、それを最高のコストパフォーマンスで提供していきます。

- 今後のHPとしての製品戦略はどのようなものでしょうか?

現在、HPはサードウェーブ(3つの波)というキーワードのもと製品戦略を進めています。

第1の波は、PCやタブレット、プリンターなど、既存の製品分野です。ここでは、お客様の業種、業務など、ITの活用用途に合わせて細分化するニーズに対して、「最適化」をキーワードにHPならではの対応を強化します。HPの強みは、グローバル展開によるビジネスのスケールと、世界中の膨大なインストールベース顧客との関係とコミュニケーションを通じたソリューション要求への理解・ノウハウです。

例えば、HPのタブレット製品ラインアップです。それは単にディスプレイの大きさやOSの違いよるものではありません。抗菌仕様の「医療・介護用モデル」や、突出した堅牢・頑丈さを備えた「建築・土木用モデル」、さらには「文教用」、「流通小売用」など、それぞれのお客様の用途で必要となる仕様と機能を前提に設計開発した多くの製品群を用意しています。これらはHPの事業規模とソリューションノウハウ、開発力が存在して初めて実現できるものです。

 

岡 隆史

第2の波は、デジタル世界と物理世界を融合するテクノロジー領域です。例えば、次世代の超高速3Dプリンターや仮想現実の世界を拡げる3Dモニター、3Dスキャナーや各種センサーを搭載し、感性で操作できる新コンセプトPCやウェアラブルデバイスなど、将来のトレンドと注目される製品分野です。明確な市場規模や具体的なビジネス展開は未確定の領域ですが、HPはこれらの新規分野にも積極的に開発投資し、将来の業界リーダーシップへの布石作りを進めています。

第3の波は、半導体やセンサー、素材レベルでの新たなテクノロジー開発への投資です。コンピューティングパワーや精緻な情報検知など、既存の枠を超える性能や機能を実現するテクノロジーで、未来のITを創造していくことです。

つまり、サードウェーブ戦略とは、現行ビジネスから、まだ見えない未来のテクノロジー領域まで、将来を見据えて最良のバランスを取りながら開発投資を進め、常にお客様が自身の能力や価値を最大限に引き出せるHP製品・サービスを提供し続けることです。

株式会社日本HPにおけるパートナービジネスについて

- 最後に、パートナー様への期待をお聞かせください。

日本HPのビジネスの80%以上は、パートナー様との協業によるものです。パートナー様が我々のビジネス基盤であり、これからの成長の原動力です。我々HPの製品やサービスを、お客様にとって完成したソリューションとして提供するには、最もお客様の近くで、その様々なニーズを把握しているパートナー様との連携が不可欠です。

我々HPは、分社化により今まで以上にスピードと柔軟性を高めながら、パートナー様にとって「日本の市場、お客様、パートナー様を理解した最も付き合いやすいベンダー」となるべく、手離れ良く、安心して販売できる製品・サービスの提供を進めていきます。

また、今後も次々と登場する新分野の製品・サービスによる新規ビジネスをパートナー様と共に創造していきたいと考えています。これからも株式会社 日本HPをよろしくお願いいたします。


3 WAVES
クリックで拡大
 

- どうも、ありがとうございました。

分社で生まれた日本HPがどのような方向性、戦略を持っているのかについて、知りたいHPパートナーも多かったことと思う。今回、「HPの事業構造は変わらず、パートナーがビジネスの基盤である」という岡社長の言葉にあるように、パートナー戦略を軸にした戦略に変わりがないことを理解しただろう。サードウェーブ戦略に基づき、これからも市場をリードする製品を提供する日本HPとともに、事業拡大を図っていって欲しい。

日本HP Partner News 2015年8月25日号 特集記事]
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、
閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。