Windows 10の強化ポイントと、これからの営業手法

 

本特集では、Windows 10の発表の背景、セールスポイント、HPが提供するPCとの相乗効果を、日本マイクロソフトで、OEMベンダー向けWindows 製品マーケティングを担当する竹内洋平氏と、日本HPにおいて、法人向けモバイル製品を担当する村上氏に聞いた。

3年間同じプラットフォームでは、市場のイノベーションについて行けない

まず、Windows10発表の背景をご紹介ください。

竹内氏(日本マイクロソフト、以下MS) :
マイクロソフトとしては、新OSを発表するということは珍しいことではなく、数年に一度繰り返してきている活動です。そういう意味において、Windows 10の出荷は、Windows 8から3年を経過してのマイルストーンということになりますが、今回のリリースはその中でも大きな転換点になるものです。

さらに詳しくお教えください。

日本マイクロソフト株式会社 コンシューマー&パートナーグループ OEM統括本部 マーケティング部 部長 竹内洋平氏
日本マイクロソフト株式会社
コンシューマー&パートナーグループ
OEM統括本部 マーケティング部 部長
竹内洋平氏

 

竹内氏(MS) :
はい。マイクロソフトが、過去のWindowsを出荷してきたタイミングというのは、そのときの最新のテクノロジーを採用し、イノベーションを実現した製品です。HPをはじめとした多くのハードウェアベンダー様とパートナーシップを結び、最新のハードウェア、最新のOSとして、およそ3年に一度のペースで出荷させていただてきました。

しかし、出荷した時点では最新のテクノロジーであるOSが、3年間同じプラットフォームにとどまっていると、進化の早い現在のIT市場においてはそのイノベーションについて行きにくいという状況も生まれてきたのです。これは、ハードウェアベンダー様も同じ状況であると考えています。今、すでに市場で利用可能となっている新しいテクノロジーがあるにも関わらず、OS が対応していないがために利用できない機能があるのです。

今回のWindows 10をローンチするにあたっては、このような市場の変化を捉え、課題を解消するOSにしようという目標がありました。


Windows As A Services
クリックで拡大

そして最終的にマイクロソフトは、Windows 10をサービスとして提供していくという方法に大きく舵を切ることにしたのです。今後、Windows 10のアップデートは、年2~3回実施して、新しい機能を追加して提供していきます。このアップデート方法は、現在スマートフォンでは当たり前になっていますので、ユーザー様にも、HPパートナー様にとっても、ご理解いただき易いのではないでしょうか? これにより、常に新しいテクノロジーに対応し、OSをどんどんと進化させていくことになります。これをマイクロソフトでは、Windows as a Serviceと呼んでいます。

なるほど。それは確かに大きな変化ですね。Windows 10開発にあたり、Windows Insider Programという新しい取り組みを取られたそうですね。

竹内氏(MS) :

従来マイクロソフトでは、開発者が考える最高のOSを、ローンチぎりぎりまで外に漏らさずに出荷していました。例えばWindows 8では、タブレットユーザーには一定の評価をいただきましたが、多くのユーザーにはいきなり見慣れないユーザーインターフェイスへと大きな変更となり、拒否反応を示される方がいらしたのも事実です。

そのため、今回の開発にあたっては、ユーザーの声を開発段階から製品にどんどん取り入れていこうという方針となりました。

そこで、Windows Insider Program  という、Windows を愛し、より良い製品となるように協力してくださる世界中の方々とのコミュニティを立ち上げ、120カ国以上600万人という非常に多くの方に参加していただき、さまざまな言語や文化の中で、どのように利用されているかの情報を吸い上げ、フィードバックを得ています。

Windows 10のリリースにあたっては、Windows Insider Program参加者の皆さんに、プレビューとして1年2ヶ月前から提供を開始しています。そこで、実際にユーザーがマウスやキーボードなどを使ってどのように作業をするかという情報を、遠隔からデータ取得して、実際の製品に反映していきました。このように使えば、ユーザーがもっと使いやすいだろうということをデータから分析して、開発していったのです。おかげ様で Windows 10 はこれまでで最高の Windows になったと思います。

さきほど、タブレットについての話がありましたが、Windows 10ではいかがでしょうか?

竹内氏(MS) :
Windows 10では、PC、タブレット、スマートフォン、Xbox から組み込み用Windows IoTまで、プラットフォームをひとつに統一することができました。アプリケーションも、1つのデバイス、例えば、PCで利用できるならば、他のデバイス、例えばスマートフォンで利用できるようになります。

以前のバージョンでは、それぞれのデバイスごとにインターフェースが違うため、開発コスト・管理コストがかかり、負担が大きかったのですが、プラットフォームが一緒であれば、それらのコストを下げることができるというフィードバックをいただいたことから、このように改善したのです。

Windows 10発表後の反響はいかがでしょうか?

竹内氏(MS) :
おかげさまで、ユーザーの皆様より非常に高い評価をいただいています。私自身も、Windows Insider Programに参加して利用していますが、とても満足度の高いOSだと実感しています。

リリースから約4週間で7500万台がWindows10へアップグレードしたこということを発表させていただいたように、Windows 7/8からの移行も順調に進んでいます。そして、移行をさらに促進するために、現在Visual Studio 2015のエクステンションとして、Windows ブリッジ ツールキットを提供しています。これにより、AndroidアプリやiOSアプリの既存のコードをほぼ修正することなく、すばやくWindows 10プラットフォームに移行することができます。すでに、Android/iOS上で人気の高いゲームソフト「キャンディクラッシュ」はポーティング済みです。今後もどんどん、人気ソフトウェアがポーティングされる予定です。

日本HPの村上さんにお聞きします。ビジネス視点から、Windows 10に対する評価はいかがでしょうか?

パーソナルシステムズ事業本部 コマーシャルビジネス本部 モバイルビジネス部 部長 村上信武
パーソナルシステムズ事業本部
コマーシャルビジネス本部
モバイルビジネス部 部長 村上信武

 

村上(HP):

私たちは、今回のWindows 10は非常に大きなビジネスチャンスであると捉えています。

新しくさまざまなテクノロジーが生まれてくることで、ワークスタイルが変わってきたり、今までできなかったことが可能となったりします。これにより、新しいデマンドが生まれて市場が活性化します。マイクロソフトのWindows 10に対する取り組みは、この動きをさらに促進するものとなり、業界全体としても、そして、HPもマイクロソフトのパートナーとして、非常に期待が高まっています。そして、ここ最近のiOS やAndroidに押されていた領域に対しても、逆転できるポテンシャルを持っていると感じますので、こちらも大きなビジネスチャンスだと考えます。

新しいセールスモーションが、HPパートナーのビジネスを拡大する

Windows10機能を、特に企業向けの強化ポイントを中心にご説明ください。

 
Windows 10 強化ポイント
クリックで拡大
 
 
セキュリティの強化:認証
クリックで拡大

竹内氏(MS) :
企業向け機能として大きく強化されている点で紹介したいのは、セキュリティと管理です。

昨今、セキュリティに対する要求がかつてないほど高まっています。サイバー攻撃は国家レベルで大きな問題にさえなるような時代ですから、それに耐えられるOSが必要とされています。そのためWindows 10ではセキュリティ機能を大幅に強化しました。

具体的なセキュリティ機能では、まず、Windows Hello、Microsoft Passportをご紹介したいですね。
生体認証システム Windows Helloを利用すると、目の虹彩、顔の奥行きなどを認識する各種生体センサーを使って、Windows 10デバイスにログインできるようになります。そして、このWindows Helloを利用して、各種アプリやWebサービスなどにログインすることを可能にする機能がMicrosoft Passportです。

もちろん、指紋認証用の指紋リーダーのような生体認証に対応する機能を持ったデバイスに搭載されている必要があります。HPのビジネス用PCの95%以上に指紋リーダーが搭載されていますので、これらの機能を利用することが可能です。今後、HP製品に顔認証機能を持った製品が、いち早く提供されると期待しています。

さらにウィルスが入り込む隙をOSレベルで与えないという点では、エンタープライズ データ プロテクションや、Device Guard、TPMなどの機能を組み込んでいます。このようなセキュリティ機能をOSに組み込んでいくことが、人為的なミスで情報漏えいを減らすことにつながります。


Enterprise Data Protection
クリックで拡大
 
Device Guard
クリックで拡大
 

管理という点でも、機能を大きく強化しています。

 
プロビショニングで設定できること
クリックで拡大
 

例えば、企業全体で多要素認証などの新しい機能を導入しようとすると、PCごとにOSをクリーンインストールから展開する必要があり、負担が大きかったのですが、Windows 10からは大幅に軽減されます。Windows 10 では、プロビジョニングという機能が搭載されており、企業ごとの設定の差分をパッケージとして追加することで、全社に展開されているPCに後からでも簡単に追加・展開が可能になりました。その他にも、MDMなどの管理機能が搭載されました。

セキュリティが強化され、管理コストが下がるというこれらの強化ポイントは、ビジネスユースのユーザー様に必ず需要をご理解いただけます。

村上(HP):
その通りですね。

今年発覚した政府関連組織の大規模な情報漏えい事件を見てもわかるように、サイバー攻撃を受けて社内ネットワークに侵入され、情報が漏えいしたとなると、甚大な被害を引き起こします。そのため、あらゆる規模の企業・組織から、セキュリティ機能強化に対するご要望をいただいています。また、管理コストの削減は、いつも求められる大きな課題です。それらを解決できることは、ユーザー様だけでなく、HPパートナー様にとっても大きなメリットがあると考えます。

HPパートナーにとって、その強化ポイントがどのような価値をもたらしますか?

竹内氏(MS):
私たちは、Windows 10のリリースは、HPパートナー様にとっても大きなビジネスチャンスだと思っています。

そのチャンスを捉えていただくために、HPパートナー様には、3年間変わらないOSを販売いただくというこれまでの販売方法から、新しい営業手法に変化していく必要があることをご理解していただきたいと思います。

新しい営業手法は、常に最新のOSとハードウェアをユーザー様に提案いただくことで、ユーザー様からマイクロソフトにフィードバックが可能となり、それが製品に組み込まれて、さらに最適なソリューションとしてご提案いただけるようになるというものです。これにより、ユーザー様に満足度の高いセールス活動ができるようになります。この新しい営業手法を構築していただくことで、HPパートナー様が市場の勝ち組になると信じています。

長年にわたるマイクロソフトとHPとのアライアンス活動から見て、Windows 10とHP製品の持つ価値の組み合わせが、市場に対してどのようなアドバンテージをもたらしますか?

竹内氏(MS):
マイクロソフトとHPは、本社レベルでも、日本においても、製品開発の段階から情報を共有し、セールス、マーケティング活動も含めたアライアンス活動をしています。 Windows 10の開発においても同様です。

例えば、先ほどご紹介した多要素認証についても、しっかりと議論しています。HP製ビジネスPCのほとんどの機種に、指紋認証機能が搭載されていることから、いずれは多くの機種でWindows Helloを利用可能になるといったように、常に両社で歩調を合わせながら、最新のテクノロジーを搭載した製品を市場に提供していることが強みですね。

 
セキュリティ
クリックで拡大
 
 
管理強化
クリックで拡大

村上(HP)):
マイクロソフトはHPにとって最も大切なパートナーです。今まで、マイクロソフトとHPがPC市場を牽引してきたと思っております。両社間では、トップマネジメントから現場まで、さまざまな階層で協業の文化が根付いています。今後も、パートナー様・ユーザー様に向けて、両社で相乗効果を持ちながら協調していきたいですね。

さきほど竹内さんが説明されたWindows 10の強化ポイントであるセキュリティ分野では、HPでは、セキュアブート、デバイスへのアクセス制限機能などのセキュリティソフトウェアHP Client Securityを無償で提供してきました。さらに、今回のWindows 10のセキュリティ機能の強化によって、デバイスレベルから、OS、アプリケーションまで、より一層ユーザー様のニーズにあったセキュリティソリューションの提案が可能になりました。

管理という点でも、HPでは、PCからタブレット、スマートフォンを簡単に一元管理できるHP TouchPoint Manager を提供しています。Windows 10では、PC、タブレット、スマートフォンまで統一したプラットフォームとなりますから、両社のソリューションを組み合わせることで、教育コストや管理コストを削減することが可能になります。

これ以外にも両社の製品を組み合わせたさまざまな価値を、パートナー様・ユーザー様のご要望に併せて提案できるということが、市場に対する大きなアドバンテージだと考えます。

日本マイクロソフトと日本HPがHPパートナーのビジネス拡大を支援する

日本マイクロソフトと新会社 日本HPとのアライアンスへの期待をお聞かせください。

竹内氏 (MS):
日本マイクロソフトと日本HPは、日本においても20年に及ぶ強固なアライアンス体制を構築できています。新会社スタート以降も、引き続き弱めることなく、ますます強化して行きたいと思います。

私たちは今後、ユーザー様が本当に必要だと思っている機能を提供する、その機能を充分に活用し愛していただけるように、今まで以上にユーザー様の声に耳を傾け、テクノロジーのイノベーションを提供していきます。そのためには、日本HPと一緒にユーザー様の声を聞かせていただくことが重要だと考えます。

また、日本HPは今後も、グローバルのトップベンダーというポジションを活かして、世界のベストプラクティスを日本においてもぜひ展開していただきたいと思います。大いに期待しています。

村上(HP):
ありがとうございます。これからも、引き続きよろしくお願いいたします。

最後に、HPパートナーへの期待をお聞かせください。

竹内氏 (MS):
ユーザー様の環境によっては、引き続きWindows 7/8 の提供を求められる場合があることは理解しています。しかし、パートナー様にはぜひ、Windows 10を提案していただきたいです。先ほどご紹介しましたセキュリティや管理についての強化ポイントは、すべてのユーザー様にとって、大きなメリットを提供できるものと信じています。また、インターフェイスの変化については、むしろWindows7の使い勝手をさらにバージョンアップしているので、使用感に関してはなんらご心配いただくことなく、移行が可能となっています。いち早くWindows 10の提案活動を実施していただくことで、パートナー様が競合に対して優位に立ち、ビジネスを伸ばすことができると思います。そのために、日本HPと協力して、全力でご支援させていただきます。

 

村上(HP):
繰り返しになりますが、Windows 10の登場は、新しいビジネスチャンスにつながることには間違いありません。昨年大きな売上をもたらしたWindows XP移行ビジネスの反動でPCビジネスは苦しい時期が続いていますが、この状況を跳ね返し、起爆剤となるのがWindows 10です。また、紹介があったようにWindows 10は進化するOSです。そのため、パートナー様には、従来のセールス活動に加えて、常に進化する価値を提案していただけるセールス活動の強化を期待しています。

パートナー様のビジネス拡大を、マイクロソフトと一緒に、全力でご支援させていただきます。

本日は、ありがとうございました。

マイクロソフトは、「Windows 10はいままでで最高のWindows」であるとメッセージを発信しているように、彼らが自信を持って市場に提案したOS だ。このOSに最適化され、幅広いラインナップを持つHPのPC製品の組み合わせは、業界最高の組み合わせであることに、異論を唱えるHPパートナーはいないだろう。ぜひ、このWindows 10を起爆剤として、事業拡大を目指して欲しい。

注1: Windows 10では、年2~3回実施されるアップデートについては、無償で新機能を提供する。アップデートの提供方法には、3つある。1つは、コンシューマー用のCurrent Branchであり、新しい機能やハードウェアのサポートを含めてアップデートが提供される。2つめは、Current Branch for Businessで、アップデートで新機能も追加するが、新機能がリリースされてから追加するまでに12か月の期間を設けている。最後は、ミッションクリティカル用途など、新機能を追加せずに利用したい場合は、最長10年間機能を固定できる「Long Term Servicing Branch」がある。

日本HP Partner News 2015年9月29日号 特集記事]
本ページに記載されている情報は取材時におけるものであり、
閲覧される時点で変更されている可能性があります。予めご了承下さい。