この春からHPのビジネスプリンターのニューモデルが続々と発売されている。PCやタブレットに加え、客先でプラスαの提案ができそうな新世代のプリンターラインアップ6機種を一気にご紹介する。

●「オフィスはレーザーのみ」は古い思想?インクジェットはここまで進化した!

 最初に、HPの大判を除いたビジネスプリンターラインアップをおさらいしておこう。シリーズは大きくわけて3つ。OfficeJetシリーズ、PageWideシリーズ、LaserJetシリーズ。
今回まずフォーカスする4機種は、新テクノロジーを搭載したインクジェットプリンターとして2013年から新たにラインアップされたPageWideシリーズ(以前のシリーズ名はOfficeJet ProX/EnterpriseX)である。


プリンティング事業本部製品 マーケティング本部部長 小島宏氏
プリンティング事業本部製品
マーケティング本部部長
小島宏氏

 インクジェットプリンターについて「レーザープリンターに比べ簡易な機構で省エネ、環境にも優しく、立ち上がりも早いなど様々な利点をもっています。そして従来は不十分だった印刷速度などの点でもオフィスで利用できるレベルまで、テクノロジーが進化しました」と話すのは、日本HPのプリンティング事業本部製品マーケティング本部部長の小島宏氏だ。

それに対し、いまだに、オフィスとして設備を整えようとする企業の多くがインクジェットを採用していない背景として、「オフィス用途=スピード・耐久性重視=レーザープリンター」というイメージがいまだ強いからだと説明する。

たしかに、インクジェットプリンターというと、がたがたとヘッドを動かしながら印刷、印刷速度も遅いというイメージがあり、オフィス利用に向かないと思われがちだ。
しかし、今回シリーズ名を新たにしたPageWideシリーズの各機は、A4の幅広インクヘッドを積んだPageWideテクノロジーを採用しており、ヘッドを動かさずに印刷する点で従来型と大きく異なる。そして、このヘッドを移動しないで印刷する仕組みや高精度の紙送り機構などによって、従来のインクジェットでは考えられない高速印刷を可能にした。もっとも高速なPageWide Enterprise 586zは最速で1分75枚を印刷できるというから驚きだ。

 さらにインクジェットのもう1つのイメージは、印刷後にインクが乾くまでが遅く裏移りが気になる、カートリッジの容量が小さく交換が面倒といというものだろう。その点も、今回、新開発された顔料インクは、超速乾性で耐水性が高く、従来のインクプリンターの仕上がりとは一線を画すものとなっている。また、今回インクカートリッジ搭載位置を変更することで、大容量化を実現。交換頻度が少なくて済む。さらにインク交換時に開けるカバーがプリンター前面にあり、家庭用のプリンター感覚で誰でも簡単にインクの入れ替えができるのも非常にうれしい特長だ。

 

●LaserJetと同様のファームウエア搭載Enterpriseは75枚/分を実現

 このようにオフィスで十分使える能力を持つPageWideシリーズは大きく2つのラインアップに分かれる。シリーズのなかではエントリーモデルの位置付けとなるPageWide Pro(以下、Pro)と、同様に上位モデルのPageWide Enterprise(以下、Enterprise)だ。各々にプリンター単機能機とスキャナ・コピーができる複合機の2機種がある。


HP PageWide Enterprise 556dn
HP PageWide Enterprise 556dn

 

HP PageWide Enterprise Color MFP 586z
HP PageWide Enterprise Color MFP 586z


 まず、Enterpriseを見ていこう。プリンター単体機はPageWide Enterprise 556dn(14万8000円・税抜/HP Directplus価格。以下同)、スキャナ・コピー複合機はPageWide Enterprise Color MFP 586z(以下、MFP586Z。32万8000円)。

 Enterpriseは、LaserJetシリーズと同様のファームウエアを搭載することで、オフィス利用に必須のセキュリティにも対応しているのが大きな特徴だ。たとえば、BIOSの異変を検知し正常な状態へ自動リカバリーする「HP SureStart」や、ファームウエアの各コンポーネントと承認リストを照合し、異常の場合は自動でシャットダウンする「Whitelisting機能」、常にマルウェアからのアタックを監視し検知した場合はアラートを発する「ランタイム侵入検知機能」などを備え、デバイス標準でネットワークの脅威をブロックする。

 そのうえ、前バージョンより性能が大幅に向上している【下表:PageWide Enterprise 556dn/Color MFP 586z新ポイント】。印刷速度は最速で70枚/分から75枚/分に増え、ISO基準でも42枚/分から50枚/分に増えた。
ファーストページランタイム(印刷開始までの時間)は9.5秒から7.4秒に短縮。立ち上がりの早いインクジェットの良さを際立たせている。


表:PageWide Enterprise 556dn/Color MFP 586z新ポイント


 注目すべきは、前述したインク容量。1本で印刷できる枚数を増量タイプで比較すると、ブラックは従来の1万枚から、標準で1万1000枚(増量で2万枚)に、カラーは従来の6600枚から標準で1万枚(増量で1万6000枚)に増えている。給紙容量についても、オプションで500枚とトレイが従来の1つから2つに増えた。

 さらに、MFP 586zは、前バージョンと比べてFlow ADF(自動原稿送り装置)がよりスマートで小さくなり全体としてスタイリッシュになっている。
 また、従来通り、操作パネルは8インチ大画面で、様々な操作が誰でも簡単に行える。そのうえキーボードも標準搭載、IPアドレスやファイル名の設定時に重宝するだろう。
 なお、スキャナーも従来どおり白紙除去機能がついており、日本語OCRにも対応している。

 

●オフィスで必要十分な機能を提供するPageWide Pro

 一方のProもプリンター単体機であるPageWide Pro 552dw(7万5000円)とスキャナ・コピー複合機の PageWide Pro 577dw(9万8000円)があり、Enterpriseより価格が抑えられている。


HP PageWide Pro 552dw
HP PageWide Pro 552dw

 

HP PageWide Pro 577dw
HP PageWide Pro 577dw


 その分、EnterpriseならではのHP SureStartなどのセキュリティ対応やトレイ満杯時の排紙自動停止といった各種機能は搭載しておらず、性能やインク量、拡張性などの面でも違いがある(【下表:PageWide Enterprise vs PageWide Pro プリンター/複合機】)。


表:PageWide Enterprise vs PageWide Pro プリンター/複合機


 しかし、エントリーモデルのProであっても、オフィスで必要十分なレベルの機能を備えていることに注目して欲しい。たとえば、セキュリティ面では、暗号化による認証印刷や、起動から停止までのセキュリティを保護する機能をもつ。
 管理やマネジメントを容易にする仕組みも導入されており、さらに、ほかの誰かが印刷しているときでもコピー操作ができるなど、オフィスでの生産性に考慮した機能が備わっている。

 また、Wi-Fi/Wi-Fi Direct接続は、Enterpriseは無線LAN対応のためのアクセサリが別途必要だが、Proはオプション品不要で接続可能。
 そして、Proも前バージョンから性能や容量面で大きくパワーアップしている(【下表:PageWide Pro 552W/577dw新ポイント】)。とくにインク容量を増量タイプで比較すると、ブラック9200枚→1万7000枚、カラー6600枚→1万3000枚と大幅に増えている。


表:PageWide Pro 552W/577dw新ポイント

 

●EnterpriseとProを組み合わせて、上手に提案しよう!

プリンティング事業本部製品 マーケティング本部 吉本芙沙氏
プリンティング事業本部製品
マーケティング本部
吉本芙沙氏

 では、EnterpriseとProをどのようにお客様に提案すればいいのだろうか。それに対し、「シリーズ全体のラインアップを組み合わせて、多様なニーズにお応えできます。たとえば、Enterpriseをご提示し、初期コストで難しいと言われたら、Proをお勧めする、といったような提案の仕方をして頂いています。」とプリンティング事業本部製品マーケティング本部の吉本芙沙氏は話す。

 コストという面では、ランニングコストの面も押さえておきたい。インクコストを見ると、Proでは1枚当たり黒が1.4円、カラーが7.5円に対しEnterpriseは黒が1.2円、カラーが6.3円と安くなっている。機能とランニングコストの面に着目してEnterpriseをお勧めする、といったこともされているそうだ。

そしてどちらも、レーザープリンター1台のコストで複数台を導入することが可能という点が大きい。「家庭用インクジェットプリンターか、レーザープリンターか、といった極端な選択肢をされる企業にとって、その溝を埋めることができると製品のご提案がしやすくなります」(吉本氏)。オフィス規模が大きくなり、家庭用インクジェットプリンターから買い替えを検討している中小企業に向けてもうってつけの機種だ。

また、「会議やイベント前、オフィスでプリンター待ちになることも多いでしょう。お客様のワークスタイルによっては、高性能レーザープリンター1台を導入するよりも、同じコストで複数のインクジェットプリンターをいれて分散化を図ることで、オフィスの生産性がより向上するといった状況は作れます。」と小島氏は言う。すでにレーザープリンターや大きな複合機を導入している企業に向けては、サブプリンターとしても提案する余地は大きそうだ。
 台数を増やすことで印刷待ちを解消すれば、オフィスの生産性が上がることは間違いないとわかるだろう。

 

●モバイルをマイデスクで。外出先でもオフィスでも使える時代が来た!

 生産性を上げるという観点から、究極のかたちは「様々なワークスタイルに応えられるプリンター」と言えるだろう。それを適えるのが、HP OfficeJet 200 Mobile(プリンター単機能機、以下OfficeJet 200)/HP OfficeJet 250 Mobile Aio(複合機。以下、OfficeJet 250)だ。


HP OfficeJet 200 Mobile
HP OfficeJet 200 Mobile

 

HP OfficeJet 250 Mobile
HP OfficeJet 250 Mobile Aio


両機は持ち運びもできるモバイルプリンター。 そして、OfficeJet 250は市場で唯一のモバイル複合機である。それに対し「モバイル利用だけでなく、コンパクトさを重要視するお客様のご使用もぜひお勧めしたいです」と小島氏は言う。

 理由は2つ。1つ目は、保険や引越業の営業マンなど、外出先での印刷を想定される従来のモバイル市場も重要だが、モバイルオフィスや店頭、SOHOなどでコンパクトなデスクトッププリンターとして使用する市場にも十分なニーズがあると見ていることだ。

 たしかに両機とも、デスクの中や本棚にしまっておけるようなコンパクトなつくり。とくにOfficeJet 200は前バージョンと比べて薄くなっている。また、静音モードを搭載し周囲へも配慮できる。持ち運びに耐えうる頑丈なつくりのため、プリンターの出し入れや移動も安心だ。

 2つ目はモバイルプリンターの性能が向上し、普段使いに耐えうるレベルになったことだ。高い品質のプリントはもちろん、従来比で2倍の印刷速度、モノクロ10枚/分、カラー7枚/分を印刷できることからも、個人で必要な書類をささっと出力したいときに十分なレベルといえよう。さらに、複合機のOfficeJet 250は液晶パネルを搭載し、操作性を改良したほか、自動紙送り装置によって最大10枚を1度にスキャンできる。

 すでに前バージョン(HP OfficeJet 150 Mobile AiO)の病院での採用実績があり、「共有プリンターに頼ることなく必要なデータをどこでもスキャンできる。この意味はとても大きいと考えています」という利用医師からのコメントからも、そのポテンシャルがうかがえる。

 

●モバイル性能も万全!タブレット・スマホとも便利に接続

 このようにコンパクトプリンターとして重宝する両機だが「モバイル性能」という点でも大幅にパワーアップしている。 まず、特筆すべきは、フル充電で最大415枚※のプリントができるということ。この枚数は、競合機種と比べて(【下表:HP OfficeJet 200競合比較】)ズバ抜けて多いことがよくわかる。
※8月31日情報更新


表:HP OfficeJet 200競合比較
※8月31日情報更新


重量は本体が2.2s(OfficeJet 200。バッテリ含)だが、ACアダプタを内蔵しているのが驚きだ。他社製品のようにACアダプタ付き電源ケーブルを持ち運ぶ事を考えると、トータルの重量では他社にひけをとらないことになる。さらにHPの大容量バッテリであれば電源ケーブルを持ち運ばないという選択肢もある。USBポートからの充電にも対応しているので、万が一充電が必要となったときも安心だ。

 また、黒とカラーインクの片方でインクだけでも動作するシングルカートリッジモードを搭載、外出先でのインク切れといった困った事態に対処できる。
さらにデバイスとの接続方法として、Wi-Fi 、Wi-Fi Direct、Airprintなど、無線接続もカバーしており、スマホやタブレットからも誰でも簡単にプリントできる点も、いまどきのユーザーを考慮した設計と言える。

 

●「1枚当たりランニングコスト」に注目!

 これで、OfficeJet 200が2万4800円、OfficeJet 250が3万4800円(バッテリー別売7000円)と、非常に値ごろ感がある。そして、コスト面でぜひ他社と比較したいのが、印刷1枚当たりのコストだ。A4カラーで約11円というコストパフォーマンスは、モバイルプリンターの中では業界トップクラスである。大容量インクのため、交換の手間も最小限で済む。
 ただし、PageWideシリーズでも言えることだが、HPの大容量のインクカートリッジは、1本あたりで見ると他社と比べて高いと思われることもあるという。しかし、お客様にとっても重要なのはトータルのランニングコストであるはずだ。

たとえば、OfficeJet 200 のインクコストは競合モバイル機種と比べ、A4カラー1枚当たり約2円安い。これは月300枚の印刷で年間7200円のコスト差となってくる。

このように、1枚当たりのコストによって、トータルコストを提示することで、HPプリンターのコストパフォーマンスの高さをアピールすることもできる。

 最後に「価格帯の面でも提案しやすい機種が揃いました。各機種を組み合わせることで、お客様のユーザー数や状況に合わせて幅広いご提案をしていただければと思います」(吉本氏)
「プリンターはインクのリピートなどでお客様と継続的に接点をもちやすい商品でもあります。PCやタブレットの商談時にも、+αの提案としてみなさまの営業活動における差別化の一つとしてご活用いただけると思っています。」(小島氏)と2人はパートナーに向けたメッセージを送った。

 今回紹介した機種はOfficeJet 250以外はすべて販売を開始。OfficeJet 250も9月下旬に発売を予定しているので、ぜひチェックしてほしい。

日本HP Partner News 2016年8月23日号 特集記事]
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