8月31日、Windows 10 Mobile搭載のスマートフォン(以下スマホ)「HP Elite x3(以下、Elite x3)」の記者説明会が六本木アカデミーヒルズで開催された。
今回は、説明会の様子とともに、本説明会で明らかになったElite x3の全貌についてお届けする。

●WindowsスマホでエンタープライズにおけるHPの強みを発揮

 会場には、PCに留まらない幅広い分野の記者が多数集まり、熱気に包まれた。説明会はプレゼンテーションと質疑応答、フォトセッションで構成。まずは、日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏によるHPにおけるElite x3の戦略的位置づけの説明からスタート。

 最初に、HPの事業を、従来型のPCやプリンターなどの「既存のコア事業」、モビリティ製品などを中心とした新たな「成長分野」、さらに3DプリンティングやVRといった今後創造を目指す「将来事業」に分類。


日本HP 代表取締役 社長執行役員の岡隆史氏
日本HP 代表取締役
社長執行役員 岡隆史氏

 そのうえで、約43兆円という既存のコア事業の市場マーケットにおいて「HPはビジネスPC分野で世界No1シェアをもち、マーケットよりも高い成長率を維持しています。また、日本でも直近4-6月期ではビジネスPC国内シェア2位を獲得しています」とHPが国内外で大きな存在感を示していると説明。
来年以降のPC市場は、OSリプレースなどのサイクルのなかで、徐々に成長軌道にのるという予測を示した。
 また、現段階では1.2兆円〜3.5兆円市場と見込む将来事業分野においても、積極的に取り組みを進めていくことを示唆した。
 そして今回発表したElite x3を、「市場規模約18兆円を見込む『成長分野』のモビリティ新製品」としたうえで「PCテクノロジーをベースとした企業ユースのITコンポーネント」と位置付け、「この分野でのHPの強みを生かし、Windowsベースのスマホの世界を切り拓いていきます」と意欲を語った。

 

●「3in1」のElite x3ならではのビジネスにおける3つの優位性

パーソナルシステムズ キース・ハーツフィールド氏
パーソナルシステムズ
キース・ハーツフィールド氏

 続いてHP Inc. のモビリティ分野で製品責任者を務めるキース・ハーツフィールド氏(バイスプレジデント/モビリティ・プロダクト・マネージメント、パーソナルシステムズ)からは、Elite x3のコンセプトやビジネスでの優位性についての説明があった。

Elite x3はWindows 10 Mobileを搭載、スマホだけでなくノートPCやデスクトップPCとしての役割をこなせる「3-in-1」というコンセプトが最大の特徴となっている。「ノートドック」につなぐことでノートPCとして利用でき、大型ディスプレイやキーボードと接続した「デスクドック」につなぐことで、デスクトップPCとしても利用できる。
 また、今回HPでは、ユーザー所有のアプリケーションを仮想空間で利用できる独自のクラウド環境「HP Workspace」を提供することで従来のPCと同様に利用することを可能とし、利便性を高めている。

 これらの特徴をふまえ、同氏はエンタープライズにおける優位性を3つの観点から説明した。
1つ目はコスト面だ。「さまざまなシーンで使い分けられてきたITデバイスをElite x3に集約することで、TCOを削減し、最小限のコストで最大限の生産性を実現できます」と言い、費用対価値の高さを強調した。

 2つ目はセキュリティ。「Windows10ベースの高いビジネスセキュリティをお客様に提供できます。生態認証も搭載している」とビジネスに不可欠なセキュリティ対策も万全であることをアピールした。

 3つ目は生産性。「パソコンのパワーを持ち、タブレットの利便性、スマホの機能を提供し、1つのデバイスでシームレスにサポートします」とし、仕事の生産性向上に高く寄与するとした。

 さらに、モビリティを重視するミレニアム世代についても触れ、この新たな世代がもつスマホを中心とした利用者への期待値の変化にElite x3は応えられるという自信を示した。

 

●モバイルもデスクトップも、「Continuum」によって実現する新しい体験

Microsoft社 ピート・バーナード氏
Microsoft社
ピート・バーナード氏

 前述のとおりElite x3はWindows 10 Mobileを搭載している点に大きな特徴がある。それを受け、3人目の登壇者はMicrosoft社のピート・バーナード氏(プリンシパル/グループプログラムマネージャー・テレコムエコシステム担当)。

 同氏はWindows 10 Mobileからの視点で、改めてその有益性を3つ挙げた。
まず、Windows基幹システムとの親和性。ハーツフィールド氏が挙げたように、単一のOSで、複数のデバイスで使用可能であることが最大の価値であるとした。

 そして同様にハーツフィールド氏から言及があったセキュリティ面。「Windows10プラットフォームは、よりセキュアなアクセスを保証することで、企業の個人情報などの資産管理にも適用できます」としたうえで、Windows 10 Mobileにおいても、「デスクトップPCと同様のツールによって管理ができます」と、ビジネスユースレベルのセキュリティを確保できることを改めて強調した。

  3つ目が「Continuum(コンティニュアム)」だ。ContinuumはWindows 10から搭載された、利用するシーンに応じて操作モードを変えられる機能。

 これまでもタブレットとデスクトップモードが知られてきたが、「小型のデバイスであっても、デスクトップPCとして利用できる強力な機能です。Elite x3は本当の意味でContinuumのメリットが活用できるデバイスだと考えています」と、そのインパクトを述べた。

 

●KDDIのネットワークが支える快適な利用環境

KDDI ソリューション事業本部 東海林崇氏
KDDI ソリューション事業本部
東海林崇氏

 4人目の登壇者は、Elite x3の通信/ネットワークと販売においてパートナーシップを組んだKDDIから、ソリューション事業本部の東海林崇氏。同社の法人部門の責任者だ。

 まず「我々法人部門としても、Elite x3は気合いを入れて取り組んでいます。Windows 10 Mobile搭載スマホとしては、キャリアアグリゲーションネットワークに対応した日本初のデバイスです」とElite x3にかける意欲を語った。

 そして、KDDIが提供するネットワークの優位性について、3つの観点から説明があった。まず、セキュリティの面で、「KDDI Wide Area Virtual Switch 2(以下WAVS2)」ネットワークを紹介。WAVS2を利用すると、トラフィックを最適に振り分けたうえで、高いセキュリティレベルを担保した状態で、Office365やインターネットなどと直接つなげることができるという。

 2つ目は、ボイスコミュニケーションの面。電話やビデオ会議などを統合した音声環境統合(ユニファイドコミュニケーション)を実現。「(統合コミュニケーションプラットフォームの)Skype for Business向けのソリューションも持っており、すでに数万ID規模のお客様も利用されています」と同社の強みを説明した。

 3つ目は、クラウド利用の面。「KDDIのネットワーク経由なら、お客様が利用したいさまざまなクラウド環境を自由にご使用できます」と述べた。このようなデバイスでクラウド利用は不可欠ゆえに、この点は大きいだろう。

 そして、「スマホを使い切るには、クラウド、ネットワーク、デバイスの3つをセットで考える必要があります。オフィスにあふれるMicrosoft社の製品、我々のネットワークソリューション、そしてElite x3という端末によってお客様のワークスタイルを変えていけると思います」と締めくくった。

※Elite x3はSIMフリー端末なので、各キャリアのSIMおよびMVNOのSIMも利用可能だが、KDDIに関しては相互接続性テストを実施、さらにVoLTEもサポートしている。

 

●スマホとしてもPCとしても「安全・安心・快適」を追求する

 最後の登壇者は、日本HP執行役員でパーソナルシステムズ事業本部兼サービス・ソリューション事業本部長を務める九嶋俊一氏。全体を総括しつつ、Elite x3の個別の機能やサービスを中心にフォローがあった。


パーソナルシステムズ事業本部兼サービス・ソリューション事業本部長 九嶋俊一氏
パーソナルシステムズ事業本部 兼
サービス・ソリューション事業本部長
九嶋俊一氏

 冒頭で、3-in-1というデバイスの特徴、Windows 10 Mobile、KDDI社のネットワーク網について触れ、「統合や統一によって生産性向上、リスク低減、TCO削減が狙えます」とその有益性について改めて言及。

 生産性に関しては、IT機器の操作に不慣れな人々にも触れ、「スマホの利便性を提供しながら、PCのこれまでの操作体系(キーボードとマウス)を守ることも大事です」と、Continuum の果たす役割の大きさを説明した。

 また、リスク削減、TCO削減に関しては、セキュリティの確保やWindows環境への管理の統合などによる管理コスト軽減できることが大きいとし、「Windowsベースのため、ハイエンドPCを並行して利用する場合の環境管理などの面でも有利です」と述べた。

 そのうえで、法人向けでとくに重要な「安全・安心・快適」をどのようにデバイスとして実現するか、それぞれの説明に入った。

 最初は「安全」の面。まず、セキュリティの抜け穴について言及。たとえば、アプリケーションの内容を意図せずコピー&ペーストしてしまい、情報をTwitterに流してしまった、同様に機密情報をスクリーンショットで保存してしまったといったことである。

 また、悪意のあるアプリケーションなどによって、OSの管理権限をのっとられてしまう危険性もある。

 これらの抜け穴に対し「Windows搭載PCとまったく同じ方法で防ぐことができるのが重要なポイントです。認証されたOSしか立ち上がらない、セキュアブートの仕組みを採用しセキュリティを担保しています」と説明。

 また、光彩認証や指紋認証という2つの生態認証の機能を搭載していることも、セキュリティ面の安心材料として挙げた。

 生態認証を利用すれば、電車の中で、重要なパスワードやピンコードを入力するといった事態は防げることになる。

 さらに、「サンドボックス」というプログラムを保護領域で動作させるセキュリティの仕組みに完全対応しており、PCとして見た場合も高いセキュリティ状態を維持できているという。

 

●長時間安心のバッテリーに加え、堅牢性も十分

 次に「安心」面では、最初にバッテリーについて言及。Elite x3 は、電話利用の場合、待ち受けで500時間、連続通話33時間の利用が可能となっている。また、ノートPCとして利用する際は10時間、スマホとして利用する際は14時間が耐久時間だ。また、リチャージ(充放電)1000回が保障されている。

 「最新スマホより1.4倍長く通話でき、情報ツールとして1日安心して使えます。リチャージも同様に約2倍と長期間、安心して長くお使いいただけます」とビジネスツールとして不可欠な長時間・長期間利用が可能なことをアピール。

 さらに、Elite x3は、1.2mの対落下試験をパスした米軍調達基準をクリア、1メートルの水深で30分耐えられる防水機能を備えたうえ3年拡張保障もしていることを補足、物理的な面とサポートの両面で「タフなツール」となっていると紹介した。

 そして、「快適」の面では、まず、高品質通話を挙げた。高音と低音をクリアに通話できるVoLTEに、Windows 10 Mobileスマホとして初めて対応するほか、BANG&OLUFSENのスピーカーを搭載したうえノイズキャンセル機能を備えることで、「ビジネスコミュニケーションの品質を高めることができる」とした。

 次に、CPU性能。デスクトップPCとして利用可能なハイパフォーマンスのCPUを搭載、Continuum 機能を最大限活かせるレベルとなっているという。

 また、デスクトップPCとして快適に利用できるという視点から、HP Workspaceにも言及。「スマホとしてだけでなく、ノートPC、デスクトップPCとしても安心・安全・快適であることを追求しています」とまとめた。

 九嶋氏のプレゼンの最後に、各製品の価格と発売日が発表された。一覧表は以下の通り。Elite x3本体は7万7800円(税抜)となっている。


 

●新しい3in1の世界に熱い視線が集まる

 5人の登壇者によるプレゼンのあとは、質疑応答の時間となった。以下、主な質問と概要。


  • Q:日本ではシングルSIMか?
    A:シングルSIMである。

  • Q:既存・新規ユーザーの市場感をどのように捉えているか?
    A:両方あると見ている。すでにスマホを導入しているお客様にはこのスマホのコスト効果が見えやすい。
     新規のお客様には「働き方改革」という観点から提案したい。

  • Q:販売におけるHPとKDDIの役割分担はどのようになっているか?
    A:PCなど法人向けITソリューションの面ではHPの販売店を通じてニーズに応じ、スマホの面からは、KDDIというように、両方の商流でカバーする。

  • Q:Direct Plusの取り扱いはあるか?
    A:Direct Plusでの取り扱いもあり、個人でも購入は可能。ただし量販店での販売はしない。

  • Q:HP Workspaceのエッセンシャルとプレミアムプランの違いは何か?
    A:利用制限時間の差である。エッセンシャルは月ごとに40時間、プレミアムプランは同80時間。


 こうした質疑応答後も囲み取材で多くの記者が集まり、PCや携帯など各業界からも高い関心を集めていることがうかがわれた。また、説明会後も、会場の後方に展示された実機周辺でも、記者たちが熱心に担当者へ質問する姿が見られた。


 PCとスマホの新しい世界を提示するElite x3。パートナーの皆さまには、ぜひ新たなビジネスチャンスにつなげていただきたい。


 

日本HP Partner News 2016年9月27日号 特集記事]
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