全社レベルでHP CCIを導入して快適に活用する――すなわちWANを介してシンクライアント−ブレードPC間の通信をスムーズに行うには、遅延が小さい状況では十分な帯域さえ確保すればよい。しかし、ネットワークの高速化は回線コストを上昇させることにもなりかねない。
「ユーザ側のサービス品質を確保しつつ、回線コストを一定に抑えるために――PureFlow GS1は拠点単位、アプリケーション単位、クライアント(端末)単位で設定されたサービスレベルに基づき帯域をコントロールします。つまりネットワークの帯域をムダにせず、より多くのトラフィックを流すのです」(西澤氏)
何らかの理由で大量のトラフィックが発生した場合でも、他のユーザが影響を受けないという意味で、クライアント単位での帯域制御は重要だ。
「データセンター側、いわゆるアグリゲーションポイントをどの程度の速さにするかで回線コストの大部分が決まります。100拠点をそれぞれ10Mbpsで結んだ場合、100×10で1Gbpsにするかというと必ずしもその必要はありません。拠点ごと、アプリケーションごと、クライアントごとに最適に帯域を割り振ることができれば、利用形態にもよりますがおそらく100Mbpsでも大丈夫です」(森氏)
帯域制御装置の価格は、その普及に伴って急速に下がってきた。回線を高速化するよりも、PureFlow GS1を導入してQoSを確保する方がTCOを低減できるケースがはるかに多い。
「HP CCIの場合、1クライアントあたり200Kbps以上の帯域を確保することが推奨されています。しかし、単純に200Kbpsを最低保証、上限が500Kbpsといった設定では、帯域全体に余裕があっても500Kまでしか使えないことになります。PureFlow GS1なら、帯域の貸し借りをして最低限の使いやすさを保証しながら、帯域に余剰があればより快適に使えるよう動的に割り当てを変えることができます」(森氏)
ユーザが「快適」と感じる使用感を定量化する方法はないか――定量化されれば、ネットワークのサービス品質と回線投資の妥当性が評価できる。これも、森氏のチャレンジである。
「使用感については、『レイテンシー(遅れ)』『ジッター(ばらつき)』が定量的評価の基準になると考えています。RDPのトラフィックがどの程度遅れて、どの程度ばらつきがあるか。それによってユーザの使用感はどう変わるか――感性の評価と定量的な数値のマッピングを行い、シンクライアント・システムの評価手法を確立したいと思っています」
シンクライアント・ソリューションへのニーズが高まる中で、こうした実装レベルのノウハウはますます重要になっている。 |