デジタル印刷機の機種選定のポイントとなったのは"品質"であった。もちろんオフセット印刷との融合を目指し、既存商業印刷市場の顧客に対するサービスを行う上で、品質は欠くことのできない要素ではあるが、井戸社長はそれだけではないと、次のように話す。「品質を最大のポイントとしたのは、同業他社からの参入障壁がなくてはならないと考えたからです。それも、圧倒的な品質差を求めてきました。その結果が HP Indigo デジタル印刷機だったわけです。」
また、デジタル印刷におけるソリューション提供の鍵は印刷の前後にあると考え、機器導入の3年以上前から前処理としての Web to Print やバリアブル印刷技術などについて様々な調査を行ってきた。また、後処理についても PUR を利用した製本機を導入している。デジタル印刷機の選択においては、最終的に自ら米国に渡り、数多くのデジタル印刷機のユーザーを見学し、ハードウェア、ソフトウェアメーカーとの協議を行った。その結果、品質と、印刷の前後の各種ソフトウェア・ハードウェアとの親和性という面から井戸社長が出した結論は HP Indigo デジタル印刷機しかないというものであった。
"売れる印刷物" を作る
不二印刷におけるデジタル印刷ビジネスは、商業印刷市場の既存顧客に対するオフセット印刷との融合を目的としたビジネスから、新たなステージへとステップアップしている。現在、HP Indigo デジタル印刷機によるデジタル印刷ビジネスは、そのほとんどが可変印刷(バリアブル)ジョブとなっている。これは、既存顧客からの受注と新規案件を除き、単純小ロット印刷は引き受けないということを、事業方針として徹底して行っているためである。印刷の"前後"にあるソリューションとの融合により、本来の意味でのデジタル印刷技術を活かしたビジネスへと突き進むための第一歩となっている。その結果、様々な差し替え要素が定義された印刷物の受注を得ることができ、またWebサイトでWeb to Print ビジネスが立ち上がった。2010年(平成22年)にはHP Digital Print Award 金賞および、第8回アジアン・プリント・アワード銀賞を受賞し、また同年にはHP Indigo 5500 デジタル印刷機が導入された。
また井戸社長は、" 売れる印刷物" を作るデジタル印刷ビジネスとしていくことが、更なるステップアップであると言う。「"売れる印刷物"というのは、印刷物の価格がコストの積算で決められるのではなく、その利用価値により決められるということです。そのためには、印刷物を発注されるお客様に、その印刷物がどういった価値をもち、効果を生み出すかということを説明し、理解していただかなくてはなりません。つまり、印刷物をコストとするのではなく、投資として捉えていただき、そこから得られる効果(リターン)を明確にすることで投資の大きさを決めていくといったROI(Return on Investment)の考え方が価格に反映されることが重要であると考えています。」(井戸社長)これこそが印刷物の付加価値であり、デジタル印刷ビジネスにおいて追求していくべきポイントなのである。