アプリケーション資産を有効活用できるHP NonStop サーバーと
サービス指向アーキテクチャで激変する業界の中でも将来性を確保
中北氏は、「良くなったという声は多いと思う。昔はグロスでバサッと出されていた情報が、例えば部門ごと、品目ごとなど、いろいろな視点で見られるようになった。リアルといっても、瞬時のデータが欲しいというわけではない。弊社では、15分間隔で運用している」と、HP NonStop サーバー上で動くデータウェアハウス、Mirrorの効果について語る。Mirrorでは15分間隔でメインのデータベースから情報を抽出しているため、ほぼリアルタイムの情報を把握できるようになった。それを、社員がそれぞれのクライアントで活用している。バッチ処理で何日も待たされた10年前とは隔世の感がある。システム刷新から約10年が経過した現在、現場の使いこなしも進んできた。
「QC的な活動の一環として、Mirrorの使い方のコンテストのようなイベントを実施しました。その中では、我々も知らないような使い方が出てきますね。今は、管理系から現場の課題管理に至るまで、このシステムがないと困るというくらい、重要なインフラとなっています」と佐野氏は言う。
医薬品卸という業界は、薬事法などの法令による制約も大きいが、利幅の薄いビジネスでもある。利益を少しでも高めるため、締日の営業現場は数字との戦いになる。
「かつてのシステムでは、バッチで出てくるのは前日の昼までの数字。そこから先は手集計でした。締日には、その数字をもとにギリギリまで『あといくら足りないか』『いくら積めばいいのか』とやっていたのです。その計算は部門長の仕事。それがHP NonStop サーバーになって、変わりましたね。システム構築後に入社した若手社員などが、他社の新システムの話を聞いても『ウチのシステムは素晴らしい、うらやましくない』と言うくらいです」(佐野氏)
かつてバッチ処理での情報が遅かったのは、オンラインとバッチを同時に実行できないという制約があったためでもある。もちろん、現在の中北薬品のHP NonStop サーバー上では、受発注などのオンライン処理を行いつつも、Mirrorの集計などバッチ的な処理が並行して実行されている。近年ではドラッグストアも年中無休で営業する店舗が増えてくるなど、オンライン処理は止められないものとなっている。運用条件が厳しくなる中でも、HP NonStop サーバーは安定稼働を続けている。それもまた、10年間使い続けていられる理由だと佐野氏は言う。
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「もはや、オンラインを止めてバッチを走らせるような時代ではありません。我々のような流通業界では、オンラインと同時にバッチ処理ができないシステムなど使っていられない時代なのです。規制緩和も進んできていますから、HP NonStop サーバーによって、どう転んでも対応できるシステムを構築していたことは非常に幸いでした」(佐野氏) |
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ちなみに、同社の商品マスターは、当時10万件、今は14万4000件。膨大なデータ量になる。しかも、「例えば受注効率をみるために、受注した案件ごとにFAXで受注したのか電話で受注したのか、といった違いまで判別している」(佐野氏)という。そのデータは、過去10年間、ずっと蓄積しており、今後はそれ自体が中北薬品の強みになってくると期待されている。
「医薬品業界では今後、トレーサビリティが導入されてきます。RFIDやバーコードを使い、それこそ注射1本ごとに、どの患者に投与したかといったところまで把握していくようになるのです。また、医療機関に対しては、メーカーのMRが説明した先にしか販売してはいけないというルールも入ってきます。ですが、システム的には自由度を高く作っているので、今の仕組みで対応できるという自信があります」(佐野氏)
現在、中北薬品では営業担当者の受発注システムの更新を行っており、間もなくリリースする予定だ。といっても、受注部分での業務ロジックはそのまま、ユーザーインタフェースを変えて、新たにモバイルSFAに作り替えているのだという。「受発注という根幹をなす部分と、情報を見るという部分が別々になっているので、こうした改良は行いやすいのです」と佐野氏は言う。もちろん、過去のソフトウェア資産を最大限に有効活用できる背景には、アプリケーションを使い続けられるNonStopアーキテクチャの継続性があることは言うまでもないだろう。
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「当時はプログラムの部品化と呼んでいましたが、SOAと言われれば、そうだと思います。今でも通用する考え方を10年前に提案してくれたのは日本HPの技術者でした。このシステム基盤が10年間使えているのは、彼らのおかげだと言えるでしょう。また、HP NonStop サーバーは落ちません。『故障しました』といって部品を交換しに来るまでは、その故障の事実に気がつかないくらいで、可用性という面では、とても安心して使っていられます。その運用のしやすさや信頼性も大いに助かっています」(佐野氏) |
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情報システム部門を分社化、今後の変化を見極めるべくシステムを提供する側の意識改革も
2004年12月、中北智久氏は会長に、中北馨介氏は社長に、それぞれ就任した。9代目社長としての立場からシステムを見るようになった中北馨介氏は、「社長は、より大きな枠で物事を見なければならない立場です」と語る。
「現状に満足しない。でないと刺激がない。今のシステムは、もはや10年以上も前の発想で作られたものです。PCを持っていない人がほとんどだったような時代から、ケータイを持っていて当たり前という時代になりました。今は、現状のシステムでも良いとしても、そろそろ陳腐化していることもあるはず」(中北氏)
2006年11月には、情報システム部門を分社化し、ICソリューションズを設立。中北薬品の情報システム本部長だった佐野氏は、ICソリューションズの社長となった。ベンダー社長として、顧客である中北薬品が求めているものを提供し続けることが責務となった。2007年1月にISO27001の認証を取得したのは、その一環だと佐野氏は言う。
「こうした取り組みを通じて、技術者側の意識を変えていきたい」(佐野氏)
2003年、システムを置いているビルも移転した。東海地震の心配が強まる名古屋市内だが、その中でも比較的地盤の安定した場所にある、免震構造のしっかりしたビルを選んだ。
「さほど遠くない移転だったとはいえ、作業は大変でした。ですが、こうした経験も、ベンダーとしての役割意識を持つために必要なのではないかと思いますね。現状、中北薬品で実施した社員へのアンケートでは、今のシステムに大きな不満は聞こえてこない。だからこそどこを変えていくべきか、使う側のニーズを自らが考えシステム屋にならないよう注意しなくてはいけないと思う」(佐野氏)
中北氏は、ユーザーとベンダーの意識の乖離が生じないようにと期待しているようだ。
「ユーザーへのアンケートでは何が分かるのか。使っている人は『もっともっと機能を』と言うが、その『もっと』の部分は、どれだけの頻度で発生するのか。それよりも、機能を使っていない人に対し、なぜ使わないのか聞くべきではないでしょうか。サービスを開発する側と、サービスを利用する側の意識のギャップを埋めて
いく、継続的な努力が必要です。ICソリューションズに対しては、そういった意識を持ち続けてほしいと考えています」
中北薬品とICソリューションズの間には、良い意味で緊張感のある関係ができたようである。変化するものと、変化しないものそれぞれを使いわけながら、さらに先を見据えていく、中北薬品の新たな施策が楽しみでもある。
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