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企業の生命線ともいえる基幹系システム、これまでメインフレームの牙城と思われていたこの分野で、新たなプラットフォームを採用する動きが急速に広がっている。メインフレームを超える高信頼性とUNIXクラスタと同レベルもしくはそれ以下の低コスト、さらにオープン性を実現した第3のプラットフォーム「新基幹系サーバー」である。ここでは、新基幹系サーバーのなかでも高信頼性と実績で他をリードするNonStopサーバーにフォーカスし、ハイエンド・サーバー市場における新潮流を紹介する。 |
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| テクニカルライター 吉川 和巳 |
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HP NonStopサーバー
Sシリーズ |
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「au」の携帯メールサービス、NASDAQの証券取引、そしてVISAカードの
電子決済。これら世界最大規模の基幹系システムを支えるプラットフォームは、メインフレームでもなければオープンシステムでもない。いずれも、「メインフレームを超える信頼性とスケーラビリティ」、そして「オープンシステムと同等のコストとオープン性」を両立させた、“新基幹系サーバー”と呼ばれるプラットフォームによって構築されている。
新基幹系サーバーは、ハイエンド・サーバー市場におけるひとつの大きな潮流となりつつある。調査会社ガートナージャパンが2005年3月に発表したレポートでは、国産メインフレームの減少と前後して新基幹系サーバーの台頭を指摘。これにより、ハイエンド・サーバー市場の競争はさらに活発化すると予測している。また新基幹系サーバーへの移行は、我々の身近なところでも水面下で進みつつある。例えばKDDI株式会社では、携帯電話サービス「au」の新メールシステムとして無停止型超並列サーバー「HP
Integrity NonStopサーバー」を導入し、2003年に稼働を開始した。このNonStopサーバーは、いわゆるx86サーバーやUNIXサーバーに分類される製品ではなく、無停止型のITシステム構築のために設計された新基幹系サーバーだ。上述した米国NASDAQやVISAの基幹システムを支えているのも、同じくNonStopサーバーである。 |
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とはいえ、そうした低コストで本当にメインフレームを代替できるほどの高信頼性を達成できるのだろうか。例えば某家電メーカーでは、1日100万件のOLTP業務が集中する家電製品の受発注システムをNonStopサーバーで構築した。このシステム開発を担当した同社のシステム担当者は、同サーバーの信頼性について次のように述べる。「受発注システムのプラットフォームには、迷うことなく選択すべきマシンがあった。実は1992年からフロントエンド部分のサーバーには旧タンデムのNonStop CLXを採用し、のちに全社のメールサーバーにもタンデム機を導入していたことから、その信頼性と耐障害性を十二分に実感していた。ノンストップ・システムとしての再構築を考えたとき、NonStopサーバー以外の選択肢は考えられなかった」。
また、世界の旅行業務シェアの36% を占め、年間4億3千万件の予約業務を処理しているセイバー・ホールディングスでは、2000年よりメインフレームからNonStopサーバーへの全面移行を開始。このマイグレーションを担当したバイスプレジデント、アラン・ウォーカー氏は、NonStopサーバーとメインフレームの信頼性の違いを次のように説明する。「NonStopサーバーのOSは、メインフレームのOSより信頼性が高いと思う。導入の初日から今までシステムがダウンしたことはなく、文句の付け所がない。これまでシステム上で発生した若干の問題は、いずれもアプリケーション側に起因するもの。そうしたとき、メインフレームではOSがクラッシュすることもあったが、NonStopサーバーをクラッシュさせる方法はまだ見つけていない(笑)」。
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NonStop サーバーの信頼性が、上述したようなきわめて高い評価を得ているのはなぜか。それは、同サーバーを構成するハードウェアとソフトウェアのすべてが、無停止型システムを実現するためにゼロから設計されているからだ。例えば、インテル® Itanium® 2プロセッサーを搭載した最新版であるHP Integrity NonStop NS16000サーバーでは、NSAA(NonStop Advanced Architecture)と呼ばれる高信頼性アーキテクチャを採用。最大16個の論理プロセッサーからなる疎結合プロセッサーを構成し、それぞれの間で完全なデータ整合性を保証している。また各ノードは2重化されたファブリックのNonStop ServerNetクラスタを使用して接続される。プロセッサー、ディスク、I/Oコントローラ、電源など、どのコンポーネントが障害によってダウンしても、瞬時に正常なコンポーネントにトランザクションが引き継がれ、処理を継続することができる仕組みだ。さらにNSAAでは、3重冗長化によりきわめて高レベルの耐障害性を実現するTMR(Triple Module Redundancy)をサポートしており、たとえ1枚のプロセッサーモジュール全体が故障したとしても、アプリケーションの連続運用が可能になっている。 |
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また、セイバーをはじめ、NASDAQやVISA、KDDIといった、とりわけ膨大なトランザクションを扱う分野でNonStopサーバーが選ばれる理由は、そのユニークな超並列処理アーキテクチャにある。NonStop サーバーは、各プロセッサーがそれぞれのメモリ、ディスク、I/Oを所有する非共有方式(シェアード・ナッシング方式)を採用しており、最大4,080個のプロセッサーを接続できる超並列処理(MPP)アーキテクチャを実装している。実際に、国内でも1,000プロセッサー以上で構成される導入事例もあるという。
NonStopサーバーでは、ポピュラーなデータベース製品であるOracleではなく、NonStopサーバーの真価を引き出すことのできるNonStopサーバー専用のデータベース製品であるNonStop SQLが用いられる。
なぜなら、Oracleの並列化オプションであるRACやOPSでは、クラスタを構成する複数のサーバーからディスクを共有するシェアード・ディスク方式を採用しているからだ。この方式では、すべてのデータが共有ディスクに集中するため、ある規模に達すると性能が頭打ちになる。これに対し、NonStopサーバーではシェアード・ナッシング方式で実装された超並列型のリレーショナル・データベースであるNonStop SQLを提供。必要に応じてプロセッサーやディスクを追加することで、まさしく際限のないリニアな性能向上が実現する。
この超並列処理の恩恵を巨大システムの構築に生かしているユーザ企業も多い。例えば国内の某携帯電話会社では、330万ユーザを対象とした課金業務をリアルタイムに処理する料金計算システムの構築にNonStopサーバーを導入している。同社のシステム担当者は、その最大の選定理由がスケーラビリティにあったと説明する。「他社の提案は、いずれもUNIXサーバーとOracleデータベース、サード・パーティのアプリケーション製品の組み合わせというもの。しかし、これらはいずれも、CPUのパラレル処理を図らない単一構造的な考え方なので、必ずどこかに負荷集中によるボトルネックが生じる。また、これまでテラバイト・レベルの膨大なデータを、24時間365日安定的に稼動させたという実績がなかったので、信頼性の面でも不安が残っていた」。この問題を解決する切り札として、超並列処理によってリニアなスケールアウトが可能なNonStopサーバーが採用されたのである。
またNASDAQでCTOを務めるジョン・ヒッキー氏も、「NonStopサーバーのすばらしさは、ニーズの増加に応じてリニアにシステムを拡張できる点にある。我々が求めるミッションクリティカル要件を完ぺきに満たしてくれた」と絶賛する。
以下の表は、NonStopサーバーの導入事例のいくつかをピックアップし、それぞれにおける選定ポイントをまとめたものである。この表に示されるように、NonStopサーバーの信頼性と可用性、そしてスケーラビリティの高さで同製品が選ばれていることがわかる。
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<表:NonStopサーバー選定のポイント> |
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| 導入事例 |
用途 |
選定のポイント |
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株取引システム |
信頼性と可用性、スケーラビリティ |
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電子決済サービス |
信頼性と可用性、スケーラビリティ、オープン性 |
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課金システム |
信頼性と可用性、スケーラビリティ、通信分野での実績 |
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受発注システム |
信頼性と可用性、スケーラビリティ |
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旅行予約システム |
信頼性と可用性、スケーラビリティ、オープン性 |
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電子決済サービス |
信頼性と可用性、金融分野での実績、保守サービスの継続性 |
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受発注システム |
信頼性と可用性 |
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新基幹系サーバーとしてのNonStopサーバーに備わるもうひとつの特徴、それは“オープンな基幹系”ともいうべき性質だ。NonStopサーバーでは、オープンシステムの標準的なテクノロジーやAPIをひととおりサポートしており、開発者から見れば一般的なUNIXサーバーとほとんど同じ環境を整えている。
例えばVISAやセイバーでは、NonStopサーバーを選択した要因のひとつとして、このオープン性を上げている。VISAで技術サポートサービス担当副社長を務めるゴードン・タニューラ氏は、「NonStopサーバーが提供するオープン標準の環境に移行することで、新しいサービスをタイムリーかつ簡単に導入可能になった」と説明する。またセイバーのアラン氏は、オープンでありつつメインフレーム並みのトランザクションをこなせる唯一の選択肢がNonStopサーバーであったと明らかにする。「プロジェクトの当初からWindowsやLinux、UNIXといったオープンシステムを対象に検証作業を実施してきた。しかし、我々が求める信頼性、トランザクション量、データベース規模に対して、それらのプラットフォームでは要求を満たせないことが明らかになった。しかし2000年にHP NonStopサーバーの担当者と出会い、同サーバーによる検証作業を開始した。その結果、大量のトランザクションを24×7で扱いつつ、オープンシステムのインタフェース上でC++やJavaを利用するという我々の要件を満たせることが分かった」。
以下の図は、NonStopサーバーがサポートするオープンソフトウェア環境である。この図が示すように、Java/J2EEやWebサービス/SOA、CORBA、そしてODBCやJDBCといったSQL APIまで、ひととおりの標準APIが利用可能だ。またPOSIX 1003.1に100%準拠するUNIX環境を提供しており、開発者から見ればNonStopサーバーは一般的なUNIXサーバーとほとんど変わらない。 |
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| 図3:NonStopサーバーがサポートするオープンソフトウェア環境 |
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実際、NonStopサーバーの評価・検証を実施した大手SIベンダーでは、同サーバーについて「UNIXとの親和性は高く実行環境としての違和感は少ない」「GNU系のツールも充実している」と評している。UNIXやLinuxの経験者であれば特別なトレーニングやスキルを必要とせずに開発を始めることができるのも、NonStopサーバーが従来のメインフレームとは一線を画している部分だ。
以上、ここではHP Integrity NonStopサーバーを例にとり、新基幹系サーバーと呼ばれる製品が持つ魅力をクローズアップした。メインフレームとUNIXサーバーの間の大きなギャップを埋める"第3のプラットフォーム"として、新基幹系サーバーは着実に足場を固めつつある。 |
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