| さらなるスピードアップの要求に応えるべくプライベートクラウドでITインフラを構築
「インターネットのビジネスでは、スピードが何よりも優先されます。
そのために当社では、システムの開発はもちろん、運用においても社内のエンジニアによる内製化を図ってきました。
スピードを最大化するには、すべての意思決定を外的要因に左右されず自社でできるようにしておくことが不可欠であるという判断があります」。
GMOメディアが進めてきたIT戦略の一つを、同社プラットフォームエンジニアリング部部長の宇津井 大氏はこう語る。
IT戦略のもう一つの柱は、OSSの最大限の活用だ。
同社では、サービス提供と直接の関係がない勘定系システムを除き、ほぼすべてのシステムをOSSで構築してきた。
「これもスピードの最大化が狙い。OSSは世界中のエンジニアが開発に参加しており、極めて速いスピードで開発や改善が進みます。利用コストも抑えられるということも、大きな魅力でした」(宇津井部長)。
しかし提供サービスが増えるにつれて、物理サーバーの数も増大していく。これを抑えるため、仮想化による物理サーバーの集約をいち早く推進。
XenやKVMといったOSSの仮想化ソフトを活用して、小規模なサーバー集約を進めた。
こうした取り組みでサーバー台数は抑制できたが、様々な仮想化環境が乱立した結果、運用コストの削減にダイレクトに結び付かなかった。
それ以上に大きな問題となってきたのは、新サービス投入に向けて環境を用意しておくデプロイに時間がかかることでした」と宇津井部長は語る。
「当時事業化を進めようとしていたソーシャルゲームの領域では、ヒットするゲームはすぐに、はっきりと分かります。
次々と新しいゲームを開発し、人気が出ないならすぐに撤収を図り、出そうなら利用者の集中に備えた拡張を行う、といったスピード感がこれまで以上に求められます。
しかし、物理サーバーベースのデプロイでは1カ月ほどの期間が必要でした。この期間を数時間というレベルまで大幅に圧縮したいと考えていました」(宇津井部長)。
その解決には発想の転換が必要だった。
そこで同社では大規模に仮想化を導入し、新しいサービスインフラとなるプライベートクラウドの構築に乗り出す決断を下す。
物理サーバー台数の大幅な削減が見込めるうえ、運用環境が統一されることで運用のためのコストや作業負担の軽減も進む、という“一石三鳥”の効果を期待してのことだった。
OSSであることとサブスクリプション体系の優位性から仮想化ソフトとしてRHEVを選択
「仮想化ソフトの第一候補に上がったのはOSSの仮想化プラットフォームであるRHEVでした。
まだRHEV2.2の正式リリース前でしたが、レッドハットの協力の下、ベータ版での検証を実施し、性能や機能の面で問題がないかどうかを確認していきました」と宇津井部長。
採用を決定する最大の決め手になったのは、ソフトウェア費用の圧倒的な優位性だった。
「別の選択肢として考えていたVMwareは、プロセッサーあたりのコア数や物理メモリ容量の縛りがあるライセンス体系であるのに対し、RHEVはソケット単位のサブスクリプション体系。
想定していた構成で比較すると、RHEVの方が圧倒的にコストを圧縮できることが分かりました」(宇津井部長)。
「管理機能の面では、VMwareの方が充実している部分があることは確かです。
しかし、今回構築するのは社内で使うサービスインフラであり、外部に公開するものではありません。
運用・管理の際に必要だと考えていた機能はライブマイグレーション、スナップショット、クローン程度。
RHEVにはこれらの機能がそろっていたため、これで十分という判断をしました」(宇津井部長)。
また、RHEV2.2時点ではWindowsによる操作が必要な機能も残っていた。
しかし、次のバージョンであるRHEV3.0では完全なOSS化が図られる見とおしだったことも、採用決断を後押しした。
「OSSを使ってなるべく安く、自分たちで自由に構築でき、管理機能も欲しかった機能は用意されている。
これらを総合的に判断して、自信を持ってRHEVを選択できました」(宇津井部長)。
ラックマウントからブレードへ方針転換HP ProLiant BL465c G7を採用する
プライベートクラウドのベースとなるサーバーでは、プロジェクトの途中で大きな方針転換がなされた。
いきさつを宇津井部長はこう解説する。
「当初、採用したのはラックマウントサーバーでした。
しかし、集約を順次進めていく中で、多くの限界が見えたのです。
たとえば、ネットワークの配線の問題。
集約すればするほど配線の数が増えていき、管理が非常に面倒。10Gbに対応した高価なネットワークスイッチのポートも数多く消費してしまいます。
また、集約密度の低さも課題でした。
そこでブレードへと切り替えることにしたのです」。
改めてブレードサーバーを選定するにあたり、まず宇津井部長の頭に浮かんだのは、既存のシステムとして導入済みであり、運用経験も十分に積んでいたHP
ProLiant BL465c G7だった。
「HP BladeSystem c3000エンクロージャーに格納して2年ほど運用しましたが、その間大きなトラブルもなく、製品としての信頼性は高く評価していました。管理性の優秀さも体験済み。
ブラウザベースでの管理機能に加え、統合管理環境であるHP Systems Insight Manage(SIM)ともスムーズに連携します。
複雑な構成でも見とおし良く、簡単に運用できました。エンクロージャーの100V対応というのも当社の設備環境に合っていました」(宇津井部長)。
HP BladeSystemには、ネットワーク仮想化の技術として、HP バーチャルコネクト Flex-10が用意されている。
一つの10Gb物理ポートを最大で四つの独立した論理ポートに分割して利用できるこの技術。
仮想化によるサーバー集約の際に課題となりがちなネットワークの集約と簡単な管理で、大きな威力を発揮する。
ネットワーク配線の大幅な削減にも貢献できる。
この技術の存在もHP製ブレード選択の理由の一つとなった。
HP ProLiant BL465c G7とHP BladeSystem c3000 エンクロージャーへの切り替えに合わせて、ストレージやネットワークスイッチなど、プライベートクラウドの主要な構成要素も全面的な見直しを実施。
共有ストレージにはHP P4500 G2 SAN、ネットワークスイッチにはHP 5820 Switch Seriesが採用された。
「HPに統一したのは、責任分解点を分散したくないという理由からでした。
異なるベンダーのハードウェアを組み合わせた場合、障害発生時の対応が面倒になり、原因特定までの時間も長くなりがちです。
統一すれば障害対応のワンストップ化やスピードアップが見込め、サービス停止リスクも最小化できます。
ハードウェアを一括して納入できる総合ベンダーのHPを選んだことは、正解でした」(宇津井部長)。
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