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株式会社アイシーエス 副参事 及川 和也 氏 |
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株式会社アイシーエス 副参事/サブリーダー 鈴木 修栄 氏 |
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被災した市民を支援するうえで不可欠な住民基本台帳、財務会計の復旧にまず着手
被った災害からの復旧、そして以前の暮らしを取り戻していく復興で司令塔となるのが、住民の最も近くに存在する行政機関である市役所だ。そして、その活動の基盤として必要不可欠な要素の一つが情報システムである。
「10年前であれば、紙と鉛筆で業務を進めることもできたでしょう。しかし、現代では情報システムの存在を前提に、介護保険をはじめとする様々な住民のための制度が設計されており、システムが稼働していないと制度そのものも止まってしまいます。また、制度実施の基礎となる住民情報、税務情報、さらには市役所内での情報共有やコミュニケーションなど、あらゆる業務や活動がコンピュータ化されており、情報システムの一部が止まるだ
けでも、その影響は計り知れません」。陸前高田市 総務部 総務課 行政係長の高橋良明氏は、市役所内における情報システムの重要性をこう強調する。
しかし、不幸なことに陸前高田市では、市庁舎1階にあったサーバールームが大津波により完全に水没。サーバーの流失は免れたが、システム上の膨大なデータはすべてが消失。これにより行政機能は完全にストップしてしまった。
住民の安否を確認し、り災証明書などを発行するためには住民基本台帳システム、そして復旧資金の出し入れには財務会計システム。この二つだけでも早急に復旧しなくてはならないと判断した市は、まだほとんど電気も来ていない災害対策本部で高橋係長を中心に情報システム復旧の検討に着手しようとした。しかし、被災した膨大な数の市民が市役所の支援を待っており、情報システム担当の職員にも被災者が出ていた。「我々としてもぎりぎりの状況でした。緊急避難的な措置として、岩手県内で自治体向けシステムに多くの実績を持ち、ここ陸前高田市の行政機能を支える「行政情報システム」でも構築、運用や月次データの保管業務を担ってきたアイシーエスに、情報システムの復旧作業を全面的に委託することにしたのです」と高橋係長は語る。
アイシーエスのレスポンスは速かった。大震災と大津波から4日後の3月15日には、一関事業所からエンジニアなどを陸前高田市に派遣。ひとまずはプリントアウトした住民台帳や宛名帳、ノートパソコンを提供した。災害対策本部に併設されたプレハブ仮庁舎への給電を待って、20日から仮サーバー2台(HP製サーバー1台を含む)の設置作業を実施。「設置した仮サーバーには、当社で保管していた2月末時点での住民基本台帳や財務会計のバックアップデータを書き戻していきました」と、作業にあたったアイシーエス 一関事業所 テクニカルグループサブリーダーの鈴木修栄氏は当時の状況を振り返る。
アイシーエスは構築経験と稼働実績を踏まえHP ProLiant BL460c G7を本番システムに採用
応急処置としての仮サーバーは動き出したが、当然ながら次のステップとして、街の復旧に合わせ、行政情報システムも被災前の状態に戻していく必要がある。「本番システムの稼働目標としたのは、街の高台に建設を予定していた仮市庁舎が完成する7月末でした」と高橋係長。
アイシーエス 一関事業所 営業担当 副参事の及川和也氏を中心に、仮市庁舎の建設概要が見えてきた4月下旬から本番システムで使うサーバーの検討に着手。しかし、単純に話しは進まなかった。「仮市庁舎の概略は決まったものの、ではサーバールームのスペースをどのくらいとれるのか、電力はどの程度確保できるのか、空調システムはどうするか、などサーバーの設置環境を見通すことが困難を極めたのです」(及川氏)。
「仮市庁舎の建設計画にたびたび修正やスケジュール変更が入ったことがその原因といえるでしょう。ある時点で建設資材の調達にメドが立たないという状況もありました。また、サーバールームをコンテナ型で設置しては、というアイディアも一時は検討していましたので」と高橋係長はフォローする。
サーバールームを収容する棟の詳細がほぼ固まった5月下旬、サーバー選定は一気に決着する。「稼働までの期間が非常に短い中で、信頼性の高いシステムを構築しなくてはなりません。そこでまず第一優先で考えたのが、我々にとって扱い慣れたサーバーを選びたいということでした」と及川氏。アイシーエスは岩手県をはじめ、県や市町村向け情報システムで構築実績を誇っている。マルチベンダーでの提供が基本だが、HP製サーバーを使った構築例も数多く手がけていた。一年ほど前に手がけた一関市の行政情報システムでもHPのブレードサーバーを採用。本稼働後は大きなトラブルもなく動いていたため、HPブレードを高く評価していた。
採用することにしたのは、性能/電力効率に優れるインテル® Xeon® プロセッサー 5600番台を搭載したHP ProLiant BL460c G7。一関市のケースと同じサーバーだった。「構築ノウハウも蓄えていましたし、このサーバーで多くの入札に参加してきたため、費用の面でも予測が立てやすかったということがあります。本番システム全体を市から任されているからには、コストへの配慮も必要でしたので」(及川氏)。
スペースや消費電力、運用形態などの面でもHP ProLiant BL460c G7のスペックが合致
HP ProLiant BL460c G7を選んだのは、もちろんこれだけの理由ではない。ブレードサーバーとしての基本的な性能や機能もきちんと評価してのことである。
まずは、サーバールームの広さがなかなか確定しない中で、サーバーを選定しなければならず、選ぶならできるだけ省スペースなものを、と及川氏たちは考えていた。この点でブレードのコンパクトさは合致した。
また、消費電力が少ないということも魅力だった。「これまでの経験で、カタログ値での比較ではありますが、HP ProLiant BL460c G7は他社製ブレードに比べ、構成した時に一番消費電力を少なくできることを知っていました。供給される電力に制約があることは予想していましたから、できるだけ消費電力を抑えたかったのです」(及川氏)。サーバーの消費電力が低ければ、冷却のための空調装置もより小さくでき、サーバールーム全体の消費電力でもメリットは大きい。
運用面での優位性にもアイシーエスは注目した。一関事業所から陸前高田市までは車で1時間半ほどの時間がかかる。このため、以前からリモートによる運用サービスを市に対して提供してきた。「HPのリモート管理ツールとしてHP Insight Controlがありますが、他社製の同等製品と比べて、非常に使いやすいという印象を持っていました。そこで、陸前高田市のシステムでも同じツールを使いたいと考えたのです」と鈴木氏は語る。
こうした経緯から、アイシーエスでは本番システムのためのサーバーとして、HP ProLiant BL460c G7をHP BladeSystem c7000エンクロージャーに格納した構成を選定。併せて、共有ストレージとしてHP P2000 G3 MSA FC Array Systemを組み合わせることにした。
職員が利用する内部情報系で機能が大幅回復復旧に向けた活動が加速する
新しい仮市庁舎には保管スペースもなかったことから、サーバーなどのハードウェア類を搬入したのは、サーバールームの設置環境が完成した7月初旬。計画していた稼働スタートまでには、わずか3週間しかなかった。
鈴木氏たちはHPからのエンジニアとも協力しながら、急ピッチで本番システムの構築を進めていった。最後に仮サーバーのデータを移行。本番システムは当初の計画どおり、7月25日から無事に稼働を開始した。
「本番システム稼働後の変化として、職員向けの内部情報系システムの機能を大幅に復旧できました。職員が駆使できるツールを取り戻せたことは、今後の復旧や復興に大きな力となります」と、高橋係長は顔をほころばす。
仮サーバーの期間中、メールは共有アドレス、職員間の情報共有も紙ベースで行ってきた。本番サーバーに移行したことで、個人のメールアドレスの利用が可能になり、情報共有は電子掲示板に連絡事項をアップするだけ。業務の処理スピードが上がり、手間も大幅に軽減された。余裕ができた時間はほかの業務に振り向けられるため、仕事の効率は大幅に向上している。
また、一時的に協力機関のサーバーで公開していた市の公式ウェブページも、本番システム上に復旧。今後は、リアルタイムな情報の発信や更新が可能になった。
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