x86サーバでは、ATAディスクやSCSIディスクをサーバの内蔵ハードディスクとして利用しています。ATAディスクとSCSIディスクは、サーバとの接続インターフェースが異なるだけでなく、平均故障間隔時間(MTBF)や処理性能、拡張性といった様々な面でも違いがあり、SCSIディスクの方が、高価ではありますが優れています。このため、一般的に上位のサーバではSCSIディスクが採用されています。(逆に、低価格なエントリーサーバや、個人が利用するパソコンでは、一般的に容量あたりの単価が安いATAディスクが採用されています。SCSIとATAについては、「1.3. x86サーバにおける一般的な規格および用語」の「1.3.4. SCSI」および「1.3.5. ATA」も併せて御覧ください。)
また、通常サーバでは、ハードディスク上のデータの可用性を高めるために、複数のハードディスクを用いてRAIDを構成するのが一般的となっています。RAIDには、専用のコントローラを用いたハードウェアRAIDと、OSが提供する機能を利用したソフトウェアRAIDがあり、サーバの用途や予算によってどちらの方式を採用するかが決定されます。ソフトウェアRAIDは、ディスクコントローラとメモリ、CPU間でRAIDを制御するための余分なデータ転送が必要となり、CPUへの負荷が高くなる傾向がありますが、OS自体の機能であるためハードウェアRAIDと比較して安価に構成できます。一方、ハードウェアRAIDは専用の制御用ハードウェアで複数のディスクへの入出力を高速処理するため、ソフトウェアRAIDと比較して高価ですが高性能、という特徴があります。(RAIDについては、「1.3. x86サーバにおける一般的な規格および用語」の「1.3.6. RAID」も併せて御覧ください。)
HP ProLiantサーバでは、300シリーズ以上のSCSIモデル製品において、ユニバーサルストレージアーキテクチャとSmartアレイコントローラを採用しています。これらの技術は、HP ProLiantサーバとStorageWorks Modular Smart Array(MSA)ストレージシステムへ、完全に統一された操作性と管理性を提供しています。以下に、ユニバーサルストレージアーキテクチャと、HP純正のハードウェアRAID機能を提供するSmartアレイコントローラの機能についての概要を記載します。
- ユニバーサルストレージアーキテクチャ
HPのユニバーサルストレージアーキテクチャはお客様の投資を保護しながら、構成の柔軟性を提供します。ユニバーサルストレージアーキテクチャには以下のような特徴があります。
- 共通のハードディスクを使用(ユニバーサルディスク)
HP ProLiantサーバとStorageWorks MSA50とMSA70エンクロージャでは、共通のフォームファクタのハードディスクが使用されています。したがって、HP
ProLiantサーバとMSA50およびMSA70をお使いのお客様は、企業内で管理するスペアディスクに必要となるコストを減らし、システム運用を単純化することが可能になります。
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ホットプラグ対応ユニバーサルディスク |
- 統一されたユーティリティ
SmartアレイコントローラとMSAストレージシステムで使用するRAID設定ユーティリティやRAID診断用ユーティリティは、共通化されているため、1台のサーバに接続されているSmartアレイコントローラとMSAストレージシステムを1つのユーティリティから管理することができます。これは、ストレージの設置とメンテナンスに必要なトレーニングや専門知識の習得を減らすことに繋がり、TCOを低減します。
ユニバーサルストレージアーキテクチャでは、1999年に発売を開始したWide Ultra2 SCSIからUltra320 SCSIまで、7年間一貫して、同一のフォームファクタのパラレル接続SCSIのハードディスクを採用していました。しかし、パラレル接続形態では、プロセッサおよびメモリの性能向上に追随した高速化をこれ以上継続することが技術的に困難なため、2006年からは、新世代のユニバーサルストレージアーキテクチャである、小型(2.5インチSFF;Small
Form Factor)のSAS(シリアル接続SCSI)ハードディスクへと移行しています。新世代のユニバーサルストレージアーキテクチャでは、SASハードディスクに加えて、同一のフォームファクタでSATAハードディスクも提供しており、単一のSASシステム内にSASハードディスクとSATAハードディスクを混在させることができます。新世代のユニバーサルストレージアーキテクチャは、ユーザに、ストレージの消費電力量の削減、ディスク入出力処理性能の向上、搭載可能ハードディスク数の増大といった構成の柔軟性をもたらします。

SASハードディスクとSATAハードディスクの混在 |
尚、低価格帯のサーバでは、3.5インチLFF(Large Form Factor)のSASハードディスクおよびSATAハードディスクを採用しています。2.5インチSFFと3.5インチLFFは物理的にハードディスクのサイズが異なるため、ハードディスクを格納するエンクロージャやドライブケージは、それぞれのフォームファクタ専用のものが必要となります。SFFとLFFには物理接続の相互互換性はありません。

SFFハードディスクとLFFハードディスク |
- Smartアレイコントローラの機能
Smartアレイコントローラには、以下の機能があります。ただし、利用可能な機能はSmartアレイコントローラの構成や利用しているOS種別によりサポートされないものや、制限される場合もありますので、詳細は、「Smartアレイコントローラユーザガイド」を御覧ください。
- RAIDレベルの指定
Smartアレイコントローラでは、RAID0、RAID1+0、RAID5、RAID6(RAID ADG)がサポートされます。(アレイコントローラによりサポートされるRAIDレベルは異なります。)
- ドライブアレイと論理ドライブ
Smartアレイコントローラでは、複数のディスクを組み合わせてドライブアレイ(HPのユーティリティではアレイと呼んでいます)を作成します。さらに論理ドライブと呼ばれる仮想ユニットをアレイ内に作成します。この論理ドライブが、OSからは物理ディスクとして認識されます。通常は1つのアレイに対して1つの論理ドライブを作成しますが、1つのアレイ内に、異なるRAIDレベルの複数の論理ドライブを設定することも可能です。
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ドライブアレイと論理ドライブ |
- オンラインスペア(ホットスペア)
オンラインスペアをアレイに割り当てることにより、故障したハードディスクの交換を延期できます。ただし、アレイ内の論理ドライブのフォールトトレランスレベルを上げることはできません。オンラインスペアを持つアレイのハードディスクに障害が発生した場合、そのアレイ内の論理ドライブはオンラインスペアを使用して自動的に再構築を開始します。アレイにオンラインスペアがない場合は、論理ドライブの再構築は故障したハードディスクが交換されると開始されます。オンラインスペアは、個々のアレイ毎、もしくは複数のアレイ間で共有するように設定できます。また、1つのアレイに複数のオンラインスペアを設定することもできます。
- アレイアクセラレータ(キャッシュ)
アレイアクセラレータは、ハードディスクに比べて入出力処理が高速なメモリにデータを格納することによって、データの読み書きが集中する時の効率を大幅に向上させます。バッテリバックアップ機能を備えたSmartアレイコントローラのアレイアクセラレータは、利用するシステムの特性に合わせデータの読み込みと書き込み比率を、アレイコンフィグレーションユーティリティで設定することが可能です。また、バッテリバックアップ機能は、バッテリにより停電などの障害からキャッシュ内のデータを保護します。
- ハードディスク追加
Smartアレイコントローラのサポートするハードディスク最大数を超えないかぎり、ハードディスクをシステムに追加することができます。Smartアレイコントローラが標準で搭載されているHP ProLiantサーバの場合は、ドライブケージがホットプラグ対応となっているため、サーバが稼動した状態でハードディスクを追加できます。追加したハードディスクは、新しいアレイの構築、または既存のアレイ構成の拡張に利用できます。
- アレイの拡張
既存のアレイ構成にハードディスクを追加することで、アレイの容量を増やすことができます。このアレイ容量の拡張処理はOSに依存せずに行うことが可能で、そのアレイ内の既存の論理ドライブ容量にも変化を与えません。(論理ドライブの領域は、アレイ内のすべてのハードディスクに再配置されます。)論理ドライブ容量の拡大は、アレイの拡張後に行うことができます。
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アレイの拡張 |
- 論理ドライブの拡大
アレイの未使用容量をアレイ内の既存の論理ドライブに追加することによって、論理ドライブのストレージ容量を増やすことができます。OS動作中(オンライン時)に論理ドライブを拡大できるかどうかは、OSの機能に依存しますので、詳しくはOSのマニュアルを御覧ください。
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論理ドライブの拡大 |
- 論理ドライブの移行
このオプションは、選択した論理ドライブのストライプサイズ(データブロックサイズ)またはRAIDレベル、もしくは両方を変更します。ストライプサイズやRAIDレベルの変更前と変更後の設定によっては、移行を可能にするために、アレイ上に未使用容量が必要な場合があります。
- ダイナミックセクタ修復(DSR)
すべてのSmartアレイコントローラは、他のディスクアクティビティが行われていないとき(最大30秒のアイドル時間が発生したとき)に、バックグラウンドジョブとして、ハードディスクのディスク表面の分析を実行します。完全に読み取り不可能なセクタでも、コントローラのRAID機能を用いて、再構築や最配置が行われます。この機能をダイナミックセクタ修復と呼んでいます。
- SMART(Self-Monitoring Analysis and Reporting Technology)
SMARTはハードディスク内部に搭載された、リアルタイムの監視・解析機能です。Smartアレイコントローラは、アレイを構成する各ディスクからSMARTのエラーコードを識別し、ハードディスク障害の予兆があることをシステムに通知します。障害の予兆が検出されたハードディスクは、HP事前予防保証に基づき交換が可能です。
Smartアレイコントローラでは、この他にも様々な機能が利用できます。各Smartアレイコントローラで利用可能な機能の一覧は製品ホームページを御覧ください。尚、HP
8ポートSAS/SATAホストバスアダプタ、HP
6ポート SATA
RAIDコントローラ、およびHP ProLiant 100シリーズやML310 G4、DL320G5などのオンボードSATAコントローラは、RAID機能を提供しますが、これらはSmartアレイコントローラとは別の製品・機能となりますので、ご注意ください。
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