熾烈な競争に打ち勝ち、市場で受け入れられてきた、日本の工業製品。世界中で高い評価を得てきた最大のポイントが「“高品質”を“低コスト”で実現できる技術力」にあることは、万人が認めるところです。特に、生産工程の合理化や標準化、ムダを省いた工程管理といった「生産管理の優秀性」は群を抜いており、優れたノウハウの一部は「カイゼン」や「ジャストインタイム」のように海外にも輸出され、「管理システムの模範」として活用されています。
そんな輝かしい評価に、昨今暗雲がたれ込め始めています。公共交通機関や公共サービスなど社会インフラにおける「サービスの停止」、家電や工業製品の不具合による「大規模な回収」……など、企業が提供するサービスや製品の「品質」に起因した不祥事が目立って増えてきているのです。
『日経ものづくり』が行った調査 (*1)よると、「近年(ここ5年ほど)、日本製品の品質が全体として低下していると感じるか」との設問に、23%強が「強く感じる」と答え、「どちらかというと低下していると感じる」の54%強とあわせ、8割近くが「低下」に同意する回答を寄せているのです。日本人のDNAに受け継がれてきたであろう「モノづくりや品質へのこだわり」……それに対し人々が大きな不安を感じ始めているという事実は、製造やサービスに携る人にとって、少なからずショッキングなものでしょう。では、なぜ昨今、こうした事実が顕在化してきたのでしょうか。
この問題を語る前に、まず、「品質」という言葉の意味が、時代によって変化してきているという状況について説明しておきましょう。一つのヒントを示しているのが、先ほどの『日経ものづくり』の調査の続き(*1)に見ることが出来ます。
「品質低下を感じる原因は何か?」という質問に対し、半数強の人が「報道されるような重大な事故やトラブル」を挙げ、「故障が多い」など「製品そのもののトラブル」を挙げた人の4割弱という数字を大きく上回っています。これは何を意味しているかというと、多くの人々が品質を「製品そのもの」ではなく、「製品を含めたサービス全体」として捉え、評価を行うようになっているということです。
つまり、製品への評価の指標が「製品そのものの優劣」から「企業が提供するサービス全体の良し悪し」へとシフトしている……さらに視点を換えると、「品質」と捉えられる範疇が、「製品を出荷するまで」という企業の視点から、「サービスを享受するまで」というユーザーの視点へ変わってきているのではないか……そう分析することができるのです。
そして、このユーザーの評価の視点が変化していくに伴って、企業が高い品質を保つには、ずばり、質の高い製品やサービスを可能にする「業務プロセスの仕組みづくり」が対策のポイントとなります。そして、そのスムーズな遂行を多くの部分で支えるのが、「信頼できるソフトウェアで構築されたITシステム」となるのです。裏を返せば、業務プロセスにITが欠かせない昨今では、信頼できるソフトウェアなしに、顧客が求める「品質」を実現することは難しいということで、今や「ソフトウェアの精度や処理能力、可用性が、企業の品質を左右している」……そんな時代に突入していると言えるのです。
(*1)「日経ものづくりNEWS」の読者対象 参照「日経ものづくり(2007年1月号)」 
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