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【23-02】 シリーズ“HP OpenView講座” vol.6
「アポロ13とITIL」

Vol.23 (2004.10.26発行)

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【23-01】
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【23-02】
シリーズ“HP OpenView講座”vol.6 「アポロ13とITIL」

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アポロ13号から学ぶ
ITILの教え

アポロ13号から学ぶ 「ITIL」、これはもうブームと言ってよいのではないでしょうか? 最近は先進的な企業の事例とその賞賛 に値するような結果も多く出てくるようになりました。
最近のITIL導入の流れに乗り、IT運用の効率化を目指してITILを勉強しながら実践をしていくと、物事の動きや手順を観察するにつれ、「これはITILで言う可用性管理のサポータビリティじゃないか?」 とか「これは問題管理の既知のエラーだ!」とか、なんでもかんでもITILの理論と結び付けてしまう習慣がついてしまっている方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。

先日、“アポロ13”と言う映画を久しぶりに観ました。ところが観ているうちにまたもや強い想いが頭の中を駆け巡りました。
「これってITILそのものじゃない!」
そこで、今回から数回にわたって「アポロ13号から学ぶITILの教え」についてお話したいと思います。

アポロ計画
人類を月に送るという壮大な計画

「アポロ計画」。人類を月に送るという壮大な計画のもと、当時の最高の人材、お金そして最先端の技術がつぎ込まれて、ついに1969年7月、アポロ11号のニール・アームストロング船長がこの偉業を達成、人類初の月面着陸に成功したことはあまりにも有名です。今から35年も昔のこと、もちろんIT、ITILなどと言う言葉も無ければ電卓もパソコンも無い時代です。学校の教室くらいの大きさのコンピュータでようやく簡単な給料計算ができたかどうかの時代です。円周率、平方根、対数、三角関数などは計算尺といって竹で出来た物差しを滑らせて目盛りの重なり具合で答えを導き出すという本当のアナログ世界でした。計算尺で答えを読み取るときは必ずみんな言っていましたよ。“だいたいこんなもの”。今思うと、“だいたいこんなもの”の時代によく月まで人を乗せて宇宙船を飛ばしたものです。

さてさて映画アポロ13の物語ですが、すでに最初の月着陸が成功した後の1970年4月、アポロ13宇宙船が再び月着陸を目指して地球の周回軌道を飛び出し月に向かって飛行している時に酸素タンクが爆発を起こしてしまいます。酸素が宇宙船から噴出してしまい宇宙船を制御する為に必要な電気を作り出す燃料電池と、人間が息をする為に必要な酸素が欠乏し月着陸どころか地球へ生きて帰れるかどうかの危機的な状態に陥ってしまいます。3人の宇宙飛行士と多数の地上管制官や技術者たちが知力を振り絞ることによって、最後には無事に地球へ帰還することが出来るという本当にあった物語です。
この映画を観てみると、実はITIL理論が凝縮されていることに気がつきました。リリース管理、変更管理、インシデント管理、構成管理などです。

どこにどのようにITIL理論が凝縮されているのか、具体的にアポロ13号発射の場面を再現してみましょう。

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発射の場面
“Launch”

Launch 7年間にわたる壮大な計画のもと、いよいよアポロ13号が出発の時を迎えます。管制センターの責任者がアポロ宇宙船を発射するかどうかの最終確認作業を実行し、各エリアの担当者(責任者)に対して確認の声を掛けていきます。“推進ロケット”、“燃料”、“誘導”、“医療”、“航法”、“遠隔計測”、“制御”、“通信”、“回収”などです。それぞれの担当者のOKが確認できたところで“Go For Launch”すなわち発射許可を行います。
11、10、9・・・ カウントダウンが続き、巨大ロケットに点火、轟音と共に3人の飛行士を乗せた宇宙船が地球を飛び立ち二段目、三段目のロケットへと切り離しと点火が続いていきますが、その間、発射中止モードと自動中止システム解除、最後は脱出装置切り離しが秒単位にそして確実に実行されてゆき、そして無事に地球周回軌道に乗ります。

この場面、ITILのリリース管理が実践されています。一言で言うと、何千という手順を文書化しテストしてそして確実に実行しているのです。ちょっと振り返ってみた時、意外とリリースの手順書って正しく準備されてはいないのではないでしょうか?
例えば、発射中止モード解除から脱出装置切り離し手順の場面、万一システムのリリースが失敗した場合、どの時点でどういう状態ならばどの状態まで戻すか、すなわち切り戻しの手順を策定し、文書化して確実に実行できるかどうかを確認しておく必要があります。システムのリリースを控えたIT運用部門にとって切り戻しの手順を文書化し確実に実行できるかの確認をすると言うのは、時間が無いという理由で意外と出来ないものです。
また、最終確認作業の場面、リリースするかどうかの決断をどの時点でどのようにするかということは非常に重要です。最終確認をしている時に一担当者がNOとは言えない場合もありますし、会社のビジネス状況や予定から考えて、どのタイミングで最終決断をくだすかを決めるということは難しいものです。従って映画のようにエリア担当責任者を決めて、エリアごとに準備完了度合いを適時確認してゆくプロセスは必要です。
アポロ宇宙船の打ち上げの時期と言うのはベトナム戦争で大掛かりな作戦が実行される時に合わせていたようです。世の中の目を戦争から遠ざけるのが最大の目的だったのかもしれません。ITIL理論でもビジネス戦略の一環でシステムのリリースが行われなければなりません、新製品や新サービスの発売、年度末や月末といったビジネスに影響する時期を考慮してタイミングは決定されるべきで、ITテクノロジーや運用部門の都合でリリースの時期が決まるわけではないのです。35年も昔の話ですが、失敗が許されない国家事業の宇宙船発射手順には妥協の余地もなくITIL理論のリリース管理が実践されていたと言えますね。

英語ではロケットを発射することを“Launch”と言います。実は新しいITシステムのカットオーバー、すなわちリリースすることを同じく“Launch”と言うことがよくあります。きっと英語圏のイメージとしては宇宙ロケットの発射も新規システムのリリースも同じ位置づけなのでしょう。

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行ってますか?
リリース管理?

リリースするかどうかの確認作業をマイルストーンごと(3ヶ月前、1ヶ月前、直前など)に行っていますか?各エリア担当の確認をとりながら確認作業をしていますか?リリースするときの手順書を必ず文書化していますか?とくに、切り戻し計画書作っていますか? ビジネス要件・条件に合わせてリリースの時期を計画していますか? ビジネス側マネージャとリリース時期の合意を取っていますか?

システムのリリースが失敗すると、“Launch”どころか“Lunch”も抜きで何日も復旧作業をする事態になるかもしれません。

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次回予告
アポロ13に大きなトラブルが発生

無事に地球周回軌道を飛び出し月へと向かったたアポロ13に大きなトラブルが発生してしまいます。
月への着陸どころか生きて地球へ戻れるかどうかの危機的事態の発生。この状況のなかで繰り広げられる緊急対策とは。
緊迫するこの状態をインシデント管理と結びつけてお話したいと思います。

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