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HP OpenView News 【41-01】
続・アポロ13とITIL -4-

Vol.41 (2006.08.17発行)

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Vol.41 TOP

【41-01】
続・アポロ13とITIL-4-

【41-02】
HP認定プロフェッショナル・プログラム
認定試験の傾向と対策 〜OVOU編〜

【41-03】
シリーズ“HP OpenView講座”vol.22
ジョブ管理ツール「HP OpenView JobCenter」の効果的な利用法

【41-04】
HP OpenView事例紹介
HP OpenView AssetCenter:ユーザ事例のご紹介
(T&D情報システム株式会社様事例)

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ITSMとITIL

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はじめに

アポロ13が発射されたのは米国のフロリダ州フロリダ半島のケープキャナベラルでした。ここは、気候的には年中暖かく、時折ハリケーンが襲来して被害が出たりすることもありますがとても良いところです。それに対して、地上の管制センターはテキサス州のヒューストンに設置されており、ケープキャナベラルとは直線距離で約1、500キロ程度離れている位置関係になります。日本で言えば北海道と九州くらいの距離があるでしょうか。

さて、アポロ13の物語からITIL理論を学んでいるこのシリーズ。今回は、「リモートとローカル」、「セントラルとバーチャル」というキーワードを軸にITILにおけるITサービス運用組織の設置の考え方を検証したいと思います。

*バックナンバー: 続・アポロ13とITIL -1-  プロアクティブアクション
続・アポロ13とITIL -2-  可用性管理
続・アポロ13とITIL -3- ITサービスマネージメント

リモートとローカル、セントラルとバーチャル

ITILでは、ITサービス運用組織の設置を「ローカル」にした場合と「リモート」にした場合とでの考え方が述べられています。

「ローカル」とは顧客やユーザの拠点ごとにサービス組織を設置することとされており、顧客やユーザに物理的に近いところでサービスを提供できるので、地域に密着したそれぞれの拠点固有の問題にも対応でき、何か問題が発生した場合には直ぐに現場に出向く事ができます。しかし、拠点毎にITサービス運用組織を設置する事は、他の地域に対するサービスの提供は実現されないため、その分の人件費や設備費の上で不利になる場合が多くなるばかりか、日々のITサービス運用から得られるノウハウがITサービス運用組織全体で共有されにくいといった問題を抱えるといった弊害もあります。

一方、「リモート」とは顧客やユーザの拠点や場所にはこだわらず、場合によっては離れた場所にサービス組織を設置することとされており、「ローカル」のように地域に密着した問題には対応はできにくいことや、場合によってはそれぞれの国や地域による言葉、習慣、法律等の規制への対応が課題になることはありますが、例えばヒューストンにある管制センターがケープキャナベラル以外の地域からのロケット打ち上げにも対応できるなど、広範囲にわたり、一定のサービスが提供できるといった利点もあります。
さらにITILでは、「リモート」における運用組織の編成を「セントラル」または「バーチャル」に分け、その特性を説明しています。
「セントラル」とはITサービス運用組織をどこか一カ所に集約して組織化することで、運用のプロセスや手順およびサービスレベルを標準化しやすくなるという特徴があります。集約することにより、各支店や拠点毎にサービスレベルが違うと言った不満は解消されるようになります。また、主要な要員も集まることになるのでナレッジデータベースの構築を容易にし、要員同士のコミュニケーションが活発化しやすくなりますが、逆に一カ所に集めるための移動や引越しコストや、場合によっては一カ所に大きな設備(オフィス・住居など)を設置する必要が発生したりもします。

アポロ13では、ロケットの発射場所がケープキャナベラル、管制センターはヒューストンと「リモート」の形式を取り、更に組織をセントラル化することで、ITサービス要員のコミュニケーションが活性化し、ナレッジデータベースを共有させていくことができた結果、次々に引き起こるインシデントの解決に迅速に且つ的確に実践できたように感じられます。

一方、運用組織を「バーチャル」にした場合ですが、これは散在するITサービス運用の要員をあたかも一カ所にまとめて運用を行っているかのように仮想化して組織化することをいいます。バーチャルな組織では、最新のテクノロジを活用して、地方に散在する主要な要員をあたかも一カ所にいるように運用させます。たまたま、ネットワークについて非常に詳しい要員が離れた地域にいたならば、物理的には離れていても、緊密な連携をもってインシデントやサービス要求にあたかも一ヶ所に2名の要員がいるかのように対応する事ができます。または、どちらか一方が休暇中でも他の地域のエキスパートが対応することも可能となります。拡大して考えると全世界的にバーチャルな組織を実現すれば、3交代制など深夜勤務させなくとも、24時間サポートを実現することも可能になるわけです。これは、事前にトレーニングやテクノロジツールの応用、作業の標準化や言葉の定義等一定のノウハウを持つことが前提とされているのですが、欧米の先進的なグローバル企業の幾つかはこのようなバーチャル組織を採用して24時間サポート(Follow the Sun)を実現しています。

監視システムの重要性

ローカルとリモート、または、セントラルとバーチャル、とこのようなビジネスのニーズにあった運用組織のモデルを選択したとしても、絶対に見落とすことができないのが監視システムの重要性です。
アポロ13でも、ITサービス要員が監視モニターから得られる情報と、無線通信から得られる3人の宇宙飛行士からの情報を基に的確な作業を行っていきます。物語の中でも「推測から事態を悪化させないで、正確な状況を収集せよ!」との指示が出ていますが、単に無線の連絡だけではなく、監視システムからの数値データなどの情報を集めることが必須であることが分かります。
ITILではサービスデスク、インシデント管理や問題管理などのプロセス毎に、インプットされるべき情報が定義されており、それらの重要性が解説されています。
アポロ13の映像の中で出てくる管制センターのように、大勢のエンジニアがモニターを見るような仕組みを構築するのは難しいのではないかと思われるかも知れませんが、最新のテクノロジ(例えばHP OpenView製品)を使えば、いずれの運用組織のモデルにおいても監視システムの構築をすることは容易です。

ITILの目指すものとは

 

さてさて、アポロ13を題材にITILの考え方を考察してまいりましたが、ITILはそもそも何故作られたのかご存じでしょうか? 実は、1980年代のサッチャー政権の時代に、イギリス経済が伸び悩んでいる原因の一つがITサービス運用であったとされ、この問題を解決する為にITILがまとめられることになったと言われています。また、フォークランド紛争の際に、イギリス軍の出動が遅れた原因の一つがITサービス運用であったと言う噂もあります。即ち、ここで良く理解すべき事は、ITILの目指すものはビジネスの達成を実現させることを目的にしていると言うことです。「ビジネスはITそのものである、ITはビジネスそのものである」と言う書き出しで始まるITILです。アポロ13も米国の国家の威信を賭けたプロジェクトであり、1960年代後半のベトナム戦争が背景にあるわけです。国家の威信を賭けたプロジェクト、即ち、国家戦略を支える基本的な要因として、ヒューストンをはじめとする地上要員の活躍があったと言えるでしょう。

一企業活動を考えた場合には、企業のビジネスを支える基幹システムは有効且つ確実にITサービスとして提供される必要があります。また、会社として常にビジネスの拡大を目指さなければならず、ITサービス運用として、常にビジネス拡大につながる付加価値の提供も必須となります。一般的にIT組織全体の70-80%のリソースがITサービス運用で使われていると言われています。従って、日々のITサービスの品質を向上させ、ビジネス目標の達成に導くIT組織を目指し、組織の成熟度を向上させる努力を続けなければなりません。現状に問題意識をもってITILを参考に改善活動に取り組めば、ビジネス目標を達成させる文化を持ったIT組織を構築することができるでしょう。

次回はいよいよ最終回です。
「問題管理」についてご紹介すると共に、全体と総まとめをしたいと思いますので お楽しみに。

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