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HP OpenView News 【42-02】
続・アポロ13とITIL -5-

Vol.42 (2006.09.21発行)

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Vol.42 TOP

【42-01】
世界で認められたセキュリティ専門家資格「CISSP」とは

【42-02】
続・アポロ13とITIL-5-

【42-03】
シリーズ“HP OpenView講座”vol.23
(最新版)日本版SOX法対応におけるITILの有効性

【42-04】
HP OpenView事例紹介 -海外事例-
Siemens Transportation Systems社、HP OpenViewでネットワーク・アクセスを保護

【42-05】
今、注目の情報満載!ニュース、イベント、セミナーご紹介

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はじめに

国家の威信をかけて米国政府が取り組んだ「アポロ計画」。人類初の月面着陸までには 飛躍的な技術革新の一方、多くの犠牲も伴いました。

アポロ計画初期、訓練中に指令船の中で起きた火災事故により、3人の宇宙飛行士が亡くなりました。事故後、「アポロ1」計画と名づけられたこの事故の原因は、指令船内に充填された酸素に、スイッチを入れた際に発した僅かなの火花が引火して起きたものでした。
また、内部から脱出ができないような構造となっていたこともこの惨事の原因とされています。
この事故後、指令船内の気体中の酸素は、地上の空気と同じ酸素濃度となるように変更され、また非常時に脱出できるように設計も変更されました。

このように様々の問題点を解決し、1969年のアポロ11号による人類初の月面着陸の成功、
そして、後世の飛躍的な宇宙開発につながっていくのです。

さて、話をITILに戻しますが、インシデントが発生したらその根本原因を突き止めて解決させる役割を持つのがITILの問題管理の役割とされています。
HP OpenView News vol.38でもご紹介しましたが、問題管理には、何かが起こった際に対応するリアクティブなアクションと、問題を起こさないために事前に何かをするプロアクティブなアクションがあります。
アポロ1の事故についてのアクションはリアクティブなアクションが中心だったと言えますね。

さて、今回はITILの考え方に基づき、この問題管理のプロセスについて掘り下げたいと思います。

*バックナンバー: 続・アポロ13とITIL -1-  プロアクティブアクション
続・アポロ13とITIL -2-  可用性管理
続・アポロ13とITIL -3- ITサービスマネージメント
続・アポロ13とITIL-4- リモートとローカル、セントラルとバーチャル

問題管理

問題管理のプロセスには2つの基本的なサブプロセスがあります。「問題コントロール」と「エラーコントロール」です。

前述した3人の飛行士が亡くなった「アポロ1」の事故を例にしてみましょう。この事故のインシデントを仮に「火災の発生」と言うことに絞るとすると、ここで、何故火災が発生したかを調べるプロセスが「問題コントロール」のプロセスになります。この時、問題の識別と記録、問題の分類(ハードウエア、ソフトウエア、手順や、ビジネスに与えるインパクトの大きさ等)、調査と診断(問題の根本原因は何か)などの活動が行われます。アポロ1号の事故では指令船内の気体が酸素のみであったこと(小さな火花が電極から発生したのも原因かもしれませんが)が根本原因として解明され、この問題は既知のエラーとして登録され、「エラーコントロール」に送られます。「エラーコントロール」では、エラーの識別登録、エラーの評価(解決方法の作成、RFCの作成など)、エラーの解決策の記録、エラーのクローズ(火災に対する問題管理活動の終了)などの活動が行われます。最終的に解決方法が変更を伴うものであれば、変更管理プロセスにのっとって解決策が実装された後、変更後の正常動作確認が出来たところでエラーのクローズとなるわけです。

ただ、ITサービス運用の世界で考えてみると、問題または既知のエラーが存在するからといって、ワークアラウンドが適用されているのにも関わらず、それらが全て解決されるまでITサービスを停止することは現実的には出来ません。「問題コントロール」、「エラーコントロール」と言うサブプロセス活動が行われている間、人命に関わるロケットの発射を全て停止して問題管理プロセスを実行するアポロ計画とは事情が違うことは理解しておく必要があると思います。

また、ここで改めてインシデント管理との違いを確認しておきたいと思います。
アポロ13では酸素タンクが爆発した根本原因を突き止めるアクションを、アポロ13が地球に帰還した後に行っています。根本原因は酸素タンクに使われたコイルの不良だったようです。従って、次々と発生するインシデントに対応して3人の飛行士の安全を確保し、何とか地上に戻す為の一刻を争う対応をインシデント管理が行い、根本原因を突き止める、部品の設計や変更を行うなどの、いわゆる時間のかかる対応は、問題管理と位置付けて実施したと理解できます。インシデント管理と問題管理の最も違う点です。

まとめ

改めてですが、アポロ13を観ているとITILのベストプラクティスが多く実行されていることに気付き驚かされます。危機的な状況を次々と乗り越えていく為には、最も効果的で効率的な活動が必須であることが良くわかりますし、日々のITサービスマネジメントの世界でも同様のことが言えるでしょう。
特に何も意識していなくとも、インシデントや問題がスムーズに解決された時、それに費やした活動を振り返ってみると、実は非常に論理的に且つ体系だった活動をしていることに気が付くはずです。また、解決に失敗してビジネスに悪影響を及ぼしたような場合は、幾つかの改善点が見えているはずです。ITILには適用範囲の非常に広いITサービスマネジメントの全ての機能とプロセスのベストプラクティスの考え方や手法が記述されています。ITILを事前に勉強してそのスキルを身につけておければ、ITサービスマネジメントに関わる全ての活動において常に最も効果的、効率的なアクションが起こせるはずです。
トラブルに適切に対応する見事なインシデント管理を中心にアポロ13から色々学ぶことが出来たわけなのですが、ITILを勉強していて言えることは、ITILの全ての機能とプロセスではプロアクティブな活動を行うことが非常に大切だと言うことです。何かが起こったから対応するのではなく、何もインシデントや問題を起こさない為にアクションを起こすと言うことです。そして、CSIP(継続的な改善活動)を続ける事ができれば、必ず、IT運用要員の持つべき考え方や文化が変わります。ビジネス戦略を実現するIT戦略を実行し、ビジネス側に対してビジネス価値の創造を提案できるIT運用組織としての成熟度を持つことができるようになるのです。先進的にITを活用してビジネスの拡大を図っている企業はみなITサービスメネジメントの構築と改善に取り組んでいます。
また、アポロ13を観ていて再確認できますが、効果的・効率的なITサービスマネジメントには人、プロセス、そしてテクノロジ(運用管理ツール・監視ツール)の3つがバランスよく組み合わさっていなければならないと言うことです。勝手な推測から事態を悪化させることなく、的確な判断と対応をタイムリーに実行する為の必須な3要素だと言えます。ITILの考え方としても人、プロセス、テクノロジとしてその重要性が随所に記述されています。

今まで色々と語ってまいりましたが、最後に、ITILの実践は難しく考える必要はないと言うことをお伝えしておきます。ほんのちょっとした事、小さな改善を繰り返すことからでもITILの実践はスタートできます。「スモール・ステップ・クイック・ウイン」、「小さく始めて効果を出す」とITIL自身に記述もされています。まずは効果が期待できそうなところを選んで、小さく始めてみてはいかがでしょうか?現状のITサービスに問題意識を持っていれば必ず成功するはずです。そして成功体験を横に展開していけば、ITILが目指すビジネスへの貢献とIT組織の成熟度の向上が見えてくるはずです。
これで、この「アポロ13とITIL」の連載を終わります。今まで貴重な時間を割いてお読みくださった皆様に感謝いたします。皆様がこの記事から何か1つでもヒントを得られて、実務に活かしていただいたり、この記事があるべき姿のITサービスマネジメントへ近づけるお手伝いとなれれば幸いです。
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