SANからのブート――Boot from SANは決して目新しい技術ではない。HP-UXでは1997年からサポートしてきた技術だ。したがって、いまさらの感を抱く読者もいるかもしれないが、ブレードサーバや仮想化技術の普及にともない、Boot from SANに改めて注目が集まっている。本稿ではBoot from SANの活用例を紹介していこう。
SAN上のボリュームからシステムのブートを可能にするBoot from SAN。冒頭でも述べたように技術的には目新しいものではない。技術的ルーツは、1980年代にはすでに普及していたNFSブートを利用したディスクレスワークステーションにまでさかのぼることができるだろう。
HP-UXにおいても、1997年にBoot from SANがサポートされてから、すでに10年が経過している。にも関わらず、現在でもローカルディスクからのブートが一般的で、Boot from SANが積極的に活用される例はまだ多いとはいえない。その背景には、ユーザーが使い慣れたブート構成を捨ててまでBoot from SANを導入するだけの理由がなかったということがあるだろう。
だが近年、仮想化やブレードサーバの利用が広がり、Boot from SANに注目が集まるようになった。仮想化技術を利用すれば、複数のOSを仮想環境下でブートさせることができるが、サーバに搭載できるローカルディスクには限りがあり、収容できるOSイメージ数が制約されてしまう。十分な容量を持つ外部ストレージ――すなわちSAN上にブートイメージを用意すれば、そうした制限を受けることなく仮想化の活用が可能になるわけだ。
HPのブレードサーバでは、リップ&リプレースという機能がサポートされている。プロビジョニングの条件がエンクロージャのスロット単位に割り当てられているため、ブレードサーバを交換しても交換前と同じプロビジョニング環境でブートできるのだ。Boot from SANを用いれば、ブレードサーバに障害が発生しても、サーバをエンクロージャから抜き、交換するだけで復旧できるのである。
Boot from SANを利用するメリット
もちろんBoot from SANの利点は、仮想化やブレードサーバといったOSのインスタンスを多く必要とする構成に限定されたものではない。可用性・管理性・保守性という面から見ても、ローカルストレージより高いアドバンテージを持つのである。
だが、いったんブートしてしまえばブートボリュームへのアクセスはそう頻繁ではない。それでもデータのみを置くよりはSANの帯域に対する要求は多少なりとも大きくなるが、ファイバーチャンネルの帯域は近年、非常に大きくなっているためBoot from SANが帯域を圧迫して障害を起こすという懸念は、まず考えられなくなっている。
通常の構成に比べて規模やコスト負担が大きくなるのでは?という懸念を抱くユーザーも少なくないだろう。確かに、SANスイッチやHBAは一般的なSCSIのHBAに比べると高価だ。だが、これらの価格は低下し続けており、内蔵ディスクとの価格差は縮小している。さらに、システム構成によってはBoot from SANと内蔵ディスクとの間にほとんど差がないか、あるいはBoot from SANの方がコスト的にも有利になるケースすらある。
そこで、次項ではBoot from SANの代表的な構成例や、実際の導入例を紹介していくことにしたい。