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| これまで多くの案件において、フェイルオーバー時間をいかに高速に実現するかが論議されてきた。したがってITエンジニアにとっては、「Simple Clusterが実際にどの程度の速さでフェイルオーバーできるのか」が、同ソリューションを選択する上で最大の関心事となる。この点を明らかにするため、HPでは1 TBのデータを保持するDBを対象とした実地検証を行った。この検証により、「Simple Clusterは、非常に高速なフェイルオーバーを実現可能」ということが明らかにされた。Simple Clusterの導入によって得られるメリットとデメリットについて考察する。 |
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| DBクラスタ構築でハマらないための「HP HA Simple Clusterリファレンス・アーキテクチャ v.1.0」・後編 |
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| 2006年8月 |
| テクニカルライター 吉川和巳 |
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これまで多くの案件において、フェイルオーバー時間をいかに高速に実現するかが論議されてきた。したがってITエンジニアにとっては、「Simple Clusterが実際にどの程度の速さでフェイルオーバーできるのか」が、同ソリューションを選択する上で最大の関心事となるはずだ。
この点を明らかにするため、HPでは実地検証を行った。具体的には、1 TBのデータを保持したOracleデータベースを作成し、高負荷のOLTPトランザクションの実行中にノード障害を発生させ、そのフェイルオーバー時間を計測するという試験である。このときのフェイルオーバー時間とは、「障害発生からスタンバイ機でのOracleの起動終了までに要する時間」を意味する。
ちなみに「Oracleの起動」では、以下の一連の処理がOracle内部で実行される。よって、これらすべての手順が終了した時点で、フェイルオーバーが完了したと見なされる。
| 表:Oracleの起動手順 |
コマンド |
処理名 |
処理内容 |
| startup nomount |
Oracleインスタンス起動 |
・初期化パラメータの読み込み
・SGAの割り当て
・バックグラウンド・プロセスの起動 |
| alter database mount |
Oracleデータベースのマウント |
・制御ファイルの読み込み |
| alter database open |
Oracleデータベースのオープン |
| ・ |
データファイルの読み込み |
| ・ |
オンラインREDOログファイルの読み込み |
| ・ |
必要に応じてクラッシュ・リカバリ (ロールフォワード、ロールバック) |
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なお今回の検証では、以下の環境が用いられた。
- DBサーバ――HP Integrity Superdome(16 CPU、96 GBメモリ)
- ストレージ――HP StorageWorks XP12000
- OS――HP-UX 11i v2 11.23
- クラスタウェア――HP Serviceguard 11.17、SGeFF 1.00
- データベース――Oracle Database 10g R2(10.2.0.2) (データベース・サイズ1 TB、SGAサイズ64GB)
では、検証結果を見てみたい。 |
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| 図1:Simple Clusterによるフェイルオーバー時間 |
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図1は、Oracleを用いて、従来のSGクラスタの典型的な設定で測定したフェイルオーバーの時間とSimple Clusterでの最速のフェイルオーバー時間を比較したものである。この結果から分かるとおり、1 TBという大規模なOLTPシステムに関わらず、Oracleの起動を含めたSimple Clusterでのフェイルオーバー時間は従来のフェイルオーバー時間の約27%に短縮されている(ただしOracleデータベースのオープンに要する時間はクラッシュ・リカバリの状況に応じて変化する)。
この結果から言えることは、「Simple Clusterは、非常に高速なフェイルオーバーが可能」ということだ。その理由としては、以下の2点が挙げられる。ひとつは、前編で説明した最適化によって、6秒という非常に短い時間での障害検出とクラスタ再構成が実現したこと。もうひとつは、近年のハードウェアやソフトウェアの大幅な性能向上により、以前であれば長時間を要していたOracleの起動が短時間で終了すること。とりわけ後者のおかげで、スタンバイ機でOracleインスタンスを起動する時間が気にならなくなったことが大きいと言えるだろう。 |
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この検証結果によって、負荷分散を必要としない環境では、Simple Clusterが十分に魅力的な選択肢であることが理解いただけたはずだ。では、Simple
Clusterの導入によって得られるメリットを考えてみよう。
まず設計段階では、業務からインフラまでのすべてを理解する有能なITアーキテクトが不要となる。Simple Clusterの構築手順を理解しているエンジニアであれば、DBクラスタの設計が可能だ。また負荷分散を行わないSimple
Clusterでは、「DBがダウンしたらすぐさま別ノードでDBを起動する」という単純な切り替えを実施しているに過ぎない。よってアプリケーション側から見ればスタンドアロンのDBであり、クラスタ化のための設計上の配慮は不要となる。
次に構築段階では、ITシステムを構成するコンポーネントの数が減り、少数の担当者によるスピーディーな連携が可能だ。またSimple
Clusterは単純な構成であるがゆえにDBクラスタとしての実績も豊富で、構築手順ドキュメントに従って作業を進めておけば、予想外のトラブルを招く可能性も少ない。さらに構成がシンプルであるため、実運用環境と同等の開発環境をそろえることも容易となる。
そして試験段階や運用段階でも、試験項目の削減、運用手順の定型化、運用スタッフに要求されるスキルの低減といった効果がある。またプロジェクト工程全体としては、インフラ構築のための協議や試行錯誤、トラブルが減ることで、その時間をアプリケーションの試験に費やせるようになり、カットオーバーまでの時間が短縮できるようになる。
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| 図2:Simple Cluster導入によるプロジェクト工程の変化 |
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つづいては、Simple Clusterの導入時に検討すべきポイントを概観する。 |
| 本ページの内容は執筆時の情報に基づいており、異なる場合があります。 |
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