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ミッションクリティカル・システムでは、何を優先してプラットフォームを選べば良いのだろうか。
処理能力の高さ、機能の豊富さ、拡張性の高さなど、業務アプリケーションの内容や用途によって優先すべき選択ポイントは異なってくるが、実際にシステムを運用管理する情報システム部門の担当者にとっては、プラットフォームの安定性とメンテナンス性に優れていることが何よりも重要なポイントになってくる。
第5回目の今回は、OSの安定性とメンテナンス性の観点から、Linux/x86サーバーとHP-UX/Integrityサーバーの違いを見てみよう。
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2011年1月
大神企画 富樫 純一
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HP-UX/Integrityサーバーがミッションクリティカル・システムに相応しい安定性を実現しているのは、OSとハードウェアを一体化して開発することで、システムダウンを極小化しようという設計思想の違いにある。本連載では、HP-UX/Integrityサーバーの設計思想について、第1回目の可用性、第2回目のライフサイクルをテーマにした記事でも取り上げたが、ここで再確認してみたい。
安定性の指針として、前項ではパッチ適用時のサービス停止時間を最小化するメンテナンス性の高さを紹介した。DRDのようなソフトウェアツールが用意されているのは、システムのダウンタイムを最小化して、運用管理担当者が通常の業務時間内にソフトウェアのメンテナンスが行えるようにするというHP-UX/Integrityサーバーの設計思想に基づいたもの。Linux/x86サーバーでは、パッチ適用のオペレーションを簡素化したり、スケジューリングによってダウンタイムの影響を軽減したりする機能・ツールは提供されているものの、ダウンタイムの時間を出来る限り短くしようという発想がないのだ。
これは、可用性に関する考え方も同様である。HP-UX/Integrityサーバーは、ハードウェア障害に起因するシステム停止を最小化する設計になっている。障害予兆のあるプロセッサコアを切り離して利用しない「Dynamic Processor Resilience(DPR)」、L2/L3キャッシュ上のECCでリカバリできないエラーが発生しても、キャッシュラインのみ無効にする「インテル® キャッシュ・セーフ・テクノロジー(ICST)」、レジスタやTLBでパリティエラーが発生した際に該当するユーザープロセスを終了してシステムを継続運用する「Automated Processor Recovery(APR)」、DIMM上のDRAMが2つフェイルしてもシステムに影響を与えない「Double Device Data Correction(DDDC)」などは、サービス停止時間を最小化するという設計思想を基にして組み込まれた機能なのである。
さらに、システムのライフサイクルが長いのも、HP-UX/Integrityサーバーの大きな特長だ。現行バージョンの「HP-UX 11i v3」が登場したのは2007年4月のこと。一つ前のメジャーバージョン「HP-UX 11i v2」は2004年のリリースで、継続的にメジャーバージョンアップが行われていることになる。これだけライフサイクルが長いのは、HPによると、製品に対するテストを十分に繰り返していることが理由だという。
最低10年間のサポートを提供するというのも、システム全体の安定性向上に一役買っている。長期間に渡る運用計画を事前に把握できるだけでなく、ハードウェアのみを最新機種に更改して、同じサービスを提供し続けることが可能になる。これにより、マイグレーションのインパクトを出来る限り抑えられるとともに、長期的な観点に立ってみると、Linux/x86サーバーよりも総コストを圧縮できる可能性もある。なお、コスト比較に関しては、米国の第三者(調査会社)による興味深いレポートが発表されている。その内容については、次の記事で詳しく紹介するので、“乞うご期待”である。
ちなみにHP-UXではオペレーティングシステムのバージョン間、ハードウェアプラットフォーム間、仮想マシンおよびチップアーキテクチャ間における各種のレベルにおいて互換性が保証されており、開発したアプリケーションはIntegrityサーバーでは基本的にバイナリ互換で動作する(互換性に関するホワイトペーパーはこちら)。たとえば、HP Integrityサーバーが初めて登場して以来、現在までに7世代のインテル® Itanium® プロセッサーがリリースされているが、アプリケーションのバイナリ上位互換性は一貫して提供されている。
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| HP-UXバージョン |
リリースID |
リリース日 |
販売完了 (Discontinuance) |
サポート終了 (End of Support) |
HP-UX 11.00 (HP9000 only) |
11.0 |
Nov 1997 |
Mar 2004 |
Dec 2006 |
HP-UX 11i v1 (HP9000 only) |
B.11.11 |
Dec 2000 |
Dec 2009 |
Dec 2013 |
HP-UX 11i v2 (Integrity & HP9000) |
B.11.23 |
Oct 2003 (Oct 2004 for HP9000) |
Dec 2010 |
Dec 2013 |
HP-UX 11i v3 (Integrity & HP9000) |
B.11.31 |
Apr 2007 (Feb 2007 for WW) |
Dec 2014 |
Dec 2020 |
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・販売完了は、最短でもそれが示す時点までは販売完了の予定は無いことを示します。
・サポート完了についても、最短でも “End of Support” で示す時点までは継続することを示します。
・各OSバージョンのサポートは、稼動するサーバー本体のサポート終了を超えては継続いたしません。
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| 表1:HP-UX リリース・ライフサイクル |
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ミッションクリティカル・システムのプラットフォームとして、HP-UXとLinuxのどちらが相応しいかというテーマで始まった本連載では、これまでHP-UXのハードウェアプラットフォームである「HP Integrityサーバー」については詳しく触れてこなかった。しかし、安定性を語る上では、Integrityサーバーの話題を避けて通ることはできない。ここで、現行のIntegrityサーバーのラインアップや位置付けを紹介しよう。
最新のIntegrityサーバーを、HPでは「第2世代」と呼んでいる。これまでItaniumプロセッサーが大きく変化しても、新世代の製品として明確にしたことはなかった。それだけ大幅なアーキテクチャの見直しが、2010年に行われたのだ。
第2世代Integrityサーバーには、3つの製品ラインアップがある。ミッションクリティカル クラウド基盤を支えるハイエンドサーバー「HP Integrity Superdome 2」、管理性に優れたミッションクリティカル ブレードサーバー「HP Integrity BLシリーズ」、そして中小規模システムでも利用可能な高密度・省スペースのラックマウントサーバー「HP Integrity rx2800 i2」だ。
中でも、HP-UX/Integrityサーバーのフラッグシップというべき存在なのが、Superdome 2である。前世代のSuperdomeは、メインフレームを凌駕する機能・性能を誇る基幹サーバーとして1995年に開発を着手、2000年に製品化されたものだった。当初は「HP 9000サーバー」のラインアップとして登場したが、Integrityサーバーという新しいサーバーラインアップが登場してからもアーキテクチャが変更されることはなかったが、2010年4月、実に10年ぶりにアーキテクチャが刷新された。
Superdome 2は、従来のSuperdome同様にセルボードによるモジュール型の設計になっている。ただし、Superdome 2では従来のセルボードというよりも、サーバーブレードそのものである。新たに開発されたHPクロスバーファブリックによって、プロセッサーとI/Oを独立させるとともに、4コアのItanium 9300番台を2基内蔵するブレードをエンクロージャあたり8枚搭載し、4台のエンクロージャを結合して64プロセッサー/256コアという強力なスペックのサーバーにスケールアップできる拡張性を持っている。
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| 図3: SuperdomeとSuperdome 2のアーキテクチャの違い |
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MTBF(平均故障間隔)1000年以上を設計目標とし、バックプレーンの改良、徹底したモジュール型設計による実装方法の改善などが行われ、可用性の大幅な向上を実現。それでいて、本体を19インチラックと同サイズに合わせて従来比3分の1の設置面積になり、消費電力も最大65パーセント削減されている。
ミッドレンジクラスのミッションクリティカル・システムに最適なIntegrity BLシリーズは、HPの第3世代ブレードサーバー「HP BladeSystem C-Class」のテクノロジーを継承している。x86ブレードサーバー「HP ProLiant BLシリーズ」と共通のエンクロージャが採用されているので、投資保護や管理性の面でも優位性がある。とはいえ、その機能・性能はx86サーバーとは一線を画している。2枚/4枚のブレードをSMP構成にできるスケールアップによる拡張性を備えるほか、前項で紹介したさまざまな高可用性機能を内蔵するなど、ミッションクリティカル・システムでの実用に耐える設計になっている。
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今回は、ミッションクリティカル・システムに求められる「安定性」の面からHP-UX/Integrityサーバーの機能を見てきた。しかし、この分野に関しては、設計思想の違いからLinux/x86サーバーに搭載されていない機能が多く、比較することも困難だった。
だからといって、Linux/x86サーバーの存在を否定するつもりは毛頭ない。オープンソースであるLinuxカーネルと、コモディティ化が進んだx86サーバーを組み合わせると、コストパフォーマンスに優れたシステムになるのが誰もが認めるところだ。Webサーバーなどのフロントシステムには、Linux/x86サーバー以外の選択肢はないと言えるくらいだ。
だが、高信頼性・高可用性で安定稼働が求められるミッションクリティカルなバックシステムには、HP-UX/Integrityサーバーのほうが有利なのは明白である。つまり、適材適所でLinux/x86サーバーとHP-UX/Integrityサーバーを使い分けることが、最も賢い選択肢と言えるだろう。
次回はいよいよ、Linux/x86サーバーの最大のメリットと言われる「コスト」を比較してみたい。
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