前回 は、HAクラスターのネットワーク構成や、共有ボリュームの作成方を説明しました。今回は、共有ディスクのハードウェア構成について理解し、共有ボリュームの設定を進めていきます。サーバと共有ディスクの接続においては、SPOF(Single Point of Failure:単一障害点)をつくらないための「たすき掛け」接続がキーワードとなります。
HAクラスターの教科書応用編〜簡単!ライバルに差をつけるHP Serviceguard構築〜 3日目
2008年10月
日本ヒューレット・パッカード株式会社
ボブ先生:
石ノ上君、前回の作業では、HAクラスターのネットワーク構成を説明したけれど、もっとも重要なポイントは何だったか覚えているかい?
石ノ上君:
はい、ネットワーク全体を「データLAN」と「ハートビートLAN」の2種類に分けることが1つ。それと、それぞれのLANを完全に2重化して、「SPOF」をなくすことがもう1つですね。
ボブ先生:
そのとおり。今回説明する共有ディスクの構成でも、いかにしてSPOFをなくすかがポイントとなるんだ。
今日は、HAクラスターの共有ディスクの構成を確認したのち、アプリケーションであるCIFSサーバ(Sambaサーバ)のデータを格納するための共有ボリューム設定を行います。まずは、次のハードウェア構成を見てください。
図1:共有ディスクのハードウェア構成
HAクラスターの共有ディスクは、プライマリ・サーバとスタンバイ・サーバの両方に同時に接続可能して利用するストレージです。共有ディスクをアプリケーション・データの置き場所として利用することで、プライマリからスタンバイへのフェイルオーバーが実行された場合でも、スタンバイ側では最新のデータを引き継いでアプリケーションの運用を継続できる仕組みです。
今回のハードウェア構成では、共有ディスクとして用いるHP StorageWorks EVA4400と各サーバを接続します。サーバ上のホストバスアダプタ(HBA)として、FibreChannel(FC)インタフェースを用い、FCスイッチと接続します。FCスイッチからEVAに接続します。ここでポイントとなるのが、ネットワーク構成の場合と同じく「SPOF(Single Point of Failure:単一障害点)」が生じないようにすることです。
石ノ上君:
FCスイッチも2台用意することで、FCスイッチがSPOFになることを避けているのですね。
ボブ先生:
そうだよ。ここで注意すべき点は、「サーバ」「FCスイッチ」「共有ディスク」の間を「たすき掛け」式に接続すること。例えば、次のような接続例を考えてみよう。
図2:間違ったFC接続の例
石ノ上君:
先生、これだと「FCスイッチ1」が故障したときに、プライマリ・サーバが共有ディスクにアクセスできなくなりますね。
ボブ先生:
そのとおり。この構成ではFCスイッチ1の障害によってHAクラスターのフェイルオーバーが起きてしまう。サービス停止は避けられるけど、可用性を最大限に高めるには、先の図1のように「たすき掛け」接続することが望ましいね。これなら、どちらのFCスイッチが故障しても、プライマリ、スタンバイのそれぞれがつねに共有ディスクにアクセスできるんだ。
「たすき掛け」接続を行うためには、プライマリ、スタンバイそれぞれに備わる2枚のHBAをFCスイッチ1、FCスイッチ2に接続します。また共有ディスクのコントローラA、コントローラBそれぞれに備わる2つのポートを、FCスイッチ1、FCスイッチ2に接続します。これにより、プライマリとスタンバイのそれぞれについて、以下の4種類の経路が提供されます。
経路1:HBA1→FCスイッチ1→コントローラAポート1
経路2:HBA1→FCスイッチ1→コントローラBポート1
経路3:HBA2→FCスイッチ2→コントローラAポート1
経路4:HBA2→FCスイッチ2→コントローラBポート1
よって、プライマリ、スタンバイのそれぞれについて、共有ディスクへのハードウェア・パスとして4種類が認識されることになります。
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