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運用管理負荷/コストの増大が極まり、インフラの刷新を決断
クオリカ株式会社は、大手建設機械メーカーであるコマツの情報システム部門として出発し、現在では、ITホールディングスグループで製造業をはじめとする業種向けシステムに強みを発揮しているソリューションプロバイダーである。2008年秋、クオリカは「HP 3PAR Utility Storage」を採用し、統合ストレージ基盤の構築に着手した。続いて2009年10月からは、「HP BladeSystem c-ClassとVMware vSphere」による仮想サーバー環境の構築をスタートさせ、大規模なインフラ刷新プロジェクトを約2年で完遂させた。経緯を振り返ろう。クオリカが、同社で最初のホスティングサービス「QRS」の提供を開始したのは2004年のことだ。その後、xSPモデルによるITアウトソーシング事業は、製造業や流通業での豊富な業務オペレーションノウハウが評価されて順調に成長を遂げていった。顧客企業の期待が高まる中、クオリカはxSPサービスのラインアップを拡充してこのニーズに応えた。だが、それに伴ってデータセンター内のサーバーやストレージが爆発的に増加し、運用管理にかかる負 荷やコストの増大も招くことになった。一方、時期を同じくして、製造業や流通業で実績を積み重ねたアプリケーションパッケージを順次SaaS(Sof tware as a Service)モデルで提供していく計画も進められていた。当時の状況を、アウトソーシング事業部 営業推進室 主査 藤野哲氏は次のように説明する。
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クオリカ株式会社
アウトソーシング事業部
営業推進室 主査
藤野 哲 氏 |
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「xSPサービスを提供するインフラの運用管理にかかる負荷とコストの増大、という深刻な問題に直面していました。これらの問題を解決しないことには、お客様にリーズナブルな価格で高信頼・高品質なサービスを提供し続けることが困難になります。もはやインフラの統合化、特に7系統あるストレージの統合は不可欠と考えました」
藤野氏が着想したのは“仮想ストレージプール”の構築だ。当時のストレージ環境では、システム/ディスク数が急増していたことに加え、導入時期によってベンダー・製品・スペックがバラバラに混在しており、サイロ化やベンダーロックインを招いていた。また、メンテナンス時のサービス停止時間の伸長が運用負荷の増大に拍車をかけていたこともあった。また、同社が長年運用してきたテープストレージへのバックアップ/リストアに限界が見えてきたことも課題の1つであったという。
「バックアップの対象となるデータが急増し、日次の処理が時間内に終わらなくなる懸念やスケジュール管理にかかる手間が問題視されてきました。また、メカニカルな部分が多いテープストレージのトラブルにも悩まされてきた経緯もあります。システムトラブルのおよそ7割がバックアップ関連という状態だったのです」(藤野氏)
諸課題を解決しうるストレージとして「HP 3PAR Utility Storage」を採用
ストレージ製品の選定は、およそ4カ月を費やして慎重に行われた。クオリカが重視したのは、マルチベンダー環境でのサーバーへの“接続性”と“パフォーマンス”の2点だ。接続性は、7システムに分割されサイロ化したSANを1つの大きな“仮想ストレージプール”に集約・統合するのに不可欠な要件だった。また、パフォーマンスについては、ホスティング、IaaS、SaaSすべてのサービスの品質を左右する要素であるため特に重視したという。これらの検証を進めていくうちに最有力候補として浮上したのが「HP 3PAR Utility Storage」である。
「HP 3PARのパフォーマンスの高さは、同じクラスのストレージ製品の中で群を抜いていました。ストレージ専門の第三者機関によるパフォーマンスベンチマークを使って検証したため、経営陣の理解も容易に得られました」(藤野主査)
また、HP 3PARが無停止でメンテナンスを行えること、筐体内でのD2Dバックアップが可能なことなども大きな判断材料となった。これなら、インフラ刷新のきっかけとなった運用管理負荷・コストの大幅な削減が可能と判断され、2008年11月にはメンバー全員一致で、総容量45TBのディスクを搭載した「HP 3PAR InSERV T400」の採用が決まった。HP 3PARは、セルフメンテナンス、セルフチューニング機能を高い実用レベルで実現している。その査証として、ストレージシステムの可用性について99.99%という高い稼働保証値を掲げていた。
「この数値を聞いたとき、本当に実現できるものなのか疑いましたが、実際にテストを行ったところ、HP 3PAR独自の4コントローラ構成によって、実運用中でもシステムを止めることなくファームウェアやセキュリティ・パッチのローリングアップデートが可能であることが確認できました」(藤野主査)
SANシステム7台/約500ディスクに達していたストレージの移行・統合作業は2008年12月から始まり、翌年5月には当初予定された半分のSANシステムの移行が完了。その後も統合を進め、運用管理の非効率を招いていたサイロ化されたSAN環境は、最終的には130TBの1つの巨大なストレージプールに集約された。この統合によって運用管理ツールも統一。さらに、筐体内でのD2Dバックアップに移行したことで、データバックアップ業務もわずか数時間で完了するようになったという。
「期待どおり、運用管理にかかる負荷は大幅に軽減されました。以前はディスクの増設だけでもサービスを停止しなければならず、7台あるストレージの接続先サーバーの調整などで苦労していました。それがHP 3PARの1システムに集約されたうえ、オンラインのまま作業を行えるようになりました。結果として、ストレージシステムにおける導入・運用を合わせたトータルコストを半減させることができました」
ストレージとサーバーの両移行作業を同時に行う
本プロジェクトにおいて、クオリカはストレージ統合の着手からほぼ1年遅れて、VMware vSphereによるサーバー群(HP BladeSystem c-Class)の仮想化も行っている。この過程において、HP 3PARによる“仮想ストレージプール”と“シンプロビジョニング”が大きな威力を発揮した。物理設計を行うことなく、ストレージプールからボリュームを切り出すイメージで簡単にプロビジョニングが行えたこと。さらに、シンプロビジョニングによってその時点で必要なボリュームだけを割り当てることができ、ディスク容量の利用効率も大幅に高められたことが大きい。加えて、HP 3PARとHP BladeSystem c-Class、VMware vSphereの3製品の親和性が高かったことも移行を容易なものにした。世界シェアNo.1のブレードサーバーであるHP BladeSystem c-Classとサーバー仮想化のデファクトVMware vSphereの組み合わせは、すでに“業界標準”に等しいポジションを獲得している。これにHP 3PARによる仮想ストレージプールを組み合わせることで、サーバー側とストレージ側の構成スピードや柔軟性が等しくなり、結果としてプロビジョニングや構成変更にかかる作業負荷を劇的に低減することができる。この3製品の組み合わせは頭文字を取って「3CV」と呼ばれるほど人気が高い。システムインフラが刷新され、2010年には、オンデマンドITアウトソーシング・ソリューション「Qcloud」としてIaaS(Infrastructure as a Service)がリリースされた。同時にクラウドサービス(SaaS)事業を拡充するための環境も整ったことになる。そして2011年1月、この統合基盤上でSaaS版の中堅・中小企業向け生産管理システム「AToMsQube(アトムズキューブ)」の提供が始まった。
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クオリカ株式会社
アトムズキューブ室 担当部長
荒河 睦美 氏 |
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アトムズキューブ室 担当部長の荒河睦美氏は、「仮想ストレージと仮想サーバーの導入により、システムインフラが刷新され、パフォーマンスも信頼性も大幅に向上しました。また、低価格でお客様にサービスをご利用頂くことが可能となり、製造業を支える基幹業務システムを、自信をもってSaaSモデルでご提供することができると確信しました」と語る。
「お客様にとっては、アプリケーションを安定的に使えるかどうかが重要です。システムの安定稼働を支える日常的な運用管理、バックアップやデータ復旧のプロセスを含めて高い信頼性が求められます。おかげさまで、実運用に入ってからも新システムにはトラブルがありません」(開発センター 主査 清水克彦氏)
グローバル化のニーズに呼応して、クラウドサービスをさらに拡充へ
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HP 3PAR Utility Storageによる統合ストレージ基盤は、 中国にも展開を始めたクオリカのクラウドビジネスを支えている。
※写真は、中国でSaas型AToMsQubeを導入した(株)タガミ・イーエクス(常州田上机械有限公司)の工場/中国江蘇省。 |
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クオリカのクラウド戦略は順調な推移を見せている。荒河担当部長によれば、生産管理システムの「AToMsQube(アトムズキューブ)」に加えて、機械予防保全システムの「CareQube(ケアキューブ)」もリリースされ、また、小売専門店向け販売管理システムの「SpecialtyQube(スペシャリティキューブ)」、外食産業向け営業支援システム「TastyQube(テイスティキューブ)」などの既にリリースされているQubeシリーズサービスも順次、統合基盤へ移行された。一方で、藤野氏が担当するインフラレイヤにおいても、ここにきて注目度が高まるDaaS(仮想デスクトップサービス)の投入も計画されている。そして現在、クオリカが全社を挙げて取り組むのは、顧客企業のグローバル化の緊密なサポートだ。特に製造業では大手だけでなく中堅・中小企業も、中国をはじめ新興国にビジネスの活路を見いだしている。この潮流を受けて、クオリカは中国に拠点を開設し、すでに現地で複数の受注をとりつけているという。クオリカでは、世界進出を目指す日中の企業に対してクラウドサービスをアピールしていく構えだ。
「進出先でのハードウェア調達やシステム構築などの手間を省いて、スピーディにITを活用できるクラウドのメリットについては、どのお客様にもすぐに理解していただけます。さらに、その先のカスタマイズやプライベートクラウド形態での導入といった、さまざまなニーズに応えていくことでお客様のビジネスに貢献したいと思っています」(荒河担当部長)
長年にわたって蓄積したノウハウをサービス化して、顧客のグローバル経営を支援していく――クオリカが構築した統合的なIT基盤は、全社を挙げての取り組みを力強く支えるものだ。その中でストレージ基盤の重要性は更に高まっていくことだろう。
藤野氏は、自身のミッションを次のように語った。「アプリケーション開発チームが、日本のモノづくりを強力に支えていくサービスを世に送り出せるよう、統合ITインフラをさらに磨き上げていきたいと思います」
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