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建設用の仮設足場機材は、高所作業を伴う新設工事
や保守工事に欠かせない。1953年創業の杉孝は、こ
の仮設足場機材レンタル業界のリーディングカンパ
ニーである。同社がレンタルする仮設足場機材は、ビル
や橋梁などの建設現場から、石油、電力プラントまで、
全国各地で使われている。
「仮設足場機材の品質は、作業の安全性と効率性を大
きく左右します。高品質の機材提供を通じて墜落・転
落災害をゼロにするのが、我々の目標です」と語るの
は、杉孝の杉山信夫社長である。レンタル先から傷ん
で戻った機材をチェック、再製品化し、安全な状態でレ
ンタルするために、杉孝では機材の品質管理を徹底し
ている。
「仮設足場機材は人の命を乗せるものです。数は膨大
であっても、一品の不良品も出荷してはいけません。
当然のことながら、これが当社の基本姿勢です。だか
ら、全員が毎日緊張感を持って仕事をしています。ま
た、高品質を保つためには新品への入れ替えが重要で
す。さらには、経年機材の品質維持にも莫大な費用を
掛けなければなりません」と杉山社長は言う。このよう
なハードの品質管理だけではなく、作業現場の安全性
チェックや職人さんへの安全教育といったソフト面の
サポートにも注力。ハード、ソフト両面にわたる安全対
策は、業界でも類を見ない。
業務効率の面でも他社の追随を許さない。膨大な数
の仮設足場機材に対する見積、受注、入出庫管理、在
庫管理、請求処理、入金処理を一元管理することで、高
い業務効率を実現している。これを支えているのが、
杉孝が独自に開発した基幹業務システムだ。杉孝では、
20年程前にメインフレームで開発した基幹業務シス
テムを、2006年にPCサーバーにダウンサイジングして
利用している。
「その実力を改めて実感したのが、今回の東日本大震
災でした」
日本各地の機材センターにどんな機材があり、いつど
れだけ出荷できるかが一目でわかる杉孝の基幹業務
システム。配車管理も一元化されているため、全国の
機材を被災地の仙台機材センターに効率よく送るこ
とができたという。この機動力によって、杉孝は、東北
新幹線などの主要施設のスピーディーな復旧と、その
後の数ヶ月間にわたる被災地の復興活動を支え続け
たのである。
杉孝の基幹業務システムが、被災地支援に威力を発揮
しているその時期に、同社の情報システム部では、業
界をリードするもう一つのプロジェクトが進行してい
た。その基幹業務システムのプライベートクラウド化
――仮想化によるサーバー統合である。
杉孝では、数年前から基幹業務システムの見直しを進
めていたという。2011年の9月で切れる現行のシステ
ムのハードウェアの保守に際しての対応が大きな課題
だった。情報システム部システム課の藤ノ木拓也氏に
お話を伺おう。
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株式会社 杉孝 情報システム部 システム課 藤ノ木 拓也 氏 |
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「既存のシステムは、ハードウェアの機能には何ら不満
はありませんでした。ただ、ソフトウェアは、基本設計
が約20年前のもので、そこに機能を追加したり、改修
したりして使い続けているので、内部構造は相当複雑
な作りになっています。そのため、今後数年間をかけて
その構造の見直しと新システムの開発を進めようとし
ていました。しかし、今回のタイミングでは、新システム
開発までの準備ができていなかったのです」
対象となる基幹業務サーバーは13台。いずれにせよ、
保守期限が終了するまでにはこれらのハードウェアを
一新しなければいけなかった。同等の構成の新しい
サーバーを購入するか、クラウドサービスを使うか。い
くつもの案を出して、検討していったという。
新しいサーバーにそのまま移行する案は、早期に消え
た。問題はサーバーOSのバージョンだった。既存シス
テムのアプリケーションは、Windows2003 Server上
で構築されていたのである。現在のWindows2008
Serverで動かすためには、大幅な手直しが必要になる。
新規システム開発を控えている中で、そのような無駄
な投資は考えにくかったという。
「費用対効果を考えれば、既存のシステムを何とか生か
し続けた方がいいのではないか。私たちの最終結論は、
既存のOSもアプリケーションも、そのまま仮想インフ
ラに移行するサーバー移行でした」
2011年初頭にこの方針が決定され、具体的に仮想イ
ンフラの選定作業が始まった。プロジェクトを担当し
たのは、NS・コンピュータサービスと日商エレクトロ
ニクスである。2006年に現行システムの開発に携わっ
たNS・コンピュータサービスは、現行システムのハード
ウェアを提供していた大手ベンダーを含め、複数のベ
ンダーの提案を取り寄せ、最適なものを検討した。杉
孝の業務も熟知した同社が選んだのは、日商エレクト
ロニクスの提案だった。仮想化/クラウド基盤構築に
多くの実績を持つ、HPのマルチテナント対応ストレー
ジシステムHP 3PAR Utility Storageとブレードサー
バーHP BladeSystem c-Class、そしてVMware ESX
Serverによる仮想化/クラウド基盤ソリューションで
ある。
HP 3PAR、BladeSystem、VMware
の仮想化ソリューションを採用
NS・コンピュータサービスの提案に、藤ノ木氏らは驚
いた。メインフレームの時代も、ダウンサイジングの
ときも、杉孝では特定の大手ベンダー以外からハード
ウェアを購入したことがなかったのである。しかし、そ
の説明内容は、説得力のあるものだった。
「私の耳に残っているのは、通信インフラと同等の可用
性、信頼性を示す“ キャリアグレード”という言葉です。
やはり基幹系システムですから、実績に裏付けられた
信頼性、可用性が重要だったのです」
全世界で数多くの基幹業務システムに採用されている
HP BladeSystem c-Classと、セルフメンテナンス、セ
ルフチューニング機能を搭載し、ミッションクリティ
カル環境で使用可能な高可用性を保証するHP 3PAR
Utility Storageの組み合わせは、まさにキャリアグレー
ドと呼ぶに相応しかった。HP 3PAR Utility Storageは、
無停止でメンテナンスを行えるため、システムの稼働率
はさらに向上する。
また、HP 3PAR Utility Storageは、クラウドサービ
スへの適用実績が多く、世界のトップ事業者10社の
うち7社に導入されている。とくにHP BladeSystem
c-ClassおよびVMwareと組み合わせた導入事例が多
いという。まさに、実績に裏付けられたクラウド基盤や
仮想環境構築のための標準構成なのである。もちろん、
動作検証済みの構成であるという点も安心だった。
「検証用のラボ環境を長期間提供していただけたのも、
大きなポイントでした。我々は、基幹業務を支えるすべ
てのアプリケーションを確実に仮想環境に移行した
かったのです」
事前の情報では、仮想環境にそのまま移行できる確率
は80%だと聞いていたという。しかし、アプリケーショ
ンとデータの移行と、移行後のパフォーマンスを中心
に、しっかり検証できたため、既存アプリケーションの
すべてが問題なく移行できたのである。
「最後にパフォーマンスです。同額の予算で調達できる
他社のハードウェアに比べて、圧倒的に高い性能が魅
力でした」
HP BladeSystem c-Class に搭載されるHP ProLiant
BL460c G7サーバーブレードは、CPUはもとよりメモ
リやI/O性能も優れている。さらにHP 3PAR Utility
Storageは、データをすべてのドライブに分散し並列的
なデータアクセス(ワイド・ストライピング)を可能にす
ることによって、同クラスのストレージ製品の中では圧
倒的なパフォーマンスを誇る。システム全体としての性
能は、他に類を見ない。
杉孝は、仮想インフラとしてこれらHPのソリューショ
ンの採用を決断した。
移行作業のキックオフは、2011年6月。既存のサー
バーから仮想サーバーへ、基幹業務システムが順次移
行されていった。藤ノ木氏は、その移行作業で新シス
テムのパフォーマンスを実感したという。
「計画したスケジュールの半分以下の時間で終わった
サーバーもありました。本当に早かったですね」(藤ノ木
氏)
検証作業を経て、10月に本番稼働。基幹系の物理サー
バー13台すべてが、HP BladeSystem c-Class上の
VMware ESX Server上の仮想環境に移行した。仮想
OSのディスク領域は、共有ディスクとしてファイバー
チャネルで接続されたHP 3PAR Utility Storage内に
納められている。
導入後の効果を、藤ノ木氏とともにシステム構築に携
わった情報システム部システム課の前田晃一氏にお聞
きしよう。
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株式会社 杉孝 情報システム部 システム課
前田 晃一 氏 |
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「パフォーマンスの点では、バッチ処理のスピードがか
なり上がったということが挙げられます」
従来は、一番システム負荷が高い時で、次の日の業務
が始まる直前までかかっていた夜間バッチ処理が2
時間ほど短縮できた。前田氏は、サーバーに加えスト
レージ周りのI/Oパフォーマンスが改善されたことを
実感したという。HP 3PAR Utility Storageのディスク
サブシステムのI/O処理のスピードが処理時間の短縮
に大いに貢献していたのである。
「仮想化による効果としては、運用業務の負荷が大幅
に削減されました」
とくにバックアップ作業が効率化されたという。従来
は、基幹業務サーバー1台ごとにLTOやDATにバック
アップを取る作業が大きな負担になっていた。L TO
を入れ忘れたため、夜間バッチ処理が異常終了した
こともあったとのこと。現在では、HP 3PAR Utilit y
Storageのニアラインディスクドライブに書き出すだ
けの作業になった。
HP BladeSystem c-ClassとHP 3PAR Utility Storage
に搭載された各種管理機能によるストレージとサー
バーの一元管理や管理作業の自動化のメリットも大きいという。
「人間が管理することによるリスクを少なくすることで、
基幹業務システムの可用性、信頼性を上げることがで
きました」
例えば、HP 3PAR Utility Storageの管理コンソール
によって、ストレージシステム内の物理/論理オブジェ
クトを一元的に管理したり、バックアップ失敗時に電
子メールで管理者に伝えたりといったことも可能に
なったとのこと。
実際、本番稼動後は、トラブルによる停止は1件も無い
という。
藤ノ木氏に、今後の予定をお聞きした。
「来年度からは仮想サーバー、ストレージを増やして、
セキュリティー系のシステムなどのサーバーも順次移
行していきます。サーバーを増やす際に物理環境を用
意する必要がないですからね。これからは新規サー
バーも仮想環境の中に立ち上げていくことになるで
しょう」
HP 3PAR Utility Storageに関しては、ボリューム容量
を仮想的に設定することでディスク利用率を極限まで
押し上げるシンプロビジョニングやファイルシステム上
で削除されたストレージ領域の再利用を効率化する
シン・パーシステンスなど、他にないメリットを今後活
用していきたいとのこと。
「私も前田君もまだ若手の社員です。杉孝では若手
社員に権限を与えて、重要な判断も任せてくれるので
す。これからも、若い力で基幹業務を支えていきます」
(藤ノ木氏)
最後に杉山社長からお言葉を頂いた。
「今回の震災復興では、当社の仙台機材センターは数
カ月にわたり、全機材センターの在庫を調整し、通常
時の何倍もの量を被災地に提供し続けました。その結
果、主力機材では90%以上の高い稼働率を推移しまし
たが、混乱なく営業を継続できました。こういう緊急対
応ができたのも、すべての業務をITで一元管理してい
たからです。私たちは、これからもITの力を最大限に活
用して、より安全な仮設足場機材をより効率よく提供
していきます。そしていつか、その安全と効率を業界全
体に広げていきたいのです」
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