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関西テレビ放送株式会社( 大阪市北区扇町、略称:KTV)は、1958年11月の開局以来、半世紀にわたって近畿広域圏2府4県を中心とする視聴者に親しまれてきたテレビ放送局である。放送事業者・報道機関としての使命から、地域密着の姿勢で視聴者の信頼にこたえる高品質な番組の提供を事業の根幹に置く。近年では放送事業に加えて、インターネット動画配信や映画制作、イベント主催など映像コンテンツの制作・提供を軸とするさまざまな事業を手がけ、デジタル時代のコンテンツ/メディア事業のありかたを追求している。
そんな関西テレビ放送が、経営を取り巻く諸課題を解決していく中で最も重きを置くのが事業継続性の維持で、ライフラインとして信頼される報道機関を目指すことが中期経営ビジョンに掲げられている。この点について関西テレビ放送株式会社 経営管理局 システム情報部 部長の水川毅氏は次のように説明する。
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関西テレビ放送株式会社
経営管理局 システム情報部
部長 水川 毅 氏 |
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「2011年3月の東日本大震災で、マスメディアのありかたがあらためて大きくクローズアップされました。放送に支障を来すレベルの大規模な災害が発生した際にも、迅速かつ正確に情報を提供し続けるのが放送局・報道機関としての当社の使命になります。その追求にあたっては、放送を支えるITシステムの側でのBCM(事業継続管理)の強化が欠かせません」
24時間・365日の放送・報道体制を文字どおり後方支援するBCMの整備に加えて、ビジネス環境変化の激しいメディア/コンテンツ業界においてあらゆる変化に対して柔軟に対応することのできるIT基盤を構築すること――これらが急務の課題となっていた水川氏らは、5年前に構築された同社の経理システムの保守サービスが終了するのを機に、同システムの刷新を検討。その結果、サーバー統合およびバックアップシステムの統合と、DR(災害復旧)システムの構築を同時に行うという大規模なプロジェクトが始動した。製品の選定に際し、求める要件に合致したバックアップ/DRソリューションとして水川氏らの目にかなったのが、仮想テープライブラリとして動作する、D2D(ディスク・ツー・ディスク)バックアップシステムの「HPStoreOnce D2D Backup System」である。
今回、刷新の対象となった関西テレビ放送の経理システムは2006年4月より稼働を続けていたSAPサーバー群で、開発・検証・本番稼働の3ランドスケープモデルを採用した重厚なアーキテクチャを備えていた。UNIXベースのSAPサーバーは高い堅牢性と引き替えに運用維持にかかるコストも大きく、水川氏らは、今の時代にふさわしいシステムのありかたを検討する過程で、RDBMSのリプレース(Microsoft SQL Serverを採用)を含めたIAサーバー・プラットフォームへの移行と、サーバー仮想化技術(Hyper-Vを採用)によるサーバー・ハードウェアの集約・統合を図ることで、ITインフラの効率性を大幅に改善するという方向性が定まっていった。
そして、サーバーインフラの刷新と併せて、新しい経理システムにおいてテレビ放送局が求めるレベルのBCMを担保するために、バックアップシステムの統合とDRシステムの導入が検討された。関西テレビ放送のIT企画・構築・運用に携わる関西テレビソフトウェア株式会社でソリューション推進部 次長を務める佐野好昭氏はこう説明する。
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関西テレビ ソフトウェア株式会社
ソリューション推進部 システム情報部
次長 佐野 好昭 氏 |
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関西テレビ ソフトウェア株式会社
ソリューション推進部
エキスパート 植田 和孝 氏 |
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「放送局の場合、基幹システムに相当するのは営業放送システムですが、24時間・365日の放送・番組制作に伴い昼夜を問わず発生する経理伝票処理などをこなす経理システムは、基幹に準じる事業継続性が求められます。そこで、数年来の懸案でもあったバックアップシステムの統合を実現すべく検討が始まったのです」
それまで、経理システムおよび周辺サブシステムと、イントラネットサーバーやファイルサーバーなど合計5つのシステムについては、それぞれにストレージとテープライブラリが接続され、個別にバックアップ作業が行われていた。関西テレビソフトウェア株式会社 ソリューション推進部 エキスパートの植田和孝氏によれば、毎朝テープライブラリから1日分のデータが収められたテープカートリッジを取り出して金庫に保管するという汎用機時代からの運用ルールの下で、テープの本数がたまる月曜日や連休明けには交
換作業だけで1時間近くも要していたという。
「非効率は明らかで、過去にも幾度となくバックアップ統合が検討されましたが、さまざまな問題・制約から見送られてきたという経緯がありました」(植田氏)
テープライブラリの運用上の問題は、テープ交換作業にかかる時間・労力以外にも、テープメディア特有のメカニカルなトラブルの発生や、月次で行っていた別のビルへのテープ移送時の紛失・盗難リスク、その別のビルが同じ大阪市内だったため災害時に同時被災するリスクなど多岐にわたっていた。植田氏らはBCM/DRの観点から、特に月次バックアップの保管先が同じ市内であることを問題視し、2010年秋から実効性のより高いDRの仕組みを備えたバックアップシステムの検討を始める。そこで導入候補に挙がった複数のITベンダー/製品の中から、HP 独自の動的重複排除機能を備えたD2Dバックアップシステム「HP StoreOnce D2D Backup System(モデル:HP D2D4112 Backup System、ストレージ容量18TB)」が選ばれた。
数あるD2Dバックアップ製品からHP StoreOnce D2D Backup Systemが選ばれる決め手になったのは、「重複排除などの優れた機能を備えており、その裏付けとなる詳細でわかりやすい情報提供がなされていたことが大きかったです」と植田氏は語る。
今回の刷新プロジェクト全般の構築・運用・サポートを任されたキヤノンITソリューションズ株式会社の担当者も植田氏と同じ見解で、同社 ITサービスマネジメント事業本部 基礎構築センター 基盤サービス部第二課の石見茂氏は次のように説明する。
「HP StoreOnce D2D Backup Systemでは、重複排除を行った後の更新データのみを送ることによりリモート回線の帯域幅を大幅に抑えることが可能です。これにより、既存回線の有効利用というアプローチが可能になりました」(植田氏)
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関西テレビ ソフトウェア株式会社
ソリューション開発部
エキスパート 沖廣 成史 氏 |
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植田氏によれば、レプリケーション先は当初、従来と同様の大阪市内のビルが検討されていたが、その後発生した東日本大震災の状況から同時被災のリスクを深刻にとらえ、最終的に東京支社に決まったという。大阪−東京間のレプリケーションということで、構築前にはネットワークの帯域が心配されたが、この点について関西テレビソフトウェア株式会社 ソリューション開発部 エキスパート 沖廣成史氏は「HP StoreOnce D2D Backup Systemに備わる、時間帯で設定可能な帯域制限機能を活用することで、回線を新たに増強することなくレプリケーションを実現できました」と説明。
レプリケーションの距離が大きく伸びても通信コストが抑えられることとなった。
また、バックアップ管理ソフトウェアには、同社が長年活用してきた製品が新システムでも採用されている。これは、HP StoreOnce D2D Backup Systemにドライバソフトウェアをインストールするだけでそのまま同ソフトが利用できたからである。
「D2Dに移行しても運用手順には変更が生じなかったこととも、HP StoreOnce D2D Backup System の採用がもたらした大きなメリットだと言えます」(植田氏)
HP StoreOnce D2D Backup Systemを中核に構築された関西テレビ放送の統合バックアップシステムは、BCMの強化とITインフラの効率化という、当初に掲げられた課題を高いレベルでクリアしたうえで安定運用を続けている。情報システム部門には、毎日のテープ交換作業やテープ移送作業が一切不要になったことで、バックアップ作業に要する時間の短縮と労力の軽減、保守運用コストの削減、移送時の紛失・盗難リスクの排除といった実感できるメリットが数々もたらされることとなった。
植田氏は運用後に実感したメリットとして、HP StoreOnce D2D Backup Systemの特長の1つである動的重複排除機能のすぐれた効果を挙げる。
「選定時から期待をしていましたが、実際の当社の環境で得られた効果は予想を大きく超えるものでした。現時点でストレージの使用済み容量が4.2TBですが、重複排除によって元データの容量は平均して約11分の1にまで圧縮されています」(植田氏)
主にSAP システムの刷新を担当したキヤノンITソリューションズ株式会社 SIサービス事業本部 開発
統括センター ソリューション開発センター ERP開発部の千葉正博氏は、D2DがSAPユーザーの多くがバックアップ作業時に抱いている不満を解消する技術であるとしてこう話す。
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キヤノンIT ソリューションズ株式会社
SIサービス事業本部 開発統括センター ソリューション 開発センター ERP開発部
千葉 正博 氏 |
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「今でもテープバックアップが主流をなすSAPシステムでは、テープメディア特有の煩雑な作業やメカニカルなトラブルを避けられませんでした。HP StoreOnce D2D Backup Systemは、そうした欠点を補うバックアップソリューションとして、多くのSAPユーザーに自信を持って薦めることができる製品と考えています」
今回、大阪−東京間の非同期レプリケーションとして実装されたDRシステムを「今後なすべき取り組みに向けた第一歩」(佐野氏)と位置づける関西テレビ放送がこの先に見据えるのは、営業放送システムを含めた全社的なバックアップ統合による、BCMとインフラ効率化のさらなる追求である。
「DRの対象範囲を全社に広げていくのに加えて、災害発生の際に、いつでもリストアを迅速・確実に遂行できるよう、作業スキルを高めていく必要があります。災害シミュレーションのような訓練も含めて、我々の取り組みは続いていくことになります」(水川氏)
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