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1934年設立のリンテック株式会社は、国内31拠点と海外23拠点で事業を展開する粘・接着製品大手メーカーである。社名の由来となった「リンケージ+テクノロジー」には、人と人、技術と技術の融合を通じて新たな付加価値を創出していくという同社の強い意思が込められている。粘・接着応用技術、システム化技術、材料改質・機能化技術、特殊紙・複合材製造技術という4つのコア技術を駆使したリンテックの製品ラインアップは、半導体関連テープや光学機能性フィルム、液晶ディスプレイ/プラズマパネル用フィルム、シール・ラベル用粘着紙・粘着フィルム、医療・医薬関連製品、建装材・自動車関連製品など多岐にわたっており、我々の日常生活のさまざまなシーンで利用されている。
欧州経済危機や長期にわたる円高基調、東日本大震災の影響による需要の落ち込みなど、わが国の製造業はかつてないほどの厳しい経営環境に置かれている。苦境を新たなビジネスチャンスに変えるべくリンテックが推進する今後3年間の中期経営計画「L IPIII」には、海外売上高比率40%を目指した海外事業の強化・拡大、グローバル経営の強化、QCD(品質・価格・納期)の改善による国内事業の拡大・高収益化に加えて、次世代を担う独創的新製品の創出が掲げられ、すぐれた技術力で粘・接着製品市場を牽引するトップメーカーとしてのコアコンピタンスをあらためて明確にしている。
そんなリンテックが、数年前より経営の根幹をなす取り組みとして以前より全社で推進しているのが、BCM(事業継続管理)およびCSR(企業の社会的責任)にまつわる諸活動である。IT面での具体的なアクションとしては、ITインフラ/リソースの機能分散や情報セキュリティ体制の強化などが取り組まれる中、リンテックの装置開発・製造拠点である伊奈テクノロジーセンター(埼玉県北足立郡)において、国内外の他拠点に先駆けるかたちで、2010年に共有ストレージ/バックアップシステムの刷新と、シンクライアントシステムの導入を同時に行う大規模ITプロジェクトが始動している。
前者において同センターが求める要件を高いレベルでクリアして選ばれたのが、D2D2T(ディスク・ツー・ディスク・ツー・テープ)に対応したバックアップシステムの「HP StoreOnce D2D Backup System」である。
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リンテック株式会社 取締役 常務執行役員 技術統括本部長 小林 賢治 氏 |
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リンテック株式会社 技術統括本部
伊奈テクノロジーセンター 所長 入江 栄一 氏 |
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リンテック株式会社
伊奈テクノロジーセンター 改善推進室 係長 木 克 氏 |
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リンテック株式会社 伊奈テクノロジーセンター 業務管理部 事務課 天野 峻介 氏 |
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リンテックが厳しい経営環境の中で事業の拡大と収益の向上を図っていくにあたり、経営を支えるITの側では解決すべき課題がいくつか存在していた。なかでも急務となっていたのが、BCM、CSRおよびリスクマネジメントの観点からの情報セキュリティ保護体制のさらなる強化である。リンテック株式会社 取締役常務執行役員 技術統括本部長の小林賢治氏は次のように説明する。
「万一、セキュリティ対策に不備があって機密情報を漏洩させるような事態が起きれば、当社がこれまで培ってきた信用は一気に失われてしまいます。そうしたインシデントから情報資産を確実に保護するための抜本的な仕組みと、海外を含めたグループ会社とのセキュアな情報共有の仕組みの整備が、経営陣や社内のリスク評価委員会から要請されていました」
技術統括本部 伊奈テクノロジーセンター 所長 入江栄一氏によれば、同社では以前より、CSR推進室と情報システム部によって情報セキュリティの重要性を啓蒙しリスクを周知する教育が継続して取り組まれてきており、「併せて、業務情報を保護するための基本的な仕組みとして、インターネットアクセス制御やウイルス/マルウェア対策、PCやネットワークの操作ログ管理などが順次導入されてきた」経緯がある。
しかしながら近年、セキュリティの脆弱性を突く攻撃のパターンは悪質化の一途をたどり、また、同社で取り扱うデータ量が増大していることから、従前の取り組みからさらに踏み込んだ抜本的な仕組みの構築が強く求められるようになっていた。
折しも同センターでは、業容の拡大に伴って業務システムが都度、導入された結果、日々の運用保守やセキュリティ管理にかかる労力/コストが膨れ上がっていた。伊奈テクノロジーセンター 改善推進室 係長木克氏は当時を次のように振り返る。
「総数で270台にまで増えたPCに対するセキュリティ対策を含めた保守メンテナンスや、各種業務システムのバックアップ作業などを2名のシステム担当者でカバーしなくてはなりませんでした。また、バックアップサーバーのストレージ容量が逼迫するたびに行うディスク増設も限界に達しつつあったうえ、バックアップ作業にも膨大な時間がかかっていました」
2010年夏、木氏らはこうした運用保守やセキュリティ管理の非効率を改善すべく新たなアプローチの検討を始め、翌年1月に、システムの構築支援を担当したリコージャパンと共に、共有ストレージ/バックアップシステムの刷新と、デスクトップ仮想化技術を用いたシンクライアントシステムの導入を同時に行うというプロジェクト構想をまとめた。
そして、共有ストレージに「HP P2000 G3 MSA ディスクアレイ」、バックアップシステムに「HP StoreOnce D2D4112 Backup System」、テープストレージに「HP MSL2024 1 LTO5 Ultrium3000 FCライブラリ」が、シンクライアントシステムに「VMware View」による仮想デスクトップ環境(VDI)をブレードサーバーに集約して運用する「HP VDIソリューション」を選定した。
すべてのハードウェアにおいてHP製品が採用されたのは、これらの製品がリンテックの要件を高いレベルで充たしたうえに、「ワールドワイドでの導入実績や緊密なサービス/サポート体制など、日本HPに対する信頼の篤さ」(小林氏)が評価されてのことだ。
また、木氏はバックアップシステムにHP StoreOnce D2D Backup System(以下、HP D2D)を選んだ決め手として、「仮想テープライブラリを実現するD2Dと、重複排除という2つの機構・機能におけるHP製品のアドバンテージ」を挙げた。
加えて、HP D2DとHP P2000が共に備えるすぐれた信頼性および拡張性も魅力的な差別化ポイントとなった。この点についてリコージャパン株式会社関東営業本部 ソリューションセンター 関東第一IT技術室 埼玉ITグループ チーフの岡崎茂樹氏は「HP P2000で構築されるFC SAN構成の共有ストレージは、データ管理において高い信頼性と柔軟な拡張性をもたらします。また、HP D2Dも、ニーズに応じて数珠つなぎ型の増設が可能です」と説明する。
本稼働後、安定運用を続けるリンテック伊奈テクノロジーセンターの共有ストレージ/バックアップシステムとシンクライアントシステムは、同センターに期待どおりの導入効果をもたらしている。HP P2000 G3 MSA ディスクアレイの導入により共有ストレージが4TBの大容量が確保されたことで、システム担当者は以前のような、容量が逼迫するたびに事業部のユーザーに不要ファイルの整理を呼びかける手間がなくなったうえ、FC SAN構成ならではの高い拡張性によって将来のシステム新規導入にも余裕をもって対応できるITインフラが整うこととなった。
そして、最も顕著な効果が得られたとして同センターが高く評価するのが、懸案だったバックアップ運用環境の大幅な改善だ。「FC SANによる高速なデータ伝送と、HP D2Dに備わるD2Dバックアップおよび重複排除機能が奏功し、旧環境では9時間を要していた週次のフルバックアップが、対象データの増加にもかかわらず5〜6時間にまで短縮されました」(伊奈テクノロジーセンター 業務管理部 事務課 天野峻介氏)。
このほか、旧環境ではファイルサーバー内のデータを誤って削除してしまった際に、都度バックアップサーバーからデータを復元していたのが、新しいファイルサーバーではWindows Server 2008 R2に標準で備わる履歴管理がなされたシャドウコピー機能を活用することで容易に復元作業が行えるようになっている点も作業負荷の軽減に寄与している。
なお同センターでは、同製品の特長の1つである低帯域レプリケーションを活用した遠隔バックアップによるDRシステムの構築も、今後の目標として視野に入れているという。
一方、シンクライアントシステムの導入によって、主として事務作業に用いる24台分のクライアント環境がサーバー側で一元管理ができるようになり、情報漏洩およびマルウェア対策と、PCのメンテナンスにかかる負荷の軽減、コストの削減が実現されている。
現在、リンテックでは全社プロジェクトとしての次期ERPシステムの構築をはじめ、営業拠点現場でのスマートフォンやタブレットの導入など、将来に向けたさまざまな施策が検討されている。
小林氏によれば、伊奈テクノロジーセンターが他の拠点に先駆けて取り組んだ、BCMとセキュリティの強化の観点からのITインフラ刷新は、リファレンスとして全社規模に展開されていく可能性があるという。「その意味で、当センターはいわばリンテックのトップランナーの役割をはたしています。今回のプロジェクトで培われた経験やノウハウは、今後の全社的なIT戦略の推進に大きく貢献するものとなるでしょう」(小林氏)
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