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すべての国民が情報通信技術を活用し、その恩恵を最大限に享受できる社会を目指そうと、2001年に国が発表したe-Japan戦略。その中では重点政策として電子政府の実現がうたわれており、この発表を契機に国レベルはもちろん、県や市町村などの地方自治体でも情報システムの積極的な活用が推進されてきた。
佐賀県庁では2004年から「電子県庁システム」が本格的に稼働。行政のための日常業務やコミュニケーション、情報の発信、電子申請などを支援する共通基盤として活躍してきた。こうした情報化への取り組みは社会的にも高く評価されており、摂南大学経営情報学部が全国の地方自治体を対象に調査した「電子自治体進展度ランキング」で、2007年には、東京都と並んで、佐賀県が行政サービス部門の全国第1位にランクされた。
また、県としての情報化戦略の立案や実行を担うCIO(最高情報責任者)職を置き、CIOの指導のもと利用者ニーズや最新テクノロジーに則した実用的な情報活用を進めるという、ユニークで先進的な取り組みも行っている。全国で進む自治体電子化において、佐賀県は先頭グループを走る存在となっているのだ。
個別最適で進んできたシステムを業務プロセスに沿った全体最適なものへ
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佐賀県 統括本部 情報課 システム担当 係長
有森 高夫 氏 |
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稼働から5年が経過した2009年、「電子県庁システム」は新システムへの更新が計画されていた。同県では、こ
れに先立つ1年ほど前からその構築に向けての検討を開始。新システムとなる「佐賀県職員ポータルシステム」の構想を固めていった。
プロジェクトの実務責任者である佐賀県 統括本部 情報課 システム担当の有森高夫係長は、そのポイントを次のように語る。「電子県庁システムはそれぞれの部門ごとに構築されてきたという経緯がありました。その結果、個別システム単体で見るときちんと機能しているのですが、県庁の業務プロセス全体の観点からすると、個別システム間の連携などに課題がありました。このため、利用者の使いやすさや業務効率にも影響が出ていたのです。新システムでは、業務プロセスに応じた全体最適化が大きなテーマでした」。
具体的に見えていた課題の中で象徴的といえるのは、職員がメールや連絡掲示板のチェックなどで毎日利用する職員ポータルサイトのレスポンスの悪さ。「利用が集中する県議会会期中、しかも朝の時間帯にはパソコン端末を立ち上げてからポータルが使えるようになるまでに30分もかかることがありました。」と、同課システム担当の島川尚久係長が続ける。
また、個別最適なシステムであったために、運用面での手間やコストが増大し、負担になっていた。「新システムではこうした運用コストに加え、導入コストについても大幅な削減を図りたいとも考えていました」(有森氏)。
様々な検討の結果、新システムでは「利用者の利便性向上」、「行政業務の効率化」、「ITコストの削減」という三つのテーマを設定。情報課ではハードウェアを調達するための詳細な要件検討に入っていった。
サービスを止めない可用性とサポート体制、初期コスト抑制につながる拡張性を重視
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佐賀県 統括本部 情報課 システム担当 係長
島川 尚久 氏 |
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「新システムでも、コミュニケーションのための電子メール、ウェブを使った災害情報の発信など、多くのサービスを提供します。特にこうした県庁外に向けたサービスは、24時間365日止まることがあってはなりません。したがって、ハードウェアの可用性は非常に重要なポイントでした」。ハードウェア調達の責任者を務めた同課 システム担当の石丸貴史主査は語る。
そして、第1の要件となる可用性を強化する意味で、障害発生時に必要となるサポートの体制も重視。半日後、翌日の対応というのではなく、発生から数時間での即時対応が可能なサポート体制、サポート拠点が用意できることを入札への条件とした。
また、厳しい県財政の中で最大の効果が得られるよう、新システム稼働時には最小限のスモールスタートが可能であり、その後システムの拡張が必要になった時には、サービスを止めずに柔軟に性能や容量をアップしていける拡張性についても要求。「既存の電子県庁システムでは5年間での使用状況をあらかじめ予測し、想定されるすべてのリソースを導入時に用意しました。しかし、技術や性能の進化スピードは目覚ましく、製品価格は時間とともに低下する傾向にあります。最初に無理をして導入コストを膨らませるより、必要になった時に必要な分を調達すればいい、という考え方をとりました」と、石丸氏は解説する。
こうした佐賀県からの要求に応えたのが、HP BladeSystem、HP Enterprise Virtual Array(EVA) 6400という組み合わせだった。
サーバーブレードにもインターコネクトにも多彩な選択肢があるHP BladeSystem
同県に導入された機器の構築業務を行ったのがユニアデックスである。同社はマルチベンダーでの対応に強みを持ち、ハードウェアからソフトウェアまで、設計から運用まで、ソリューションをワンストップで提供できる技術力の高さで定評がある。HP製ハードウェアの専任チームも擁し、独自に実機検証を行ったり構築ノウハウの蓄積に努めたりと、HPとは深い信頼関係の下で、これまでも多くの案件に取り組んできた実績がある。
構築プロジェクトの取りまとめを行ったユニアデックス九州営業統括部 システムサービス部 グループリーダーの井尻忠弘氏は、HP製ハードウェアで臨むことを決断した経緯について、こう説明する。「当社はHPに限ることなく、マルチベンダーで対応できることを大きな強みとしています。しかし、他社製ハードウェアとの比較をする中で、仮想化技術の適用が前提となるであろう今回の案件では、サーバーとしてHP BladeSystem、共有ストレージにはHP EVAファミリーが一番マッチするだろうという結論に至りました」。
まず、サーバーとして選択したHP BladeSystemの魅力を井尻氏は次のように語る。「ブレードを格納するHP BladeSystem c7000エンクロージャーを高く評価しました。その理由の一つは1エンクロージャーあたりに搭載できるサーバーブレードの数が、他社製品と比べ、多かったことです。データセンターへの設置を考慮するうえで、集約率を上げることは即ランニングコスト削減につながりますから」。
また、多様な選択肢が用意されているc7000のインターコネクトについても「ファイバーチャネル、イーサネット、そしてiSCSIなど様々なモジュールがラインナップされており、幅広い用途に対応できるのは大きな魅力でした」(井尻氏)。ブレードのバリエーションもハーフハイト、フルハイトの両方がそろっており、目的に応じた使い分けが可能だ。「豊富な選択肢の中から最適なモジュールを選び出し、そのすべてが一つの筐体内に収まってしまう。今回の案件でも、お客様のニーズを具現化する構成がc7000であれば可能になると判断したのです」(井尻氏)。
大規模ユーザーへの提供でEVAの高可用性を実感、スモールスタートも県のニーズとマッチ
ストレージとしてユニアデックスがピックアップしたのはHP EVA 6400。何が選択の理由であったのだろうか。「EVA 6400を使ったシステムを大規模ユーザーに納めたこともあり、サービスを止めない優れた可用性は身をもって実感していました。カタログ情報しか持ちあわせていないストレージを使う時とは、比較にならない信頼感、安心感があったのです」と井尻氏。
スモールスタートが可能という点も佐賀県のニーズにマッチした。「ディスクを追加する時にも、サービスを動かしながら容易に拡張可能です。導入時は見えている必要な分だけを入れ、足りなくなったらまた必要な分だけを追加する、といった運用ができるため、県のニーズにまさにぴったりでした」(井尻氏)。
そして、仮想化環境はマイクロソフトのHyper-Vで実現することにした。コストが安く済むことに加え、新システムで稼働する多くのアプリケーションがWindows系製品であるということが、その大きな理由だ。「保守性のことも
考慮すると、仮想化ソフトとその上で動くアプリケーションを統一しておいた方がベター。万が一トラブルが発生
した時にも、原因究明がスムーズにいきますから」と井尻氏は語る。
HP BladeSystem、HP EVA 6400、そしてHyper-Vという組み合わせで提出したユニアデックスの技術仕様は、佐賀県サイドの要件に合致し、最終的に「佐賀県職員ポータルシステム」への採用が正式に決定した。
EVA 6400に感じた驚きの信頼性、リモートツールの活用でコスト削減に成果
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佐賀県 統括本部 情報課 システム担当 主査
石丸 貴史 氏 |
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ハードウェア納入から新システムのインフラ部分構築終了までは、わずか1ヶ月間。物理サーバー数で70数台になるこの大規模なシステムを極めて短い開発期間内で仕上げるため、ユニアデックスは総力を結集。社内に専任のハードウェア部隊、システムエンジニア部隊、ネットワーク部隊を配置し、時には東京本社にあるHP製品専任の技術者チームとも密接に連携をとりながらプロジェクトを進めていった。
インフラ部分の構築は当初のスケジュールどおり、2010年の2月末までに無事完了。3月に入ると「電子県庁システム」の移行がスタートし、4月には「佐賀県職員ポータルシステム」の一部が運用をスタート。5月からはシステム全体の本格運用が始まった。
以来、ほぼ1年が経過したが、この間新システムで大きなトラブルは発生していない。「特に期待以上だったのは、EVA 6400の信頼性の高さ。使用しているディスク数は全部で100ほどになりますが、故障によるディスク交換はこれまでまったく発生していません」と、石丸氏は驚きを隠さない。
また、運用面でも大きな効果が上がっている。採用されたHP ProLiantブレードでは、リモートによるメンテナンスを支援する管理ツールHP Integrated Lights-Ou(t iLO)が利用できる。「サーバー電源のオン/オフさえ遠隔から制御できるという機能の高さには感動しました」と石丸氏。
さらに、これまではトラブル発生時のサーバーリブートに備え、データセンター近くに要員を常駐させていた。「HP iLOを利用すればこうした操作もリモートから可能になるため、常駐要員は不要になります。運用コストの削減の面で効果が出ています」と、有森氏も評価する。「電子県庁システム」時代には100台ほどあった物理サーバーは70数台に。複数ベンダーの機種が混在したサーバー環境は、HP BladeSystemに統一された。こうした変化も運用コストの低減に大きく寄与している。
これまで多くの苦情が寄せられていた職員ポータルサイトのレスポンスも大幅に改善。「ハードウェアの性能アッ
プだけでなく、システム構成についても大幅に見直しを行った結果、利用が集中した場合でも、ポータルサイト起動までの時間は劇的に短縮しました。ページ遷移も瞬時に切り替わり、レスポンスに関する苦情はまったくなくなりました」と、島川氏は笑顔を見せる。
新しい要求が来ても即応できる新システムに期待
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ユニアデックス株式会社 九州営業統括部
システムサービス部 グループリーダー
井尻 忠弘 氏 |
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佐賀県庁の新しい情報基盤となった「佐賀県職員ポータルシステム」は、早くも財務関係のシステムが追加されるなど、その役割はますます高まっている。今後は、サーバーの追加やストレージの拡張なども必要になるだろう。「そうした時にサーバーにしても、ストレージにしても『止めなくて済む』という点は、大きなメリットになって
くれるはず」と島川氏。
「地方自治体として馴染むかどうかという議論はあるものの、職員の情報発信ページを開設するようなこともシステム的には可能です。ツイッターのような新しいコミュニケーション手法も登場してきています。新しいことができないかという要望が業務サイドから来た場合でも、すぐに対応できるようにしておくことが、情報基盤として不可欠の要素。そのための拡張を手間や追加のコストをできるだけ抑えて実現できると考えています」。有森氏も「佐賀県職員ポータルシステム」の今後に大きな期待を寄せる。
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