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共通基盤システム構築で住民サービスの利便性向上東京都江戸川区様 |
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お客様背景e-SHIP構築で住民サービスを進化させる江戸川区
東京都23区の東端に位置し、南北に長く延びる江戸川区。昭和7年、7町村が合併して区が誕生した際わずか10万人だった人口は、現在68万人を超え、世帯数は30万世帯に及ぶ。都心へのアクセスの便利さに加え、環境、教育、福祉、社会インフラなどバランスの取れた街づくりが子育て世代の人気を呼び、23区で最も平均年齢が若い自治体だ。 同区は電算化への取り組みの早さでも知られ、1962年、全国の自治体に先駆けてホストコンピューターを導入、以来、業務の効率化と住民サービスの向上を掲げ数々の業務システムを構築してきた。 しかし、ホストコンピューターでの業務処理にも限界が見え、また、オープン系の業務システムも行政の情報化の流れに従って、年々増えていく状況だった。 一方、国内ではこのところ総務省を中心に電子行政の流れが加速し、全国地域情報化推進協会(APPLIC)などその推進母体となる団体も活動を活発化させている。江戸川区はこの組織の立ち上げから積極的に活動に参加、そこで策定された標準化ルールを自庁の情報処理体制再整備計画に反映させてきた。 こうした取り組みの結実ともいえるのが、業務システムを統合する共通基盤システム「えどがわ情報プラットフォーム」(e-SHIP:edogawa Shared Information Platform) だ。このe-SHIP には民間のハウジングサービスの活用や運用のアウトソーシング、またサーバ仮想化といった先進的な仕組みが盛り込まれ、自治体クラウドを見据えたポテンシャルの高いインフラとなっている。このプロジェクトを現場で支えてきたのは江戸川区経営企画部情報政策課だ。システム移行にともなう業務プロセス改革からシステムインテグレータの選定など、e-SHIP 構築に向けての膨大な作業をこなしてきた。 2008年4月、e-SHIP は本格稼働に入り、さらには、2010年1月、住民記録システムのe-SHIP への移行を完了した結果、区役所の窓口業務にスピードと利便性をもたらしている。その成果か、直近の江戸川区民世論調査では「窓口サービスの満足度向上」という結果も出ており、また、法制度改正など変化への迅速な対応にもその効果が期待される。 縦割りシステムからオープン化された共通基盤へ
e-SHIP が初めて構想されたのは2005年。この年、区では情報処理体制の再整備が決まり、全庁最適化による住民サービスの向上を掲げて業務システムの見直しが始まった。 区はすでに保険、年金、税務、住民記録など多くの主要業務がホストコンピューターで処理されていたが、情報連携が密結合となっているため、毎年のように実施される制度改正を前に、タイムリーな対応が難しくなっていた。 「後期高齢者保険制度の導入や税制における均等割など、法制度が大きく変わるなか、システムも迅速に応えていかなければならないのですが、職員がプログラムを内製しており、関連ドキュメントも不足していたため、対応に苦慮していました」と情報政策課の柳祐二係長は振り返る。 デメリットはそれだけではない。縦割りの閉じたシステムは特定ベンダーへの依存が高まり、調達への競争原理が働きにくくなる。 これに加え2001年、全庁LAN が整備され、ホスト系システムを補完するかたちでネットワーク系のシステムが動き出したため、状況はさらに錯綜した。「ネットワーク系、ホスト系システムが併存し、庁内のシステム数が100以上に膨れあがりました」と同課の長濱宜之主査は指摘する。「システムごとに同じような機器や機能を整備しているため、重複が多く、保守管理作業もその分負荷がかかりました」。 この状況を打開するため情報政策課は2006年に情報処理体制再整備計画を策定、各業務システムに閉じた最適化ではなく、全体最適化を目指した共通基盤システムの構築に取りかかった。 共通基盤システムの基本構想とロードマップ江戸川区の情報化推進本部再整備検討部会は、基本計画のなかでe-SHIP 構築の主要要件を以下のように定義している。 各業務システムの円滑な連携(業務システム連携機能) 事務処理の効率化(業務統合機能) システム全体の一元管理(運用管理機能)
機器や機能の集約化(ネットワーク・クライアント機器) この基本構想を実現するため情報政策課は、作業工程を見渡す具体的なロードマップを策定。全体最適化、脱ホスト化をめざした基盤構築が始まった。 基盤構築にあたり情報政策課がパートナーとして選んだのは日本ヒューレット・パッカードだ。「国際的な標準技術に対するノウハウや大規模システム構築の実績が豊富なうえ、プロジェクトに対する強いコミットメントの熱意が感じられました」と柳氏は語っている。 同社の役割は、ビジョン策定や基本計画策定のほか、プロジェクト管理支援、アーキテクチャ管理支援、そして情報政策課の調達・構築支援だ。「全業務システムにわたる大きなプロジェクトでしたので、アーキテクチャの標準化やプロジェクト管理はとくに骨の折れる仕事でしたが、HP のサポートのおかげでうまくまとめることができました」と長濱氏は話す。 e-SHIP は、2010年に第3次稼働段階に入り、脱ホスト、オープン化の目標は達成された。
仮想化の仕組みで調達のコスト削減、スピード化もe-SHIP 運用の大きな特徴のひとつは、iDC(Internet DataCenter)のハウジングサービスの活用だ。耐震性、自家発電、空調設備、高速通信回線などのファシリティメリットを備えたこのハウジングサービスは、入退室管理や24時間監視のサービスも提供する。定期リブートやバックアップなどの定型作業に加え障害にも対応するため、途切れることのない基盤運用が可能になる。 「iDC 側で冗長性を確保しているので、システムがダウンしてもサービスが止まる心配がありません。夜間や休日を含め、窓口サービスを提供することを可能にし、サービスの利便性向上にもつながっています」と長濱氏は話す。保守管理作業をアウトソースできるので、人的リソースを本来の業務に集中させることができる。 iDC に配備されている主たるサーバはHP BladeSystem だ。さらに今年からストレージシステムとしてHP LeftHand P4000 SAN が配備されている。現在はハイエンドとミッドレンジのSAN ストレージを、システム要件に応じて使い分けているが、今後は運用負荷と調達コストを圧縮するためミドルレンジで優れた拡張性をもつこの製品に切り替えていく予定だ。 HP LeftHand P4000 SAN はiSCSI(Internet SmallComputer System Interface)ベースのSAN(Storage AreaNetworks)ストレージで、コストパフォーマンスと拡張性に秀でている。FC ベースのSAN ストレージにくらべ煩雑な作業が少ないので導入しやすいうえ、容量やノードの追加についても既存製品と比べてかなり手軽に行える。 こうしたハードウェア選択に加え、VMWare を活用した仮想化の仕組みが、さらに機器調達コストの低減をもたらすと長濱氏は見ている。「システムをオープン化することにより、サーバ数やストレージの量が爆発的に膨らみました。物理的に機器が増えればファシリティに収まらなくなるうえ、増設の調達コストや電気代など維持コストもかさむことになります。しかし、仮想化で対処すれば、そうした経費を圧縮することができます」。 また、仮想化は俊敏なシステム展開にも有効だ。「通常のハードウェアの調達では、区内部での契約手続きのほか、製品仕様の固まる時期や在庫状況などにより、発注から納品まで一定期間が必要になります。そのため、新しい業務を始めるためすぐにサーバが欲しいと言われても、簡単にはいきません」と柳氏は話す。「しかし、仮想化でバーチャルに増設するのであれば、そのプロセスを大幅に省略でき、迅速なサービスのリリースが期待できます」。
電子行政への気運の高まりと自治体クラウド行政や業界メディアでは「自治体クラウド」による情報サービスのあり方が盛んに語られるようになってきている。江戸川区による今回の共通基盤システムも、区のプライベートクラウド構築への足がかりとして位置づけることができる。 「今後、自治体で電子化やシステム化が減るということは考えられません」と長濱氏は言う。「大規模な自治体ほど手処理の業務は姿を消しています。人口が数万人程度であれば、業務によっては紙の台帳での処理も可能でしょうが、住民が50万を超えると、それでは役所の仕事が成り立ちません」。 確かにいま自治体ではシステム化の要求が急速に高まってきており、このニーズを満たしていくためには、拡張性と機動力の高い情報基盤が必要となる。「システムがないためにお客様にサービスが提供できないということはあってはなりません」と長濱氏は話す。「所管課が新サービスを始めたいと考えたとき、すぐに対応できるインフラが必要です。そのための基盤構築であり、全体最適なのです」。 江戸川区は総務省の自治体クラウド構想が出てくる以前から、利用者が情報基盤の在処を意識しないで業務が行える仕組みを作ってきた。この仕組みをクラウドと呼べるかどうかは別にして、基盤への仮想化の仕組みの導入など、その土台づくりは着々と進んでいる。 「ゆくゆくは、住民がインターネット経由で行政サービスを受けるコミュニティクラウドのような仕組みが実現するかもしれません。いずれにせよ江戸川区に住む人々が、ワンストップ、ノンストップで自治体サービスを受けられる、そのことが何よりも肝心です」。そう語る長濱氏は最後に、これから情報化を推進しようとする自治体の担当者に向けてこうアドバイスする。「システムのオープン化は手順として重要ですが、それだけで経費削減ができるわけではありません。情報システムの経費削減を目指すのであれば、オープン化とともに検討すべきは仮想化です」。 江戸川区概要
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