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創業210年という歴史を誇る物流企業、鈴与。鈴与シンワートは、鈴与グループの一員としてシステムインテグレーション事業、データセンター事業を中心にITビジネスを手掛けている。代表取締役社長である成岡謹之輔氏は、同社を次のように紹介する。
「鈴与シンワートは、現業として物流部門を持つシステムベンダーです。物流企業として創業しましたが、1993年に鈴与グループ入りして情報システム子会社と経営統合し、現在では情報関連の売上が全体の6割を超えています。物流と情報、この2つは私たちのビジネスの両軸であるとともに、相互に深い結びつきを持っています」
鈴与シンワートは、物流企業としてのノウハウを活かした業務系システムの開発に強みを発揮してきたが、いま、サービス事業へと大きく舵を切ろうとしている。
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鈴与シンワート株式会社 代表取締役社長 成岡 謹之輔 氏 |
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「2007年にデータセンターを立ち上げ、システム開発とハウジングサービスを組み合わせたビジネスモデルを築いてきました。そして2010年、自社データセンターを起点に、より付加価値の高いサービスを指向してクラウドビジネスに参入しました。お客様のマインドが、『パッケージやサービスを上手に利用しよう』という流れに大きく変わりつつある中で、私たちのクラウドビジネスも順調に推移しています」(成岡社長)
鈴与シンワートが最初に立ち上げたクラウドサービスは、IaaS/HaaSのモデルである。プロジェクトの指揮を執った吉川和憲執行役員は、そのコンセプトを次のように語る。
「お客様の業務システムを安心してクラウド上でご活用いただくために、サービスの信頼性・可用性を徹底的に追求しました。サービスを止めないための仕組みを、データセンターファシリティからITインフラのレベルまで全てに組み込んだのです。インフラの設計から構成機器の選定、構築まで、およそ7カ月をかけて慎重に行いました」
2010年6月、「S-Port Cloud Service」はSLA(サービス品質保証)99.99%を掲げてサービスを開始した。クラウドサービス基盤の中核を担う統合ストレージに採用されたのは、iSCSIクラスターストレージ「HP P4000」である。
SLA 99.99%を掲げた高信頼なクラウドサービス
鈴与シンワートが目指したのは、「長年オーダーメードのシステムを使ってきたお客様にも、安心してクラウドサービスをご利用いただくこと」と、吉川執行役員は強調する。SLA 99.99%を可能にした、高信頼なサービス基盤はどのように設計・構築されたのか。
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鈴与シンワート株式会社 情報サービス事業本部 ネットワークインテグ レーション事業部 ソリューションサービス部 技術グループ 上席課長 畠山 浩樹 氏 |
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「インフラ設計において最も重視したのは、ストレージシステムの信頼性・耐障害性です。データを安全に管理することはもちろん、何らかのトラブルが発生してもサービスを止めないこと、速やかに正常な状態に復旧できることを前提に要件を定義しました」(技術グループ 上席課長 畠山浩樹氏)
数百からそれ以上の仮想サーバーが共有ストレージに接続するクラウドシステムでは、万一ストレージに障害が発生したときの影響範囲は物理環境とは比べものにならない。畠山氏がストレージシステムの信頼性を重視した最大の理由はここにある。
「HP P4000は、ディスクやネットワークカードなどの主要コンポーネントを二重化でき、データ保護にはハードウェアRAID 5/6/10が使えます。中でも私たちが最も高く評価したのは、クラスターノードに障害が発生してもサービスは止まらないという点でした」(畠山氏)
HPではこの機能を「ネットワークRAID」と呼んでいる。HP P4000は、クラスター内でノードを横断した冗長構成を可能にし、ノード障害を完全に克服した業界唯一のクラスターストレージである。スケールアウト型のストレージ製品は市場にいくつか登場しているが、ノード障害に対して有効な対策はなされていない。ノードが増えるごとにシステム停止のリスクが高まることに留意する必要があるだろう。
「また、クラウドサービスを提供する上では無停止でスケールアウトできることも必須でした。これが可能な製品は実はかなり限られています。HP P4000は、お客様へのサービスを止めることなくオンラインでノード拡張が行えるので安心できます」(畠山氏)
HP P4000では、物理ノードを追加すると専用の管理ツール「CMC(Consolidated Management
Console)」から即座に自動認識される。このCMCからクラスター構成を選ぶだけでセットアップが可能だ。その後は、バックグラウンドで自動的にデータが再配置され、パフォーマンスの最適化も行われる。
「クラウドサービスを支えるストレージ基盤に求められる信頼性・耐障害性と、サービス拡大に応える無停止でのスケールアウト――これらを高い実用レベルで可能にしていることが、HP P4000を選定する決め手になりました」と畠山氏は語る。
SaaSへの展開も間近、拡張するクラウドビジネス
「S-Port Cloud Service」では、HP P4000によるストレージ基盤上に仮想サーバー群を統合し、ファイアウォール/ロードバランサーまでをパッケージ化してIaaS/HaaSサービスが提供されている。インターネット回線を含む主要コンポーネントは冗長化され、標準化された運用手順に基づき稼働率99.99%を保証する高信頼なクラウドサービスを実現している。
「仮想サーバー環境はVMware vSphere Enterpriseによって構築しました。システム領域とデータ領域の両方をストレージ側に持たせる、いわゆるSAN
ブート方式を採用し、仮想サーバーの可用性はVMware HAとVMotionによって担保しています」(畠山氏)
S-Port Cloud Serviceでは、ユーザー企業が1カ月間無償でトライアルでき、しかもテスト環境から本番環境への移行を無償でサポートしている。
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鈴与シンワート株式会社 執行役員 情報サービス事業本部 副本部長 事業企画担当 吉川 和憲 氏 |
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「S-Port Cloud Serviceのサービス品質は必ずお客様にご満足いただける、という確証を持って無償トライアルのサービスを提供しています。おかげさまで、お試しいただいたほぼすべてのお客様に、本番環境へ移行いただいています」(吉川執行役員)
S-Port Cloud Serviceにはリソース容量によって4段階のメニューが用意されているが、最上位の「4コア/8GBメモリ/50GB HDD」というメニューも無償で試用できる。「本番環境へそのまま移行可能なリソースをトライアル環境でも提供する」(吉川執行役員)ことで、クラウドサービスを継続利用してもらう効果を高めているという。
「現在、データバックアップに関してはオプションで対応していますが、いずれ標準サービスに組み入れていく構想を持っています。その際は、従来のようなニアラインのテープバックアップやディスクバックアップではなく、災害対策を見据えた遠隔地へのデータバックアップという形態になるはずです。その際は、HP P4000の標準機能であるスナップショットとリモートレプリケーションを有効活用していくつもりです」(畠山氏)
先述した通り、HP P4000は主要コンポーネントの冗長化によりハードウェアとしての耐障害性を高め、ネットワークRAIDによってノード障害を克服している。加えて、スナップショット機能による高効率なデータバックアップ、リモートコピー機能による災害
対策までを追加ライセンスなしで活用できる。
「HP P4000では、シンプロビジョニング機能も標準で使えます。ディスクの使用率を高められますので、インフラ投資の最適化にも有効です」と畠山氏は評価する。
「国際物流、国際会計をはじめとするアプリケーションのSaaSビジネスを間もなく開始します。国際物流は、鈴与グループが長年培ってきたノウハウをクラウドサービスとしてご提供するものです。また、多言語・多通貨・多制度に対応した会計パッケージもクラウド化します。どちらも、キーワードは“ グローバル”です」と成岡社長は語る。
S-Port Cloud ServiceはSaaSをラインアップに加え、その進化をさらに加速させていくことになるだろう。
インターネットデータセンターからスマートなデータセンターへ
鈴与シンワートのデータセンターは、データセンターのエネルギー利用効率を示す指標であるPUE(Power Usage Effectiveness)において、1.5という優れた値を達成している。PUEとは、データセンター全体の消費電力をサーバーなどのIT機器の消費電力で割った値で、これが小さいほど電力効率に優れたデータセンターであると言える。
「クラウドを含むデータセンタービジネスは、私たちの戦略的なドメインです。いま、データセンターそのものの競争力強化にも積極的に取り組んでいます。空調・温度管理を自律的に実行するスマートなデータセンターを目指します」(吉川執行役員)
最後に、成岡社長が次のように締めくくった。
「サービス提供型のビジネスモデルを拡大させていくためには、サービス基盤であるデータセンター/ITインフラが非常に重要になります。これまで『業務系のシステムは自分たちで持ち続ける』とおしゃっていたお客様も、3月の震災以降考え方が変わってきたように思います。お客様がビジネスを安心して継続できる、そしてグリーンにも貢献できる――そのようなデータセンターサービス/クラウドサービスを、お客様のニーズを先取りしながら取り組んでいきたいと考えています」
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