サーバーのディスクを共有ストレージに! HP+VMwareのお手軽仮想化パッケージ

サーバー仮想化が普及するにつれ、仮想化環境の運用フェーズで発生する問題に注目が集まるようになってきた。その最たる例の1つに、ストレージの問題がある。サーバーだけを仮想化した結果、サーバーの柔軟性に引きづられる形でボリューム要求に対応し、ストレージが乱立しサイロ化してしまうことにより、システム全体として当初期待していたような俊敏さが実現できないというものだ。

そんななか日本ヒューレット・パッカードでは、この問題を解決する製品としてHP P4000 SAN ソリューション(HP P4000 SAN)を仮想ストレージアプライアンスとして実装する「お手軽仮想化パッケージソリューション」の提供を開始した。予算に限りのある中小企業でも、このソリューションを活用すれば、共有ストレージなしで、VMware vMotion/HAを実現する本格的な仮想化環境を実現するパッケージになっているという。そこで本誌は、日本HPのHPストレージ事業本部 ストレージ製品本部 製品マーケティング部部長の宮坂美樹氏、インダストリースタンダードサーバー事業本部製品マーケティング本部製品企画部の大江隆夫氏に、同ソリューションの特徴を聞いた。


"仮想化のボトルネック"であるストレージの課題を解消


―― お手軽仮想化パッケージソリューションの誕生背景を教えてください。

宮坂氏: お手軽仮想化パッケージソリューションは、総合的な仮想化環境を手軽に導入できるようにしたパッケージソリューションです。

日本HP・HPストレージ事業本部 宮坂美樹 氏
日本HP・HPストレージ事業本部 ストレージ製品本部 製品マーケティング部部長
宮坂 美樹 氏

仮想化に対応したサーバーの普及が進んだことで、サーバーを仮想化すること自体は簡単にできるようになりました。ただし、実際に仮想化環境を導入してみると、運用過程の中でさまざまな"ジレンマ"が発生することも分かってきました。「お手軽仮想化パッケージソリューション 松・竹・梅」は、そうしたジレンマを解消しつつ、手軽に導入できるようにしたパッケージです。


―― 仮想化のジレンマというのは?

宮坂氏: 仮想化環境の特徴として、仮想サーバーの拡張・変更が容易であることが挙げられます。これはビジネスのスピードアップにつながる仮想化の大きなメリットの1つです。

しかし、サーバーにはストレージのボリュームを割り当てなければなりません。運用開始後にボリュームを変更するとなると、サーバー側で大きな変更作業が必要になるため、通常は多めにディスク容量を割り当てておくはずです。

このような状況でサーバーが次々と生成されてボリュームが割り当てられていけば、ストレージ側では、実際にはほとんど使われていないボリュームばかりなのに、あっという間に容量不足に陥ってしまいます。当然、仮想化導入によって生まれたシステムの柔軟性は完全に損なわれてしまいます。

こうした問題を回避するにはストレージの仮想化が不可欠ですが、特に中小企業においては、なかなかそこまで手が回らないというのが実情でしょう。


―― サーバー側は柔軟性や可用性が上がったのに、ストレージ側がそれに追いついていないということですか?

宮坂氏: そのとおりです。システム全体の柔軟性を上げるためには、サーバーだけでなく、ストレージも柔軟性や可用性を高める必要があります。

そこで、ストレージの仮想化技術を使ってリソースプールを作り、ストレージ側でも必要になったときに随時そのリソースプールの容量を追加できる環境を作る必要があります。必要に応じて柔軟に追加できるので、必要最小限のリソースプール容量で運用できる環境ですね。

ただし、ストレージまで仮想化するには、共有ストレージの購入など相応のコストがかかります。中小企業にはなかなかハードルが高いと言えるでしょう。


―― そのジレンマをどう解消したのですか?

宮坂氏: コストを圧縮するために、仮想サーバーが稼動するサーバー機器の上でストレージプールを構築するという方法を選びました。サーバーのディスクを使って、高機能な共有ストレージ環境が利用できるようになりますので、先述のような問題は解消されます。


―― 高価なストレージを購入しなくても、それと同等のことがサーバーだけでできると?

宮坂氏: そうですね。さらに言えば、1サーバー上で共有ストレージまで構築してしまうと、「ディスクが壊れたときや、サーバーがダウンしたときにはどうするんだ」と懸念する方もいらっしゃるでしょう。そうした不安を解消するために、ディスクを冗長化する「ハードウェアRAID」や筐体を冗長化する「ネットワークRAID」機能も用意しています。


人気の「HP P4000 SAN」ソフトウェアを仮想アプライアンスとしてVMware vSphere上に搭載


―― どのような仕組みなのですか?

宮坂氏: 仮想化対応のSANストレージ「HP P4000 SAN」のソフトウェアを、HPのx86サーバー「HP ProLiant サーバー」上に稼動しているVMware vSphere上に実装しています。HP P4000 SANは通常、ハードウェアとソフトウェアがセットになったアプライアンス製品ですが、そのソフトウェア部分を「HP LeftHand P4000 VSA」として取り出し、VMware vSphereを搭載したHP ProLiantサーバー上に仮想アプライアンスとしてインストールして、HP P4000 SANのすべての機能を利用できるようにしています。

仮想化環境に信頼性の高いVMware vSphereを採用している点も、ユーザーから好評を得ている理由の1つです。


―― HP P4000 SANにはどんな特徴があるのですか?

宮坂氏: ストレージの仮想化を基本機能と考えると、HP P4000 SANの大きな特徴となるのは、ストレージのクラスタリングとネットワークRAIDです。

ストレージのクラスタリングは、搭載されている各ディスク(ノード)をまとめて1つの大きなストレージプールとして稼働させることができる機能。ディスクのオンラインでの増設やデータの自動再配置などが可能で、成長に応じてスケールアウトができるようになっています。もう1つのネットワークRAIDは、複数のノードにまたがって設定したボリューム単位にRAIDを構成する機能。ノードを超えてデータを二重化するため、CPU障害やディスクの多重障害が発生してもシステムが停止することはありません。

特にネットワークRAIDはHP P4000 SANだけが持つ機能として高い評価をいただいている機能です。そのほかにも、シンプロビジョニング、スナップショット、リモートコピーといったストレージの可用性を高める技術が標準で備わっています。


―― 松・竹・梅と、3種類のパッケージ製品を用意されていますが、それぞれの内容を教えてください。

宮坂氏: 梅は、ハードウェアとして1台のHP ProLiant DL380 G7に2基のインテル Xeon プロセッサー E5620(計8コア)、24GBメモリ、146GB SAS 2台を搭載し、ソフトウェアとしてVMware vSphere Essentialsをパッケージにしたものです。小規模環境向けで、少ない先行投資でまずは仮想環境を試験導入してみたいというニーズに合わせています。こちらはストレージの仮想化には対応していません。

竹は、梅のハードウェア、ソフトウェアの性能を高めたうえで、LeftHand P4000 VSAを搭載したパッケージ。3台のDL380 G7にそれぞれインテル Xeon プロセッサー E5649を2ソケット(計12コア)と36GBメモリ、146GB SAS2基と450GB SAS4基を搭載して)、ソフトウェアはVMware vSphere Essentials Plusに加え、実効容量2TB(2ノード)のLeftHand P4000 VSAをパッケージにしたものです。小規模なSAN環境を構築し、共有ストレージによる可用性を担保するニーズに対応します。

松は、さらに拡張性を高めたもの。DL380 G7(Xeon E5649計12コア、36GBメモリ、146GB SAS 2基と450GB SAS 6基)3台に、VMware vSphere Standard、実効容量3TB(3ノード)のLeftHand P4000 VSAが付属します。小規模から中規模環境で、可用性を高めたうえで、成長に合わせて拡張していけるような構成となっています。


投資効果の高い「HP ProLiant DL380 G7」


―― 一方で、ハードウェアとなるHP ProLiantサーバーの特徴はなんでしょうか?

大江氏: 提供されるサーバーは、いずれもHP ProLiant DL380 G7という2Uサイズのラックマウントサーバーです。DL380 G7の大きな特徴としては、HP独自の省電力機能、高効率パワーサプライ、管理性の高さなどが挙げられます。まず、省電力機能については、電力消費を最小限に抑える「Sea of Sensor(センサーの海)」という工夫が施されています。


―― Sea of Sensorとは具体的にどのようなものですか?

大江氏: 筐体内部に大量の温度センサーが配置されていて、筺体内の温度を細かく把握することで、ファンを自動制御するものです。ファンの回転による消費電力は、通常時0.8W程度のものがフル回転時には6〜12Wにまで跳ね上がりますので、この違いはファンの台数が増えればそれだけ大きくなります。HP ProLiantサーバーではファン1つ1つの回転を制御しながら、必要な部分だけを効率的に冷やすことができます。また、使わないメモリスロットやI/Oスロットは電力供給を制限できる仕組みも備わっています。

インダストリースタンダードサーバー事業本部 大江隆夫 氏
インダストリースタンダードサーバー事業本部 製品マーケティング本部 製品企画部
大江 隆夫 氏

こうした工夫により、稼働音を抑え、タワー型サーバー並の静かさも実現しました。小規模環境ではオフィス内にサーバーを設置することも少なくありませんが、そうした環境でも社員にストレスを与えることなく利用できます。パワーサプライについては、「80 PLUS Gold」を取得したAC/DC最大変換効率92%の電源を使用しています。オプションでは、さらに効率の高い80 PLUS Platinum取得の電源(最大変換効率94%)も選べます。サーバーの消費電力が上がるにつれて、ラック内にまだ空きスペースがあるのにサーバーを追加できないということが起こっています。これは物理スペースより先に電力容量が足りなくなってしまうからです。効率のよい電力消費は、電力リソースやラックの空きスペースの無駄をなくすことにつながります。


―― 管理性の高さという点ではどういった工夫が盛り込まれているのでしょうか?

大江氏: リモート管理プロセッサー「iLO 3 (HP Integrated Lights-Out 3)」を搭載し、システム状態の把握、サーバーのローカル画面の表示、電源制御、電力監視といったことがリモートからできるようになっています。少ない人数で多くのサーバーを管理できるようになり、管理コストを大きく削減することが可能です。仮想化環境によるコスト効果をさらに高めることができます。


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HP ProLiantサーバーとHP P4000 SANソフトウェアの特徴を生かしたHP+VMware「お手軽仮想化パッケージソリューション」は、松・竹・梅というラインアップを揃えたことで、小規模企業でも可用性も備えた本格的な仮想化環境を導入できることが最大のメリットだ。例えば、「とにかく手軽に仮想化」という場合は梅を、「ストレージの可用性」を重視する場合は竹を、さらに「拡張性」を考慮する場合は松を選択の基準にできるだろう。


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