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HP Workstation 導入事例紹介
株式会社サイバーコネクトツー

 

70 台を超えるHP Workstation で完成へと導いた劇場用 3D アニメーション 「ドットハック」

.hack Conglomerate

© .hack Conglomerate

CyberConnect2

「.hack」シリーズは、2002年から展開しているクロスメディアプロジェクトである。「.hack」はゲームを中心としマンガ、アニメ、小説など様々なコンテンツで構成されているが、その中で様々に交差する各キャラクターのヒストリーや巻き起こるイベントは時系列をもって細かくリンクしながら物語が綴られており、その計算された壮大な世界観はどのメディアにおいても「.hack」の魅力が最大限に引き出され、多くのファンを魅了している。

2007年末、「.hack」はクロスメディア展開として劇場用映画プロジェクトが静かに始まった。そしてそのアニメーション制作を担当したのが、当時5名で立ち上げられていたサイバーコネクトツーの映像制作チーム「sai −サイ−」(以下チーム sai)であった。

チームsai はCGアニメーション作品「.hack//G.U.TRILOGY」(以下TRIOGY)を制作し、ストーリを活かす描写表現とアニメーションテクニックには高い評価が集まっていた。しかし、劇場用の3Dステレオ制作においては、2D映像とは違い画面密度の高さや左右の映像をレンダリングするため、ハードウェアの増強が必須となっていた。そして,劇場用3Dアニメーション「ドットハック」を完成させるために選ばれたハードウェアは、HP Z600 Workstationをベースとした70台のレンダーファームとアーティスト用に採用されたHP Z600およびHP Z800 Workstationであった。チームsaiでプロジェクトリーダーを務める二塚万佳氏(以下 二塚氏)が「ドットハック」に対するこだわりと、このこだわりを受け止めたハードウェア環境について語った。

始動: 映像制作チーム『sai』

サイバーコネクトツー株式会社 プロジェクトリーダー 二塚万佳氏
サイバーコネクトツー株式会社
プロジェクトリーダー 二塚万佳氏

株式会社サイバーコネクトツー(以下、CC2)が開発を担当したプレイステーション2用ゲームソフト「.hack//G.U.」は3部作構成となっておりRPGとしてのゲーム性に加え、ムービーパートで表現されるキャラクターの個性とストーリ性は多くのファンを魅了していた。そして「『.hack//G.U. 』3部作の映像部分をつなげて見てみたい」というファンの声が起きる中、CGアニメーション作品「.hack//G.U.TRILOGY」プロジェクトがスタートし、チームsaiが始動した。

「『.hack//G.U.』の3部作を1本の長編アニメとして再構成し、ストーリー展開や結末も新たに制作したのが『TRILOGY』になりますが、CC2としてゲームのプリレンダーを纏め、焼き直し をしただけでは、『面白くない』(笑)と思っていました。『TRILOGY』はファンの声から生まれたプロジェクトなので、この期待を上回るエンターティメント作品にするため、コンセプトやキャラクター設定を引き継ぎながらも新しい物語を描くことにしました。そして、この『TRILOGY』を作るために誕生したのが3名の映像制作チーム『sai−サイ−』です。」

少人数で構成された映像制作チームであったが、93分のフルHDCGとしてアニメーション作品を完成させたチームsai。そして、次に掲げたのはプロジェクト「ドットハック」。全国の劇場公開を見据えた作品へとプロジェクトが稼動した。

「.hack//G.U. TRILOGY」

チーム sai 誕生のきっかけにもなったOVA 作品「.hack//G.U. TRILOGY」。(監督:松山洋 上映時間 93 分)

稼動:「ドットハック」プロジェクト

2007年末から始まった「ドットハック」の企画は、2012年1月21日の公開予定まで4年の歳月をかけて作られた。この間にチームsaiのコアメンバーも10名となり、2010年7月にはCC2として東京スタジオを開設するなど、会社としても大きな成長の過程の中で進められていった。

「『ドットハック』は劇場公開作品になりますので、東京のクライアント様や外部協力会社様とのコミュニケーション強化が必要になりました。CC2が東京スタジオを開設するタイミングもあり、チームsaiの効率的なワークフローとして、ディレクション、プロジェクトリード、そしてアートディレクション機能は東京スタジオで行うこととしました。この理由はクライアント様や協力会社様は在京の会社になりますので、直接顔を合わせたコミュニケーションを行え、判断も迅速に行うことができるからです。CC2のコンセプトとして、社員同士のコミュニケーションを大切にしておりますので、福岡本社と東京スタジオ内のオフィスをCC2 Windowという双方向のビデオモニタで常時繋ぎ、テレビ会議システムも導入しています。これらのシステムにより、社員同士でも距離感をなるべく感じず、近くにいるという親近感が得られます。制作において社外と社内コミュニケーションを効率化して、決断スピードを上げることがCC2のコンセプトでもありますが、これは今回の劇場作品の制作にも活かされ少人数でも劇場用映画制作を達成した理由の1つだと思います。」

福岡本社と東京スタジオのコミュニケーションを構築するCC2 Window。

福岡本社と東京スタジオのコミュニケーションを構築するCC2 Window。CC2 東京スタジオに設置された双方向モニタCC2 Window。テレビ会議用は別に会議室に設置されており、CC2Windowは福岡と東京のオフィス内を常に映し出している。ちょっとした問い合わせも、顔を見ながら気軽に行えるため、離れていても社員同士のコミュニケーションを図り、効率性の高い作業フローを実現している。

2011年1月からは、東京スタジオのチームsaiは2名、ディレクションとプロジェクトリードを担当する二塚氏とアートディレクターで再構成され、福岡本社では実制作からレンダリングを行う分業体制が敷かれた。
「ドットハック」はカット数約1300となり、制作においてピーク時は約50名のアーティストが参画したが、平均するとコアメンバー10名で行われていた。もちろん外部の制作会社の協力も得ているが、それでも制作ボリュームと比較し制作人数が多いとはいえない。

「この人数で劇場作品ができるのか、という疑問はあるかもしれませんが、CC2では毎朝9時出社で泊りは禁止です。徹夜しても効率は上がらないのは明白ですし、何より体調管理は必要です。効率的なコミュニケーションをお互いとることで、プロジェクト全体を通じてスケジュールとクオリティラインを上げる事が可能となります。「ドットハック」は完成まで4年となりましたが、「.hack」は設定が最も重要でしたのでプリプロ作業に1年半をかけじっくりと練られています。ネットワーク上のゲームで繰り広げられる世界と現実世界、この2つの世界を繋ぐ設定を緻密にすることで、既存ゲームのストーリとの繋がり、キャラクターとの関係性などが明らかになり、そういった設定が本作の魅力の一つになっています。もちろん、今まで「.hack」を知らなかった人が映画を見ても楽しめるように作られています。」
福岡と東京を繋ぎ、劇場映画を作るためチームsaiはコミュニケーションを軸とした制作体制を作り上げた。CC2はゲーム会社として、3DCGはもちろん開発からサウンドまで一貫した制作ワークフローを持っているが、劇場映画を作るにあたってもこのゲーム制作ワークフローが活用されていた。

構築:ゲーム制作のワークフローから生まれる映像

CC2はゲーム会社として劇場映画制作にチャレンジすることになったのだが、映像制作専門の会社とは異なる、ゲーム会社ならではの視点とワークフローが大きなメリットになったという。
「CC2はゲーム会社ですので、3DCGからプログラム開発、サウンド制作チームまで社内にそろっています。
またゲーム会社として常に最新のテクノロジーを取り入れていますので、3Dステレオでの映像制作の経験やノウハウも蓄積されていましたので、その経験と照らし合わせて、「.hack」の世界を映画として表現できる最適な映像は3Dステレオにあるという結論に達していました。」
ゲーム会社のメリットを最大限に活かし、作品のクオリティを映像だけではなく、サウンドの両面から高めることができたのは、まさにCC2が今まで培った経験とノウハウを活用した成果といえる。

様々な技術や企業、そして人とのつながりを得て、制作が行われていったが、この制作を支えるハードウェア環境も長尺の3Dステレオ作品の制作には欠かせない重要な要素となる。CC2では過去作品の制作経験からも、今回の映画制作では高性能かつ安定したハードウェア環境が必須であると考えていた。

HP Workstation:信頼のハードウェア

3Dステレオ制作は通常の2Dに比べ倍のボリュームでレンダリングが行われる。さらに、3Dステレオとして画面密度を高めた作りこみが入るため、信頼性が高く安定稼動するハードウェアの導入が必要不可欠であった。この課題に対しCC2が出した答えは、HP Z600 Workstation およびHP Z400 Workstationによるレンダーファームの構築とアーティストマシンとしてHP Z800 Workstationの採用であった。

「『ドットハック』は3Dステレオでもあったので、サーバの容量や耐久性、そしてレンダリングボリューム対策など、ハードウェア導入にあたっての機種選定は大きな悩みどころでした。最終的には、レンダーファームにワークステーションを採用し、HP Z600 Workstation 40台HP Z400 Workstation 30台の70台構成としました。しかしこれでもまだすべての3Dステレオのレンダリングをこなすにはパワー不足でしたので、社員が帰宅した後、アーティスト用に導入したマシンも夜間はレンダリングに参加させて、なんとか3Dステレオのボリュームをこなしていけました。」
「ドットハック」で使用されたレンダラは2種類。現実世界はPencil+、ネットゲームの世界ではV-Rayが使われ、その表現性はレンダラの微妙なパラメータ設定を試行錯誤した結果が反映され、2つの世界が持つイメージを再現していた。

現実世界 オンラインゲーム「THEWORLD」(ザ・ワールド)

「.hack」の世界観のポイントは、オンラインゲームと現実世界が入り混じる点にあるが、この2つの世界が入り混じりながら、ネットで見るキャラクターと現実の人との違いが魅力となっている。(画面左が現実世界、右がオンラインゲーム「THEWORLD」(ザ・ワールド))このギャップの魅力を映画でも活かすため、レンダラの特徴を最大限に引き出している。

映画制作のためアーティスト用にも新規にマシン導入を行ったが、そのマシンはHP Z800 Workstationであった。CC2としてマシンを選択する理由の1つとして、安定性があり、その要件を必要十分に満たしているのがHP Workstationであった。
「ハードウェアなので障害は避けて通ることはできません。でも、大切なのは障害が起きても復帰するまでのダウンタイムを最小限にできるかどうかが重要な点です。ダウンタイムが短かければ稼動が止まる時間も最小限になるので、安定性が高くメンテナンス性に優れたHP Workstationはコストバランスとして優秀だと思います。また今回レンダーファームにWorkstationを採用したのは、状況によってレンダーノードをアーティスト用のワークステーションとしても使用することができるためです。CC2では1人1台構成になっていますが、ピーク時にアーティストが1台で制作を進めながら2台、3台と別マシンで異なった作業を行うというケースもありました。そのためレンダリング専用となるブレードサーバなどはなく、ワークステーションによるレンダーファームを構築しました。」

3Dステレオの制作では奥行きをつけるために、画面の3D情報が増えてしまう。例えば、2Dでは板にテキスチャを張るだけでも成立する木が、3Dでは奥行きがあるため3Dモデルとして制 作が必要になる。そのため、1枚のレンダリングに数時間かかることもあった。また、3Dステレオとして、画面チェックの際に右と左に違いがでてしまうと、その原因を確認し再度作り直しが発生することもある。このように、2D以上に様々な工数がかかる3Dステレオ制作だが、HP Workstationによるレンダリング環境の整備とアーティストマシンの安定性により、「ドットハック」は創り上げられていった。

重いレンダリングのMaxのモデリング画面 重いレンダリングのMaxのモデリング画面

レンダリングショット

3Dステレオのため作りこみが必要となり、1本の木にもきちんと3Dが描かれている奥行きを見せないために、距離を離すということも制作段階で判断をすることもできたのかもしれないが、1つ1つの積み重ねがクオリティを左右するため、チームsaiでは妥協することなく、3Dとして描いていった。

HP Zシリーズで構成されたレンダーファーム。制作会社ではレンダーファームをワークステーションで構築する例が多くなっており、その理由としてはやはりアーティストマシンとして切り出して使用するなどの汎用性が挙げられる。CC2でも当初は設置場所や運用などの面でブレードサーバも検討を行ったが、最終的にはアーティスト用としても活用できるワークステーションで構築した。

東京スタジオのアーティストの環境

アーティストのマシンはHP Z800とZ600で構成されている。上記写真はCC2東京スタジオのアーティストの環境になるが、最大限のパフォーマンスを発揮するため、作業スペースとモニタを見やすくするために、“傘”が付けられている。この傘は自動車会社のカーデザイン室でも採用されているが、蛍光灯の影響を避けられ、色の再現性を高められる。

HP Zシリーズで構成されたレンダーファーム。

NEXT:アイデアとテクノロジーを融合

日本のゲーム会社がもつ技術力は世界的にも認められているが、それはテクノロジーを活かして楽しんで貰えるエンターティメントを生み出し続けているためである。

「CC2では、常にエンターティメントを高めるために最新の技術を取り入れ、吸収しています。
弊社松山(CC2代表取締役社長松山洋氏)は『アイデアとテクノロジーの双方が大切であり、その2つを組み合わせて新しいものができる』というポリシーを持っています。今回の3Dステレオについても、新しいテクノロジーを取り入れ吸収して新しいものを創り上げる。それがお客様に喜んで貰え、業界の発展にも繋がるという考えです。ゲームの歴史はわずか20数年ですが、急速に成長、拡大したのは、このテクノロジーをもってエンターティメントとして昇華できるアイデアと融合ができたためだと思います。CC2はこのアイデアとテクノロジーを融合させるため、様々なチャレンジを行っていきます。私の個人的な考えでもありますが、ゲーム会社としてリアルタイムエンジンを扱った開発実績を映像制作に展開できないか、と思っています。つまりレンダリングしないと結果が見えないのが今の状況ですが、もしリアルタイムでクオリティラインを確認できるのであれば、レンダリングにかかる時間を最小限にとどめることができます。このようなチャレンジはどんどん行っていきたいと思っています。そして、このようなアイデアとテクノロジーを融合させるチャレンジは、ハードウェアに負荷がかかるのですが、HP Workstationはこの負荷にも答えられるパワーと安定性を提供していくワークステーションだと感じています。」

株式会社 サイバーコネクトツー
◆ 株式会社 サイバーコネクトツー
URL   http://www.cc2.co.jp/ 日本HP外のウェブサイトへ
設立日  平成8年2月16日
代表取締役社長  松山 洋
所在地  【福岡本社】
〒812-0011 福岡市博多区博多駅前1-5-1 カーニープレイス博多
【東京スタジオ】
〒140-0014 東京都品川区大井1-47-1 NTビル6F
ゲーム制作に対するクオリティの高さは、アイデア段階からゲームシステムの設計・プログラム・デザイン・サウンドまでに至る全ての制作プロセスを自ら行う「こだわりの技能集団」というコンセプトから生み出されるが、その組織は「トライファクタ一構造」というコミュニケーションがとりやすい3人一組の構造から生み出されている。

【作品概要】

◆[タイトル] ドットハック

◆[公開日] 2012年1月21日(土)テアトル新宿ほか全国ロードショー

◆[製作] .hack Conglomerate

◆[アニメーション制作] サイバーコネクトツー sai

◆[監督] 松山洋

◆[脚本] 伊藤和典

◆[配給] アスミック・エースエンタテインメント株式会社

[公式サイト] http://www.dothack.com/ 日本HP外のウェブサイトへ

ドットハック
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